08/03/03 18:53:54 AV7JrA1v0
消えていく魔女の姿をじっと見上げながら、どこかこのイベントに馴れつつあることを自覚する。
近寄ることを制限されている―これが同盟と言うなら、何と奇妙な同盟か―ロザリーを探すと、
今にも泣き出しそうな表情でうつむいていた。
私はイザという名の男を自分の手で殺したことを思い出し、たとえザンデに制限されていなくとも
今の自分にはロザリーに掛ける言葉が見当たらない事実を奥歯で噛み潰した。
長身のザンデが身をかがめるようにして、何事かをロザリーに囁いている。
なお泣き出しそうでありながらどこか強い決意を秘めているように変化したロザリーの様子を見ていると
自分がその役目を担えないことにどうしようもない苛立ちに襲われた。
ああまったく一体、私は何をしているのか。
ザンデに与えられた距離は、はからずも私自身について見つめなおす契機となっている。
自分のうちで、ロザリーが占める比重が大きくなりすぎている気がする。
特に自分の手が届く範囲になってからはすべての行動の中心にしつつあるような。
ケフカにいたってはそのあたりを敏感に嗅ぎ付けて嘲っているに違いない。
「行くぞ、ピサロよ。何をしている?」
ザンデに呼びかけられて思いにふけっていた私は現実に戻される。
向けた視線で期せずロザリーと目が合ったが―逸らされた。
しばらくは、仕方のないことだと思うほか無いだろう。