FFDQバトルロワイアル3rd PART12at FF
FFDQバトルロワイアル3rd PART12 - 暇つぶし2ch440:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/04/06 00:25:35 /rzeyeCu0
保守…かな。

441:Too Late 1/4
08/04/06 06:42:37 VIE8HGtr0
―不意打ちを受けた。赤髪の男だ。応援を一人頼む―

エリアを相手に口喧嘩をしながらもサイファーの頭に巡るのは、スコールのこの言葉だった。
どうしても抜けない棘のようにそれはちくちくと存在を主張し、サイファーを苛立たせる。
そう、一昔前まではスコール当人がそうであったように、だ。
棘はサイファーの眉間の皺を更に深くさせ、エリアを怯ませる。
どうせならばと怪しいポーションの存在まで暴露した辺りで少しずつ口撃は身を潜め、ソロ達から困惑した目が向けられる。
しかしそのことに気付かないほどにサイファーは物思いに沈み始めていた。

……もしかしたらあれは他の誰でもなく、自分に宛てられたメッセージだったのではないか?

ふとそう思ったのは、駆けていくサックスの後ろ姿と、「赤髪の男」というスコールの言葉が脳裏で重なった時だ。
現在生き残っている者の4分の1近くが既にウルにいることを考えると、
スコールと交戦中の赤髪のマーダーがサラマンダー以外である可能性は低い。
そしてスコールは赤髪のマーダーの存在も、その名がサラマンダーであることも元から知っている。
あの性格ならば、名簿で顔も当然確認してるだろう。
この錯綜した状況で正確な情報はなにより大事。
にも関わらず、スコールは何故「赤髪の男」などという曖昧な言葉を使ったのか?
もしやあれは、自分に対する一種の暗号だったのではないか?


442:Too Late 2/4
08/04/06 06:48:38 VIE8HGtr0
思えば、サックスの危険性を示唆する時にもスコールは同じ言葉を使った。
「赤髪の男」は自分とスコールの間では、サラマンダーとサックスの二人を示すキーワードだったのだ。

……とすると、スコールはあの応援要請で何を狙ったのだろう?

素直に受け取るならば、スコールは現在危機にあり、応援を必要としている。
しかしマーダーである恐れの強いサックスに来られても困るので、改めて自分にサックスを抑えるように頼んだというところか。
だが……
そもそもスコールは本当に危機にあるのだろうか?


奇襲の原則は一撃必殺だ。
不意を討ち、一気に流れに乗って波状攻撃を仕掛ける。
そこには草を取り出してくっちゃべってる猶予など本来全く無い。
にも関わらず、スコールはやけに気の利いた応援要請を寄越してきた……。


443:Too Late 3/4
08/04/06 06:49:04 VIE8HGtr0
そこで気になるのがスコールからの連絡の直前に聞こえたあの爆音。
できるだけ静かに、確実に殺したいはずのサラマンダーの立場を思えば、あれはスコールが起こしたた可能性の方が高いだろう。
あの規模の爆発ならばそれに紛れて逃げるのも可能に思えるが、現実にはスコールは応援を求め、抗戦する意思を示した。
そして先程も二度目の爆音が聞こえ、戦闘が終わっていないことが裏打ちされた。
そこから導かれる仮説は2つ。

1つはスコールは脚を負傷し、逃げきることが不可能な状況にあるという考え。

そしてもう1つは……スコールは戦闘をエサにサックスを誘い出し、その真意を試そうとしているという考え。

そこまで考えて、サイファーは思わず舌打ちをして地面を蹴りつけた。
黙りこくっていたサイファーの突然の動きにエリアとターニアが肩を震わせるが、もちろんそんなことは気にしない。
スコールの真意がどうあるにせよ、現状がスコールの想定外に動いていることは間違いなかった。
サックスが出て行き、事情を全く知らない仲間が二人も出て行った。
あまつさえ、重要な連絡手段であるひそひ草まで奪われてしまった
完全に自分の失態だ。
本来ならば一刻も早くサックス達に追いつき、自分自身で名誉挽回するところだが……。
ターニアを見た。今はもういない、イルの妹だ。
次にエリアを見、傷つき眠っているマッシュを見た。

自分までもがここを離れるわけには、いかない。
手薄になったこの場を守り、スコール達の帰りを待つ。

そこにはロマンもヒロイズムも何もなく、ある種の責任だけがあった。
慣れない荷物を背負い、サイファーは重い気分で空を見る。
水色が、どこまでも広がっていた。

444:Too Late 4/4
08/04/06 06:51:28 VIE8HGtr0
【ターニア(血への恐怖を若干克服。完治はしていない)
 所持品:スタングレネード×4 ちょこザイナ&ちょこソナー
 第一行動方針:スコール達を待つ】
【エリア(体力消耗、下半身を動かしづらい)
 所持品:スパス スタングレネード×2
 第一行動方針:スコール達を待つ
 基本行動方針:仲間と一緒に行動】
【バッツ(HP3/5 左足負傷、魔力0、アビリティ:うたう)
 所持品:アポロンのハープ アイスブランド うさぎのしっぽ 静寂の玉 ティナの魔石(崩壊寸前)
 第一行動方針:スコール達を待つ
 基本行動方針:『みんな』で生き残る、誰も死なせない】
【サイファー(右足軽傷)
 所持品:破邪の剣、G.F.ケルベロス(召喚不能) 白マテリア 正宗 天使のレオタード ケフカのメモ、猛毒入りポーション
 マッシュの支給品袋(ナイトオブタマネギ(レベル3) モップ(FF7) バーバラの首輪)
 レオの支給品袋(アルテマソード 鉄の盾 果物ナイフ 君主の聖衣 鍛冶セット 光の鎧)
 スコールの支給品袋(吹雪の剣、ガイアの剣、ビームライフル、セイブ・ザ・クイーン(FF8)
 貴族の服、オリハルコン(FF3)、炎のリング)】
 第一行動方針:スコール達を待つ
 第二行動方針:ポーションの始末を考える
 第三行動方針:協力者を探す/ロザリーと合流
 基本行動方針:マーダーの撃破(セフィロス、アリーナ、サックス優先)
 最終行動方針:ゲームからの脱出】

445:Too Late +α
08/04/06 06:55:30 VIE8HGtr0
【ソロ(HP3/5 魔力微量)
 所持品:ラミアスの剣(天空の剣) 天空の盾 さざなみの剣
 ジ・アベンジャー(爪) 水のリング 天空の兜
 第一行動方針:スコール達を待つ
 基本行動方針:PKK含むこれ以上の殺人を防ぐ+仲間を探す
※但し、真剣勝負が必要になる局面が来た場合の事は覚悟しつつあり】
【マッシュ(重症、右腕欠損) 所持品:なし】
 第一行動方針:―
 第二行動方針:アーヴァインと緑髪(緑のバンダナ)の男、及びエドガーを探す
 第三行動方針:ゲームを止める】

 共通行動方針:スコール達が帰ってきたら旅の扉に向かう。
共通了解: サックスの危険性についての多少の留意(エリア以外)
【現在位置:ウルの村西の草原(ブオーンが丘そば)】


446:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/04/06 14:30:32 VIE8HGtr0
3レス目修正。

ターニアを見た。今はもういない、イルの妹だ。

ターニアを見た。今はもういない、イザの妹だ。

お願いします。

447:名前が無い@ただの名無しのようだ
08/04/09 21:55:47 0aiHu/d70
保守

448:Guardian Angel 1/12
08/04/10 02:49:32 yFejSYuQ0
それは、禍々しい死の悪夢だった。
剣が、槍が、銃弾が、魔の光が―次々に襲い掛かってくる。
胸が貫かれ、頭が潰れ、撃ち抜かれた身体を、心臓を砕かれる。
自分の知る顔が紅く血に染まり、断末魔の悲鳴を上げる。

やめろ! やめろ……もうやめてくれ!

何度も叫ぼうとするが、声が出ない。指一本動かない。
ただ……見る事しかできない。
血塗れの腕が全身に纏わり付き、耐え難い恐怖がルカを襲う。
その痛みが、悲しみが、怒りが……身体を、魂を引き裂こうとする。

諦めろ……俺に何ができるというんだ……
動けもしない……戦う術も持たない俺が…たった一人で何ができる……

苦痛に疲れ果て、耳の奥でもう一人の自分が囁く。
息ができない。胸が詰まる。幾度となく気が遠くなる。

諦めれば楽になる……何もできないなら…いっそ……

どす黒い闇の中に、意識が呑み込まれていく。
引きずり込まれる……
そう思った……その時……

―ルカ―

誰かが、自分の名を呼んだ。

449:Guardian Angel 2/12
08/04/10 02:50:59 yFejSYuQ0
―ルカ――ルカ―――ルカ―――

何度も、何度も、呼ぶ声が聞こえる。

誰かが…呼んでる……俺を待ってる…………
俺は……一人じゃない……!

その思いが、ルカの正気を呼び覚ました。
「…い……いやだ……死ぬもんか!」
喉から絞り出すように、掠れた声でルカは叫んだ。
「ぜ…絶対に死ぬもんか……みんなの為にも……俺は死なない!
 どんなに…辛くたって…苦しくたって……俺は生きる…生きるんだ!」
身の震えを堪え、目の前の悪夢と対峙する。
「……消えろ…消えろ! 幻め! 俺は…もう迷わない!
 俺は……俺は…………絶対に諦めない!!」

突然、闇に亀裂が入り、ガラスのように砕け散る。
幾筋もの光の束がルカに差し込み、潮が引くように縛めが消えていく。
闇の欠片は、いつしか純白の羽根となって降り注ぐ。
白い光の中に……背に翼をはためかせ、長い髪を靡かせた人影が浮かぶ。
「…………天使?」
ルカの呼び掛けに、「天使」は悪戯っぽく、それでいて淋しそうに微笑み、
やがて宙に溶けるように消えていった。

450:Guardian Angel 3/12
08/04/10 02:52:07 yFejSYuQ0
全力で駆け続けた足は鉛のように重く、肺は今にも焼けそうに熱かった。
だが、アンジェロは留まる事なく進み続けた。
森へ入ってから程なく、アンジェロの鼻は尋常ではない異臭を捉えていた。
この近くで何か異変―恐らくは戦闘―があった事だけは間違いない。
キナ臭い、焼け焦げたような匂い、それに混じる血の匂いが、段々と濃くなっていく。
それが、自分の知る人物のものである事を……人間の数万倍もの嗅覚が、嫌と言う程伝えてくる。
『ハッサン……!』
この様子では、ハッサンの命はもう絶望的かもしれない、とアンジェロの本能が告げていた。
そして、恐らくはルカも無事ではいまい、とも。
『…ルカ……ルカ! 答えて! ルカ……!』
何度となく、心の中で叫び続けたが、ルカの返事はない。
『……お願い…答えてルカ……! ……ハッサン……!』
それでも、呼び続けずにはいられなかった。
そうしていなければ、絶望感で押し潰されそうだった。
『……ルカ……ハッサン…………』
極度の緊張と疲労に足元がふらつき、今にも崩れ落ちそうになった時……
ふと、風向きが変わった。
風は、異臭の中に混じる、微かなルカの存在を伝えてくる。
『……ルカ!』
アンジェロは力を振り絞り、懸命に匂いの糸を手繰っていった。

451:Guardian Angel 4/12
08/04/10 02:53:11 yFejSYuQ0
やがてアンジェロは、倒れた木々の間に横たわっているルカの姿を見つけた。
『ルカ!』
アンジェロは倒木をくぐり抜け、ルカの傍まで駆け寄った。
顔の近くに耳を寄せると呼吸音がし、胸のあたりが微かに上下している。
生きている。
『よかった……』
顔や手足に細かい傷はあるが、特に大きな外傷はない。
しかし油断はできない。骨折したり頭を打ったりしているかもしれない。
アンジェロは鼻面をルカの体に押し付け、異常はないか探った。
腕から手の甲をまさぐった時、ふと……こつん、と固い違和感を感じた。
それは、ルカの素朴で小さな手には不似合いな、大きな宝石を嵌め込んだ指輪だった。
『…………指輪?』
アンジェロの脳裏に不吉なものが過る。
ルカは指輪なんかしていなかった。指輪……指輪をしていたのは…………
それに思い至った時、アンジェロの総身の毛が逆立ち、咄嗟に後ろへ飛び退いていた。
『何故?! どうして……ルカがこんな物を?!』
紛れもなく、ハッサンを苦しめていた呪いの指輪だった。
その指輪が外れる時、それは、呪いが解けるか、指ごと切り離すか、もしくは……
あちこちの木の幹に、異臭を放つ、どす黒い、べたべたしたものがこびり着いている。
変色した人間の血脂……焼けた肉片……無残な死の痕跡……
『……ハッサン…………!!』
アンジェロは目眩を覚えてうずくまり、震えながら低く呻いた。

452:Guardian Angel 5/12
08/04/10 02:54:26 yFejSYuQ0
『……アン…ジェ…………アンジェ…ロ……?』
不意に「声」が聞こえ、アンジェロはハッとルカの方を見た。
いつの間にか、ルカが目を覚ましていた。
『……ルカ』
『どうして……君は…スコールさんの所に行ったんじゃ……』
ルカは首だけをこちらへ向け、不思議そうな顔をしている。
『……スコールには会ったわ』
『だったら……何で……』
ウルへ向かったスコールには、緑髪の男―ヘンリーを見張れ、と言われていた。
だが、アンジェロはそれを守らず、スコールが戻るのを待てなかった。
それは……
『ウルの近くであの男と……サックスと会ったの』
『サックス……?!』
『ええ……あの男から血の匂いが…ハッサンの匂いがしたわ』
『…………』
ルカは唇を噛み締め、瞳を伏せた。
『やっぱり……そうなのね?! ハッサンを殺したのは……
 あなたをこんな目に合わせたのは……サックスという男なのね?!』
『…………』
暫し、沈黙があった。
だが、やがてルカは、決心したように口を開いた。
『そうだよ……ハッさんを殺したのは…サックスだ……
 けど……そうさせてしまったのは…俺なんだ……俺のせいなんだ……』

453:Guardian Angel 6/12
08/04/10 03:07:20 yFejSYuQ0
ルカは包み隠さず、アンジェロと別れた後の事を話した。
『……全て自分のおかげだって…自分が操ってんだって…思い上がる事……
 モンスターマスターが…一番しちゃいけない事なんだ……なのに……』
ハッサンとの口論、後悔、そして死の爆発。
追ってきたサックスとの死闘、窮地を救った不思議なイメージ、
何故、指輪が自分の指にあるのかも……
ルカが現在もなお生きているのは、この指輪のおかげだった。
そして、跡形もなく吹き飛んだハッサンが、唯一残した形見もこの指輪だけだった。
『……皮肉ね』
その代償に、ルカは常に死と紙一重の場所に居なければならない。
考え方によっては、大怪我を負うよりも酷い状態なのかもしれない。
『サックスは…素知らぬ顔でウルへ行ったわ……あそこがあいつの故郷だって……』
今度は、アンジェロがスコールに会った後の事を語った。
スコールとエリアのひそひ草での対話、そこから知ったウルの惨状、
目覚めたヘンリーと、サックスの会話……
『……サックスは…まだ繰り返すつもりなんだ……』

―確かに俺はこの男を殺そうとした。だが、それはこいつが殺人者だからだ―
―仲間のフリをして、隙を見て怪我をさせたり、子供を一人刺し殺したそうだな―
―仲間を装う殺人者はタチが悪い。ヘタに関係を持つとここぞというときに裏切られる―

そう言って、カインはサックスを殺そうとした。
自分達を騙していたと分かった以上、今更カインの事を信用する事はできないが、
あれは本当の事を言っていたのだ、と確信せざるを得ない。
あの時、自分がカインを止めていなければ、後々の悲劇は食い止められたかもしれない。
だが、目の前で人が殺されるのを、平然と見ていられただろうか……

454:Guardian Angel 7/12
08/04/10 03:09:25 yFejSYuQ0
『ウルへ行かなきゃ……』
『……行ってどうするの? 見つかったら今度こそ終わりなのよ?!』
『でも……カズスへは戻れない…………あいつの槍を見ただろ?』
『ええ、あの奇妙な槍ね』
『あいつは…武器なんか持ってなかった……全部取り上げられてたんだ……
 それに……あの変な槍を持っていたのは…確かもう一人の……』
『フリオニール…………じゃあ、あいつはカイン達も欺いたって事?!』
ルカは微かに頷いた。
サックスという男は、思った以上に策士かもしれない、とアンジェロは内心呆れ返った。
『だから…あいつを止めなきゃ……今度はウルのみんなが危ない……
 ……俺は…あいつが許せない……ハッさんを殺したからってだけじゃない……
 自分が不幸だからって…他人も不幸にしていいはずなんかないんだ……!』
『あなた…まさか、あいつと刺し違えるつもりなの?!』
ルカは、今度は首を横に振った。
『俺は死なない……あいつを殺すつもりはない……動けなくするだけでいいんだ……
 あいつを倒しても…仇を討った事にはならない……倒さなきゃいけないのは……
 ……………………?!』

突如、木々がザワザワと揺れ、ゴゴゴゴゴと地鳴りが響いた。
『夜明けが……!』
見上げた空は、朝焼けに血のように紅く染まっていた。

455:Guardian Angel 8/12
08/04/10 03:11:11 yFejSYuQ0
「くっ……う!」
躍動する地面の上で、ルカの身体が壊れた人形のように跳ねる。
『ルカ!』
『……大丈夫……だから…もっと離れて!』
覚悟はできていた。だが、何が爆発を誘うか分らない。
それにアンジェロを巻き込む訳にはいかなかった。
アンジェロは言われるままに、更に二、三歩飛び下がる。

―二度目の夜明けだ……―

暁の空に、死を告げる魔女の姿が浮かぶ。
『アルティミシア……!』
アンジェロが牙を剥き、憎悪の唸りを上げる。
ルカは目を見張り、拳を精一杯握り締めた。

―『テリー』―

一瞬、高鳴る鼓動が凍りつく。
いや、テリーは二人いる。俺の知ってる方とは限らないじゃないか……
でも……まさか……でも……そうだとしたら………………

―『わたぼう』―『イザ』――

何で君までいなくなるんだ……おかしいよ……こんなのおかしいよ……
どうして……仲間と一緒じゃなかったの? また会うんじゃなかったの?

―――『ハッサン』―――

覚悟はできていた。できていたが……
その痛みに、悲しみに、怒りに……身体の震えが止まらない。
だめだ! 耐えろ! 耐えるんだ! 負けるもんか! お前なんかに……!
ルカは懸命に歯を食い縛り、魔女の顔を睨み付けた。

456:Guardian Angel 9/12
08/04/10 03:13:20 yFejSYuQ0
『ゼル……ですって?! リノアとスコールだけじゃなかったの?!』
知る人の名に、アンジェロも少なからず衝撃を受けていた。
だとすれば、他にも、アーヴァインや…あまり会いたくはないが…サイファーも……
『あの女、一体何を企んでるの……?』
ただの復讐にしては手が込み過ぎている。
それだけなら、ルカ達のような別の世界の人間を巻き込む必要はない筈だ。
恐らく、そうしなければならない理由があるに違いない。
『どうせ、ロクな理由じゃないでしょうね』
それを確かめ、阻止するために、再びアルティミシアに相対せねばならないだろう。
勿論、アンジェロにとっては、リノアの仇を取りたい、という願いが大部分を占めている。
でも、今のままでは駄目。例え辿り着いても、スコール達の足手纏いになる……
……アンジェロは、ルカの方を見た。

ルカは、もう泣いてはいなかった。
魔女が消えた後も、強い眼差しで上空を見据えていた。
それは、ほんの半日前に見た、ただ嘆き悲しむだけの子供ではなかった。
その姿が、アンジェロを突き動かす。
『急ごう…時間がない……』
やがて、ルカは静かに念じ始めた。
徐々に綿のような雲がルカの身体を覆い、少しづつ宙に浮き始める。
『待って! その前に……あなたにお願いがあるの』
アンジェロは、肚を決めた。
いや、スコールの言い付けに背いた時点で、既に定まっていた事なのかもしれない。
『私を、あなたの「仲間」にしてちょうだい!』

457:Guardian Angel 10/12
08/04/10 03:15:32 yFejSYuQ0
『え……?』
突然のアンジェロの言葉に、ルカは戸惑った。
アンジェロがただの犬ではない、不思議な力を持っている事は分かっていた。
魔物には獣系のものも多い。仲間にする事には何ら支障はない。ただ……
モンスターマスターの仲間になるという事―
それは、能力は勿論、場合によっては命すら委ねる事を意味する。
『アンジェロ…それは……俺が君のマスターになるって事だよ?! それを分かって……』
『ええ。分かってて言ってるのよ!』
アンジェロの澄んだ瞳に迷いはなかった。
ルカから聞いた話を総合すると、モンスターマスターとは魔物の力を引き出し、
自由自在に使いこなす能力を持つ者の事だという。
自分は魔物ではないが、それに類する力は持っている。
リノアと全く同じとはいかなくても、ルカといれば今よりずっとマシに戦えるだろう。
少なくとも、サックス如きに引けを取ることはない筈だ。
『私があなたの手足になる! あなたの代わりに戦う! だから、私を導いてよ、ルカ!』
アンジェロは、ルカの能力に賭けた。
『……アンジェロ』
アンジェロは、亡くなった主人を深く愛している。それは痛い程に伝わってくる。
その絆は、飼主とペットという関係を遥かに超えたものだろう。
しかし、それを抑えてまで、身動き一つさえ困難な自分に付いていこうと言う。
『分かったよ…君を仲間にする……俺に力を貸してくれ「アンジェロ」』
その気持ちに応え、彼女の全てに責任を持つ事。
それがルカの使命だった。

458:Guardian Angel 11/12
08/04/10 03:23:19 yFejSYuQ0
『じゃあ…これを……君にあげるべきだと思うんだ』
ルカは慎重にザックを引き上げ、慎重に中を探った。
慎重に何かを掴み出し、そっと雲の端に置いた。
『なに?』
アンジェロは恐る恐る近付き、雲の上を覗いた。
褐色の丸い形の物がちょこんと乗っている。
『スタミナの種だよ…………本物の』
『え? そんな……あなたこそ使うべきじゃ……』
『俺は…少し寝たから大丈夫……君の方が疲れてるだろ? お食べよ』
『でも……』
『マスターの命令は……』
『……はいはい』
アンジェロはしぶしぶ、雲ごとがぶりと種に齧り付いた。
次の瞬間、うっ、と顰めたような奇妙な表情をする。
『美味しくない?』
『……ドッグフードの方が…よっぽどマシだわ』
こんなに不味いものも珍しい。
だが、こんなに嬉しいものも滅多になかった。
重く感じていた身体が少し軽くなる。また、走って行けそうだった。
『行きましょう、ルカ』
『うん……あいつは…もう扉を見つけたかもしれない……俺達も扉を探そう……
 でも油断するな……作戦は…いつでも「いのちだいじに」だ!』
『分かったわ。付いてきて!』

459:Guardian Angel 12/12
08/04/10 03:28:42 yFejSYuQ0
ルカに先導して、アンジェロは走り始めた。なるべく直進できる進路を選ぶ。
その後を、滑るようにルカの雲が追う。
他人を乗せるのではなく、自分が乗るのだからある程度の加減は効く。
だが、少しでも無理をしようと焦ると、身体の節々に痛みが走る。
ルカは思わず、抱えたザックと、懐に入れたウインチェスターを握り締めた。
……ふと、その指に光る指輪が目に入る。絶望と希望が交差する光。

ハッさん、それでも俺は生きるよ。
もし、テリーがいなくなっていたら尚更……生き残らなきゃならない。
俺は、生きて必ずマルタに戻る。今よりも強くなって、絶対に星降りの大会で優勝する。
そして願うんだ。みんなが生き返って、元の世界で暮らせるように。
それまで待っててよ。その時は、ちゃんと謝るから……

『もうすぐ森を出るわ! あとちょっとの辛抱よ!』
アンジェロの纏った薄いローブが、風を孕んで大きく翻る。
まるで、羽ばたく天使の翼のように。


【ルカ (HP1/20以下、全身に打撲傷)
 所持品:ウインチェスター+マテリア(みやぶる)(あやつる) シルバートレイ
 満月草 山彦草 雑草 説明書(草類はあるとしてもあと三種類)
 E:爆発の指輪(呪)
 第一行動方針:ウルへ向かい、旅の扉を探す
 第二行動方針:サックスの後を追う
 最終行動方針:生き延びて故郷に帰る】
【アンジェロ
 所持品:風のローブ
 第一行動方針:ルカと共にウルへ向かう
 基本行動方針:ルカの身を守り、戦う】

【現在位置:ウル南の森→ウル南方の草原地帯へ】
※ルカはトンベリ=トンヌラだと認識していません。

460:変更するレス
08/04/12 00:42:43 IxWaH9Km0
+ジョブチェンジについて+
・ジョブチェンジは精神統一と一定の時間が必要。
 X-2のキャラのみ戦闘中でもジョブチェンジ可能。
 ただし、X-2のスペシャルドレスは、対応するスフィアがない限り使用不可。
 その他の使用可能ジョブの範囲は書き手の判断と意図に任せます。

+GF継承に関するルール+
「1つの絶対的なルールを設定してそれ以外は認めない」ってより
「いくつかある条件のどれかに当てはまって、それなりに説得力があればいいんじゃね」
って感じである程度アバウト。
例:
・遺品を回収するとくっついてくるかもしれないね
・ある程度の時間、遺体の傍にいるといつの間にか移ってることもあるかもね
・GF所持者を殺害すると、ゲットできるかもしれないね
・GF所持者が即死でなくて、近親者とか守りたい人が近くにいれば、その人に移ることもあるかもね
・GFの知識があり、かつ魔力的なカンを持つ人物なら、自発的に発見&回収できるかもしれないね
・FF8キャラは無条件で発見&回収できるよ

+戦場となる舞台について+
・このバトルロワイアルの舞台は日毎に変更される。
・毎日日の出時になると、参加者を新たなる舞台へと移動させるための『旅の扉』が現れる。
・旅の扉は複数現れ、その出現場所はランダムになっている。
・旅の扉が出現してから2時間以内に次の舞台へと移らないと、首輪が爆発して死に至る。

現在の舞台は浮遊大陸(FF3)
URLリンク(www.thefinalfantasy.com)
次の舞台は闇の世界(DQ4)
URLリンク(ffdqbr.hp.infoseek.co.jp)


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