07/11/18 03:11:20 mP0YObRD0
美しい夕焼けが住宅地を紅く染める
見ているだけなら美しく、浴びてみれば焼けるように暑い
真は車に揺られながら、後頭部に暑苦しい夕日の視線を感じていた。
なんとも気が滅入る
がたんと車体が揺れ、真は出かけた溜息を飲み込んだ。
「あの・・・プロデューサー」
隣に座るプロデューサーと呼ばれた男は、不思議そうな顔で手元のスケジュール表から真へと目線を移した。
彼こそ真のアイドル生活を影から支える人物であり、また真の気が滅入る要因の一つでもある
「どうしたんだ、真?」
真正面から視線がぶつかる
いつものびしっとしたスーツ姿、整った顔立ち、優しい表情
絶妙な夕日のスポットライトがさらにそれらを際立たせた。
そんなプロデューサーを真っ直ぐに見ていられず、真は顔を赤くして視線を泳がせた。
そんな真の様子を見て、また不思議そうな顔をするプロデューサー
乙女心なんて微塵もわからないあの男(プロデューサー)が何で凄腕と呼ばれるのかしら
真の脳裏に同僚の言葉が横切った。
泳がせていた目線を窓の外に移すと、自宅に帰るところだろうか
それとも、これからどこかに出かけるのだろうか
父親と母親に挟まれ嬉しそうに笑って歩く女の子の姿が目に入った。うっうー
「あの、やっぱり、行かなきゃ・・・というか行くんです、よね?」
プロデューサーの顔に目を戻すと、何をいまさらというような表情をしていた。
少なくとも真にはそう感じ取れた。
「当たり前だろう、もう近所まで来ちゃったし、それに真もそこそこ有名になってきたからな」
隠すのもそろそろ限界だろう
プロデューサーはそう付け足すと、真の頭をぽんと叩いた。
「それに、お父さん、久々に帰ってきているんだろう?
遠征に出ちゃったら、またしばらく話すチャンスもなくなるし、
こういうのは早めにすませるのが真のためにも良いと思うんだ」
微笑んだプロデューサーの顔が夕日よりも眩しく真の目に映った。