FFDQバトルロワイアル3rd PART13at FF
FFDQバトルロワイアル3rd PART13 - 暇つぶし2ch50:肩越しの未来 4/8+1
08/05/11 14:32:17 hDu0qRgZ0
「私もね、お城の中探索してたからずっと見てたわけじゃないの。
 だけど、光る点が消えたのは見たから……」
「だからってアービン兄ちゃんとは限らないじゃないかっ!」
「ギードさんとプサンさんは下にいるんだよね? お城の外から誰も来なかったよね?
 私とテリー君はここにいて、じゃあティーダとロックさんのどちらかが先に行っちゃうと思う?」
「アービン兄ちゃんだって先になんか行かないよッ! あんな怪我してるのにさっ!」
これはきっと聞きたくもない言葉、の予行演習だ。
どうして「あいつ」がこんなにも信頼と心配をもらえるのか、わからない。
殺人を犯し、酷い怪我をして、いかにも不安定な様子を見せれば同じように心配してもらえるのだろうか。
必死さのあまりすこし涙ぐんでいるようにも見えるテリーをじっと凝視する。
軽い涙目だけれど、まるでそんなことを口にするユウナが悪いとでも言う風に睨み返される。
心底うんざりしながら―もちろん表情には出さない、予行演習―ユウナは柱にもたれるように座り込んだ。
「あのね、一応30分で一区切りつけて下に集合するって決めてるの。
 でもみんな時計がないから、上の時計のある部屋で待ってたら二人ともきっと戻ってくるって思う。それで、確かめて。
 多分大丈夫だと思うけど時計の長い針が9のところにきたら帰ってきてね」
少年を見上げながら上の部屋の位置を丁寧に教えて促す。
頷いたテリーは決然とした表情をして階段を上がって行った。



51:肩越しの未来 5/9
08/05/11 14:33:36 hDu0qRgZ0
「どうしてアーヴィンが独りで行っちゃうんスか? なんで!?」
ユウナが待つ必要はほとんど無かった。
テリーが今し方上って行った階段を通してティーダの大声が、聞こえる。
ほどなく憔悴したような二人と冷静に見える一人が連れ立って階段を下りてきた。
そこにいるユウナを気にすることなく三人はアービン、アーヴィンと喧しく意見しあっている。
一応、柱のあたりまで来ると自然に立ち止まったけれどこちらを構わずに話しているのは変わらない。
「なあ、レーダーで見てたって本当のこと? 見間違いで、どこかで迷ってるとか……」
ようやく話を振られたかと思えば予行演習どおりのうんざりするような言葉の連なりだ。
抵抗する気も起きず―予行演習で経験済み―ユウナはふるふると力なく首を振り、
座ったままの姿勢で手にしていたレーダーを差し出した。
見たくも聞きたくもないことなら、せめて自分の見えないところでやって欲しい。
そんな願いを込めながら。
「……俺、探してくるッス!」
悲しみと不愉快さとアーヴァインへの憎しみが入り混じった気持ち悪い感情でユウナはその背中を再び見送った。


それから10分ほどを無駄にした頃だったか。
その間に城外にいるギードとプサンも連絡を受けてこちらに移動してきていて、
もちろん見つかる訳のない捜索を打ち切ってティーダが戻ったところで全員がユウナのいるホールに集合する。
「罪の意識、じゃろうかの」
「理性の種の影響でしょうね。精神が安定したことで深く自分を見つめなおしてしまった、できてしまった」
「心配するな、とは……流石に言えんが……」
「難しい問題なんですよ、彼が抱えているのは。理解ってやってください」
事情を大体把握したギードとプサンの二人が三人(特に落ち込んだ二人)に必死に解説を施している。
状況は明白だし、レーダーで確認したはずなのに。
ロックとテリーが離れた後もそれでも最後まで何にもならない無駄な抵抗を続け、
未練たらしく「あいつ」の名前を口にするティーダからユウナは目を逸らしていた。


52:肩越しの未来 6/9
08/05/11 14:34:17 hDu0qRgZ0
柱時計は残された時間がもう15分くらいであることを示しているはずだ。
一行には待つという選択肢は採り得ずあとは旅の扉へ向かう他なかった。
「ねえ、ティーダ兄ちゃん」「待てよ、ティーダ」
見つけた旅の扉へ一行を案内すべく先頭へ行きかけたティーダをロックとテリーが同時に引き止める。
不思議そうなその手をつかみ、柱のそばでぼんやりと立っているユウナのところまで引っ張っていく。
「あのな、ユウナがさっきちょっと足を痛めたんだってよ」
「オレがぶつかったせいなんだ……だからさ、ティーダ兄ちゃん」
「肩を貸してあげて」「肩、貸してやれ」
最後はまたハモりながらほとんど命令のように突きつけた。
単純に驚いたような表情を浮かべ、ティーダはまるでユウナがそこにいるのに初めて気がついたかのように。
心配げな目を―ユウナ「だけ」を心配する目を―向けた。
「足、大丈夫?」
「え、う、うん。大丈夫。一人で歩けるよ」
「何ならお姫様抱っこでもいいぞ?」
近づいた二人の後ろからロックが冷やかし、ビックリした二人を尻目に先を歩き出していく。
「東塔のてっぺんだったっけな。早く来いよ!」
ギードとプサンが苦笑し、テリーにもころころと笑われる。
本当のところたいしたことはなかったようで足首の痛みは消えていたけれど、
ユウナは差し伸べられた手をとり彼の肩に縋って、二人並んで歩くことを選んだ。

沈黙が似合うタイプではないのに、ユウナに肩を貸したまま階段を上るティーダが黙っているのは
きっと頭の中でここにいない「友達」の事を考えているからだ。
正直心が渇いて、ささくれ立って、ひりひりするけれど。
それでも、バランスを崩したり突っかけてしまったりすると気遣いを向けてくれることがユウナにとっては嬉しい。
素直に、嬉しい。
足が万全でないふりをしつつ階段を上がりながら、ちらちらと彼の横顔を覗き見る。
後ろ斜めから肩越しに見るその顔が―今はこちらだけを向いていなくとも―守りたい全てなのだ。


53:肩越しの未来 7/9
08/05/11 16:24:39 hDu0qRgZ0
階段を上りきり、目的の部屋の扉まで近づいたところだった、
突然にティーダが何か思い出したかのように叫ぶ。
「あー! 忘れてたッス! その部屋は……っ!」
「……知ってますよ。確かに女性や子供には辛いものがありますねえ」
先行して扉までたどり着いているプサンが受けて答える。
ギード、テリー、それにユウナの三人は何のことかわからずきょとんと二人に交互に目をやっていた。
「な、ユウナ。俺を信じて、ちょっとの間だけ目、つぶっててくれるか?」
自分だけに向けられた真剣な眼差しに射られる。
ずっと忘れていたような満ち足りた気分が心の奥に生まれてくるのを感じて、即答、ユウナはうなずいた。
そのまま目を閉じて、すべてをティーダに預けた。

「じゃあギードの上に乗っといてくれよ。見るなよ」
「わかってるよ」
「本当はちゃんと葬ってあげたいのですが……まさか持っていく訳にもいきませんし」
「せめて祈るしかできんのう」
触れている彼の肉体に神経を集中する。
扉の開くかすれて軋む音。
鼻をつく、血の嫌な臭い。
誰かの呻くような声。叫び声。叱る声。
「じゃあ、みんなで一緒に行くぞ!」
掛け声。
合わせた様に背中と足に手が回され、ユウナの身体が抱き上げられる。
躍動する彼の運動が、飛び込む瞬間を教えてくれる。


54:肩越しの未来 8/9
08/05/11 16:25:12 hDu0qRgZ0
ぎゅっと閉じた目の奥にまで差し込む青白い光。
消えていく血の臭い。
重力が弱くなったような、沈んで浮いて落ちていく感覚。
離れないように、離れてしまわないようにユウナもしっかりと手を絡ませた。
しっかり、と。


―私がずっと見ていたいのは、あの肩越しの未来。
  だから、だけど、変わっていく私を、赦して……ね―



【プサン 所持品:錬金釜、隼の剣 (左肩銃創)
 第一行動方針:首輪の解析を依頼する/ドラゴンオーブを探す
 第二行動方針:アーヴァインが心配
 基本行動方針:仲間を探しつつ人助け】
【ギード(HP2/5、残MP1/3ほど)
 所持品:首輪
 第一行動方針:ルカとの合流/首輪の研究
 第二行動方針:アーヴァインが心配】
【テリー(DQM)(右肩負傷(9割回復)
 所持品:突撃ラッパ シャナクの巻物 樫の杖 りゅうのうろこ×3 鋼鉄の剣 雷鳴の剣 スナイパーアイ 包丁(FF4)
 第一行動方針:ルカを探す
 第二行動方針:アーヴァインが心配】

55:肩越しの未来 9/9
08/05/11 16:25:44 hDu0qRgZ0
【ロック (左足負傷、MP2/3)
 所持品:キューソネコカミ クリスタルソード 魔石バハムート 皆伝の証、かわのたて
 魔封じの杖、死者の指輪、ひきよせの杖[0]、レッドキャップ、ファイアビュート、2000ギル
 第一行動方針:ピサロ達、リルム達と合流する/ケフカとザンデ(+ピサロ)を警戒
 第二行動方針:アーヴァインが心配
 基本行動方針:生き抜いて、このゲームの目的を知る】
【ティーダ(変装中@シーフもどき)
 所持品:フラタニティ 青銅の盾 首輪 ケフカのメモ 着替え用の服(数着) 自分の服 リノアのネックレス
 第一行動方針:アーヴァインを探す
 基本行動方針:仲間を探しつつ人助け/アルティミシアを倒す】
【ユウナ(ガンナー、MP1/3)(ティーダ依存症)
 所持品:銀玉鉄砲(FF7)、やまびこの帽子、官能小説2冊、 対人レーダー
 天空の鎧、ラミアの竪琴、血のついたお鍋、ライトブリンガー、ブリザド
 第一行動方針:あわよくば邪魔なギードとアーヴァインをティーダに悟られないように葬る
 基本行動方針:脱出の可能性を密かに潰し、ティーダを優勝させる】
【現在位置:新フィールドへ】




56:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/05/12 12:04:34 D4WbrxZfO
落ちないように保守

57:報復の交差点 1/12
08/05/13 08:25:56 3b8NO9N70
どれだけの時間が経ったのだろう。
相変わらず、旅の扉は規則正しい渦のパターンを描いている。
延々と続く渦の回転。二度と乱れることはないであろうそれを見ていると、
ロザリーが光の反乱へと引き込まれてから、何十時間も経ってしまったように錯覚してしまう。
外は騒がしいが、それも川向こうの火事といった印象。
ロザリーはまだ生きているのか、生きているとして、その元へとたどり着くことは可能なのか。そんなことばかり考えていた。
まだ死んでいないならば、次のフィールドに無事に転送されたならばと考えて、やはり否定してしまう。
もう一度あの儀式を行って、あの未知の呪文を用いて旅の扉に飛び込んでも、たどり着けるのか、
それどころかその後に待っているのが生か死かすら分からない。
己を見失えば、身の破滅を引き起こすだけだということは嫌というほど理解している。
元の世界には、私の帰りを待つ大勢の家臣たちがいる。ここで死ぬわけにはいかない。
だが、どうにもきっかけがなく、ただ徒に時間を過ごすだけ。
現実に引き戻されたのは、さきほどからずっと後ろに感じていた何者かの気配がようやく濃くなってからのことだ。

「何者だ?」
低く重い声。だが、ドスが効いているとかいうのとは違う。気力も生気もない生声。
後ろにいたのは金髪の青年。隙だらけだった私を殺すのは容易かっただろう。
ゲームに乗っていないか、それとも余程の素人か。
「速やかに通るがよい。言っておくが、妙な真似をすれば容赦はせんぞ?」
警戒しているようだが、それは私が刀を抜き身のまま持っているせいでもあろう。
わざわざしまってやるのも馬鹿らしい、それ以前にそうする気力もなかった。

そういえばどこかで見覚えがあると思っていたが、夜明け前に出くわし、ひとまず気絶させておいた男。
警戒心はそのあたりから来ているとも言えるのだろうが……。
「なんだ? 何か言いたいことがあるのなら、はっきりと言えばよかろう」
「あ…ああ……こんなところで何をしてるのか気になっただけさ」
私が何をしていると聞かれても、別段何かしているわけでもない。
考え事をしているともただ何も考えずに立ち呆けているだけとも言える。

58:報復の交差点 2/12
08/05/13 08:26:31 3b8NO9N70
「…他の二人はどうしたんだ? その辺にいないのか?」
この狭い部屋にあと二人が潜んでいると本気で思っているのだろうか。
そう考えて、体を小さくする術が存在していることも思い出した。
「やつらはもうこの世界に留まってはおらぬ。
 ケフカという男に出し抜かれ、別世界へ追放された。貴様も用心するのだな」
「用心ねえ…。あんたらを見て、逆に用心しない人間なんかいないと思うけどな」
確かに用心という言葉は不適合だったかもしれない。用心なら私も十分にしていたのだから。
一流の詐欺師は用心していようがいまいが関係ないのだろう。

青年はばら撒かれた支給品、といっても私が奪ったものなのだが、それを回収していた。
そういえば、この青年にもう一つ見覚えがあると思えば、あの妙な黒服。
「貴様、マティウスと行動していたな? やつはどうした?」
そういえば、マティウス。目の前の男と同じようなスーツを着た男。
確か、ケフカと似た系統の術を使っていた覚えがある。
「……。あの黒服なら、向こうでアリーナと一騒動起こしてたぜ?」
「…そうか、アリーナ、か」

ここに来た目的の一つに、アリーナを探すため、というものもあった。
ゲームに乗っていたなら本来は殺すことも仕方がないのだろうが……。
アリーナやソロなら、私にどういった道を示すのだろう?

青年は支給品の中身を確認し終え、旅の扉に飛び込むだけらしい。
だが、今はそうさせるわけにはいかない。用事ができた。
「待て」
低く重い声。今度は射抜くような鋭さを込める。旅の扉に飛び込もうとしていた青年の足が止まった。
「アリーナについて、少し話をしてもらおう。それから、やつらのところに案内しろ」
「……へぇ、殺しにいくのか?」
「それは話を聞いてから決めることだ。くれぐれも謀ろうなどと考えるな」

59:報復の交差点 3/12
08/05/13 08:27:07 3b8NO9N70


カナーンまであと少し、だが異質な雰囲気を感じる。
水面から上空を見上げると、瓦礫やら鉛弾やら草木やらが大量に降り注いできた。
ここで大怪我をしてしまえば旅の扉にたどり着くのは難しい。
とにかく先に進むのは流れに任せ、最小限の動きで降り注いでくる物体をかわす。
空気抵抗の大きいものは降り注ぎきり、ほっとしたのもつかの間、またしても滝に差し掛かる。
が、さすがに二度目ともなればただ落ちるだけということはない。
カエルとはいえ、知能や技術まで失われるわけではない。
竜騎士の経験を生かせば、どこにどのように着陸すれば体への衝撃を抑えられるか、ということなど手に取るように分かるのだ。
滝の流れをあまり浴びていない岩目掛けてジャンプ。掌の粘液を用いて、飛び出した岩にくっつきながら降る。
もう片方の腕を上へ、下へ探らせ、微細な岩の出っ張りを掴み、体勢を安定させる。
この滝はそれほど高くはない。カエルになっているから多少の高さもあるが、元に戻ればなんということはないほどの高さ。
ふうと一息つき、なにやら感じた嫌な予感にしたがって上を向いてみると、木の枝やゴミが降り注いできた。
指に、腕に、頭に直撃し、結局指は離れて、体は滝つぼに落ちていく。
思わず声を出してしまいそうだったが、出す前に滝つぼに叩きつけられる。
実際は数メートルも落っこちていない。いつの間にか元に戻っていたのだ。

白魔法におけるトードは戒めの魔法。カエルにすることによって対象に罰を与えるもの。
術者の制御次第で長時間カエルにしておくこともできるが、その制御が解かれると魔法も解けてしまう。
ウネの死亡、それもすべての魔力を使い果たしたうえでの死亡であったため、その制御が解けてしまったのだ。

ここはもう舗装された水路。なんとかカナーンまでたどり着くことは出来た。
だが、そのカナーンでは戦いの痕跡があちこちに見られる。
石畳や家屋はまるで竜巻に抉られたかのように無残に砕け散り、あちこちに瓦礫や青い何かが飛び散っている。
先ほど色々なものが降り注いできたのは、この戦闘が原因。その激しさを物語る。

60:報復の交差点 4/12
08/05/13 08:27:43 3b8NO9N70
少し先を見ると三つの人影。アリーナとアルガスに似た服を着た男が気絶している。
老人が回復魔法を当て、アリーナを治療しているようだ。
アルガスから聞いた、盲目の賢者―流しの回復屋であろう。
今動いているのはその老人だけ。しかも相当に負傷しているようだ。武器のようなものも持っていない。
治療を行っているということは、他の事に対する注意は薄い。今動かない手はないだろう。
老人はあまりに無防備。気配を殺し、背後から静かに、静かに、静かに、静かに老人へと近付く。
老人はこちらに背を向けて回復魔法を唱えており、気付いた素振りすら見せない。
「ときにそなたは何を思い、この狂気に臨むのだ?」
そう、あとはこのままこの無防備な老人の脳天を叩き割るだけだ。
(ん? 今の言葉は自分に向けられたのか?)
無防備なのは間違いないが、今のは明らかにこちらに気付いて発した言葉だ。

「貴様、いつから俺に気付いていた?」
こちらに気付いた素振りはなかった。いや、そもそも盲目の男がどうやって気付けるというのか?
戦闘訓練などまるで受けていなさそうな男が。
「ほんの数刻前。そなたの気配が感じ取られた」
(いや、それよりもすべては俺の油断と慢心か。初めから侮っていれば、こうなるのも当然か)
盲目だからこそそれ以外の感覚が鋭いのかもしれない。それでも、この男がただものでないのは間違いない。
「……何故攻撃しなかった? 気付いていたなら、俺の不意を付けたはず」
「私に人を殺める気はない。そなたは、何故人を殺める?」
「今更な質問だな。俺は生き残ると決めた、だからゲームに乗っている」
主催者打倒を目指して動いていたであろう仲間達は皆早々に死んだ。
間違っているとは思っていないし、むしろ、やつらが死んだ今となっては正しいと確信すらできる。
「迷いすら見受けられぬか。本来ならば、そなたも止めるべきなのであろうが…。
 今は怪我人も多い。退いてはもらえぬだろうか?」
「怪我人なら尚のこと好都合だ。いずれにせよ、ここでお前達が俺に殺されれば話は終わりなのだ」

無駄な時間を過ごしたが、結果は変わらない。槍を振り上げる。
「いや、ここでの殺しは遠慮願おう」
そして振り上げたそれはどこからともなく現れた甲冑の騎士に阻まれた。

61:報復の交差点 5/12
08/05/13 09:01:50 3b8NO9N70
「…なるほど、召喚獣の類か。厄介なことをしてくれる」
現れたのは、オーディンを思わせる甲冑姿の召喚獣。
業物と思しき二本の剣、それらを用いて素早い攻撃を繰り出してくる。
どれも一撃一撃は軽くさばけるようなもの。
だが、それを凄まじいスピードと機動力で補い、こちらに反撃の暇を与えない。
召喚獣の後ろでは、老人が怪我人二人を半分引きずりながら、離れようとしている。

召喚獣はこちらが向こうの領域に入りさえしなければ、向こうも動かない。まさに時間稼ぎの駒。
だが、正面、横、上、どこから突破しようとしても邪魔をされる。
どうしても真正面からの突破はさせてくれないらしい。
だが、相手は召喚獣。なんとかしてあの老人を殺せば消えるはずだ。
そして、契約を忠実に実行するだけの召喚獣には力と技術はあっても頭はない。
一瞬だけなら突破する方法などいくらでもある。
ザックから取り出したのは、光の剣とミスリルシールド、そして加速装置。
光の剣は刀身の長い騎士剣。何の素材で出来ているのか、相当に硬い。うまく力を集中させれば、ミスリルすら貫ける。
そして、ミスリルは軽い金属。自分の腕力を以ってすれば、この盾一個分など負担にならない。
光の剣の先端にミスリルシールドを刺す。
盾は何も攻撃を防ぐためだけではない。視界を塞ぐという使い方もある。
だがリーチは足りない。そこを光の剣で補った、それだけ。

一瞬。召喚獣をすり抜け、老人にとどめをさすだけでいい。
敵に向かって走る。敵の眼前に光の剣を突きつける。
溢れる光が敵の目を眩ませる。ミスリルシールドが敵の視界を一瞬だけ塞ぐ。
敵は身を捻ってかわす。そのまま光の剣を敵に投げつけ、その間に敵を飛び越す。
敵の背に一撃加える。手ごたえは浅いが問題ではない。即座に加速装置をセット。
あとは追いつかれる前に直線上にいる老人を貫くだけ。と、ここで老人が振り向き、何かを唱える。

62:報復の交差点 6/12
08/05/13 09:03:36 3b8NO9N70
老人の動きに合わせてすぐ横の水路から大量の水が飛び出し、足を絡め取る。
小さな津波。おそらくは転倒を狙ったのだろうが、この程度では問題にならない。
と、何か水に隠れた左足に違和感を感じる。見れば、どこから現れたのか、折れたレイピアが加速装置に突き刺さっていた。
確かライアンの使っていたもの。水路に落ちていたそれが、偶然にも突き刺さってしまったのか。
早急に抜き捨てるが、水に浸され、レイピアに貫かれた加速装置は本来の機能を失っていた。
そして悪いことに、もう例の召喚獣に追いつかれてしまう。こちらの予想よりもずっと速い。
プライドを傷つけたか、甲冑から覗く目は紫に怪しく光る。さきほどまでとはうってかわって殺気を伴っている。
だが、隙も増えている。一撃目は槍で受け、体当たりは横に大きく跳んでかわす。
三撃目は来ない。そのまま通り過ぎて主のほうへと向かう。

召喚獣は攻撃もしているが、奇行も目立つ。おそらくこの槍の効果で混乱しているのだろう。
老人は何やら魔法を唱え、背負っていた二人を投げ出した。
キアリクとやらが何の魔法なのかは分からないが、女のほうを光が包み込む。
老人は盲目の割りに、上手く剣撃をかわしているが、気絶していた二人からは離れていってしまう。
一方、投げ出された衝撃で気絶していた両方ともが目覚めそうだ。
槍を構え、目を開きかけている女……アリーナに向かう。



63:報復の交差点 7/12
08/05/13 09:06:08 3b8NO9N70

「……?  ……!!」
水のひんやりした感触と、頭を揺さぶられる感覚。
それで起きてみるやいなや、目の前に槍を持った男。
事態も理解できない間に第一撃が来るが、反射神経でギリギリ槍をかわす。
思ったよりも体が回復していない。眠いのに無理矢理に起こされたような感覚。
この状況を鑑みるに、実際にそうなのかもしれない。
クリムトはと思ってそちらに目をやれば、光の渦に巻き込まれる甲冑の騎士。
あの光はおそらくニフラム。あちらは片付いたのだろうが、こちらはまだ命の危険に晒されている。
クリムトがさらに魔法をかけてくれる。今度の淡いピンクの光はスクルトだろうか。
私半回転した勢いに乗って体を起こし、地面を強く蹴って相手との距離を大きくとる。
「もう、次から次へと…」
槍を突き出してきた男、カインを睨む。カインは口の端を歪め、嘲るような笑みを浮かべている。

相手はこちらを見ていない。目線を追って後ろを見れば、高速で向かってくる刃……いや、マティウス。
死を思い描いたところで、私を突き飛ばし、横合いから割り込んできたのは、クリムト。
鋼の剣はクリムトの体を貫くが、守備力増減の呪文で守られているのだろうか、死には至らない。
クリムトは私たち二人を助けてくれたはず。なのにそれでも敵意をむき出しにするマティウス。
理解できないと同時に、憎しみが弥が上にも込み上げる。
マティウスは鋼の剣を持ち直し、改めて斬りかかってくる。
だが、交戦の準備をしようにも、後ろの槍男も気になる。
そこへマティウスと私との間に新たな乱入者。
見たことない形状の剣で、鋼の剣を見事に斬り飛ばす。
黒いローブで身を包んだその男は、ピサロ。さらにアルガスの姿も確認できる。
「ピサロか! 何故邪魔をする!?」
「マティウス! そなたの仇はそのアリーナではない! 話を聞け!」
ピサロは瞬時に私とマティウスとの間に割り込み、アルガスはカインのほうへと向かっていく。
私はその間にクリムトの傍に駆け寄る。

64:報復の交差点 8/12
08/05/13 09:07:29 3b8NO9N70
ピサロはロザリーから一応アリーナ分裂説を聞いてはいたが、
ザンデによればクローン造りには高い技術が必要とのことで、半信半疑であった。
だが、アルガスもアリーナが支給品の効果で二人に分裂したという話をする。
そして、アリーナと昨日の間ほぼ一緒に行動していたと証言。
アルガスはオリジナルもクローンもグルだと主張していたが、
ピサロとしては、アリーナの人となりを知っている。よって、ひとまず無実と判断。
だが、マティウスは話を聞く気すらないようだ。
マティウスはソードブレイカーを取り出し、アリーナとの軸中にいるピサロへと斬りかかっていく。

「直接手を下していない? そんなことはとうに知っている。
 だが、元を正せばこの女がすべての元凶、私に言わせれば、両者とも同罪。
 我が友の仇と同義! アリーナの側につくというのなら、貴様とて容赦はせぬ!」
「目を覚ませマティウス! 貴様はあまりに復讐に囚われすぎている」
「知ったふうな口を聞く。この期に及んで討伐を引き伸ばせと? 無理な相談だ!」
ソードブレーカーと天の村雲。基本性能は大分差があるが、
マティウスはギザギザにうまく天の村雲を引っ掛け、弾き飛ばしてしまう。
ピサロは即座にライアンの遺品である立派な騎士剣を取り出し、持ち替える。
「盲目たる復讐は負の連鎖に囚われるということ、己が身の破滅を呼ぶだけだ! すべてを失うぞ!」
「今更失うことの何を恐れようか? 元の世界にもこの世界にも、もはや失うものはない。
 そうだ、今ならば奪われた者の気持ち、よく分かる。
 貴様にどのような言い分があろうと、知ったことではない。あの女は必ずこの手で葬り去る!」

アリーナはクリムトを安全な場所まで連れて行こうとしており、
アルガスはといえば、ちゃっかりと近くに転がってきた天の群雲を回収し、カインを説得している振りをして話し込む。
マティウスとピサロの戦闘、クリムトの安否に気を取られ、アリーナはそれには気付かない。
そしてカインはピサロとマティウスとの鍔迫り合いを眺めている。

カインがピサロのほうに向かっていき、口を開いた。
「ほう、その剣はライアンが持っていたものだな? 殺して奪ったか」
唐突な一言に、ピサロが激しく動揺する。

65:報復の交差点 9/12
08/05/13 09:09:29 3b8NO9N70
生まれた大きな隙を見逃すマティウスではない。
ソードブレーカーのギザギザの刃が黒のローブを引き裂き、ピサロのわき腹を深々と切り裂く。
カウンター気味に放った真空波は狙いがぶれたのか、マティウスにほとんど当たらない。
雰囲気の変化をアリーナも察知する。

「その指輪も、俺が数時間前にここでライアンに会ったときは、まだライアンが嵌めていた。
 ライアンは今朝方放送で呼ばれたな。二人は仲間だったと聞いていたが、やつを殺して奪ったのか。
 いやはや、アリーナといい、ピサロ殿といい、なんとも都合のいい仲間だな?」
ピサロは確かにライアンを殺し、イザも殺した。
普段なら冷静に当時の状況を述べることが出来たかもしれない。
だが、ピサロ自身にまだ心の整理が付いていない。
ロザリーと再会したこと。ライアンと交戦したこと。ロザリーを失ったこと。
それぞれの出来事がピサロから着実に冷静さを奪っていった。
今もマティウスとの交戦中、整理を付ける暇がない。あやふやに否定しようとするので精一杯。
煮え切らない態度に、徐々にアリーナの顔に疑いの色が濃くなっていく。
そして、冷静な第三者がいればカインとアルガスに何らかの関係があることにも気付きそうなものだが、
アリーナもピサロもマティウスも、今はそういう心境ではない。

「言い訳なんてやめようぜ。こいつが……」
アルガスの持つ指輪と刀、インパスの指輪と天の群雲が共鳴するかのごとく輝いている。
そして天の群雲から湧き出すように、もやもやした青い霧のような物質が現れ、
「教えてくれてるんだよッ!!」
アルガスの叫びと共に、それらは形となってピサロに襲い掛かり、交戦していたマティウスも巻き込まれる。
霧は二人に絡みつき、体力と共に体の自由も奪っていく。

森羅雲海。
マンダリア平原で襲われたとき、アルガスはエルムドア侯爵が刀の魂を引き出して戦うのを見たことがある。
侍のジョブを経験したことがないアルガスには本来使えないもの。
天の群雲も侯爵の刀に入っていた。効果範囲も強さも、追加効果も見たことがある。
アークナイトの戦い方も、刀の効果も知っている、足りなかったのはまさに技術と経験。そこをインパスの指輪が補った。

66:報復の交差点 10/12(代理)
08/05/13 12:30:02 cgjXPvBU0
天の群雲から発せられた念によってマティウスは地面に倒れ伏す。
ピサロも地面に膝を付き、アリーナのほうを見るが、見返すアリーナの目は疑念に満ちている。
「俺の友達だったイザの野郎だって殺してくれたらしいじゃないか?
 今朝方も俺を見るなり殴りかかって来たんだ。お前本当はゲームに乗ってるんじゃないのか?」
「貴様……言わせておけば…!」
アルガスの横合いからの茶化し。あからさまに悪意を感じるそれだが、アリーナは真に受ける。
ピサロはアルガスを黙らせようと立ち上がり、掌に魔力を溜めるが、そのことが一層その言説に裏づけを与える。
結局はその魔力を放出する前に、カインが攻撃をしてきたので、ピサロはその相手をせざるを得なくなる。
アリーナは侮蔑の眼差しをピサロに向けた後、クリムトを連れてその場を後にしようとする。

そのアリーナ目掛けてマティウスの魔法、サンダーが向かっていく。
「忘れるな…。貴様の相手はこの私だ」
天の村雲がいくら強力な刀であろうと、マティウスがいかに怪我を負っていようと、使い手はアルガス。この程度で気絶することはない。
直撃こそしなかったものの、アリーナはサンダーの余波を受けてしまい、地面へと吹き飛ばされてしまう。
アリーナのほうはすでに原型留めぬウネの体の上に倒れ伏し、クリムトも少し離れた場所へと吹き飛ばされる。
さらに発せられるサンダー。アリーナは横に転がり辛うじてかわすも、強烈な電撃はその下にあったウネの体をさらに砕く。

「……。」
殺されてしまったライアン。自分を守るためにその犠牲となったウネ。そして、今まさに危険に晒されているクリムト。
自分の罪は十分に意識している。なのに、犠牲になるのは自分のまわりの人間ばかり。
自分は戦いたくなくても、相手はそんなことも関係なく周りごと戦いに巻き込み、命を奪っていく。
「いいわよ…。あなたがそんなにあたしを殺したいって言うのなら、相手になってあげるわよ」

67:報復の交差点 11/12(代理)
08/05/13 12:31:02 cgjXPvBU0
アルガスは後ろに引き、状況を分析する。
アリーナはマティウスとカインを敵と認識。ピサロもそのカテゴリに入っているかもしれない。
マティウスはアリーナとクリムト、ピサロを敵と見ているのだろう。
ピサロはカインと自分を敵と考えているのだろうが、他は微妙なところか。
そして自分はマティウスやピサロにはあまりいい印象は持たれていないに違いないのだ。
適当なところで切り上げるべき。
ちょっと場をかき回したのは、ピサロに今朝方気絶させられた分の借りがあったから、
それと「盾」となるべきだったイザを殺してくれた借りがあったから。

カインもピサロに借りがあるそうだ。
以前よりも弱体化している今のうちにその借りを返しておきたいとのこと。別に待つ必要はない。
さて、クリムトという男。アリーナの気遣いか、彼にまで戦いの余波が飛んでいくことはなさそうだ。
このまま放置していてもいいが、目を覚まされて何かしでかされるのも気に食わない。
アリーナと目を合わせる。こいつを引き受けるというコンタクト。それで十分。
さらに、アリーナにマティウスから奪ったビームウィップを投げ渡す。
一度試しうちしてみたが、使い方が分かってすら上手く使いこなせなかった。
アリーナが生き残る可能性は低いが、早々に戦闘が終わるとこちらがとばっちりを食う可能性があるのだ。
多少は時間を稼いでもらわないといけない。

アルガスは早々に場を離れ、旅の扉に向かう。
クリムトは目を覚まさない。こいつと一緒に次の場へ向かう気はない。
まるでゴミのようにポイと旅の扉へ投げ捨てる。腕時計の指す時間はもう三十分を切っている。彼も扉へ飛び込んだ。

さて、アルガスはビームウィップのほかに、もう一つ置き土産を残していった。
自分で使う気になれず、どうせ持て余すと思っていたもの。
この異様に殺気立った空間なら、必ずそれと同調する人間が現れるだろう。
殺意はそれを呼び寄せ、また負の力を引き寄せ、互いに引き合う。

戦場の一角で、皆殺しの剣が禍々しい気を噴出していた。

68:報復の交差点 12/12(代理)
08/05/13 12:32:13 cgjXPvBU0
【アルガス 所持品:インパスの指輪 E.タークスの制服 草薙の剣 高級腕時計 ウネの鍵
      ももんじゃのしっぽ 聖者の灰 カヌー(縮小中)天の村雲(刃こぼれ)
 最終行動方針:脱出・勝利を問わずとにかく生き残る】
【クリムト(失明、気絶、HP1/5、MP1/4、守備力25%UP) 所持品:なし
 基本行動方針:誰も殺さない。
 最終行動方針:出来る限り多くの者を脱出させる】
【新フィールドへ】

【ピサロ(MP1/3程度、わき腹負傷、スロウ) 所持品:エクスカリパー スプラッシャー 黒のローブ 命のリング
 第一行動方針:カインを倒し、戦闘を終了させる
 第二行動方針:可能ならロザリーを救出する
 第二行動方針:ケフカへの復讐】
【カイン(HP1/5程度、左肩負傷、疲労)
 所持品:ランスオブカイン、ミスリルの篭手 プロテクトリング レオの顔写真の紙切れ ドラゴンオーブ
 第一行動方針:ピサロを倒す
 最終行動方針:殺人者となり、ゲームに勝つ】
【マティウス(MP1/5程度、スロウ、疲労大)
 所持品:E:男性用スーツ(タークスの制服、結構ボロボロに) ソードブレイカー
 第一行動方針:アリーナを討つ
 第二行動方針:アリーナ(2)を見つけ出し、ゴゴの仇を討つ
 基本行動方針:アルティミシアを止める
 最終行動方針:何故自分が蘇ったのかをアルティミシアに尋ねる】
【アリーナ (左肩・右腕・右足に軽い怪我、腹部・背部に軽い負傷、守備力25%UP)
 所持品:ビームウィップ
 第一行動方針:マティウス、ピサロ、カインを倒す
 基本行動方針:アリーナ2を止める(殺す)】
【現在位置:カナーンの町・宿屋裏あたり】

*光の剣、穴の開いたミスリルシールド、折れたレイピア、壊れた加速装置、皆殺しの剣、折れた鋼の剣が放置

69:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/05/16 22:20:03 jb8KXNmtO
保守

70:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/05/20 02:58:14 neYvHyYuO
保守

71:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/05/20 18:29:39 bbU9wy+XO
あげ

72:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/05/22 23:44:45 udgGNfUL0
さげ

73:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/05/26 18:31:12 EMnFXrEU0
保守

74:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/05/29 17:19:52 ye9UxO5QO
保守

75:コマンド? |>全板トーナメント
08/06/03 01:07:40 hSiNvub2O
続き待ってます

76:コマンド? |>全板トーナメント
08/06/05 23:21:54 9OLGZM0z0
ほす

77:敢えて茨の道を行く 1/9
08/06/08 11:51:52 BpfyEJIf0
四人が戻ってきたのは少し前のこと。
スコールが先頭にサックスをかつぎ、リュックがそれに続いてヘンリーを背負ってついてくる。
余程熾烈な戦闘があったのか、スコールの息は荒い。
応援を要請したスコールが無事で、最後に赴いたリュックが無事で、途中から赴いたヘンリーとサックスが気を失っている。
提示されれば何が起こったかうっすら分かる。
リュックの明らかに私を意識した、「え~と」と「う~ん」を多用した回りくどい説明を聞けばよりよく分かる。
もう分かっているのに、「それでも」と呟いてしまう自分に少しあきれた。

自分で確かめるよう言われて渡されたサックスの持ち物の中には、
サイファー見せたのと同じポーションが二つ。一つじゃなくて、二つという辺りがもう決定的。
半ば乱暴にひそひ草をサイファーに投げつける。
ターニアは私を見て震えている。当然だ。でも一番驚いているのは他でもない私自身。

もうしどろもどろになっているリュックに代わって、スコールが仏頂面のまま機械的に説明し始める。
何事にも動じない姿勢はさすが。とはいえ、私も感情が静まり返り、
今はただ、内容を一語、一句に至るまで漏らさずに聞き取るだけ。
ウルの村はほぼ焼けてしまっていて、布切れ一枚探すのすら難しいし、時間も惜しい。
よって、サイファーがサックスの着けていた丈夫なマフラーと、
これまた非常に丈夫で伸縮性のある布(本来はレオタードらしい)でサックスを縛る。
曰く、気に食わないがスコールのやつが生かしているんだから先走ってどうこうするわけにはいかないらしい。

スコールは疲れたのか、面倒ごとに関わるのが嫌なのか、話を終えると離れた場所で座り込んでしまった。
サイファーはスコールに対して、リュックは私に対してどうにもばつの悪そうな顔をしているのは見て取れた。
別にリュックもスコールもサイファーも恨みはしない。人の規範に照らせば、何も悪くないのだから。

78:敢えて茨の道を行く 2/9
08/06/08 11:52:48 BpfyEJIf0
サックスがスコールのところへ向かったときから、予感はしていたのだ。
サックスはゲームに乗っている。例外はスコールがゲームに乗っていたときだけ。
心の奥底では、スコールがサックスを嵌めようとしていた、そのシチュエーションを願っていたが、
サイファーを傷付けて無理矢理行ってしまった以上、もう諦めはついていた。
今はただ、サックスの取った行動が、サックスの裏切りが許しがたいだけだ。

両手は後ろ手に、両足はしっかりと縛り、身動きは取らせない。
万一解けて、怪我人を人質に取られたりしないよう、少し離れた場所に寝かせておく。
そうこうしているうちに、サックスが目を覚ます。
私を見て大きなため息、そして自分の置かれた状況を理解してもう一度大きなため息。
生きているのか、と一言。
それでもう一度目を閉じてしまうサックスと、苛立って怒鳴るサイファー、
そして、何故ゲームに乗ったのかを問うリュックが、一日ほど前の誰かと重なる。

スコールやサイファー、ただでさえ不器用な二人はサックスを受け入れられるとは思えない。
ソロはいい人だし、どんな人でも手を差し出して受け入れるけど、そこまで。導いてはくれない。

79:敢えて茨の道を行く 3/9
08/06/08 11:55:29 BpfyEJIf0

ドサッという、何か大きなものが倒れる音。全員の目が音のほうに向く。
「なんだスコール? もうバテてんじゃねぇぞ?」
「体が重い。もしかすると、サラマンダーと戦ったときに何かされたのかもしれない」
「おいおい、『しれない』って何だよ? 弛みすぎじゃねえのか?」
スコールが思い描くのは、一度胴体に受けたパンチ。
立ち上がろうとしても、半分ほど起こしたところで前のめりに倒れるだけ。

「毒を受けたんじゃないか? だよな、ソロ?」
「毒だと? そんなものを受けた覚えは無いが…」
「症状が似ています。念のため治療したほうがいいかもしれません」
戦闘と疲労のため、だけではなく、直前に戦った相手がサラマンダー。
不安定な呼吸は、かつてビビが受けた毒を思わせるもの。
バッツとソロ、そしてサイファーが様子を見に行く。

「スコールさんの様子を見てきてあげたらどうでしょう?
 実は、サックスと少し個人的な話をしたいので」
それを受け、リュックとターニアもスコールのほうへと向かう。
といっても、個人的な話をしたいといわれると立ち退かざるを得ないので、
エリアにスコールの元へ向かわされたというほうが適切だろうか。

猛毒である飛竜草の粉末、微量とはいえ直接体内に入り、それに気付かず放置し、体中に廻ればしばらく痺れは消えない。
エリアとサックスを除いた、全員の関心が一時的にスコールへと移っている。
治療を行うのはバッツ。ポイゾナ程度ならなんとかなる程度には魔力は回復している。
だが、アーヴァイン然り、ビビ然り、サックス然り。
イクサスの独自の工夫が加えられた毒薬は、本職の者が治療しても一日二日で治せるものではない。
「そういや、あのポーションと一緒の毒なんだよねえ?
 ねえエリア、サックスの持ち物に特効薬みたいなものって入ってなかった? ……ん?? ……………うそ?」
全員がスコールの容態を気にする中、リュックがエリアとサックスのほうに目を向ける。
…………。理解して目を疑った。縛られていたはずのサックスが解き放たれていた。

80:敢えて茨の道を行く 4/9
08/06/08 12:00:56 BpfyEJIf0
「ちょ…っと! 何やってんのエリア!?」
一瞬のスパン。パン、パン、パン、パンと立て続けに四発の銃声。
リュックの声、銃声。他の人間も事態に気付く。
リュックが射線上にいたターニアを押しのけて突き飛ばす。

「くそッ、あの女どういうつもりだ!?」
サイファーが瞬時に二人を追う。
バッツとソロはスコールの治療のため、そして自身が病み上がりであるためタイミングが遅れた。
バッツは離れるわけにも行かず、ソロがサイファーの後を追う。
サックスらの元いた位置にはもうもうと立ち昇る砂と灰の煙。
猫の手ラケットで地面の砂埃を巻き上げたもの。とっくの昔に逃げ出してしまっていた。


「あれ、今のってひょっとして弾入ってなかった…??」
ターニアが頷く。そういえば、着弾した気配が無い。
夜の食事の時間、銃を手に入れたヘンリーの様子が滑稽で、そのついでに銃について少し話した覚えがある。
扱いとか、手入れ・管理方法とか。ターニアは撃つことにひどく怯えていた。
とにかく、リュックも追いかけようとするが、ターニアに腕を掴まれて引き止められてしまう。
一日目の夜に銃口を向けられたときの恐怖が未だ消えない。
一日以上一緒に過ごして、助け合ってきた人に向けられた。
たとえ、空砲だと、ただのハッタリだと分かっていても。
誰かにしばらくそばにいてほしくて、ターニアはリュックを引きとめた。
エアリスを殺した『音』。また誰かがいなくなるような気がして、引き止めることで、錯乱を抑えていた。

結局リュックは踏み出せなかった。
サイファーが勢い余って殺したりしないかという一抹の不安を抱えて、
さすがにソロがいるなら大丈夫だろうと言い聞かせ、サイファーの帰りを待つ。
むしろエリアの心変わりのほうが気になる。

81:敢えて茨の道を行く 5/9
08/06/08 12:03:12 BpfyEJIf0
(いつからこんなことを考えてやがった…!?)
感情的に盲目になっているのならともかく、故意に行っているのなら面倒。
スコールも含め、村にいるメンバーが殺人をなるべく避けようとする手前もある。
それを見越した上での行動なのかもしれないが。

エリアは下半身が自由に動かないが、それはサイファーも同じ。
だが、GFケルベロスのオートヘイストによってその差は縮まる。
そこでエリアが再度、地面に向かって風塊を放ち、ぶわっと砂埃を巻き上げる。
(あのラケットは厄介だな。普通の鬼ごっこは不利だな)

焼けて土壌がむき出しになった地面、いとも簡単に辺りは砂煙に包まれる。
突入したところで、銃声。牽制であろうが、動きにくくなるのも事実。
(こりゃ、旅の扉までに追いつけそうにねぇな。なら、向こうの動きを封じるか…)
サイファーからは向こうは見えないが、逆にサイファーの行動も見られないのだ。

ビビからドローしたブリザラの魔法。砂煙の先、音とぼんやり見える影を頼りに解き放つ。
それはサックスら目掛けて地面を這い、足を凍らせ絡めとり、動きを封じようと襲い掛かる。
サックスに到達した瞬間に砂煙の向こう側へと躍り出る。
「!!!!!」
そこで目にしたのは、跡形も無く消えたブリザラ、そしてころんと転がってきていたスタングレネード。
爆発が起こり、サイファーの全身を大音量と光の壁が通り抜ける。

ヘイストの魔法は自分と周りの空間を切り離すもの。
自身の空間だけを二倍の速さで、言い換えれば回りの空間を二分の一の速さにする。
ゆえに、普段の二倍の長さ分、轟音と閃光を体感することになる。
これにはさすがのサイファーもたまらず地面に転がり悶える。
数十秒のロスタイム、暗闇と耳鳴りが治り、はるか先の砂埃が晴れたとき、二人の姿はもう見えない。
ただ、ソロが険しい顔をして立っているだけだった。
むしゃくしゃして、例のポーションを誰もいない、遠くのほうへと投げ捨てた。

82:敢えて茨の道を行く 6/9
08/06/08 12:07:41 BpfyEJIf0
「僕は、ゲームに乗った。魔女に尻尾を振ったんだ。
 なのに、どうして助けたんですか?」
「あら、助けてほしくなかったですか?
 ならば、戻りますか? それとも、時間までこの大陸に残りますか?」
「そういう意味じゃないんだけれど…」
「私の友達の親友の口癖だそうです。人を助けるのに理由がいるかいだとか」
「……僕を助けたせいで他に何人も死ぬかもしれない」
「ご心配なく。積極的に、邪魔させていただきますから」
「そんなことしたら、その場で殺すから」
「じゃあ、殺されないように頑張らないといけませんね」
「……せめて、僕を見捨ててくれたら幾分楽だったのに」
「それなら尚のこと、私はあなたを見捨ててあげない。乞うても泣いても叫んでも狂っても壊れても」
「…勝手にしてください」
「言われなくとも」

サックスは私を裏切った。
それはゲームに乗ったとか人を殺したとかではなく、私も偽っていたということ。
私にバレないように、こそこそと動いてた。そこは許せなかった。
やれ裏切られただの、やれ勝手に死なれただの、やれ囮にされて殺されかけただの、サックスの事情は知らない。
私は正式な恋人でも家族でもない、だからこれは理不尽な怒り。でも関係ない。
信用いないなら、サックスの心の中に、追い出せなくなるくらいまで入り込んでやる。
話をしている最中に出てきた、サックスの命を助けたという、『あの人』。
嫉妬と、羨望。私も少し人の闇に染まっていってるのかもしれない。
彼を許せない気持ち、でも救いたい気持ち、それとは別に独占したい気持ち、色々混じり合った奇妙な感情。

83:敢えて茨の道を行く 7/9
08/06/08 12:10:24 BpfyEJIf0
他の誰がサックスを除け者にしようとも、私は必要としてる。
サックスはクリスタルの戦士。私はクリスタルの巫女。私にとってかけがえのない仲間。
なんで私が生き返ったのかなって、考えたことがあった。
きっとやらなきゃならないことがあるから、生き返ったんじゃないかって思った。
一度目の生は、クリスタルの戦士を導くため。二度目の生は、サックスを導くため。
これが私に課せられた使命、私が生き返った意味。そう思いたい。

アーヴァインに感じた、人が魔物化していく過程。瞳に映る闇色。
昨日に旅の扉に飛び込む直前に見えた、闇がかった空。
ここは光の力に比べて、闇の力が強すぎる。人は正常な世界よりも容易く闇に染まってしまう。
光と闇のパワーバランスが崩れたとき、人はしごく簡単に壊れてしまう。
アーヴァインに憑いてたGFとやらは、アーヴァインに集った闇の力を引き受けていた。
でも、それがないサックスはきっといつかバランスを崩してしまう。
あのパーティの中にいたら、束縛され、監視され、偏見と哀れみの目に晒されてきっと壊れてしまう。
言わば監獄。外と内には越えられない壁がある。だから、同じフィールドに立つ。
無理に引き止めれば反発される。だから、肝心なところで向きを変えるだけ。

元の世界では既に死んだ身。一人生き延びても、私には帰るところはきっとない。
いまさら死人が蘇ったところで、モンスターと間違えられるか、煙たがられるだけ。
だから、死ぬまでずっと一緒。私に助けられた義務は果たしてもらおう。
一人きりの死は寒くて、怖くて、寂しいもの。でも、二人なら平気。

きっと、向こうでは悪い噂が流れているだろう。でも、それは想定のうちだ。
瓶を開け、中の液体を飲み干す。本物のポーション。少しだけ足が軽くなる。まだ、頑張れる。
私達の世界とはさようなら。二度と戻ってこられないかもしれないこの世界に別れを告げ、二人一緒に扉に飛び込んだ。


84:敢えて茨の道を行く 8/9
08/06/08 12:12:30 BpfyEJIf0
【エリア(体力消耗、下半身の怪我は回復気味)
 所持品:スパス スタングレネード 水鏡の盾 ねこの手ラケット ビーナスゴスペル+マテリア(スピード)
      天使のレオタード 拡声器 ポーション
 第一行動方針:サックスと離れない
 第二行動方針:内から少しずつサックスを矯正する
 基本行動方針:サックスより先に死なない/サックスに殺させない/サックスを捕らえさえない】
【サックス (HP7/10、微度の毒状態、左肩負傷。後頭部にコブ)
 所持品:スノーマフラー
 第一行動方針:成り行きに任せる、エリアのことは先延ばし
 最終行動方針:優勝して、現実を無かった事にする】
【現在位置:新フィールドへ】

【サイファー(右足軽傷)
 所持品:破邪の剣、G.F.ケルベロス(召喚不能) 白マテリア 正宗 ケフカのメモ ひそひ草
      マッシュの支給品袋(ナイトオブタマネギ(レベル3) モップ(FF7) バーバラの首輪)
      レオの支給品袋(アルテマソード 鉄の盾 果物ナイフ 君主の聖衣 鍛冶セット 光の鎧)
      スコールの支給品袋(吹雪の剣、ガイアの剣、ビームライフル、セイブ・ザ・クイーン(FF8)
      貴族の服、オリハルコン(FF3)、炎のリング)】
 第一行動方針:仲間の元へ戻る
 第二行動方針:協力者を探す/ロザリーと合流
 基本行動方針:マーダーの撃破(セフィロス、アリーナ、サックス優先)
 最終行動方針:ゲームからの脱出】
※猛毒入りポーションは投げ捨てました。
【ソロ(HP3/5 魔力少量)
 所持品:ラミアスの剣(天空の剣) 天空の盾 さざなみの剣
      ジ・アベンジャー(爪) 水のリング 天空の兜
 第一行動方針:仲間の元へ戻る
 基本行動方針:PKK含むこれ以上の殺人を防ぐ+仲間を探す
※但し、真剣勝負が必要になる局面が来た場合の事は覚悟しつつあり】
【現在位置:ブオーンが丘と旅の扉の直線上】

85:敢えて茨の道を行く 9/9
08/06/08 12:19:38 BpfyEJIf0
【スコール (HP7/10、全身に浅い切り傷、軽度の毒状態、疲労)
 所持品:ライオンハート ひそひ草 エアナイフ
     G.F.カーバンクル(召喚○、コマンドアビリティ×、HP2/5)、G.F.パンデモニウム(召喚×)
 第一行動方針:体に回った毒の治療
 第二行動方針:旅の扉に向かう
 第三行動方針:アーヴァインと緑髪(緑のバンダナ)の男を探す/緑髪を警戒/サックスを警戒
 基本行動方針:ゲームを止める】
【リュック(パラディン)
 所持品:メタルキングの剣 ロトの盾 刃の鎧 クリスタルの小手 ドレスフィア(パラディン)
     チキンナイフ マジカルスカート ロトの剣
 第一行動方針:状況の正確な把握
 第二行動方針:旅の扉に向かう
 基本行動方針:テリーとリュックの仲間(ユウナ優先)を探す
 最終行動方針:アルティミシアを倒す】
【ヘンリー(気絶中、後頭部にコブ)  
 所持品:アラームピアス(対人) リフレクトリング バリアントナイフ 銀のフォーク
     キラーボウ、グレートソード、デスペナルティ、ナイフ
 第一行動方針:???
 基本行動方針:ゲームを壊す(ゲームに乗る奴は倒す)】
【ターニア(血と銃口への恐怖、完治していない 僅かに人間不信)
 所持品:スタングレネード×4 ちょこザイナ&ちょこソナー
 第一行動方針:心を落ち着かせる】
【バッツ(HP3/5 左足負傷、魔力微量、アビリティ:白魔法)
 所持品:アポロンのハープ アイスブランド うさぎのしっぽ 静寂の玉 ティナの魔石(崩壊寸前)
 第一行動方針:スコールの治療
 第二行動方針:サイファー達を待つ
 基本行動方針:『みんな』で生き残る、誰も死なせない】
【マッシュ(気絶、重症、右腕欠損) 所持品:なし】
 第一行動方針:―
 第二行動方針:アーヴァインと緑髪(緑のバンダナ)の男、及びエドガーを探す
 第三行動方針:ゲームを止める】
【現在位置:ウルの村西の草原(ブオーンが丘そば)】

86:コマンド? |>全板トーナメント
08/06/08 20:51:05 To/loIEc0
otsu

87:名前がない@ただの名無しのようだ
08/06/10 00:00:49 xsZC4INxO
新作乙です。

88:名前がない@ただの名無しのようだ
08/06/12 01:48:00 wc1/ZANb0
保守まりむ

89:旅立ち前のひととき 1/6
08/06/16 02:25:47 UTUnvjRG0
ブオーンが丘から旅の扉までは普通ならかかっても五分。
扉の位置を知っているサックスなら、さらに所要時間は縮む。
追ってはみたものの予想通り、もはや影も形も見えなかった。

『キンパツニキヲツケロ』
例の文面がテロップのように浮かんでくる。
エリアは今まで一切怪しい素振りを見せていないと聞いたのに、逆にそれが疑いを増幅させる。
誰が流したのかもわからない得体の知れないメモ。
最初は参考程度だったのに、関連情報が出てこない分、逆に余計な想像力がはたらいてしまう。

「きりがねぇ。大体俺だって金髪だろうが!」
とにかく、今ここで考えてもどうしようもない。
この会場にいる限り、徐々に疑念に蝕まれる。
先にやるべきことを済ませなければならない。
五分の距離も、動けない人間を連れての集団移動となれば時間はかかる。
「戻るぞ。もう時間もあまり残ってねえだろ」
「マッシュさんやスコールさんの体調も気がかりだ。
 次の舞台は、安全な場所を探すのが先決ですね」

90:旅立ち前のひととき 2/6
08/06/16 02:28:01 UTUnvjRG0
塗りつぶされた黒。吸い込まれそうな穴。冷たくて硬い金属の感触。
無言の圧力。肌を走る、熱くて鋭い痛み。吹き出す血。
「ターニアちゃん、大丈夫??」

リュックさんが手のひらを眼前に突きつけ、上下に動かす。
はっと夢から引き戻されたような気分。視点が定まっていなかった。
ソロさんやバッツさんが心配そうにこっちを見ている。
今はちょうど、全員で扉のほうへ向かっているとき。

「だいじょーぶ、エリアのことだもの、きっと何か考えがあるに決まってるって」
「そうですね…。私も信じています」
そう、信じたい。でも、リュックさんだってきっと信じ切れてはいない。
夜の間、エリアさんから聞いた。サックスさんは私の大切な人なんだって。
いつか迎えに来てくれる、彼のためなら命は惜しくないって。

好きだから、嫌われたくないから、だから人を殺す、あの女の人の幻影がちらつく。
その幻影は、エリアさんの中へ吸い込まれていって。エリアさんが自分に銃口を突きつける。
「……ニアちゃん、ターニアちゃん??」

また、自分の世界に入り込んでしまっていた。
リュックさんが心配そうな顔を知って覗き込んでいる。
「本当に大丈夫? もうちょっとだけ休もっか?」
「…あ、大丈夫です。ちょっと考え事をしてるだけ…。だから、行きましょう」
「ん~、それならいいけど…あまり無茶しないでよ」

そう、きっと大丈夫。あの人は裏切ったりしない。
何度も相談に乗ってもらった。みんなが見張りで入れ替わる中、ずっと一緒にいた。戦えないながらも、助け合った。
…疑うなんて、きっと私は疲れてる。次の舞台に着いたら、少し休もう………。

91:旅立ち前のひととき 3/6
08/06/16 02:30:22 UTUnvjRG0
雲に乗った少年とペットのコンビ。ここはウルの村、ブオーンの死体のそば。
いきなり真正面から村に踏み入るのはさすがに危険だと考え、少しだけ迂回してやってきたのだ。
そこで見たのは不自然に削れた土の跡、踏み荒らされた草、つまりは人のいた痕跡。
それも一人二人じゃない、かなりの大所帯。
「どうなの? 村の様子は?」
『色んな匂いが混ざり合って正確には分からないわ。
 この村、あちこちで木や土が焼け焦げた匂いがしているんですもの…。
 ただ、何人か人間もいたみたいだけれど』
「サックスはどうしてるだろう?」
『おそらくロクなことを考えていないでしょうね。
 淡々と殺人の算段を立てているはずよ』

ぐっとウインチェスターを握り締める。指輪のせいで撃つことは出来ないけれど、少しだけ安心できた。
アンジェロが五感を活用し、辺りの様子を探る。
『……待って、この匂いは…』
「どうしたの、誰か見つけた!?」
『サイファーとスコール。顔見知りよ。他にも何人かの人間がいるみたい。
 …まず私が行ってみて、安全だったら合図をするわ』
アンジェロが東へ先行。その後、ルカもゆっくりとアンジェロの後を追っていった。

「あれ、何か変なものが転がってる」
アンジェロを追って行く途中に見つけた、液体の入った瓶。
地面に転がった後が付いているのを見ると、最近ここに落ちたようだ。
「アモールの水みたいだなあ。誰かが落としたのかな?」

ルカがゆっくりと瓶を拾い上げる。彼には落ちているものを拾うことに抵抗が無い。
事実、異世界ではそうやってアイテムを集めたし、モンスターマスターはみんなやっている、異世界の冒険の基本行為。
中には拾ったアイテムを売ることで生計を立てている人間もいるほど。
だから特に警戒もせずに拾ってしまった。猛毒入りのポーションを。

92:旅立ち前のひととき 4/6
08/06/16 02:31:36 UTUnvjRG0

片腕を失って尚、最も体格がよく、体重のあるマッシュは、現在最も体力のあるサイファーが引き受けることになった。
まだ自力で動けないスコールをソロが、気絶しているだけでしばらくすれば目覚めるであろうヘンリーをバッツが引き受ける。
サックスとエリアが待ち構えている可能性も消えているわけではない。
今スタングレネードでも投げ込まれれば、大混乱は確実。充分に警戒して歩を進める。

結局、旅の扉までなんなくたどり着いた。
そこへ自分たちを引き止めるように鳴き声が一つ。
みなが反応して後ろを振り返る中、サイファーとスコールはそれぞれ少し違った反応。
建物の影から姿をあらわしたのは、一匹の犬。
犬は一同に走り寄り、皆を見回した後、もう一声鳴いた。
それを合図に、建物の影からなにやら白い雲、それに乗った少年が現れる。

少年の名はルカ。サックスに仲間を奪われ、殺されかけ、それでも彼を止めるために追ってきた人物。
おそらくは数十分前までのサックスにとっての招かれざる客。
サックス本人がいるときにこなかったのは幸か不幸か。
スコールたちの元へアンジェロを派遣したのも彼だが、
本人は色々あって、動くたびに爆発する指輪を身に付けてしまったという。
指輪のほうは信じがたくとも、アンジェロの様子からして信用できると考える。
次のフィールドでは真っ先に休める場所を探すつもり。
詳しい話は道すがら聞くことにし、九人と一匹は新たな戦場へと旅立つ。
十の影が消えた後、役割を真っ当した旅の扉が静かに渦巻いていた。

93:旅立ち前のひととき 5/6
08/06/16 02:35:13 UTUnvjRG0
【サイファー(右足軽傷)
 所持品:破邪の剣、G.F.ケルベロス(召喚不能) 白マテリア 正宗 ケフカのメモ ひそひ草
      マッシュの支給品袋(ナイトオブタマネギ(レベル3) モップ(FF7) バーバラの首輪)
      レオの支給品袋(アルテマソード 鉄の盾 果物ナイフ 君主の聖衣 鍛冶セット 光の鎧)
      スコールの支給品袋(吹雪の剣、ガイアの剣、ビームライフル、セイブ・ザ・クイーン(FF8)
      貴族の服、オリハルコン(FF3)、炎のリング)】
 第一行動方針:休める場所を探す
 第二行動方針:はぐれた仲間、協力者を探す/ロザリーと合流
 基本行動方針:マーダーの撃破(セフィロス、アリーナ、サックス優先)
 最終行動方針:ゲームからの脱出】
【マッシュ(気絶、重症、右腕欠損) 所持品:なし】
 第一行動方針:―
 第二行動方針:アーヴァインと緑髪(緑のバンダナ)の男、及びエドガーを探す
 第三行動方針:ゲームを止める】
【ソロ(HP3/5 魔力少量)
 所持品:ラミアスの剣(天空の剣) 天空の盾 さざなみの剣
      ジ・アベンジャー(爪) 水のリング 天空の兜
 第一行動方針:休める場所を探す
 第二行動方針:はぐれた仲間を探す
 基本行動方針:PKK含むこれ以上の殺人を防ぐ+仲間を探す
※但し、真剣勝負が必要になる局面が来た場合の事は覚悟しつつあり】
【スコール (HP2/3、全身に浅い切り傷、軽度の毒状態、疲労)
 所持品:ライオンハート ひそひ草 エアナイフ
     G.F.カーバンクル(召喚○、コマンドアビリティ×、HP2/5)、G.F.パンデモニウム(召喚×)
 第一行動方針:治療、休息
 第二行動方針:はぐれた仲間を探す
 第三行動方針:アーヴァインと緑髪(緑のバンダナ)の男を探す/緑髪を警戒/サックスを警戒
 基本行動方針:ゲームを止める】

94:名前がない@ただの名無しのようだ
08/06/16 02:40:34 UTUnvjRG0
【リュック(パラディン)
 所持品:メタルキングの剣 ロトの盾 刃の鎧 クリスタルの小手 ドレスフィア(パラディン)
     チキンナイフ マジカルスカート ロトの剣
 第一行動方針:休める場所を探す
 第二行動方針:はぐれた仲間を探す
 基本行動方針:テリーとリュックの仲間(ユウナ優先)を探す
 最終行動方針:アルティミシアを倒す】
【バッツ(HP3/5 左足負傷、魔力微量、アビリティ:白魔法)
 所持品:アポロンのハープ アイスブランド うさぎのしっぽ 静寂の玉 ティナの魔石(崩壊寸前)
 第一行動方針:怪我人が休める場所を探す
 第二行動方針:スコールらの治療
 基本行動方針:『みんな』で生き残る、誰も死なせない】
【ヘンリー(気絶、後頭部にコブ)  
 所持品:アラームピアス(対人) リフレクトリング バリアントナイフ 銀のフォーク
     キラーボウ、グレートソード、デスペナルティ、ナイフ
 第一行動方針:???
 基本行動方針:ゲームを壊す(ゲームに乗る奴は倒す)】
【ターニア(血と銃口への恐怖、完治していない 僅かに人間不信)
 所持品:スタングレネード×4 ちょこザイナ&ちょこソナー
 第一行動方針:心を落ち着かせる】
【ルカ (HP1/20以下、全身に打撲傷)
 所持品:ウインチェスター+マテリア(みやぶる)(あやつる) シルバートレイ 猛毒入りポーション
 満月草 山彦草 雑草 説明書(草類はあるとしてもあと三種類) E:爆発の指輪(呪)
 第一行動方針:メンバーと情報交換
 第二行動方針:サックスの後を追う
 最終行動方針:生き延びて故郷に帰る】
【アンジェロ 所持品:風のローブ
 第一行動方針:ルカについていく
 基本行動方針:ルカの身を守り、戦う】
【現在位置:新フィールドへ】

95:名前がない@ただの名無しのようだ
08/06/24 20:12:22 x+4uu3QpO
> 第二行動方針:はぐれた仲間を探す
何ではぐめたを探すのか小一時間悩んだから眼科行ってくる

96:名前がない@ただの名無しのようだ
08/06/24 20:14:14 qdzWZqjU0
>>95
あれ?俺いつの間に書き込んだっけ?

97:名前がない@ただの名無しのようだ
08/06/24 20:39:52 73pRPy0E0
>>107
今やるならマナケミア1がお勧めかな?
もうすぐ新要素追加したポータブル版出るし

98:名前がない@ただの名無しのようだ
08/06/26 00:51:10 MrqcaCO8O
そうだな

99:名前がない@ただの名無しのようだ
08/06/26 05:03:55 Te+1/vJlO
スカリバー並の混沌を身につけてから誤爆を装え

100:名前がない@ただの名無しのようだ
08/07/02 03:01:48 C2OtLwkNO
>>702
あ り え な い 。それは。
バストダンジョンでリリカのおっぱい値を800近くまで調教強化してやらないと、そのフラグは立たない。
仮にフィリオナをメンバーから外してリリカを集中調教しても、アナルバイブが使えないその段階では
スカリバーはまだ手に入れられないはず。 妄 想 で つ か ?
とりあえずアンダー草原で淫獣マリリスを大量に調教して淫度をどんどん稼いどけ。
展開が不安ならバックアップ取っておくのを忘れんなよ。説教くさくなってスマソ・・・。ついな・・・。

101:名前がない@ただの名無しのようだ
08/07/02 22:02:52 L048fV+iO
そうか

102:名前がない@ただの名無しのようだ
08/07/05 23:57:34 fX7kXeS9O
釜山の使えなさっぷりは異常

103:名前がない@ただの名無しのようだ
08/07/08 14:22:43 y4WIgoF/O
アゲ


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