08/05/24 06:49:32 1vb/V6FTO
>>685
テラGJです!
この流れなら俺も行けるぜ!
静寂が支配する夜の帳の中にて。
夜風はまだまだ冷えるにも関わらず、サンダースは一人、散歩をしていた。
彼宛に届いた、二通の手紙。
そこには、共に戦場を駆け、戦火を消さんと戦った仲間の死、仲間の結婚報告があった。
人はいつか、死んでしまう。
それを誰より間近で、誰より身近で見てきたサンダースだからこそ解る、仲間の幸せのその意味。
しかし。
「我が輩は、幸せになる権利などないのだ・・・・。分かってくれ、我が輩」
幸せを求めようとする自分を戒める。
独り言に過ぎないそれが、酷く寂しくサンダースの心に染みる。
「(既に、引き返すことの出来ぬ道に入ったんだ、我が輩は。賢者になり、更なる力を得ると誓った時から・・・!)」
「貴方にも、幸せになる権利はあるわ」
その声は、不意に。
背中からかけられたその声に、サンダースは内心胆を冷やす。
しかし、そんなものを表に出すサンダースではない。
「貴方は自分を追い詰めすぎる節があるわね、サンダース君」
「エリーザ教官」
「幸せの形は、人それぞれなの。そして幸せは人全てに与えられる権利なのよ」
エリーザの言葉が、サンダースの心に響き、救いを求めようとする想いが湧き出る。
しかし、サンダースはそれをひた隠しに隠す。
「我が輩は、幸せなどいらぬ。傷つけ、痛め、死に逝く人々を飯の種としているんだ。言うなれば、修羅の道。茨の道を歩む者に幸福は必要がない」
そして何より。
「我が輩の様に厳つい男を、愛する奇人はおるまい」
では失礼する、とサンダースは踵を返し、帰る。
その孤独な背を、エリーザはただ静かに見つめていた。