07/11/09 17:53:33 Uq8U0WwC0
新番組の企画の詰めで凸ちゃんと事務所で居残り仕事なんかしたらもう。
「伊織、きみはもう帰った方が」
「なに言ってるのよ、私の番組なんだから私が仕切らないでどうするの」
「わかったわかった、だけど12時までだぞ？そうしないとリムジンがカボチャに戻ってしまう」
「そう言うならガラスの靴も用意しなさいよね、魔法使いさん」
「へいへい。とりあえず魔法をかける前のカボチャから中身をとっておいたんで夜食にしようか」
【カボチャのグラタン～CENDRILLON（灰かぶり）風～】
1.カボチャペーストを作る。カボチャの中身をラップして1～2分レンジで加熱、ザルで裏ごしする。60gくらい。
2.具。冷蔵庫にある野菜を2cm大前後の大きさに薄切り。カボチャ（主役）ニンジン（赤）ブロッコリー（緑）あたりは欲しい。キノコ類はもっと大きく切ってもOK。塩コショウで炒めておく。カボチャが甘いので塩は抑え目に。
3.グラタンソース。鍋にバター10gを溶かし、小麦粉小さじ2をダマにならないよう炒める。牛乳200cc、固形ブイヨン半かけ、1.のカボチャペーストをかき混ぜながら煮る。てろんてろんって感じになればOK。
4.適宜用意した器に野菜とソースを入れ、パルメザンチーズと乾燥パセリを混合したものを上からかけてオーブンで10分加熱。具材にはほぼ火が通っているので、焦げ目がつけば食べられる。小ネタではあるが「灰かぶり」なので、チーズはたっぷり。
※乾燥パセリを焼く前に入れるのはセオリー外（焦げる）。緑の色味が欲しいときはオーブンから出してもう一度振ってくださいまし。
※12時過ぎたらカボチャの器を使ってもよい。ただし帰れなくなるぜお嬢ちゃん。
「てゆーかこんなに甘いモノ、夜中に食べさせないでよね。おいしいけど」
「伊織くらいの年齢ならどんどん食べなきゃダメだよ。運動すればいくらでも絞れるだろ」
「そうでもないわよ。これでもけっこう気にしてるんだから」
「そうかい？」
と、すかさず急接近して抱え上げる。
「きゃあっ！？」
「ふむ。……うん、軽い」
「ちょっと！お、下ろしなさいよっ！」
「こらこら、暴れちゃダメだ。うーん、伊織さ、今……」
と、もちろん熟知している体重を1キロ減らして聞いてみる。
「ぅ……ま、まあそんなもんかしら」
「軽すぎる。きみの歌はダンスナンバーが多いんだから、どんどん食べて体力をつける方が大事だぞ」
「ぶくぶく太ったら踊れないでしょ！下ろしなさいったらぁ！」
そっと足から下ろすが、手は離さない。
「―ちょっと？」
「……2、3、1、2、3、swing」
拍子をとって突然、三日三晩寝ずに憶えたダンスを始める。慌てながらもしっかりついてくる凸ちゃんに舌を巻きつつ、腰を抱いて覆いかぶさるようにフィニッシュ。
「タンゴもたしなまれるんですねお姫様」
「しゃ、社交界では常識だもの」
「社交界か。悪くないね、オープニングではきみがゲストをエスコートしよう。きみの多才ぶりがアピールできるし、テレビ的にも面白みがある」
「あら、いいじゃない」
「ダンスのコーナーも考えてもらおうかな。レパートリーは？」
「バリエーションも合わせれば長寿番組ができるわよ」
「そいつは助かる。いい番組にしよう」
「そうね。……あの、ちょっと」
「うん？」
「そろそろ、その、放してくれないかしら」
「おっと失礼。きみのウサギみたいに腕に貼りついてしまったようだ。外す方法は2種類ある」
「早く言いなさいよ」
「ひとつは、きみの本当の体重を白状すること」
「！」
「もうひとつは―」
「こうねっ？」
という言葉とともに放たれる、きれいに足の伸びた蹴りを背中越しに延髄にくらって倒れたりなんかしちゃったりなんかして。
正解です伊織お嬢様ｶﾞｸｯ。