07/11/21 06:59:48 XBLtC04W0
今度クランクインする映画の件で話があると言われ、プロダクションに誰もいないような時間に凸ちゃんに呼び出される。行ってみるとなにやらガウンを着ている凸ちゃん。
「どうした？」
「今度の映画、気に食わない衣装があるのよ」
「あー、あの監督ワンマンだからな、今回は事務所からあんまり強いこと言えないんだ。でもほとんど礼装軍服だろ？女帝ランジェ様って」
「私はね、いったん受けた仕事はどんなものでも全力を尽くすようにしてるわ。今回の役だって、あんな高慢ちきで自己中で周りの苦労も省みないで、普段ツンケンしてるくせにお兄様にだけメロメロなんてキャラ、正直自信ないけどやってみせるわよ」
「……ええっと」
「だから文句は言わない。重たいパワードスーツ着させられようが、ヒモみたいな水着用意されようが」
「あー、ビーチバレーのシーンな。まあでもイズル皇子役だって真だし、一瞬で画面からはじき出されるわけだから―」
「だ・か・ら・なんだってやるって言ってるでしょ？でも、……その」
「うん？」
「プ、プロデューサーであるあんたには、まず『確認』しておいて欲しいの。……私の、衣装を着た姿を」
とか言いながらガウンの紐を解こうとするので、
「待て、伊織。それをしたらきみはアイドルではなくなるぞ」
「……え？何―」
「水瀬伊織という存在は全世界のファンのためにあるものだ。きみがキャメラやファンではなく、俺の前でそのガウンを脱いでしまったら、その瞬間にきみはアイドルではない、一人の少女になってしまう」
「わ、わたしはそれでも」
「それ以上言っちゃダメだっ！」
「プロ―」
「その言葉は、きみがきみの夢を掴んだ時に聞かせてくれ。俺はそれを、いつまでだって待っているから」
などと叱責と激励を織り混ぜつつヤバイ雰囲気回避。
「……わかったわ、ごめんなさい」
「すまない、きみに恥をかかせるようなまねを」
「いいわよ、私も少し先走りしすぎたみたい」
「そう言ってくれて助かる。実を言うと、それ以上迫られたらガマンできなくなってしまいそうだったんだ」
とか言ってみたら調子付いたらしく
「……え、ほんとに？にひひっ♪」
っつって胸元をピラッてやったりするので、いきなり目を血走らせてガバと両肩を抱き
「い、い、い、伊織っ！」
「なっ……なによ」
「俺、もう我慢できないよっ！」
とポケットからホイッスルを取り出し演奏開始、同時にドアから浅草サンバカーニバル興行委員会の皆さんが色とりどりの羽根のついた衣装で踊りながら入ってくるのに合わせ自分もランバダ的な服に着替えてダンス＆ダンス。
「さあ、伊織も行こう！汗と肉体の弾けるラテンのパラディーソへ！」
などと叫びつつガウンの腰にクジャクの羽飾りを取り付けようとしているところで我に返った凸ちゃんが服がはだけるのもかまわず見舞う掛け蹴りが耳の後ろにヒット、そのまま床に引き倒され悶絶したのをサンバのみなさんに隣の仮眠室まで運んでもらうのでした。
【モケーカ・サンバシチュー（白身魚のココナツミルクシチュー）】
1.鍋でタマネギ（1個粗みじん）おろしニンニク（1/2かけ）を炒め、ざっと火が通ったら白身魚（二切れ）を入れ、塩コショウを加えながら焼く。けっこう煮込むので表面を焼き固める雰囲気でヨロ（どうせ煮てれば崩れるけど）。
2.水（1カップ）赤と緑のピーマン（各1個2cm大の乱切り）トマト（2個2cm大の角切り）を入れて10分煮込む。
3.ココナツミルク（1カップ）を加えもう10分煮て、塩コショウで味を調えて完成。スープだがオンザライスで食すのがポピュラー。
※これで2人前なので団体さんの場合は適宜増やす。
※本格派はa.サラダ油ではなくヤシ油を使うb.ココナツミルク：水を2：1にするc.最後に香菜を大量投入d.ごはんを炊く時にニンニクと塩を少し入れる。
「最後はみんなで明るく食事して仲直り、っと」
「……無理あるんじゃないの？」
「あ、バレてた？どうもサンバシチューなんて呼ぶ人、ほとんどいないみたいなんだよね」
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