07/12/16 12:37:31 bu+8naLF0
プロデューサーさんと千早ちゃんが「良い仲」なのは、事務所内の公然の秘密ではあるけれど、
でも、ドアの向こうで進行中の事態は、おそらく黙認していてよい状況ではないはず。
不肖・音無小鳥、2X歳。社長不在の今、この私が身を呈してでもアイドルを不祥事から
守らなければ。一体、他の誰が守ってくれるというの!
私は自らを奮い立たせると、ノブに手を掛け、一気にドアを開けた。
「二人とも、昼間から何をやっているんですか―」
しかし、私の目に飛び込んできたのは、予想外の光景だった。
ソファに腰掛ける千早ちゃんと、千早ちゃんの肩揉みをしているプロデューサーさん。
「―って、あれ?」
「あ、おかえりなさい。音無さん」
「おかえりなさい、小鳥さん。……どうしたんですか、いきなり大声出して」
プロデューサーさんの疑問はもっともだと思うけど、今の私にははぐらかすことしかできない。
「いえ、何でもないんです。えっと、勘違い、かな?」
「そうなんですか。いや、僕はてっきり小鳥さんお得意の妄想が現実と混濁したのかなと思って」
「う。鋭いですね」
プロデューサーさんの勘違いを逆手に取って、苦笑いでその場を取り繕う。
ていうか、むしろ全然取り繕えてない気がするんだけど、そこは追及しない。
「あれだけ大きな声を出されるなんて、余程すごい妄想だったんですね」
千早ちゃんの感心したような声が心に刺さる。
違うの、そうじゃないのよ、千早ちゃん。
溜息と共にMS-D○Sマシンに向き合う私の背後で、千早ちゃんが小さく声を上げた。
「あっ。そこ、気持ちいいです」
「相当に肩こってるなぁ。レッスンも大事だけど、ボディケアのことももっと考えないと
いけないかな」
「いえ、私は、その、プロデューサーに肩を揉んでもらえるだけで十分ですから」
「そ、そうか?」
「はい……」
--
なぜかわからないけど、千早って肩こり持ちなイメージがある。