07/11/06 01:04:48 P11PBN2q0
凸ちゃんとビンボめしを食うなんて、なかなかいい経験ができそうだ。
「いくら遅くなったからって新堂さん呼べば帰れるだろ？なんで俺ん家なんか来ようと」
「う……うるさいわね、新堂だってたまには休ませてあげなきゃ可哀想でしょ？い、家にはホテルに泊まるって連絡してあるから気にしないでよ」
「なぜウソまでついてる」
「いいから早くカギ開けなさいよっ」
てなことで部屋に突入。初めて見る男の一人暮らしに興味津々の凸ちゃんにハラハラしながら冷蔵庫を開けるが、給料日前でなにもない。
「すまないな、今コンビニでなんか買ってくるから」
「いいわよ。私が勝手に来たんだから、余計なお金なんか使うことないでしょ？」
「だけど冷メシとキャベツしかないぞ？」
「どっちにしたってコンビニじゃ私の口に合うものなんか買って来られないわよ。キャベツはあるんでしょ？」
などと冷蔵庫を物色
「玉子もあるじゃない。え、朝ごはん用？お醤油かけて？あんたねー、栄養失調で倒れられても困るんだけど。使わせてもらうわよ」
「えー」
「えーじゃないの！」
いろいろ怒られながらキャベツと玉子のソテーがメインディッシュになる。芯のところを厚く切りすぎていて火が通っていないし微妙につながっているところもあるが、そーゆーのは超絶テクで隠蔽しながら味わう
「……うまい」
「ほ、よかっ……じゃなかった、あったりまえじゃない。私にできないことなんてないのよ」
「いや、さすがだよ。伊織はいい奥さんになれるな」
「ばっ、な、なななに言ってんのよ、誰があんたの奥さんになんか―ぁわっ」
「うん？」
「なんでもないわよっ！」
そうこうするうちに夜も更けて
「さて、そろそろ寝ようか。明日も早いんだし」
「う、は……はぃ……」
「それでね伊織。きみに頼みがあるんだ」
「え、何？」
「この（ガチャガチャ）手錠で俺の両手をつないでくれ。あと（ゴソゴソ）この目隠しと、（ジャラッ）足枷。これだけすればきみも安心だろ」
「べ、べつにこんなのなくたって……ていうか、どうしてこんなもの持ってるのよ」
「いや、きみがもし俺の家に来たら、ってシミュレーションをね」
とごまかしつつ拘束完了
「伊織、きみはベッドに寝るといい。俺は大丈夫だからここに転がしておいてくれ」
「かえって気になるんだけど」
「ああそうだ、押し入れに予備の毛布があったんだ。俺動けないしすまないが掛けてくれないか」
「んもー、世話が焼けるわね」
つって押入れを開けさせるが、その中からはSFXプロダクションから無理言って借りてきた20人分の首輪をつけた骸骨が転がり落ちる。
ものすごい叫び声と新堂さんを呼び出す電話、わずか30秒で到着するリムジンの音なんかを聞きながら身動きもできないまま凸ちゃんを帰して、翌朝いくらなんでも変だと考え直し、パパ直属のSPを引き連れて尋ねてきた凸ちゃんに救出されれば言うことないよな。