08/08/21 00:53:37 WrVd8r6+0
「じゃ、僕達はここで。」
「お世話になりました。」
「おう、こっちこそ助かったぜ。」
「元気でね。」
冒険者一行に別れの挨拶を述べる。
先ほどの娘はまだ死んだような瞳で、湖畔にたたずんでいる。
アルマは少し声をかけようと近づいたがラムザに止められた。
「アルマ…よすんだ。今のお前じゃ彼女を慰められない。」
「兄さん。でも…」
アルマは何か吹っ切れない。
「そっとしておいてやれ。時がいずれ慰めてくれるさ。」
ウィルがいつの間にかラムザとアルマの横に来て彼女を眺めていた。
ヴァイスラント特有の冷たい風が周囲を覆った。
…ここは…
不意に目が覚めた。
随分と遠くまで飛ばされたような…そんな感触がする。
足元を探ってみる。
無機質な、金属のような、不思議な感触。
ここはいったい…
ふとアルマの事が気になった。
転送のショックでどこかに飛ばされたのだろうか?
見れば横にごろりと転がっている。
どうやら息もしている。
ひとまずは安心だが、ここはどこだ?
機械の様な不思議な壁が何処までも続いているような不思議な空間だった。
壁には何か文字が書かれている。
「アトラス 2550M」
何かの暗号だろうか?
720:後編8/13 ◆MUqB9Ro1xI
08/08/21 00:57:06 WrVd8r6+0
「お兄ちゃん、ここは?」
アルマがもう何回目になるかわからない問いかけをする。
「わからないよ」
ラムザも同じ答えを返す。
ふらふらと二人は歩き始める。
空気が薄い…どこかの山の上?いやこの空気の薄さはそんなものではない。
「あ!光が!」
アルマが指差す方向には確かに光が見える。
二人が駆け出した先、そこは…
何処までも続く世界、空、大地、海。
ここは凄く高い空の上、塔の中のようだ。
下ははるかに霞んでいる。
いったい何階建ての塔なんだろうか?
ふと、下の方で閃光と爆発が見えた。
なんだ?あれは?
目を凝らすと下のほうで船、空を飛ぶいくつもの船と人、
いや人ではない、人のような機械、労働八号のようなものだろうか?
いくつもの機械が空を舞い、戦っている。
誰とだ?
そうだ、彼らはこの塔を攻撃しているのだ。
不意に塔が閃光を光らせ、その下の機械の一つを消し去る。
ラムザたちのいる塔、この塔が攻撃しているのだ。
まるで神話の世界だ。
今までも随分色んな世界、御伽噺のような世界を見てきたがこんなのは初めてだ。
これははるか遠くの時代の世界なのだろうか?
721:後編9/13 ◆MUqB9Ro1xI
08/08/21 01:00:58 WrVd8r6+0
「侵入者発見!」
急にアラームが塔の中に鳴り響く。
いくつもの機械が自分達の周囲を取り囲む。
「10カウント以内ニ通行パスヲ提示シナサイ!」
機械は自分達に銃口を向ける。
あれはムスタディオの持っていた銃のようなものか?
いや、はるかに精緻化された、銃だ。
これだけの数を相手に勝てるのか?アルマはきゅっとラムザの後ろに回りこむ。
もうこの位置がアルマの定位置になりつつあるが、それは二人にとってどこか落ち着く場所だった。
「9…8…」
カウントは平然と続く。
どうすればいい?ラムザは必死に考える。
「7…ヒャア…ガマンデキネェ…0ダ!」
「そんな無茶な!」
二人の突込みがシンクロすると同時に機械からレーザーが撃たれる。
剣で受けたラムザだが、その瞬間剣はどろどろに解けて消え去った。
「な、なんてパワーなんだ!」
身を守るものがないラムザとアルマ。
次に貫かれるものは二人の体だ。
その瞬間だった。
機械が突如爆発した。
周囲の機械も次々と爆散して行く。
なんだ?何が起こったのだ?ともかく助かったの確かだが…
ギュウン!ズシン!
近くで大きな音がする。
なんだ…これは…赤い巨人…赤い鉄の巨人が腕から煙を上げている。
この巨人が僕らを守ってくれたのか?
ラムザたちが巨人を眺めていると突如声が鳴り響く。
「なんだ?お前達は?」
巨人の胸の鉄板が開き、一人の男が降りてくる。
722:後編10/13 ◆MUqB9Ro1xI
08/08/21 01:02:29 WrVd8r6+0
「貴方は?」
「質問しているのはこちらだ。答えてもらおう…」
男は手に銃を持っている。
気のいい冒険者というわけではないようだ。
ラムザは信じてはもらえないかもしれないが、自分達の事を話す。
「俄かには信じがたいな。まあ、どちらでいい。」
この男があの赤い巨人を操っていたのだというのか…
アルマは男を見ていて、ふと声を出す。
「可愛い綺麗なペンダント…」
緊張した空間がふっと和む。
「お前の妹か?」
二人でこくこくとうなづく。
「まったく、奇妙な連中だ…」
男はふと殺気を緩める。
「このペンダントのお陰でここまで無傷で来れたのだ。」
どうやらこのペンダントを持つものは敵と認識されないらしい。
この塔はひそかに地球を破滅させる機能を持たせたものだそうだ。
今、世界中がこの塔を沈黙させるために集まっている。
この男もそのために来たらしい。
「これは妹の形見だ。」
男はペンダントを眺めながら答える。
「妹さんは亡くなられたのですか?」
二人の質問に、少し困った顔をした男は、時間を置いてゆっくりと答える。
「…俺が殺したのだ。」
男の妹は間違った道を歩んでしまったらしい。
それも人類を破滅に導くような。
男は単身、妹を止めるために世界を駆け回り、そして妹を止めた。
たった一人の血を分けた妹を。
この男は善人ではないだろうが、悪人ではない。
それはわかっている。
723:後編11/13 ◆MUqB9Ro1xI
08/08/21 01:05:02 WrVd8r6+0
―そんなの間違ってます!―
不意に大声が響く。
「そんなの、絶対に間違ってます!」
ラムザが大きな声で叫んでいた。
「じゃあお前は止めないというのか。」
「それは…」
ラムザは肉親を二人も殺した。
誰が言い訳をしようがその事実は変わりない。
そして最愛の妹に手をかけようとしていた。
あのミュロンドでの戦い、一歩間違えればアルマをこの手で殺していた。
だけどッ!
「その甘さが私をイラつかせるのだッ!」
男の一喝。
何も返せない。無力だ。
アルマは崩れ落ちるラムザの頭を抱きかかえて頭をなで、答える。
「でも、妹さんは幸せだったかもしれないわ。」
重い空間をアルマが切り裂く。
「だって、最愛の兄さんに止めてもらえたもの。」
男は何も答えない。
「今貴方が、そのペンダントを持ってここに居るのはその証拠でしょ?」
「私も…」
男が不意に答える。
「私もお前達のような兄妹に生まれたかった。次に生まれるときは…いや、よそう。」
男は機体に戻ろうとする。
「ここは危険だ。早くもどれ。」
「貴方は?」
「私は…私は決着をつけなければいけない。妹のためにも、あの男のためにも。」
無機質な空間に再び振動が蘇る。
724:後編12/13 ◆MUqB9Ro1xI
08/08/21 01:08:14 WrVd8r6+0
その男、ジェノス=フェルダーは機体に戻り、再び駆け出していく。
コクピットでペンダントを握りながらふとつぶやく。
「あの兄妹には幸せになってほしい。私達の分も。」
ローラーダッシュとバーニアを最大で加速しながら妹を思い出していた。
幼い日のロイス、そしてソサエティ司令官となったロイス=フェルダーを。
―帰ろう。兄さん。―
ラムザを小さな体で抱きかかえながら、再び声をかける。
男が去った。
―そうだ、帰ろう。僕らの世界へ。懐かしいイヴァリースへ―
ラムザは懐から再び転送装置を取り出す。
歪む視界、輝く閃光、轟音。闇に包まれる二人。
優しい腕の中で、ラムザは色んな人に出会った事を思い出していた。
運命に翻弄された恋人、運命に立ち向かう恋人、
妹の敵を誓う兄、兄を失った妹、そして妹を殺した兄。
僕はいままでアルマに何をしてきたのだろう?
僕はこれからアルマに何をしてやれるだろう?
古いほこりの匂い。
ここはゴーグ近海の無人島地下の転送装置。
「帰ってきたね。アルマ…」
「そうだね…兄さん。」
アルマに抱きかかえられたまま、ラムザはつぶやく。
もうしばらくこうしていたい。
「なんだ?なんか轟音がしたぞ?」
ムスタディオとマラークが音に気がついてやってくる。
「ら、ラムザ!おい、ラムザが帰ってきたぞ!」
「助かった!これでアグリアスに殺されないで済む!」
続々と仲間が集まってくる。
「ただいま。」
725:後編13/13 ◆MUqB9Ro1xI
08/08/21 01:09:18 WrVd8r6+0
皆が集まってくるがアルマは腕をどけようとしない。
ラムザもアルマの腕を払いのけようとしない。
―兄さん?
集まってくる仲間達の中で、アルマの腕の中で、ラムザは考える。
僕ができる事はなんだろう。
そうだ、せめてアルマに対しては素直に接してやろう。
「彼ら」が自分に教えてくれたのはきっとその事だ。
アグリアスがよろよろとやってくる。
「帰ってきたのか?」
以外にもつっけんどんだ。
「ああ、心配かけてすまないね。」
ラムザはこともなげに答える。
「で、いつまでアルマに抱きかかえられているつもりだ?」
アグリアスが冷たい言い方をしてふと顔を赤くしていたアルマが手を緩めようとする。
ラムザはその手を押さえながら答えた。
「ずっとだ。」
終わり
長い間、スレ汚し申し訳ございませんでした。
スレの皆様、暖かい声援他、大変お世話になりました。
ミルウーダの方、情景描写など大変参考になりました。(その域にはとても達せません。)
最後に元ネタ一覧。
前編 FF2フィン城・LIVEALIVE中世編
中篇 ロマンシングサガ2 ノエル戦(ロックブーケ撃破後)
SaGa2秘宝伝説 第六世界ビーナス戦
後編 サガフロンティア2 氷のメガリス(シナリオ名 タイクーンウィル)
フロントミッションガンハザード アトラス
726:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/21 21:25:31 nmyTrPXJO
>>大作、乙でした。
727:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/21 23:06:54 3PJAL0Q90
>>713 完結乙です。
てっきり、アルマ様が転送装置を粉砕するかと思ったが、そんなことはなかったぜ!
所々のネタが上手くてとても面白かったです。コレ全部スクウェアなんだよな?
卑下なんてせず、今後ともどんどん投下して下さい。あなたの描くアルマがとても好きです
次回作も期待していますよ。なんならエロパr
728:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/25 20:19:11 5rdfmWstO
妹は思春期の作者にアルマとラムザを書かせたい。
729:名前がない@ただの名無しのようだ
08/08/25 23:27:47 5r96mdTV0
巧妙に凝ったねぇ。乙!
730:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/27 06:19:09 y7oS5aTW0
ティータ「…やっぱりそうなの 私のことずっとそう思っていたんでしょう
自分より劣るかわいそうな平民だと 」
アルマ 「それは…」
ティータ「優しい言葉をかけたのも 友達でいてくれたことも私を哀れんでいただけ
上から見下ろして満足していたんでしょう」
アルマ 「違う…」
ティータ「自分が上だと…自分はみんなに愛されていると そう思って私を笑っていただけなんでしょう」
アルマ 「それは違うわ… 違う… 私は…」
ティータ「うるさい! …嫌な女。少しばかり恵まれてうまれただけなのに
たまたま貴族のお嬢さまだっただけなのに…
私の存在なんて、あなたにとっては自分の価値を高めるだけだった」
アルマ 「違うわ! 私はせめて、ベオルブ家であなたが幸せに暮らせるようにと思って…」
ティータ「それが私を馬鹿にしているといっているのよ! 私を対等な友達と認めてくれてなかった!」
アルマ 「…だってあなたは! 」
ティータ「あなたみたいな女、幸せになれるわけがない! 」
アルマ 「平民のくせに・・・」
ティータ「・・・なんですって?」
アルマ 「卑しい身分の・・・ 平民のくせに」
ティータ「!」
アルマ 「平民!!」
731:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/27 19:44:11 4WbvjHd1O
あげ
732:名前がない@ただの名無しのようだ
08/08/27 23:28:52 fCPUmWgd0
アルマ「この穢れた血!」
イヴァリースにハーマイオニーが降臨した瞬間である
733:名前がない@ただの名無しのようだ
08/08/28 02:32:30 Pe3EM8Pm0
ティータ「あなたなんて、アルマじゃないわ! ただのブタよ!」
一気に昼下がり突入
734:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/28 10:38:33 9rgqim+t0
>>730
ちょ、真紅!
735:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/28 13:49:26 myoLo1pD0
アルマとティータの相性の悪さといったらなぁ…
736:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/08/29 14:51:27 eLG6wLQYO
ティータ「アルマちゃんのここ、ぷっくりしててかわいー!」
アルマ「ひゃう!らめえ!お兄ちゃんにしか触られた事ないのにい!」
(注:耳たぶ)
737:名前がない@ただの名無しのようだ
08/08/30 00:27:37 nisriOrK0
ティータ「じゃあ、ここは?」(ペロ)
アルマ「あぁん、お兄様にしか舐められたことないのにぃ」
(注:ヒザ。ハチに刺されて)
738:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/09/02 02:05:58 e0fXIcmmO
あげ
739:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/09/02 20:37:18 yyss7WE/O
あれは誰だ 誰だ 誰だ
あれはラムザ ラムザさーん ラムザさーん
背教徒の名を受け 妹のために戦う男
ラムザエールは超加速 ラムザ装備は騎士剣可
ラムザアルテマは敵を焼き ラムザまじないは自爆技
アルマのあとを追い掛けた 正義のヒーロー
ラムザさーん ラムザさーん