07/06/19 14:54:21 cKCNWfPj
273 :名無したんはエロカワイイ:2006/03/26(日) 09:47:00 ID:u/lxK/KU
何気なく、>>252に書き足してみる。
サンダース、戦争回顧の手記の一部より
「戦争は長引いていた。
我を含めた5人、全て学徒動員兵であり、正規の訓練を積んだ訳でも無い。精神的に辛くなってきている。
安全地帯にて休息中、乗員とゆっくり話す事が出来た。皆腹の中に色々溜めていた様だ。
「弟達が心配です。特に…末っ子のラスクが」
そう言うのは、弾薬装填手のジークという少年。まだ幼く、体も小さい。兵士としては基準ギリギリだった。
彼らの家は非常に貧しく、戦争が始まった時、金を稼ぐ為にジークが自ら兵に志願したらしい。
「ラスクは…とても頭が良い。医者や学者か、賢者にきっとなれる。僕はその為に…ラスクの学費を稼ぐ為に志願したんです」
彼はそう言うが、ジーク自身、年齢には相応しく無い程の明晰な頭脳を持っている。本当は、彼自身が学校に入り、勉学に励みたかったのではないか。
本人にそう聞いてみたが…寂しげに微笑むだけで、何も言わなかった。
願わくば、戦争が終わった暁には、彼自身にも特別報酬を充てて、学校へと行って貰いたい。
その為にも…彼と、彼の弟の為にも。絶対に死なせる訳にはいかない。
「フン…俺は兄貴達を恨む。セリオスにマテウス、あいつらに会ったら殴るだけじゃ済まないね」
そう言うのは、射手のレクトールという青年。
「あいつら、戦争が始まる前に留学しやがった。残った俺は兵役さ。ズルいぜ」
この男は有能なのだが…性格にいささか難がある。命令無視して射撃目標を変更したり、勝手にどこかへフラリと出掛けたり。その度に殴り合いの喧嘩にまで発展している。
だが、軍法会議にはかけたく無い。我々は元々学徒であり、軍隊ではないのだ。上に反発したい年頃でもある。こんな事で命を棒に振って欲しくは無い。
「兄貴達は魔法学校に入学するらしい。…フン、俺も戦争が終わったら、報酬をがっぽり貰って兄貴の後を追ってやる。追って、追い越し、先に賢者になってやる。
だからこそ。こんな所で死んでたまるか」
…有能なこの男の事だ、有言実行、きっと本当に兄達の後を追い、賢者になるのだろう。
この生意気な男の、神々しい賢者としての姿を見てみたいと思う。
眼鏡の青年や看護の女性共々、この戦車は個性派揃いだ。
戦争は辛いが、この者達と過ごす時間は、とても面白い。
戦争が終わったら、この者達と飲みにでも行きたいものだ。
きっと…もっと楽しい話が聞ける事だろう」