07/06/26 11:51:59 E3uh0H5K
>>281の続き
「あの少年の事が気懸りだったが、俺には彼の事情を知る由も無い。
ただそれ以来、俺は叶う事無い夢を見るのはもう止めた。
あの御仁は二度と帰って来ない。だからこそ、俺がこの場所を守ろう、と。
決意を新たにして神社でゴロゴロしていると、どこかの小学生の少女が
俺の自慢の尻尾をにぎにぎした。たまらず逃げ出そうとすると、
彼女は面白がって俺を追い掛け回し始めた。境内の下に逃げ込むと、
彼女は覗き込もうと顔を近づけてきた。手が届かないと知ると彼女は座り込み、
俺に手招きしながら『パンあげるから出ておいで~』なんて言ってやがる。
フッ俺様を誰だと思っている!?パン如きで俺が出て行くと思っているのか!?
なんて格好付けて言いたかったが、最近雨続きで飯の確保がままならず空腹だった。
俺はその誘いに堪らず、パンに齧り付いてしまった。しまった!と気づいたが、
彼女は俺を捕まえようとはしなかった。それどころか、俺がパンを食べている様子を
ニコニコしながら見ている。だが、その笑顔はどこか寂しげだった。
その様子を見て、この少女も何か孤独を感じているんだと悟った。原因は分からないが、
兎も角彼女が心から笑える様になる事を祈った。
暫くして、少女は手を振り家に帰っていった。残された俺は、神社の警護についた。」
続く