07/11/06 14:20:00 2F2rL8KeO
誰にでも大切な物はありましょう
勿論、伊織様にもございます
祖母の代から母、伊織様と受け継いでまいりました
真白なレースのハンカチーフでございます
一角にマーガレットの刺繍の入ったそれは可愛らしい代物で
伊織様も気に入り毎日持ち歩いております
昨夜のことです
伊織様と母君様の怒声がお屋敷に響きました
どうやら例のハンカチの行方がわからず
母子で喧嘩に発展したようでした
それはそうでしょう
例え伊織様の所有物とはいえ、母君様にとっても思い出深い品なのですから
しかし、いくら怒鳴りあってもハンカチが見つかるわけではありません
母君様はソファーに腰を落とし深く落胆のため息を
伊織様は顔を赤くし興奮したご様子で目に涙を浮かべておりました
ここは一つ、私は大人の覚悟を決めました
二人の間に入り膝を折って額を床に擦り付けます
「私が紛失しました」
どういうこと?と母君様は私の前髪を掴み、顔を近付け睨みました
さすが血筋です、少し興奮して謝り続けておりましたら
伊織様は母君様の手を払いのけ、私を起こして下さいました
そのまま腕を引かれ伊織様の部屋へ
振り返り様に伊織様は私の頬にビンタをご馳走下さいました
ありがとうござい