【小さな】儚き女魔法使いスレ【黒い瞳】at FF
【小さな】儚き女魔法使いスレ【黒い瞳】 - 暇つぶし2ch2:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/03 09:10:03 jaDxHDJM0
瞳の大きさ、それは女の子にとって重要なパラメータの1つである。
基本的に、瞳が大きいほど美少女といえる。
瞳の大きい美少女といえば、僧侶、商人、遊び人、賢者の4職業が挙げられる。

3:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/03 09:14:44 jaDxHDJM0
それに引き替え、女魔法使いの外見はどこか物哀しげだ。
無理もない。ドラクエ3における魔法使いの処遇はあまりにも苛酷すぎる。
序盤、激的にHPが低い上、装備できる防具にも恵まれない。
あるプレイヤーに「金を拾う商人よりも、装備に金をつぎ込めない魔法使いを連れて行った方が金が貯まる」と
皮肉られる始末だ。

現実と将来を悲観させる彼女の「小さな黒き瞳」は、どこを見ているのだろうか・・・

4:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/03 09:17:44 jaDxHDJM0
世の中には、こんな儚き女魔法使いをモデルにしたアニメキャラがいる。

それは、某人気アニメに出てくる、「根暗で笑うことを知らない少女。」
その名は、「長○有希」。

5:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/03 09:23:58 jaDxHDJM0
複数打撃武器は、複数攻撃呪文を得意とする魔法使いの鬼門と言われている。
とある勇者は、仲間にした女魔法使いにこのことを問いかけてみた。彼女はこう答えた。

「私の存在意義は、単体攻撃呪文と防御呪文と能力強化呪文と便利呪文で、自分と味方を様々な危機から守ること。」

勇者は一言返した。「ぜひ、それらの呪文で俺たちを守ってくれよな。」と。
彼女は何も言わず、こくんとうなづいた。 

6:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/03 09:50:57 jaDxHDJM0
勇者たちは、シャンパーニの塔でカンダタ一味と対峙した。

カンダタ子分「親分、俺たちの打撃が奴らに効きません!」
カンダタ「何っ!」
勇者「力バカの貴様らが俺たちに勝てるとでも思ってたのか?」

女魔法使いは下を向いて瞳を閉じ、ぶつぶつとつぶやいているだけだった。

7:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/03 09:55:00 jaDxHDJM0
しかし、そのつぶやきから放たれている呪文は、
「味方全員を打撃から守る」スクルトの呪文だったのだ。

カンダタ「そっ、そんな・・・」

打撃が効かなければ奴らは無力同然だった。
勇者「よし、僧侶よ、とどめを刺せ!」
僧侶はルカニを唱えた。

カンダタ「うぐわああああっっ!! 守備力があああっっ!」

もはや、カンダタが勇者たちに命乞いをしてくるのは時間の問題だった。

8:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/03 10:28:21 jaDxHDJM0
複数打撃武器の威力は凄まじく、勇者のはがねのムチと僧侶のモーニングスターの打撃が猛威をふるっていた。
ある日、戦士が勇者に話しかけてきた。
戦士「複数打撃武器があるんだからよ、いつ死ぬか分からない魔法使いなんか外しちまえよ。」

その時、勇者のこめかみに血管が浮かび上がった。
勇者「俺が何のためにのろまな君を雇ったか分かるか?」
戦士「おい勇者、一体どうしたんだよ? 確かに俺は重装備だから素早さは低い。
   俺の攻撃の前に戦闘が終わっていることもよくある。それでも頑丈な分魔法使いよりはましだろ。」
勇者「ふっ、全く分かってない奴だ。君ののろさなど承知済みだ。
   だから、せめてその図体で、かよわい魔法使いをかばわせることに期待したんだが…
   全く当てが外れたな。」
戦士「そっ、それはこのゲームの仕様がそうなってるからしょうがないだろ?」
戦士「問答無用! 君が戦士としての役目を果たさないから、かよわい魔法使いは何度も死にかかった。
   奇跡的にも彼女が一度も死んでいないのは、彼女がスカラで自分の身を守っていたからだ。
   君が彼女をかばっていれば、彼女が死にかかることもなかった。さらに彼女が攻撃呪文を打てる余裕も出たはずだ。」



9:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/03 10:43:23 jaDxHDJM0
間違い訂正後つづき

勇者「問答無用! 君が戦士としての役目を果たさないから、かよわい魔法使いは何度も死にかかった。
   奇跡的にも彼女が一度も死んでいないのは、彼女がスカラで自分の身を守っていたからだ。
   君が彼女をかばっていれば、彼女が死にかかることもなかった。さらに彼女が攻撃呪文を打てる余裕も出たはずだ。」

その時、2人の間に彼女がやってきた。
魔法使い「わっ、私の攻撃呪文なんて大したことないから…」
勇者「大したことかどうかは問題じゃない。
   問題は、カンダタ戦でパーティの守りの要であることが証明された君の生死がかかっていることだ。」
戦士「くっ、この勇者の魔法使いびいきは相当なものだな。だが、俺に代われる戦力などそうそうあるわけが…」

その時、勇者はぱちんと手を鳴らした。その合図で現れたのは、なんとバニー姿の女の子だった。
遊び人「よろしくですぅ♪」
勇者「ああ、よろしくな。君の装備品は既に整っている。」
戦士「まっ、まさか、俺の代わりってこの遊び人かよっ!」
勇者「そうだ。今は複数打撃の時代なのだよ。はがねのムチも装備できない君には、これ以上期待するものはない。」

遊び人は勇者から与えられた派手な服とはがねのムチを装備してはしゃいでいた。

勇者「以上だ、魔法使い、ルーラを頼む。」

女魔法使いはこくんと首を縦に振ってから呪文を唱えた。
4人の体が宙に浮いていく。
地上には、がっくりとうなだれる戦士の姿が残された。

10:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/03 10:56:00 jaDxHDJM0
どうやら他スレで、このスレが「ドラクエ3の女魔法使い萌えスレ」と解釈されたようだ。

まあ、俺も魔法使い好きだからいいけどね。

11:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/03 16:17:46 jaDxHDJM0
僧侶「魔法使い、どうした?」
魔法使い「密かにしまっておいた本がなくなってた。」
魔法使いは本を探していた。その時、勇者が現れた。

勇者「君が探してるのはこの『悟りの書』だな。」
魔法使い「そっ、それは私が…」

勇者は魔法使いの手を振り解いた。
勇者「君が賢者に転職することは、この俺が許可しない。」
魔法使い「どうして? 私が賢者になれば、もっとあなたの役に立てるはず…」
勇者「ダメと言ったらダメだ!」

12:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/03 16:30:40 jaDxHDJM0
遊び人「ねぇねぇ勇者ちゃん。あたし賢者に転職したいんだけど。」

勇者は、いつものハイテンションな女遊び人に呆れかえっていた。
勇者「君はどうして賢者になりたいんだ?」
遊び人「女賢者って外見が可愛いでしょ。もうバニーガール姿も飽きたし。」
勇者「・・・・・・・」

勇者は絶句した。”こいつは賢者をなんだと思ってるんだ?”

遊び人「ねぇねぇ、いいでしょ? 女の子はいつでも可愛くなりたいって思う生き物なんだから。」
女遊び人は勇者に擦り寄った。
勇者「分かった分かった。なっていいよ。だが、しばらくは装備品は買ってやれないからな。今は金欠なんだ。」
遊び人「やったあ☆」


2人のやりとりを、女魔法使いは密かに見ていた。彼女の小さな瞳はこの時も物哀しげだった。
彼女の姿に気づいた勇者だったが、彼女に声をかけることはなかった。

勇者「許せ。君にはこれからバイキルトやイオラといった強力な呪文を覚えてもらわねばならないのだ。
   君を賢者に転職させられるほど、俺たちのパーティには余力はない。」

勇者は密かに戦士をリストラしたことを後悔した。しかしその思いはすぐに消えた。
「戦士? 奴は仲間の女魔法使いを愚弄した。それはパーティプレイで最も許されないことだ。」

13:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/03 17:02:52 jaDxHDJM0
ボストロールとの戦いは、彼らにとってはカンダタ戦の延長みたいなものだった。

僧侶「結局君のスクルトが功を奏したな。」
魔法使い「でも、私は所詮魔法使い。いずれ賢者には・・・」

勇者たち若者の2倍の人生を過ごしてきた僧侶にとっては、この若い女魔法使いの杞憂などすぐに推測できた。
僧侶「俺には、勇者が君の転職を認めなかった理由が分かる。」
魔法使い「・・・」
僧侶「賢者には、成長が著しく遅くなるという欠点がある。
   あの遊び人上がりの賢者は、レベルが足りないためか大した活躍はできなかった。」


14:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/03 17:12:35 jaDxHDJM0
僧侶「そういえば、以前君は>>5のようなことを言っていたようだな。」
魔法使い「なっ、なぜそれを・・・」

表情の乏しい女魔法使いにしては珍しい動揺だった。
僧侶「それに、君はとてもきれいな目をしている。まるで黒曜石のように。」
魔法使い「いきなり何を・・・」
僧侶「目は真実を語ると言ってな、君には>>5で語った『仲間を守るために呪文を使う』という
   強い意志が感じられる。」

15:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/03 17:30:49 jaDxHDJM0
魔法使い「仲間を守るなら、回復呪文を使える僧侶の方が・・・」
僧侶「まあ、回復呪文なら大抵の傷は治せるだろう。
   だが、君の防御呪文には、重傷を軽傷に抑える力がある。これこそが『守りの力』といえよう。」
魔法使い「・・・」
僧侶「俺は、この『守りの力』の偉大さを悟った。
   3回のスクルトが10回のベホイミに匹敵することもありうることを。」

僧侶は、自らの道具袋から1個の指輪を取り出した。
僧侶「君には、仲間を守ろうとする強い意志を維持できるだけの優しさがある。
   そして、それを実行できるだけの強さもある。その2つは絶対に失ってはならぬ。
   これは、そのお守り代わりだ。」

僧侶はそう言って、若き女魔法使いに指輪を渡した。未だに状況がつかめない彼女ではあったが、
ただ一言「ありがとう・・・」とつぶやいた。

彼女が受け取った指輪は「博愛リング」。元々性格が「やさしいひと」である彼女には無意味なアクセサリーであった。
しかし、彼女はそれを承知で指輪を装備した。
「私にもいつか、彼が言った言葉が分かる日が来る・・・」と思いながら。

16:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/05 06:59:19 XDWHK+KS0
「ここから船で東に行けば、ラダトームの城下町に行ける。
 だが、海の魔物は強いから気をつけろ。」
孤島の港にいた1人のオヤジから船を借りた勇者たちは、ラダトーム目指して出航した。

あと少しで陸地に到着する頃、船の周囲を3体の魔物が取り囲んだ。
勇者「クラーゴン、最強のイカだ!」
強靱な体力と攻撃力を持つ奴らを倒すには、ボス戦同等の気構えが必要と判断した。
勇者「まずはスクルトで身を固め、バイキルト+ルカニ後総攻撃・・・」

その時、僧侶が言葉を発した。
僧侶「ここは私に任せられよ。勇者たちはラリホーで奴らの足止めを。」
勇者「本当に大丈夫か?」

勇者が半信半疑になっていると、クラーゴンたちの動きが止まった。
パーティ最速の女魔法使いが「眠りの杖」を使ったのだ。

僧侶「ふっ、邪悪な魔物どもよ、覚悟しろ!」
僧侶はザラキを唱えた。
クラーゴンたちは1匹ずつ海の中に沈んでいった。

勇者「僧侶、なかなかやるなあ。」
僧侶「僧侶には、ニフラム・バシルーラ・ザラキといった即死呪文と、
   ルカニやマヌーサといった敵を弱らせる補助呪文も持ち合わせている。
   邪悪な魔物を虐殺するために・・・」

人間の宗教では、魔物は悪魔のように忌み嫌っている。
その宗教に従う僧侶が超攻撃的な即死呪文を覚えることは、宗教の理にかなっていた。

僧侶「それに、俺は彼女ほど優しくないんでな・・・」
勇者「今、何か言ったか?」
僧侶「いや、何でもない・・・」

17:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/05 09:59:10 Lv2O46wB0
僧侶かっこいいな、おいw

18:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/05 15:34:10 bt6XsaQu0
男僧侶萌えスレ

19:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/05 20:56:47 XDWHK+KS0
現在のパーティは勇賢僧魔。
勇者は、打撃力の不足を懸念し、久しぶりにルイーダの酒場を訪れた。
しかし、バラモスがいなくなったせいで、まともな冒険者たちの姿を見ることはできなかった。
酒場の中で、「嘆きの間」という看板が掛けられた扉があった。

ルイーダ「その部屋には、仲間たちに見捨てられた冒険者達がいるわ。」
勇者達は、嘆きの間に入った。

20:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/05 21:06:14 XDWHK+KS0
そこには、ルイーダが言ったとおり、仲間に見捨てられた人たちがたむろしていた。
希望を失った彼らは、この部屋で嘆き悲しんでいた。
その中には、勇者がリストラした戦士もいた。

戦士「ここに戻ってくれば、きっと誰かが声をかけてくれる。そう思ってた。
   だが、その考えは甘かった。
   そりゃそうだよな。パーティプレイの1つも理解できなかった俺を雇ってくれる奴などいるわけないもんな。」

戦士は、あの時のことを深く反省していた。しかし、勇者が手を差し伸べようとすると、彼はその手を払った。

戦士「見ての通り、今の俺は飲んだくれの流浪人だ。お前らの戦力にはなれそうもない。」

戦士は、コップ酒を飲み干しつつそう言った。あまりにも変わり果てた戦士の姿に、勇者はこれ以上声をかけることができなかった。

21:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/05 21:22:49 XDWHK+KS0
通称「嘆きの間」には、戦士だけでなく、魔法使いの姿もあった。
勇者の仲間である女魔法使いは、戦士同様酒をあおっている魔法使いの姿を見た。

魔法使い「彼女は私の同期生。首席で魔法学校を卒業した優等生だった。その彼女がなぜ・・・・」

女魔法使いは、変わり果てた同期を見て戸惑いながらも、声をかけた。

女魔法使い「サマンサ、私よ。分かるでしょ?」

サマンサと呼ばれた魔法使いは、うつろな目で彼女の方を向いた。

サマンサ「ふっ、あんたもあたしを笑いに来たのかい?
     今のうちに笑うがいいさ。いずれあんたもあたしみたいになるのだから。」
女魔法使い「サマンサ、あなたの性格は頭脳明晰だったはず。あなたは誰もが認める優等生だった。
      そのあなたがどうして・・・」
サマンサ「話を聞いてくれるのなら話そう。
     あんたの言うとおり、あたしは首席だった。それだけに、攻撃呪文にも自信を持っていた。しかし・・・」

彼女の次の言葉は、ここまで旅を続けてきた女魔法使いも容易に推測できた。」

サマンサ「魔物に対し、攻撃呪文はあたしの思ったほどに効果を上げなかった。
     それにひきかえ仲間達は、ムチなどの複数打撃武器で、魔物を容易に倒していった。
     その差はとてつもなく大きく、あたしはパーティのリーダーから解雇宣言を受けた。」

22:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/05 21:45:33 XDWHK+KS0
女魔法使いサマンサは、頭脳明晰という優秀な性格をもつ魔法使いだった。
その優秀な性格が、当時魔法使い最大の売り物であった「複数攻撃呪文」への依存を強めてしまった。
攻撃呪文は、打撃と異なり、効かなければ容赦なくダメージが0になる。
守備力による軽減方式である打撃よりはるかにシビアな攻撃手段なのだ。

未だ勇者に存在を認められている女魔法使いは、自分よりも優秀な同期生の堕落にショックを受けていた。
そんな彼女に対し、サマンサは何かを形取った模型品を持ち出した。

サマンサ「これは、卒業式の時、あたしが首席だったという理由でもらった紋章。
     今のあたしには似合わないもの。
     だから、未だに仲間に認められているあんたにこれを託したい。」

彼女が差し出した紋章を見て、女魔法使いは戸惑った。
女魔法使い「私だって、今はよくても、この先どうなるか分からない・・・
      それに、その紋章はあなたにとって大切な物のはず。」
サマンサ「このあたしでも、防御呪文の分野だけはあんたに勝てなかった。
     だから、こんな状態になったあたしに代わり、あんたに受け取ってもらいたいたかった・・・」

同期生の言葉は、女魔法使いの心に深く突き刺さった。しかし、女魔法使いは気を取り直しつつ答えた。
女魔法使い「この戦いが終われば、あなたが今悩んでいることもすべて消えるはず。
      私があなたのためにできることは、この戦いを終わらせる事。
      いや、あなたのためだけじゃない。世界のすべての人たちのためにも・・・」

23:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/07 07:33:29 ngzrKE9T0
大魔王ゾーマ、すべての魔族を統率する王は、魔族の未来をかけて勇者たちと対峙した。
奴はとてつもなく強かった。奴の強さの秘密は、「凍てつく波動」にあった。

勇賢僧魔型のパーティは、どうしても補助呪文に頼りがちとなる。その補助呪文の効果を消し去る
凍てつく波動は彼らにとって最大の脅威だった。

勇者「俺たちのパーティではここまでで限界なのか・・・」

勇者たちの士気低下を尻目に、今までとは違う行動をとる者がいた。女魔法使いだった。
彼女は、杖の先をゾーマの方に向けた。

勇者「何をするつもりだっ!?」

女魔法使いは、驚く勇者の方を振り向くことなく、一言つぶやいた。

女魔法使い「勇者、私に攻撃の許可を・・・」

24:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/07 07:42:17 ngzrKE9T0
勇者「ようし、やっちまえ!」

勇者のその一言が、戦場を火の海に変えた。

女魔法使いの杖の先から放たれた炎の矢は、ゾーマの胴体に深々と突き刺さり、
奴の力の源である「冷気」を消していく・・・ 彼女は、この炎の矢を連続で撃ち放った。

女賢者「うわぁ、かっこいいっ!」

ミーハー心旺盛な遊び人上がりの女賢者が、女魔法使いの行動をまねた。
ここでも「成長が遅い」という賢者のデメリットがでたため、女賢者の杖の先から放たれたのはメラミだった。
それでも、炎を弱点とするゾーマには効果てきめんだった。

ゾーマは、気を取り直して吹雪を吐いた。しかし、彼女たちの行動でパーティの士気は回復していた。
奴の攻撃に対し、僧侶は冷静な表情で賢者の石を振るった。


25:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/07 08:02:24 ngzrKE9T0
女魔法使いのメラゾーマ攻撃は止まることを知らなかった。一体彼女のMPはいくつなのだろうか?
しかし、そんな彼女も表情だけは普段と変わらなかった。
いつもと変わらぬ物哀しげな小さな黒い瞳・・・

ゾーマ「この魔法使いめっ、魔族の王であるこのわしを哀れみの目で見おって!」

圧倒的な女魔法使いの攻撃に押されるゾーマが屈辱的な言葉を発した。しかし、彼女の瞳は奴に向いていなかった。

女魔法使い「サマンサ、これがあなたが最も得意としてた攻撃呪文よ。
      私は、この呪文でゾーマを倒す。攻撃呪文は決して無力な呪文ではないことを証明するために。
      この思い、伝わってるかな・・・」

魔法使いには、他の魔法使いに意志を伝達する能力があるのだろうか?
いや、多種多様な呪文に長けた魔法使いなら、意思伝達の呪文くらい便利呪文の1つとして修得していてもおかしくないだろう。

すでにゾーマは紅蓮の炎に包まれており、勇者が奴に近づいて打撃攻撃できる状態ではなかった。
だがもはや、勇者が攻撃する必要はなかった。
最後の数ターン、勇者は回復呪文を1度使った以外は傍観しているだけだった。

女魔法使い「サマンサ、あと少しでこの戦闘は終わる・・・」

彼女がそうつぶやいた数秒後、ゾーマの体から火柱が上がり、奴の断末魔の雄叫びが響き渡った。

26:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/09 08:39:53 xIdNvO6G0
神竜への道は長く険しかった。
しかしその険しい道は、勇者たちに膨大な経験値をもたらし、かなりのレベルアップを得た。

そして神竜戦。
あの遊び人上がりの賢者もついにメラゾーマを覚えた。
無転職の女魔法使いに至ってはMPが300を超えていた。

勇者「メラゾーマ要員2人、賢者の石2個、勝機は十分にある。」

賢者と魔法使いのメラゾーマが神竜を襲った。
勇者はひたすら賢者の石を振り回した。
僧侶もフバーハを使いつつ賢者の石を振り回した。

神竜「見事だ!この私を35ターンで打ち負かすとは・・・」

27:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/09 08:57:54 xIdNvO6G0
神竜を完全に打ち負かすためには、最終的に15ターン以内で神竜を倒さなければならない。
そのためには、メラゾーマ要員がもう1人必要だった。
勇者は僧侶をじろりと見た。

僧侶「ああ、戦士に続きついに私もリストラされる日が来たのですね、とほほ・・・」
勇者「いや、その気はない。転職してもらう。」
僧侶「転職! それならば準備万端です!」

僧侶は得意げに悟りの書を天にかざした。しかし、勇者に没収された。

勇者「あんたの転職先は賢者ではなく魔法使いだ。」
僧侶「まっ、魔法使い…」

僧侶は恐怖におびえる表情を見せた。

勇者「どうした? 魔法使いになるのがそんなに嫌か?」
僧侶「まっ、魔法使いだけは勘弁してください!
   男が魔法使いになると、膨大な魔力の保持のため、凄まじい精気を消耗するのです。
   そして、どんな若者でも体は老人と化してしまいます。どうかそれだけは・・・」
勇者「賢者では成長が遅すぎる。」
僧侶「そうだ! 武闘家ならなってもいいですよ。武闘家は会心の一撃が出やすいから、メラゾーマと同等の威力が・・・」
勇者「何寝ぼけたこと言ってんだ?」

勇者は僧侶の体を引きずり、ダーマ神官に転職の申請をした。

神官「神よ、この僧侶の転職をお許しください。」

僧侶の体がみるみる嗄れていく。そして、みずぼらしい老人の姿になった。
僧侶は魔法使いに転職したのだ。

僧侶「ああ、私まだ40なのに・・・ ひどすぎるっ><」

嘆く元僧侶を尻目に、勇者は次の行動に取りかかっていた。

勇者「許せ、僧侶よ。
   武闘家の打撃力がメラゾーマ並になるまでに会心の一撃率を上げるには、途方もないレベルが必要なんだ。」   

28:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/09 09:48:28 4DfS8QAU0
これは強引な設定w

29:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/09 12:52:35 MO+NzWTyO
元男僧侶に期待

30:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/09 17:33:21 7jkue/gJ0
元僧侶「賢者ちゃんのぴちぴちしたオシリ… たまらんのう ぱふぱふしてくれんかのう」

31:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/11 06:55:01 QBC/FrD/0
パーティの戦力を一新した勇者たちは、天空塔でレベル上げに入った。
元遊び人も着実に賢者らしさを見せるようになり、女魔法使いは相変わらずであったが、
何よりも元僧侶の老魔法使いの成長は著しかった。

彼の行動は、僧侶の頃よりもはるかに身軽になっていた。
魔法使いに転職したせいで、賢さと素早さが大幅に上がったのだ!
それでも魔法使い呪文が充実しきっていない彼は、転職前に身につけていた僧侶呪文を使いこなした。
しかし、その僧侶呪文ですら、魔法使いに転職したことで一段とキレが増していた。

つまり彼は、「魔法使いでありながら、僧侶の時よりも僧侶呪文を有効に使いこなし始めた」ということなのだ。
そんな彼を勇者は高く評価した。

勇者「魔法使いに転職させたことで、元々覚えていた僧侶呪文のキレが増した。
   これに魔法使い呪文が加われば、さらに活躍するだろう。」

老魔法使いの頭にかぶせていたフードが外れた。そこから発せられたまばゆい光に、思わず勇者は目を背けた。
確かに彼は、僧侶の時よりも光り輝いていた。

32:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/11 07:14:17 Qhi959eK0
男魔法使いスレになりつつあるw

33:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/11 21:12:15 8U+U2aAq0
最後吹いたwww

34:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/12 06:21:02 D5Z9kqpu0
天空塔によるレベル上げは続いていた。

敵はデーモンソード、ダークトロル、はぐれメタルだった。
とりあえず最速の女魔法使いがスクルトで守備力を上げた。
しかし、ここで遊び人上がりの賢者は大胆な行動に出た。

賢者「こんなめんどくさい敵なんかドラゴラムで一掃しちゃえー!」

みるみるうちに女賢者の姿が巨大なドラゴンに変化していく。
そしてドラゴンの口から激しい炎が吐き出された!

炎に包まれたモンスターたちの悲鳴が響き渡る。
後に残ったのは、重傷を負った2体のモンスターと、黒焦げた塊だった。
黒焦げた塊はもちろんはぐれメタルであるが、たった1つの複数攻撃呪文で、
鉄壁の打撃防御力を誇るはぐれメタルがなすすべもなく倒されたのだ。

戦闘後、ドラゴンは元の女賢者に戻った。

勇者「ドラゴラム、凄まじい威力だな・・・」
賢者「ドラゴラムはMPを24も消費するけど、1回使ったら炎吐きまくりだし、はぐれメタルにも効くし、
   まさに最強の複数攻撃呪文だねっ☆」

勇者はふと、女魔法使いの方を見た。

35:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/12 06:39:15 D5Z9kqpu0
勇者「成長の遅い賢者がドラゴラムを使えるということは、魔法使いの君なら
   とっくの昔にドラゴラムを修得しているはずだ。
   なぜ、こんな強力な呪文を全く使わなかったんだ?」

女魔法使いは思わず視線をそらした。
彼女は複数攻撃呪文の使用には消極的だった。
複数打撃武器の流行により、魔法使いである彼女自身が複数攻撃呪文の価値を低く見ていたからだ。
だが、先ほど賢者が見せた複数攻撃呪文「ドラゴラム」は、どんな敵にも確実にダメージを与えられるのだ。
最初にMP24消費するだけで、複数打撃をはるかに上回る威力の炎を吐きまくれるのだ。

自ら複数攻撃呪文の価値を見下していた女魔法使いにとって、あのドラゴラムは彼女に強い衝撃を与えた。
自らの判断で「使えない」と見下した呪文の1つを、遊び人上がりの女賢者は見事に使いこなした。
女魔法使いは、「呪文の運用」という要素で、今までになかった敗北を喫したのだ。

そんな彼女を見て、僧侶上がりの老魔法使いが声をかけた。

老魔法使い「確かにドラゴラムは最強の複数攻撃呪文と言っていいだろう。
      だが、あの時スクルトを使った君の判断は間違っていない。
      デーモンソードとダークトロルという強力な打撃力を持つ敵がいるのだから、
      あのスクルトは間違いなく最善手だ。
      『防御呪文主体で自らと仲間を守る』という意志は、これからも忘れてはならぬ。」

女魔法使いは、老魔法使いの方を見て、無言でうなづいた。

36:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/12 13:49:37 7d0WptL20
(・_⊂ ポロリ

37:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/12 21:28:03 kuVSRvLH0
いい話だぜ

38:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/13 06:37:49 7uWXPpWM0
僧侶上がりの老魔法使いもメラゾーマを修得し、メラゾーマ要員が3人になった勇者のパーティは、
神竜に最後の戦いを挑んだ。
遊び人上がりの賢者もすべての魔法使い・僧侶呪文を極めた。
唯一無転職の女魔法使いはレベル50を超え、HP300、MP350に迫ろうとしていた。

勇者の賢者の石+メラゾーマ×3の猛攻により、ついに神竜は勇者たちの強さを認めた。

神竜「ついにこの私を15ターンで打ち負かすまでになったか・・・
   勇者よ、1つ教えて欲しい。
   私に挑んでくる他のパーティは、賢者を大量に連れてくる。
   だが、そなたは魔法使いを2人も入れてきた・・・」
勇者「神竜よ、魔法使いを侮っていたのか?
   俺の基本的なスタンスは、スピード重視の電撃戦だ。
   その俺にとって、最速でメラゾーマを覚えられる魔法使いはパーティ最強の味方だ。」
神竜「そうか・・・。恐るべし電撃戦だった。
   そなたらは私を超えた。
   もう私がそなたらの前に現れることはないだろう。」

神竜はそう言い残して、その場を立ち去った。

39:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/13 06:49:58 7uWXPpWM0
勇者たちは、ルイーダの酒場で解散会を開いた。
長い旅で手に入れた金とアイテムの山分けが行われた。
その後、仲間たちの将来について語り合った。

賢者「あたしは、遊び人仲間たちに賢者の素晴らしさを説いて回るよ。
  『今は遊び人でも、努力すればあたしのような立派な賢者になれるんだよ☆って。』
   強さとかわいらしさを兼ね備えた賢者万歳だねっ♪」
勇者「実に遊び人上がりの賢者らしい発想だな。
   元僧侶も、魔法使いに転職して強くなったしな。」
老魔法使い「とんでもない。
      こんな老人姿なんてもうまっぴらだ!
      私はとっとと僧侶に戻らせてもらう。
      ただ、魔法使いになったおかげで『シャナク』を修得することができた。
      これで私は『神父』の資格を得ることができた。私の将来は明るいだろう。」

その頃、女魔法使いはルイーダに呼ばれ、彼女と何やら話をしていた。

40:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/14 21:28:38 2INSVMc+O
なるほど
教会の神父になるには魔法使いとしての修行もしないといけないのか
神父さん達スゴス!

で、続きはまだ?

41:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/15 12:02:21 FOQCT/zQ0
wkwkしてまとうか鈴木

42:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/16 10:48:28 M6vKMXv40
「魔法使いサマンサ、ここに眠る」

アリアハン郊外の共同墓地の一角に、そう刻まれた石碑があった。
彼女は、平和になった世界を見ることもなく、急性アルコール中毒でこの世を去った。

女魔法使いは、ルイーダから受け取ったサマンサの形見である勲章を取りだした。

「魔族との戦いは終わった。これでもう、どんな職業も自らの弱みを嘆かずに済むようになった。
 だからもう、あなたも嘆かないで・・・」

女魔法使いは、サマンサの墓標に勲章を架けた。
その時、彼女の背後から声が聞こえた。

「ここにいたのか。」

43:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/16 11:02:19 M6vKMXv40
女魔法使いが振り向くと、そこには勇者がいた。

勇者「確かに魔族との戦いは終わった。
   元遊び人も元僧侶も、俺の元から去った。
   だが、俺の戦いはまだ終わっていない。」
女魔法使い「・・・・・・」

女魔法使いは、勇者の言葉を理解できなかった。

勇者「君はこれからどうするつもりだ?」

勇者の問いかけに対しても、女魔法使いは無言のままだった。
勇者もまた、彼女のことをほとんど理解できていなかった。
勇者にとって彼女は、仲間の中で最も頼りになる存在だったはずだ。
「最強の守りの要」であり、「最強の切り札」でもあった。
仲間の中で、彼女だけが転職を経験していないのも、勇者の彼女に対する信頼の表れだった。

なのに、いざ彼女に声をかけようとすると、かける言葉が思い浮かばない。

44:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/16 11:13:33 M6vKMXv40
勇者「もしかして、行く当てがないのか?」

勇者はやっとの思いで、絞り出すように言葉を発した。
女魔法使いは勇者を見た。勇者も彼女を見た。いつもと変わらぬ小さな黒い瞳、
しかしこのとき、勇者はあることに気づいた。

彼女の小さな黒い瞳には、勇者の姿が映っていた。

こんなことは、彼女と出会ってから今までに一度もなかったことだ。
彼は、容易に次の言葉を発することができた。

「泣いてるのか?」

彼女の顔に涙はなかった。しかし、彼女は無言で首を縦に振った。

45:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/16 11:40:27 M6vKMXv40
勇者「そうだよな、友人の死を目の当たりにして悲しまないわけないよな。」

勇者はそう考えて言った。そう考えるのが最も普通だったからだ。
その時、彼女がついに口を開いた。

「違う・・・」

勇者は立ちすくんだ。

「私にとっての戦いはすべて終わった。
 私が求めていた目的はすべて得られた。なのに・・・
 私は今の自分が全く分からない・・・」

勇者は、彼女の言葉の理由を探ろうとした。

勇者「君は、戦いの中でも常に仲間の安全のために最善を尽くそうと考える賢さと優しさ、
   そして、それを実行できるだけの強さを備えた優秀な魔法使い。それ以外にあるとでもいうのか?」

女魔法使いは、一息おいてから、彼に言葉を返した。

「それが何になるの?
 私の持つ力は、もうこの世界には必要にない物。
 そして、私自身がこの世界に不要な存在。
 そう割り切れれば楽になるはずなのに。」 

46:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/16 12:34:08 M6vKMXv40
勇者は、女魔法使いの言葉を反芻した。
そして、彼女の言葉を理解した。それも今までのように曖昧にではなく明確にだ。

勇者「無転職でも優秀な能力を保持しながらも、
   その能力が理解されずに敬遠される唯一の職業。
   それが魔法使い。
   俺には、君の嘆きが理解できる。」
女魔法使い「なっ、何を・・・」

勇者の明快かつ的確な言葉の前に、彼女は思わず声を上げた。しかし、彼はそれに構わず続けた。

勇者「能力が理解されないことが魔法使いの最大の欠点ならば、
   君の魔法使いとしての能力を流布するまでのことだ。
   これで魔法使いの最大の欠点は克服できる。」

先ほどとは打って変わった勇者の雄弁振りに、女魔法使いは圧倒されていた。

勇者「君にはまだ協力してもらわねばならない。
   俺に課せられた最後の使命を果たすために。
   そのためには、君の力、いや君自身が必要なのだ。」
女魔法使い「そっ、そんなこと勝手に決められても・・・」

勇者の圧力に対し、女魔法使いはささやかな抵抗を試みた。
しかし、勇者はすでに最後の使命の遂行に向けて動き出していた。

勇者「行く当てがないのは俺も同じだ。」

47:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/16 12:57:59 M6vKMXv40
女魔法使い「あなたの最後の使命って?」

勇者「俺の子孫、すなわち勇者の血筋を残すことだ。」

女魔法使い「!?」

揺るがぬ自信に満ちた勇者の表情と打って変わって、女魔法使いの表情には動揺が感じられた。
勇者が彼女に何を求めているかは、彼女も容易に理解できた。

勇者「俺は今まで、君の優れた能力だけしか見ていなかった。
   君の本当の姿なんて、俺にはほとんど分からない。
   だから見たいんだ。『優しさと強さに満ちた君の愛』というものを。」
女魔法使い「私の愛・・・」

彼女が昔読んだ古文書に、勇者に関する歴史が書かれていた。

「光ある所に闇あり、人々の心に再び闇が宿りし時、魔族は再び現れるであろう。
 しかし、魔族が再び現れし時、光の使徒である勇者もまた再び現れるであろう。」

目の前にいる光の使徒である勇者は、単なる人間と同じだった。
その勇者が、遠い未来に魔族が再び現れし時に備えて勇者の子孫を残すために、彼女を必要としたのだ。


48:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/16 13:32:05 M6vKMXv40
女魔法使い「遠い未来の人たちの平和を守るために、私自身を必要とするのなら、
      私はあなたを否定しない。だから・・・」

勇者「だから?」

女魔法使い「・・・あなたも、私を否定しないで。」

少し前の時と同じように、彼女の小さな黒い瞳には、勇者の姿が映っていた。
しかし、そこから感じられたものはあの時と違う。
今の彼女の表情に感じられるのは、勇者に対する信頼の感情だった。

彼女が勇者の要求を受け入れたことで、勇者の最後の使命は大きな一歩を踏み出した。

勇者「本当にいいのか?」

勇者は女魔法使いに問いかけた。それに対し、女魔法使いはさばけた感じで答えた。

女魔法使い「私自身の判断で決めたことだから。
      こんな感覚は何年ぶりかな・・・」

彼女の表情から自然な笑顔がこぼれた。出会ってから初めて見せる本当の笑顔だった。
瞳が小さい分、彼女は他の女の子より大人っぽく見えた。
そんな彼女の自然な笑顔は、とてもきれいだった。


49:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/16 14:04:37 M6vKMXv40
【あとがき】

勇者と女魔法使いは、2人で再び旅に出た。

勇者は、頼もしき仲間を連れて苛酷な旅を果たした武勇伝を残した。
これが俗に言う「ロト伝説」である。

そして、その勇者に従う女魔法使いの存在は、魔法使いの能力に関する庶民たちの理解度を大幅に上げた。
もし今、急に魔族が復活したら、能力を理解された魔法使いは、あの時の戦い以上に活躍できることだろう。

彼らは「勇者の子孫を残す」という最後の使命を無事に果たし、
「勇者と魔法使いの伝説」は、その後のドラクエ1・2でも名を馳せた。

彼らの子孫は、その後のドラクエ1の世界でもその実力を発揮し、世界に平和をもたらした。
その後、その勇者はローラというわがまま姫と交配したため、勇者の血筋は急激に薄まり、
その後のドラクエ2の世界では、勇者(ローレシア王子)が呪文能力を失なってしまったものの、
その勇者の仲間の1人であるムーンブルク王女は、先代の女魔法使いが持っていた強力な呪文能力と博愛精神の血筋を
しっかり引き継いでいたため、「勇者の末裔」としての使命を果たすことができた。

ロト伝説よ、永遠に・・・

50:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/16 14:07:38 M6vKMXv40
いつの間にか冗長な物語みたいなものを書いてしまいましたが、
何とか終わらせることができました。

今後は短いネタ話でも載せることにしようかと思います。
どこまでこのスレを存続させられるか分かりませんが。

51:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/16 17:50:50 2sL11DBC0
男女混合レスリングが始まると思ったのに…勇者なら金メダルも楽勝だぜ

52:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/16 19:00:02 hQSj1t2x0
乙!いい話だったよ >>49はエピローグかな
女魔法使いが主役だったり元僧侶が主役だったりしたが、
一番大変だったのはやっぱり勇者かもね

思えば俺も毎度魔法使いはパーティに入れてたなぁ 男女とも
DSかWiiでもまたやりたいな

53:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/25 07:53:10 /TB0Rycj0
ある若者は、真の勇者になるべく、勇者の修行をし、仲間を率いて旅をしていた。
彼の仲間は僧侶1人と魔法使い2人。彼の口癖はこうだった。

「自分のHPが高いだけでろくに味方もかばわない戦士を連れて行くよりは、
 防御呪文が充実している魔法使い(守りの要)を2人にした方が、安全に戦える。」

ある日、若者は久々にルイーダの酒場を訪れた。
酒場の賑わいは相変わらずだったが、とある扉に張り紙があった。

”勇僧魔魔パーティで挫折した勇者たちの会合”

若者はルイーダに問うた。

ルイーダ「読んで字のごとくよ。何を思ったか、呪文職ばかり連れて行って挫折した
     勇者たちの嘆きの間よ。」

若者は仲間を率いてその部屋に入った。

54:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/25 08:07:45 /TB0Rycj0
部屋の中では、若者と同じくして勇者を目指すものたちがわいわい騒いでいた。
挫折したという割には、部屋の雰囲気は普通だった。
若者は、ある1つのテーブルに腰掛けた。

勇者A「あんたも勇僧魔魔パーティーかい。調子はどうだい?」
若者「まあ、はっきり言って守備は鉄壁さ。
   魔法使いが2人もいれば、大抵の雑魚モンスターは1~2ターンで倒せるから、そんなにダメージも受けないし、
   呪文の効かない敵なら、スクルト2人がけ+僧侶のルカニで打撃戦も行ける。
   なぜこのパーティで挫折するのか、俺にはよく分からない。」
勇者A「なぜって、魔法使いは貧弱だから・・・ あっ、これは防御呪文で対処できるなww
    あと、攻撃呪文が効かなければ・・・ これも補助呪文でどうにかなるかww
    あれっ、何でだろうな?」

そのとき、周りからどよめきの声が上がった。
若者が振り向くと、一人の男が立っていた。

勇者A「彼(勇者B)はこの部屋の中で最も有力な勇者候補だ。」

勇者B「ここいいかな?」

勇者Bはそう言って、若者の真向かいのいすに腰掛けた。

55:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/25 21:35:58 xeOc4xn90
新章wktk

56:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/09/02 13:35:00 e0fXIcmmO
重複。↓に逝け

【DQ3】女武闘家・女魔法使い・女商人のスレ3
スレリンク(ff板)

57:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/09/02 21:11:14 de2cuKir0
重複じゃないよ

58:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/09/03 06:33:27 S+WNm8ow0
勇者B「確かに勇者Aの言うとおり、魔法使いの能力は高い。
    少なくとも、自分のHPが高いだけで、味方をかばう能力を持たない戦士よりはだ。
    そういったことから、勇僧魔魔は初期パーティの1つの定石としても通じる。
    だが、所詮は定石の1つに過ぎぬ。このパーティにも弱点はある。」
若者「ふっ、勇僧魔魔パーティのどこに弱点があるんだよ?」
勇者B「打撃力の弱い呪文職では、低レベル攻略ができないことだ。」
若者「なんだそんなことか。低レベル攻略しなきゃいいだけのことだろ?」
勇者B「いや、このことはドラクエ3本スレでも語られたことだ。
    戦士・武闘家といった打撃職は、武器を装備することで強くなれる上、武器装備にレベル制限はない。
    だから、レベル1でも武器を装備すれば強くなれる。
    だが、呪文職が修得する呪文には、修得するためにある程度のレベルを要する。
    魔法使いが守りの要としての役割を果たすためには、少なくともレベル9(スクルト)は必要。
    僧侶が回復の要としての役割を果たすためには、少なくともレベル14(ベホイミ)は必要。
    レベル1の魔法使い・僧侶など、ただの弱いキャラに過ぎぬ。」
若者「確かに、レベル1の稲妻の剣装備の戦士は強いな。」

59:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/09/03 06:45:07 S+WNm8ow0
勇者A「さすがは勇者Bだ。冷静にパーティの弱点を見極めているとは。
    俺なんか、ただ魔法使いをうまく使いこなせずに挫折しただけなのにな。」
勇者C「魔法使いはHPが低いから防御呪文で何とかしのぐ、なんて考え方ができる頭のいいプレイヤーなんてそんなにいないもんな。」
勇者D「所詮俺らはプレイヤーの分身でしかないということか。
    数少ない頭のいいプレイヤーに巡り会えば、俺たちも活躍できるが、
    大多数の普通の頭脳を持ったプレイヤーは、俺たちをあっさりと見捨てる。」

彼らとの会話を終えた若者は、部屋を出た。

若者「俺は、プレイヤーの顔を見ることはできない。
   本スレでも勇僧魔魔パーティに挑戦しようとする人を見かけるが、成功したという話は全く聞かない。
   おそらく物言わぬうちに挫折し、見捨てられた勇者がこの部屋の一員となるのだろう。
   
   魔法使いは賢い。だが、その魔法使いを使いこなすためには、プレイヤーの賢さも要求されると言うことだ。」

60:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/09/03 06:56:57 S+WNm8ow0
勇僧魔魔パーティの小ネタは終わりです。

ここから別の小ネタ。タイトルは「みにくいアヒルの子」

とある勇者(性格:のんきもの)は、性格通りにのんびりと攻略を進めていた。
ルイーダの酒場には、全ての職業の女キャラが1人ずつ登録されており、
勇者は頻繁に仲間を入れ替えながら旅を続けていた。
まさしくハーレム状態と言えば聞こえはいいが、その仲間同士では複雑な愛憎がもみあっていた。

ある日、勇者は全ての仲間をルイーダに預け、1人で実家に帰っていた。
この日は、8人の女の子全員がルイーダの酒場に集結したことになる。

61:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/09/03 07:21:37 S+WNm8ow0
1つのテーブルでは、僧侶・商人・遊び人の3人が会話していた。

女商人「あっちのいすに座ってる子さ、いっつも1人で本ばかり読んでるよね。
    全然仲間の輪に入ろうとしないし。」
女遊び人「あの魔法使いの子だね。表情も暗いし、何かオカルト入ってるみたいな異様な雰囲気もするよね。
     あたしの友達が賢者に転職したけど、あっちは全然明るいね。美少女だし。」
女僧侶「美少女というレベルなら、私も賢者には負けないよ! 人気だけなら私の方がまだ上。
    魔法使い? 彼女は仕方ないんじゃないの?
    あんなに瞳も小さいんだし、女の子のかわいさを判定するにも、『瞳が小さい』ことは致命的なんだよ。」

別のテーブルでは、戦士・武闘家・盗賊が口論していた。

女戦士「最近あたいの出番が少なすぎる! 魔法使いと僧侶は呪文が使えるから出番が多くても仕方ないが、
    貧弱な彼女らを護衛するには、HPの高いあたいが最適なはずだっ!!」
女武闘家「何が護衛さ。女僧侶から聞いたけど、戦士は自分のHPが高いだけで全然かばってくれなかったって言ってたよ。
     勇者も、のろい戦士なんかよりも素早い君の方が役立つねって言ってくれた(はぁと)。」
女戦士「貴様ぁ!!」
女盗賊「2人ともけんかはやめようよ~」
女戦士・女武闘家「そういうあんたがこの3人の中で一番出番が多いって言うのは分かってるんだぞ!
         あたしらより打撃力が弱いくせに、絶対ひいきだ!」
女盗賊「だって、僕は一番素早いし、敵からアイテム盗めるし、キミたちと違って複数打撃武器も装備できるし。」
女戦士・女武闘家「ちょーwwwwww」


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