【空気の読めない】高木順一朗part1【高木社長】at GAMECHARA
【空気の読めない】高木順一朗part1【高木社長】 - 暇つぶし2ch453:SS
08/04/12 16:32:08 I66+SNlh0
 公園の入口に一人の少女が立って、私を―正確に言えば、私の手元をじっと凝視していた。
 もしや……と思いつつ、私は素知らぬ振りを装って手にしたおにぎりを食べ、それから横目でそっと
少女の様子を窺う。
 すると、傍目にもそれとわかる落胆した表情で彼女が溜息をつくのが見えた。
 さすがに、そんな態度を取られて平然としていられるほど、私は冷淡な人間ではない。
 かといって、いきなりおにぎりを勧めるのも違うだろう。
 まずは無難に声を掛けてみることにする。
「どうかしたのかね?」
 まともな返事など期待してなかったが、少女は少し目を瞬いた後で単刀直入にこう言った。
「おじさん、おにぎりちょうだいなの」
 予想を超える反応に、私は飲みかけの茶を吹きそうになった。
「それとも、今ので終わり?」
 この無警戒さは何なのだろうか。
「……ゴホン。おにぎりはまだ幾つかあるから、あげるのは構わないんだが、もう少し他人に対して
警戒を抱いてはどうかね?」
「む。もったいぶらないでよ。おにぎりあるんだよね?」
 と、少女はスタスタと歩いてきて、私が傍らに置いていたコンビニの袋を指差した。
「かつおと焼きたらこがあるが―って、そうではなくてだね! 君、まだ未成年だろう?」
「君じゃなくて、ミキだよ」
「……えっと」
「年はね、14歳。中二だよ」
「……だからだね。未成年をターゲットにした犯罪が後を絶たないご時世に、見知らぬ大人から食べ物を
分けてもらうなんて、危ないとは思わないのかね?」
「ん。別に大丈夫だって思うな」
「どうしてだね?」
「おじさんは、そんな悪いことをしそうなタイプには見えないの」
 そう言ってもらえるのは光栄の至りだが、この子の行く先が非常に不安になってくる。
 天真爛漫というか、天衣無縫というか、まぁ、それはそれで得難い性質だとは思う。けれども、
よくよく見れば、かなり露出度の高い服を着ていて、髪の毛を金髪に染めており、化粧っ気こそないものの、
妙に目立つ格好なのは間違いない。服装のせいか、メリハリのあるボディラインが露わになっていて、
とても中学二年生とは思えない。また、眉をひそめているからわかりにくいが、目鼻立ちも整っている。
少しばかり目つきがきついかなとも感じるが、それもまた美人さを高めている一因になっているとも
言えなくはない。
 と、ここまで少女のことを観察して、私はふと気が付いた。
 ここ最近、同業者の間で話題になっていた美少女とは、この子なのではないかと。
「ねぇ、おじさん。おにぎり、くれないの?」
「あげてもいいが、その前にひとつ質問してもいいかな?」
「いーよ。何?」
「君は、スカウトをされたことがあるかね?」
「君じゃなくて、ミキだって言ってるのに……。スカウトって、モデルやってみませんかーとかって、
知らない人から声をかけられること?」
「そうだ。名刺を渡されたりしたかね?」
「うん、もらったよ。ミキ、興味ないって言ったのに、気が変わったらここに連絡してねって押しつけられたの。
もう、全部捨てちゃったけど」
 間違いない。
 噂は本当だったのだな。


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