FFDQバトルロワイアル3rd PART12at FF
FFDQバトルロワイアル3rd PART12 - 暇つぶし2ch1:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/05/15 20:58:28 Bri/MHP50
━━━説明━━━
こちらはDQ・FF世界でバトルロワイアルが開催されたら?
というテーマの参加型リレー小説スレッドです。

参加資格は全員、
全てのレスは、スレ冒頭にあるルールとここまでのストーリー上
破綻の無い展開である限りは、原則として受け入れられます。

作品に対する物言い、感想は感想スレで行ってください。
sage進行でお願いします。
詳しい説明は>>2-10…ぐらい。

感想スレ
スレリンク(ff板)
過去スレ
スレリンク(ff板) PART1
スレリンク(ff板) PART2
スレリンク(ff板) PART3
スレリンク(ff板) PART4
スレリンク(ff板) PART5
スレリンク(ff板) PART6
スレリンク(ff板) PART7
スレリンク(ff板) PART8
スレリンク(ff板) PART9
スレリンク(ff板) PART10
スレリンク(ff板) PART11

2:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/05/15 20:59:29 Bri/MHP50
+基本ルール+
・参加者全員に、最後の一人になるまで殺し合いをしてもらう。
・参加者全員には、<ザック><地図・方位磁針><食料・水><着火器具・携帯ランタン><参加者名簿>が支給される。
 また、ランダムで選ばれた<武器>が1つから3つ、渡される。
 <ザック>は特殊なモノで、人間以外ならどんな大きなものでも入れることが出来る。(FFUのポシェポケみたいなもの)
・生存者が一名になった時点で、主催者が待っている場所への旅の扉が現れる。この旅の扉には時間制限はない。
・日没&日の出の一日二回に、それまでの死亡者が発表される。

+首輪関連+
・参加者には生存判定用のセンサーがついた『首輪』が付けられる。
 この首輪には爆弾が内蔵されており、着用者が禁止された行動を取る、
 または運営者が遠隔操作型の手動起爆装置を押すことで爆破される。
・24時間以内に死亡者が一人も出なかった場合、全員の首輪が爆発する。
・放送時に発表される『禁止技』を使ってしまうと、爆発する。
・日の出放送時に現れる『旅の扉』を二時間以内に通らなかった場合も、爆発する。
・無理に外そうとしたり、首輪を外そうとしたことが運営側にバレても(盗聴されても)爆発する。
・なお、どんな魔法や爆発に巻き込まれようと、誘爆は絶対にしない。
・たとえ首輪を外しても会場からは脱出できないし、禁止魔法が使えるようにもならない。

+魔法・技に関して+
・MPを消費する=疲れる。
・全体魔法の攻撃範囲は、術者の視野内にいる敵と判断された人物。
・回復魔法は効力が半減します。召喚魔法は魔石やマテリアがないと使用不可。
・初期で禁止されている魔法・特技は「ラナルータ」
・それ以外の魔法威力や効果時間、キャラの習得魔法などは書き手の判断と意図に任せます。


3:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/05/15 21:01:00 Bri/MHP50
+ジョブチェンジについて+
・ジョブチェンジは精神統一と一定の時間が必要。
 X-2のキャラのみ戦闘中でもジョブチェンジ可能。
 ただし、X-2のスペシャルドレスは、対応するスフィアがない限り使用不可。
 その他の使用可能ジョブの範囲は書き手の判断と意図に任せます。

+GF継承に関するルール+
「1つの絶対的なルールを設定してそれ以外は認めない」ってより
「いくつかある条件のどれかに当てはまって、それなりに説得力があればいいんじゃね」
って感じである程度アバウト。
例:
・遺品を回収するとくっついてくるかもしれないね
・ある程度の時間、遺体の傍にいるといつの間にか移ってることもあるかもね
・GF所持者を殺害すると、ゲットできるかもしれないね
・GF所持者が即死でなくて、近親者とか守りたい人が近くにいれば、その人に移ることもあるかもね
・GFの知識があり、かつ魔力的なカンを持つ人物なら、自発的に発見&回収できるかもしれないね
・FF8キャラは無条件で発見&回収できるよ

+戦場となる舞台について+
・このバトルロワイヤルの舞台は日毎に変更される。
・毎日日の出時になると、参加者を新たなる舞台へと移動させるための『旅の扉』が現れる。
・旅の扉は複数現れ、その出現場所はランダムになっている。
・旅の扉が出現してから2時間以内に次の舞台へと移らないと、首輪が爆発して死に至る。

現在の舞台は浮遊大陸(FF3)
URLリンク(www.thefinalfantasy.com)

4:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/05/15 21:01:41 Bri/MHP50
書き手の心得その1(心構え)
・この物語はリレー小説です。
 みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
・知らないキャラを書くときは、綿密な下調べをしてください。
 二次創作で口調や言動に違和感を感じるのは致命的です。
・みんなの迷惑にならないように、連投規制にひっかかりそうであれば保管庫にうpしてください。
・自信がなかったら先に保管庫にうpしてください。
 爆弾でも本スレにうpされた時より楽です。
・本スレにUPされてない保管庫の作品は、続きを書かないようにしてください。
・本スレにUPされた作品は、原則的に修正は禁止です。うpする前に推敲してください。
・巧い文章はではなく、キャラへの愛情と物語への情熱をもって、自分のもてる力すべてをふり絞って書け!
・叩かれても泣かない。
・来るのが辛いだろうけど、ものいいがついたらできる限り顔を出す事。
 できれば自分で弁解なり無効宣言して欲しいです。

5:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/05/15 21:02:56 Bri/MHP50
書き手の心得その2(実際に書いてみる)
・…を使うのが基本です。・・・や...はお勧めしません。また、リズムを崩すので多用は禁物。
・適切なところに句読点をうちましょう。特に文末は油断しているとつけわすれが多いです。
 ただし、かぎかっこ「 」の文末にはつけなくてよいようです。
・適切なところで改行をしましょう。
 改行のしすぎは文のリズムを崩しますが、ないと読みづらかったり、煩雑な印象を与えます。
・かぎかっこ「 」などの間は、二行目、三行目など、冒頭にスペースをあけてください。
・人物背景はできるだけ把握しておく事。
・過去ログ、マップはできるだけよんでおくこと。
 特に自分の書くキャラの位置、周辺の情報は絶対にチェックしてください。
・一人称と三人称は区別してください。
・極力ご都合主義にならないよう配慮してください。露骨にやられると萎えます。
・「なぜ、どうしてこうなったのか」をはっきりとさせましょう。
・状況はきちんと描写することが大切です。また、会話の連続は控えたほうが吉。
 ひとつの基準として、内容の多い会話は3つ以上連続させないなど。
・フラグは大事にする事。キャラの持ち味を殺さないように。ベタすぎる展開は避けてください。
・ライトノベルのような萌え要素などは両刃の剣。
・位置は誰にでもわかるよう、明確に書きましょう。

6:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/05/15 21:04:40 Bri/MHP50
書き手の心得3(一歩踏み込んでみる)
・経過時間はできるだけ『多め』に見ておきましょう。
 自分では駆け足すれば間に合うと思っても、他の人が納得してくれるとは限りません。
 また、ギリギリ進行が何度も続くと、辻褄合わせが大変になってしまいます。
・キャラクターの回復スピードを早めすぎないようにしましょう。
 (今までの話を平均すると、回復魔法使用+半日費やして6~8割といったところです)
・戦闘以外で、出番が多いキャラを何度も動かすのは、できるだけ控えましょう。
 あまり同じキャラばかり動き続けていると、読み手もお腹いっぱいな気分になってきます。
 それに出番の少ないキャラ達が、あなたの愛の手を待っています。
・キャラの現在地や時間軸、凍結中のパートなど、雑談スレには色々な情報があります。
 本スレだけでなく雑談スレにも目を通してね。
・『展開のための展開』はイクナイ(・A・)!
 キャラクターはチェスの駒ではありません、各々の思考や移動経路などをしっかりと考えてあげてください。
・書きあがったら、投下前に一度しっかり見直してみましょう。
 誤字脱字をぐっと減らせるし、話の問題点や矛盾点を見つけることができます。
 一時間以上(理想は半日以上)間を空けてから見返すと一層効果的。


+修正に関して+
・修正(NG)要望は、名前欄か一行目にはっきりとその旨を記述してください。
・NGや修正を申し立てられるのは、
 「明らかな矛盾がある」「設定が違う」「時間の進み方が異常」「明らかに荒らす意図の元に書かれている」
 「雑談スレで決められた事柄に違反している(凍結中パートを勝手に動かす等)」
 以上の要件のうち、一つ以上を満たしている場合のみです。
・批判も意見の一つです。臆せずに言いましょう。
 ただし、上記の修正要望要件を満たしていない場合は
 修正してほしいと主張しても、実際に修正される可能性は0だと思って下さい。
・書き手が批判意見を元に、自主的に修正する事は自由です。

7:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/05/15 21:07:07 Bri/MHP50
+一部作品の設定+
DQ3→神竜撃破後(オルテガ復活&エッチな本回収済み)
DQ4→PS版6章クリア後(ピサロが仲間になり、裏ボスを倒した後)
DQ5→ビアンカと結婚ルート
FF3→FC版準拠、デッシュもエリアも一般人、イングズの変わりにギルダーがいます
FF7→本編クリア直後(AC無関係)
FF10-2→通常エンド後(ティーダ未復活、花畑で幻も見ていないルート)


━━━お願い━━━
※一旦死亡確認表示のなされた死者の復活は認めません。
※新参加者の追加は一切認めません。
※書き込みされる方はCTRL+F(Macならコマンド+F)などで検索し話の前後で混乱がないように配慮してください。
※参加者の死亡があればレス末に、【死亡確認】の表示を行ってください。
※又、武器等の所持アイテム、編成変更、現在位置の表示も極力行ってください。
※人物死亡等の場合アイテムは、基本的にその場に放置となります。
※本スレはレス数500KBを超えると書き込みできなります故。注意してください。
※その他詳細は、雑談スレでの判定で決定されていきます。
※放送を行う際は、雑談スレで宣言してから行うよう、お願いします。
※最低限のマナーは守るようお願いします。マナーは雑談スレでの内容により決定されていきます。
※主催者側がゲームに直接手を出すような話は極力避けるようにしましょう。

したらば URLリンク(jbbs.livedoor.jp)
ロワらじ URLリンク(jbbs.livedoor.jp)
お絵かき掲示板 URLリンク(dog.oekakist.com)

8:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/05/15 21:08:13 Bri/MHP50
■参加者リスト
FF1 4名:ビッケ、ジオ(スーパーモンク)、ガーランド、アルカート(白魔道士)
FF2 6名:フリオニール、マティウス(皇帝)、レオンハルト、マリア、リチャード、ミンウ
FF3 8名:サックス(ナイト)、ギルダー(赤魔道士)、デッシュ、ドーガ、ハイン、エリア、ウネ、ザンデ
FF4 7名:ゴルベーザ、カイン、ギルバート、リディア、セシル、ローザ、エッジ
FF5 7名:ギルガメッシュ、バッツ、レナ、クルル、リヴァイアサンに瞬殺された奴、ギード、ファリス
FF6 12名:ジークフリート、ゴゴ、レオ、リルム、マッシュ、ティナ、エドガー、セリス、ロック、ケフカ、シャドウ、トンベリ
FF7 10名:クラウド、宝条、ケット・シー、ザックス、エアリス、ティファ、セフィロス、バレット、ユフィ、シド
FF8 6名:ゼル、スコール、アーヴァイン、サイファー、リノア、ラグナ
FF9 8名:クジャ、ジタン、ビビ、ベアトリクス、フライヤ、ガーネット、サラマンダー、エーコ
FF10 3名:ティーダ、キノック老師、アーロン
FF10-2 3名:ユウナ、パイン、リュック
FFT 4名:アルガス、ウィーグラフ、ラムザ、アグリアス

DQ1 3名:アレフ(勇者)、ローラ、竜王
DQ2 3名:ロラン(ローレシア王子)、パウロ(サマルトリア王子)、ムース(ムーンブルク王女)
DQ3 6名:オルテガ、アルス(男勇者)、セージ(男賢者)、フルート(女僧侶)、ローグ(男盗賊)、カンダタ
DQ4 9名:ソロ(男勇者)、ブライ、ピサロ、アリーナ、シンシア、ミネア、ライアン、トルネコ、ロザリー
DQ5 15名:ヘンリー、ピピン、リュカ(主人公)、パパス、サンチョ、ブオーン、デール、レックス(王子)、タバサ(王女)、
        ビアンカ、はぐりん、ピエール、マリア、ゲマ、プサン
DQ6 11名:テリー、ミレーユ、イザ(主人公)、サリィ、クリムト、デュラン、ハッサン、バーバラ、ターニア、アモス、ランド
DQ7 5名:主人公フィン、マリベル、アイラ、キーファ、メルビン
DQM 5名:わたぼう、ルカ、イル、テリー、わるぼう
DQCH 4名:イクサス、スミス、マチュア、ドルバ

9:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/05/15 21:09:29 Bri/MHP50
生存者リスト

FF1 0/4名:(全滅)
FF2 1/6名:マティウス
FF3 4/8名:サックス、エリア、ウネ、ザンデ
FF4 1/7名:カイン
FF5 3/7名:バッツ、ギルガメッシュ、ギード
FF6 4/12名:ロック、マッシュ、リルム、ケフカ
FF7 2/10名:ザックス、セフィロス
FF8 3/6名:スコール、アーヴァイン、サイファー
FF9 3/8名:ジタン、ビビ、サラマンダー
FF10 1/3名:ティーダ
FF10-2 2/3名:ユウナ、リュック
FFT 3/4名:ラムザ、アルガス、ウィーグラフ

DQ1 0/3名:(全滅)
DQ2 0/3名:(全滅)
DQ3 2/6名:アルス、セージ
DQ4 5/9名:ソロ、アリーナ、ライアン、ロザリー、ピサロ
DQ5 5/15名:タバサ、パパス、ヘンリー、プサン、ブオーン
DQ6 2/11名:クリムト、ターニア
DQ7 1/5名:フィン
DQM 2/5名:テリー、ルカ
DQCH 1/4名:スミス

FF 27/78名 DQ 18/61名
計 45/139名

10:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/05/15 21:11:28 Bri/MHP50
■現在までの死亡者状況
ゲーム開始前(1人)
「マリア(FF2)」

アリアハン朝~日没(31人)
「ブライ」「カンダタ」「アモス」「ローラ」「イル」
「クルル」「キノック老師」「ビッケ」「ガーネット」「ピピン」
「トルネコ」「ゲマ」「バレット」「ミンウ」「アーロン」
「竜王」「宝条」「ローザ」「サンチョ」「ジークフリート」
「ムース」「シャドウ」「リヴァイアサンに瞬殺された奴」「リチャード」「ティナ」
「ガーランド」「セシル」「マチュア」「ジオ」「エアリス」「マリベル」

アリアハン夜~夜明け(20人)
「アレフ」「ゴルベーザ」「デュラン」「メルビン」「ミレーユ」
「ラグナ」「エーコ」「マリア(DQ5)」「ギルバート」「パイン」
「ハイン」「セリス」「クラウド」「レックス」「キーファ」
「パウロ」「アルカート」「ケット・シー」「リディア」「ミネア」

アリアハン朝~終了(6人)
「アイラ」「デッシュ」「ランド」「サリィ」「わるぼう」「ベアトリクス」

浮遊大陸朝~ (21人)
「フライヤ」「レオ」「ティファ」「ドルバ」「ビアンカ」「ギルダー」
「はぐりん」「クジャ」「イクサス」「リノア」「アグリアス」
「ロラン」「バーバラ」「シンシア」「ローグ」「シド」「ファリス」
「エッジ」「フルート」「ドーガ」「デール」

浮遊大陸夜~夜明け(15+1人)
「テリー(DQ6)」「トンベリ」「ゼル」「レオンハルト」「ゴゴ」
「アリーナ2」「わたぼう」「レナ」「エドガー」「イザ」「オルテガ」
「フリオニール」「ユフィ」「リュカ」「ピエール」「ハッサン」

11:変なところにリンク入れてしまった
07/05/15 21:13:03 Bri/MHP50
■その他
FFDQバトルロワイアル3rd 編集サイト
URLリンク(www.geocities.jp)
FFDQバトルロワイアル3rd 旧まとめサイト
URLリンク(www.geocities.jp)
1stまとめサイト
URLリンク(exa.to)
1st&2ndまとめサイト
URLリンク(ffdqbr.hp.infoseek.co.jp)
番外編まとめサイト
URLリンク(ffdqbr.fc2web.com)
保管庫
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)
したらば
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)
あなたは しにました(FFDQロワ3rd死者の雑談ネタスレ)
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)
ロワらじ
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)
お絵かき掲示板
URLリンク(dog.oekakist.com)

現在の舞台は浮遊大陸(FF3)
URLリンク(ffdqbr.hp.infoseek.co.jp)
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)(参考にどうぞ)

12:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/05/15 21:16:13 Bri/MHP50
1stまとめサイトはリンク切れしてた。こっちかな。

1stまとめサイト
URLリンク(www.parabox.or.jp)


13:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/05/15 21:21:48 4fApcM/N0
>>1
ま乙ぃうす

14:償い方2 1/8
07/05/16 19:51:12 vIv4khgu0

背を向けて、ジタンが壁際に引き下がっていく。
プサンは寝息を立てているフィンの様子を少し眺めて、改めて部屋の真ん中のほうへと向き直った。
視界のそれぞれの端にジタンの背中とセージの顔が映る。
少しの間、室内に沈黙が漂う。
プサンは監視対象に意識を向け、その気配が城の北で停止したままであることを確認した。
「やっぱり強引にでも攻めた方がいい」
ぴくりと尻尾を揺らし、振り向いたジタンが叫んだ。
「だから作戦を考えるほうが先だって、ジタン。僕の話聞いてる?」
うんざりした表情で、セージが言い返す。
二人の作戦会議は、強襲を主張するジタンと反対するセージの平行線。
上手い方法を見つけられないまま停滞していた。
「正面からじゃダメなんだ。僕らが姿を見せたら事態は悪化するだけ。
 君は焦っているんじゃないのかな?」
表面には出さないものの、プサンは心中で同意する。
城の北を選んだリュカは動くことは望んでいない、まだ考える時間はある。
何より彼らを直接知るプサンは、あのピエールがリュカへの忠誠を自ら覆してみせるなどということに疑いをもっていた。
リュカがいればピエールは押さえつけていられるのではないか。
それは魔物使いと仲間との間に存在する関係への信頼と言い換えてよかった。
おかげで排除を前提とする二人と異なり、プサンはピエールの説得を第一の手段として考えていた。
必要なのは条件であり、首輪のこと、脱出を目指す仲間との連帯のこと、ドラゴンオーブのことだ。
可能性が大きくなるほど希望のもつ求心力は強くなるのだから。
「動き出す前に叩かなけりゃ意味はない、そうだろ?
 向こうに行動のチャンスを与えず、こっちが一方的に動く。作戦だって……考えた」
強い口調でジタンがそう言い、プサンの思考は中断する。
依然、監視対象に変化はない。




15:償い方2 2/8
07/05/16 19:53:36 vIv4khgu0

しっかりとこちらを見つめ返す強い視線がジタンを刺した。
「へえ、どんな作戦?」
その主が、軽さを含んだいつもの口調で問い返す。
一応は聞くという感じが滲み出たその響きにも、ジタンは淡々と話を進めた。
「…セージ、お前は魔法……じゃなくて呪文、が得意だって言ったよな? 賢者だっけ」
「そうだね、頼ってくれてもいいよ。肉弾戦は当てにしないで欲しいけど」
「いろいろできるんだよな?」
「回復・攻撃・補助、大抵の事はできるよ。それが君の作戦に関係あるの?」
「ああ、あるぜ。いいか、作戦はこうだ。
 まず不意打ち、セージの呪文で全員の動きを止める。
 その瞬間、俺が突撃してピエールを仕留める。ま、単純といや単純だな」
即座に却下とでも言われるかとも思ったが、セージは腕を組み、目を閉じ、しばし思案する。
「全員?」
「全員さ。そうでなきゃ乱戦覚悟。最悪だな」
「待ってくれよ、リュカも? タバサも? それを僕にやれって?」
「ああ、そう言ってる。できるんだな?」
乾いたいい音を残して、ハリセンが鋭く壁に炸裂。その音が冗談じゃない、と代弁した気がした。
当然の反応だと思いながら、ジタンは次の言葉を待つ。
「本気で言ってる? どう思われるかも予想しなかった? 僕が賛成するって思った?」
「できるんだな。時間が、無いんだ」
セージは多少変わり者だが、冷静な判断力も発想力もあると短い間に確かに感じた。
その言い返してくる態度に作ったのではない感情の高まりが微かにある。
ジタンは、セージが突き当たっている思考の枷の正体が自分の予測どおりだと確信した。
一度視線を外し、会話に加わらず成り行きを興味深げに眺めているプサンをちらりと見る。
変化なし、を意味するようにはたはたと手がふられたのを二人で確認する。
「時間がない、それは正しい。でも、だからって無謀が許されるわけじゃない」
「ほかに名案は浮かんだかい?」
流暢なセージの口振りがそれは、までで中断する。
そこで代案が出てくるくらいならこんな提案はしない。黙るのも、当然だ。

16:償い方2 3/8
07/05/16 19:56:55 vIv4khgu0
単刀直入に切り込む。
「なぁセージ。そんなにあの二人に悪く思われるのがイヤなのか?」
流石に表情は変わらなかった。けれど、この場合無言は肯定ととってもいいだろう。
「無謀って言ったな。けど時間も手段も限られたこの状況で賭けじゃない方法なんてあるか。
 お前は失敗を怖がり過ぎてる。んで、その理由は二人とやりあう結果になりたくないからだ。
 それを避けようって考えるとこちらからのアプローチはほとんど手詰まり、いいアイデアなんて浮かばない。
 図星だろ」
やっぱりセージの表情は変わらず、無言のままだ。図星なのだろう。
賭けに出るしかないことを理解させるつもりで、追い討つ。
「断言してやる。向こうが止まってる間にピエールとリュカを引き剥がすのは無理だ」
冷静を装っていたセージの表情が不快感に歪んだ。
実際、返ってきた声には反発する感情が十分に乗っていた。
「どうして君にそう言い切れる?」
「できるさ。俺には今のリュカの気持ち、大体分かるからな」
朝に見た、クジャの優しげな笑顔がふと脳裏に浮かんだ。
目の前では不快さを顔に貼り付けたまま、再びセージが口を噤んでいた。
「クジャって名前、聞き覚えあるかい? 俺の兄弟なんだ」
それからジタンは、静かにクジャの話を始めた。




17:償い方2 4/8
07/05/16 20:01:30 vIv4khgu0

確かに図星だと思った。
ジタンの作戦にはまったく好感を持てないが、自分の思考が嵌っていたことは言い当てられた。
何をどう考えても、今のリュカがピエールを一人にするはずがない。
その強固な予測を何とか崩そうと挑んで、セージの思考は停止していたのだ。
今はただ、リュカの気持ちなんてものを分かると言い切ったジタンへの反発を抱えたまま黙って話を聞いていた。
深夜の静けさが急に深くなった気がする部屋で、ジタンは淡々と語る。
クジャという男についてアリアハンで彼が尽くした破壊の数々のこと、そして今朝方のこと。
「瀕死のあいつを見たとき、俺はどうしようもなく助けてやりたくなった。
 理由なんて、ない。……言葉じゃ、上手く表せないんだ。
 いつの間にか、泣いてたよ。泣きながら、リュカに見逃してくれるよう頼んでた。
 そんでさ、リュカは殺したいくらいに憎いだろうあいつを見逃すばかりか回復までしてくれた。
 次は容赦しないって言われたけどな」
兄弟の情というヤツだろうか。頭では理解できるが、共感はできない。
セージは何人かの顔を思い浮かべたが、自分がジタンの側に立つ場面が想像できなかった。
自分だったら動かずリュカの判断に任せるか、身内こそ自分の手でかたを付けるかのどちらかを選ぶだろう。
「今のリュカさんがそのときの君と同じだって言うのかい?」
言ったあとで、違う、と心で付け加えた。
リュカは騙されて爆弾を抱え込まされている。そういう思いが強い。
ジタンは曖昧に笑い、問いかけに答えずに続けた。
「あの時、俺はクジャのしたことが分かってたのに、そうした。
 おかしいんだ。キーファが倒れたとき、確かに俺はあいつを殺そうと決意したのに。
 なのにさあ、弱った姿を見たら変わっちまった。
 希望を捨てられない、できる限り同じ道をいっしょに歩きたい、そういう関係ってのは、あるんだ。
 ……俺とクジャがそうだったように、リュカとピエールもそうなんだと思う」

18:償い方2 5/8
07/05/16 20:04:34 vIv4khgu0
違う、リュカは優しさにつけこまれている、騙されているんだ。
そこから弁護に回ろうとしたが、二者間の並々ならぬ関係に迂回してたどり着いただけだ。
疑われたのはピエールではなく自分達のほうだったという事実がある。
盲目的、そして感情的とも言える反応を示したのには確かにそれだけの背景がないと説明できない。
「片思い、はおかしいかな? そんな感じなんだ。
 裏切りの決定的な瞬間まで、きっとそいつは変わらない。変えられない。
 理屈や物事の正邪で説得してなんとかできることでもない。だから」
「だから―」
ギルダーの顔を、思い出した。あの時は、上手くいったのだ。
大切な人を守るために一緒にゲームに抗おう。
心の底ではそんな風にピエールを説得できる可能性を捨てきれていない自分に気が付いた。
だってそれが、傷つけずに済む方法じゃないか。
なのに、ジタン、どうして君はそんな夢の無い現実を突きつける?
いや、本当は―わかってる。
「手遅れになる前に覚悟を決めて、できることをやるしかないってことだ、セージ。
 手が届かなくなる前に、永遠にチャンスが失われてしまう前に。
 一気に急襲して、ピエールを倒し、一気に逃げる。
 それが一番単純に、リュカとタバサを助ける方法だ。
 誰かを助けるのに理由はいらない。……言い訳も、いらない。
 嫌われるのは決定だろうが、それで当面二人は安全になる。そうだろ?」
「そう、かも……しれない」
守れなかった人のことを思い出させられた。離れてから再会まで、たいした時間は無かった。
二度目の夜も更け、すでに80を越えるチャンスを逃してまだ楽観的なのは、鈍い。
守りたいなら自分で必死に守らなければ、誰の命も保証されない。当たり前だ。
結局、リュカの心に傷が付くことは決まってしまったのかもしれない。
それがピエールがタバサを殺すことによるか、僕らがピエールを殺すことによるかの二択。
だったら後者だ。
「ジタンさん、セージさん」
突然、プサンの緊迫した声が部屋に響いた。
体温がすっと引いていくのがわかった。思い当たる理由は一つしかない。
先に仕掛けられた。しかし動き出すのが早すぎるじゃないか。
手が届かない位置で事態が進行していることがセージにとってたまらなくもどかしかった。

19:償い方2 6/8
07/05/16 20:08:16 vIv4khgu0




償い、あるいは報い。
セージとジタンの会話がピエールを殺す方向に傾いていくのをプサンはそんな風に考えながら静聴していた。
止める気は無かった。守りたい、復讐したい、放っておけない。どれも人の心の在り様だから。
きれいごとや理屈だけでは物事は動いていかないことは良く知っている。
プサンが待っていたとしたら説得に使える材料の増加で、最も期待できるのはエドガーの帰還だった。
それが間に合わないなら、プサンは動く気はない。ピエールには見切りをつける。そこまでのことだ。
達観した見方、けれどそれはこちらの動きについてで、魔石の向こう側の異変は予想外。
「気配が一つ離れて動き出しました。方向は南東、森へ。
 リュカさん―いや、石の気配自体は城の北から動いていませんが」
部屋に動揺の色が広がる。全員が、何が起こったかを頭で思い描こうとした。
プサンはとりあえず、可能な限り情報を引き出そうと監視に集中する。
張り詰めた緊張を破ったのは、いつの間にか扉のところまで移動して叫んだジタンだった。
「セージ、それにプサンも! 急ごう!」
「ちょっと待って、ジタン! 他に分かることは無いんですか!?」
「…残った二人も動き出しました。離れていった気配を追いかける方向です」
再び部屋が色めき立つ。
ジタンは苛立ちを隠さずにもう一度さっきと同じセリフを繰り返した。
黙ったまま、プサンは無防備に眠っているフィンをじっと見る。
どのみち二人が行ってしまえば、残るのは戦力に計算できない自分一人だった。
置いていくことに心残りはないが、もし彼が目覚めた時に取り残されたと思うようでは良くない。
ともかく動き時、動かねばならないと、腹をくくる。
「ここは覚悟を決めましょう。セージさん、城の入り口まで先行してください。ジタンさんは、ちょっと……」
立ち上がりながら、それぞれに指示を出す。
彼も腹を決めたのだろう、頷いたセージはその目に炎を宿して扉から飛び出していく。
ジタンには彼のナイフで、木のテーブルに『戻る』とメッセージを刻むように頼んだ。
この身体でどれくらい走れるか。二人の動きについていけないことは間違いなく足枷になる。
それでも、行くしかないだろう。魔石の気配を追えなければアウトなのだから。

20:償い方2 7/8
07/05/16 20:09:20 vIv4khgu0
「私も先に行きます。追いついてきてください」
かりかりと聞こえる刻まれる音を背にし、プサンも駆け出した。
すぐに、後方から走ってきたジタンに無言で追い抜かれた。




ひび割れの走った石畳を見下ろし、ゼルの死体を隠した方向を一瞥し、それから後ろを振り返る。
建物の奥へと続く通路は暗く、そこにはまだ人の姿はない。
どうしても、プサンは遅れてしまう。
けれどもプサンがいなければ森へと動き出した気配を追うことはできないのだ。
焦りを摩り替えるように、ジタンは追いかけた先でやらねばならない一撃のイメージを思い描こうとした。
「ねえ、ジタン。君がしてくれたクジャの話のことなんだけど」
不意に、横から囁くようにセージが声を掛けてきた。
名前を聞いて、バカな事を言って逃げたクジャを追いかけたことを思い出す。
あの時も、必死で追った。
「終わりは、裏切り、だったの?」
「……ああ。最後まで、勝手なヤツだった」
そういえばクジャの話、最後まで終わってなかったな。だけど話の結末はあまり思い出したくない。
必死で探して、追いかけて。
あの時は、間に合わなかった。そういえば、リノアにも追いつけなかった。
口に出してしまったら、今度もそうなってしまう気がする。
だからジタンは口を閉じ、それ以上喋らなかった。
「……ごめん。聞かない方が良かった」
そう言ってセージは目を逸らした。どんな表情をしているかはわからない。
ようやく追いついたプサンに眼で合図し、次は城の外側の門まで行くつもりでジタンは地を蹴った。
セージもすぐに駆け出し、後ろについてくる。

21:償い方2 8/8
07/05/16 20:10:01 vIv4khgu0
ふと、今の受け答えでセージにどう思われたかと考えた。すぐ気にならなくなった。
たとえ間接的にでもクジャを救えなかったのは自分の力が及ばなかったせいだ。
今は一秒でも早くリュカにたどり着くこと。そして、ピエールを止めること。
それだけを考えていたい。
振り向いた視界、プサンは随分後ろに遅れているように見えた。

【セージ(HP2/3程度 怪我はほぼ回復 魔力1/2程度)
 所持品:ハリセン、ナイフ、ギルダーの形見の帽子、イエローメガホン
 第一行動方針:リュカ達(魔石の気配)を追いかける
 第二行動方針:タバサとリュカから受けた誤解を解く
 基本行動方針:ゲーム脱出】
【ジタン(左肩軽傷)
 所持品:英雄の薬、厚手の鎧、般若の面、釘バット(FF7)、グラディウス、聖なるナイフ、マテリア(かいふく)
 第一行動方針:リュカ達(魔石の気配)を追いかける/ピエールを倒す
 第二行動方針:フィンの風邪を治す
 第三行動方針:協力者を集め、セフィロスを倒す
 基本行動方針:仲間と合流+首輪解除手段を探す
 最終行動方針:ゲーム脱出】
【プサン 所持品:錬金釜、隼の剣
 第一行動方針:リュカ達(魔石の気配)を追いかける/リュカ達の様子を探る
 第二行動方針:首輪の解析を依頼する/ドラゴンオーブを探す
 基本行動方針:仲間を探しつつ人助け】
(*旅の扉を潜るまでは、魔石ミドガルズオルムの魔力を辿って状況を探ることができます)
【現在位置:サスーン城・城門付近】

【フィン(風邪、睡眠中)
 所持品:陸奥守、マダレムジエン、ボムのたましい
 第一行動方針:風邪を治す/ジタンを待つ
 基本行動方針:仲間を探す】
【現在位置:サスーン城3F・暖炉がある部屋】
*テーブルに『戻る』と刻まれたメッセージあり。

22:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/05/19 05:08:11 PXADXsU00
保守

23:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/05/23 12:31:04 A91jlK+xO
保守

24:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/05/26 16:21:50 z9FxJsezO
保守しますよ

25:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/05/30 13:10:44 o5U9Ev1g0
保守

26:心を覗いたものは手痛い反撃を受ける 1/5
07/06/02 04:38:50 /+RnhA/00
カインはいない。ライアンもいない。ウネもいない。
ほんの少し前まで、カナーンでは剣音が響いていた。誰かが戦っていたのは明らか。
だが、勝者どころか、死体すら残されていない。どこへ行ったのか?


目薬草が切れた視覚はもどかしいほど不便だ。
アリアハンではかなり離れた場所だって見ることができたというのに、
今はちょっと向こうがどうなっているのかすら認識できない。
皆は遠くで戦っているのか。
耳を済ませても風の音が聞こえるだけ。目を凝らしても深い闇が広がるだけ。
光が何か関係しているとは考えるのだが、その方向には最初に飛ばされてきた険しい山があり、行くのはさすがに面倒。
結局、何がどうなっているのかはさっぱり理解できない。
彼はただ一人、無防備な状態だ。

思えば、アリアハンでは地獄耳の巻物と目薬草があることで、危うきには近寄らずに済んだ。
この舞台ではライアンらの護衛や、カインとの同盟のおかげで、後ろに引っ込んでいても大丈夫だった。
出会った他の人間はみな多少なりとも怪我、もしくは疲労しているのに自分は肉体的にはまったくの無傷、大した疲れもない。
すでに半分以上が死に絶えているというのに。これは奇跡的なことだといっていいだろう。
だが、今護衛はいない。五感も元に戻った。魔法屋にいたはずのイザたちは、いつの間にかいなくなっていた。
ライアンやアリーナには真正面から戦えば勝てないだろうし、カインはライアンを格下と言い切った。
残っているゲームの参加者にはさらに強い連中もいる。
そして、悪いことに動かせるような駒は一つもない。

27:心を覗いたものは手痛い反撃を受ける 2/5
07/06/02 04:44:49 /+RnhA/00
とにかく、無駄に時間の過ごすのは避けるべきと考え、アイテムの使い方や立ち回りを再考。
机の上に支給品を広げる。
適当に店に入り、商品を手にとって調べる。イヴァリースと文明レベルはほぼ同じ。いや、むしろ多少遅れているかもしれない。
ちゃんとした材料さえあれば、ポーションを変質させ、衝撃を受けることで回復の効果を巡らせられるように加工できるのだが、
ないものねだりをしても仕方がない。

キンパツニキヲツケロというメモがあることを耳にしている。キンパツとやらはおそらくはカインのことだ。
厄介なものではあるが、知らぬ存ぜぬで通すことも出来るし、いざとなればサイファーあたりに押し付ければいい。
逆に、上手く利用すれば役には立つかもしれない。

現在いる場所はカナーン。盆地内へは谷を除いて出入り口はない。この谷で待ち伏せている連中がいるのは容易に想像できる。
通らないほうが賢明だろう。この地方にも一箇所は旅の扉は出現するはずだ。
また、この地方は唯一海に出られる。
持ち物にはももんじゃの尻尾とカヌー、そして時計がある。海の上でギリギリまで粘るという選択肢もあるが、
潮に流されて陸から離れて時間切れでは話にならない。実行するにしても、最後の手段だ。
ペンはペン。少しだけインクは残ったが、ペン以上でも以下でもない。
インパスの指輪をしても未だに使い方がよく分からない灰は保留。

草薙の剣はそのまま使えるとして、問題なのが皆殺しの剣だ。
ライアンに聞いた簡単な説明によると、これは呪われた武器であり、
相手が誰だろうが、たとえ身内だろうが殺したくなってしまう危険な代物なのだという。
が、一般人でも、それこそ子供でもその衝動を抑えることは可能らしい。
ただ、衝動を抑えようとすると他に気を向ける事が出来なくなるので、その間無防備になってしまうというわけだ。
一方で、本人と同調してしまえば狂戦士と化してしまうとのこと。使いどころに困る代物だ。

一つ気付いた事がある。この皆殺しの剣を初めとする呪われた装備品は、手に取ると外せなくなってしまうという。
だが、朝方これを拾ったときはなんともなかった。
「呪われているわけじゃないのか?」
インパスの指輪を付けた手で触れ、調べてみる。
突如、アルガスの脳裏に映像がなだれ込む。

28:心を覗いたものは手痛い反撃を受ける 3/5
07/06/02 04:50:43 /+RnhA/00
正面に見える美しき町並みと広大な平野。殺し合いの舞台であると忘れさせてくれるくらいの、のびのびとした風景。
向こうには、太陽の光を受けてきらきらと輝く湖、荘厳さを感じさせる古き塔。
さらに向こうに広がる、岬を覆い尽くす森林地帯の鮮やかな緑色との相乗効果もあいまって、絶妙な美しさを醸し出す。

舞台に立つ人間は四人。剣士風の男と太めの男、それに弓使い風の女一人。そして倒れている男。
いや、もう一人、剣を握っている騎士風の男がいる。
礼でもしようというのだろうか、それとも治療をしようというのだろうか、女は騎士風の男に近づいてくる。
騎士風の男が三人を襲っていた者を倒したのだろう。
だが、彼は女に近付くと、まるで呼吸でもするかのように、自然に剣を抜き、彼女を貫く。
女は何が起こったのかも分からず、崩れ落ちる。そのまま騎士風の男は太った男に肉薄し、一刀の元に切り伏せる。
剣士風の男はザックから何か出そうとしたが、慌ててザックを落としてしまい、狼狽している間に袈裟斬りにされ、倒れ伏す。
あっという間に四人分の死体が作られた。瞬く間に作られた。


「ッッッッ!!!!!!」
剣がテーブルから転がり落ち、机の上のアイテムが散乱、おもちゃ箱をひっくり返したような派手な音を立てる。

「くそッ、なんだ今のはッ!?」
指輪をはめた手で剣に触れたところ、殺人の場面を見せられてしまった。
知らない場所での出来事ではない。一日目の朝、灯台から目撃した場面だ。
だが、遠くから眺めるのと、間近に見るのとでは全然違う。
腰掛け、支給品の水を一人分飲み干す。冷や汗が止まらない。

29:心を覗いたものは手痛い反撃を受ける 4/5
07/06/02 04:55:59 /+RnhA/00

魔法の武具は普通の人間でも効果を引き出せるように作られている。
しかし、武具の中には魔法ではなく、怨念が込もっているものもあるわけだ。
侍のように怨念を利用できるものもいるのだが、大抵は装備者に害をなす。
インパスの指輪。アイテムを分析するだけでなく、魔力や念を覗き見る能力も得られる。
いや、念や魔力を覗き見る事が出来るから、アイテムを分析できるといったほうが正しいのかもしれないが。


皆殺しの剣の念は蓄積される。
深い森の中。日の光は届かない。そもそも太陽など存在しない。空の色は混沌。強い邪気と負の感情が立ち込める場所。
感じられるのは欲に塗れた人々の声と執念、それに伴う争い、金属音と悲鳴。そして、人体を切断する感触。
『くくくく……。それで いい。そうやって永遠に ころし合うが よい……』
地の底から湧いて来たような、魔女にも匹敵する恐ろしい声。魔王の喜びの声。
とある魔王によって作られた世界の、人々の負の感情に彩られた町で作られたこの剣は、
同じ時を何十度も何百度も彷徨い続け、数え切れないほど人間を斬り、魔王の念や人々の負の感情を受けてきた。
怨念の力、負の力は凄まじいものだ。
しかしそれでも、無差別な殺人を好まないなら、この剣はただの切れ味の鋭い剣以上にはなりえないのである。

アルガスには殺人への忌避、殺人への恐怖がある。この感情が存在する限り、剣に操られることはない。
しかし、もしこの剣と同調する人物の手に渡ってしまえば、その者はこの剣を手足のように扱い、そしてこの剣の手足となって、
その身が滅びるまで殺戮を繰り返すことになるのだろう。
一日目にこの剣を手にした、騎士風の男のように。

30:心を覗いたものは手痛い反撃を受ける 5/5
07/06/02 05:06:37 /+RnhA/00
それははたして、どれほどの時がたったころだっただろうか?
彼はようやく落ち着く。
だが、アルガスの表情が誰の目にも明らかに、変わっていったのだ。
その目に宿る光は、殺意でも凶器でも正義でもない。



「飲みすぎた、こんな時に…ッ! トイレは……」
がちゃん。がらがら。
立ち上がろうとして、椅子から落ちた。
腰が抜けてしまっている。

「くそッッ!!!」
イラつきが頂点に達し、容器を壁に向かって叩き付ける。
こぽかん、というなんとも小気味よい音が部屋の中に響いた。
「不愉快だ!!」

【アルガス(不愉快)
 所持品:インパスの指輪 E.タークスの制服 草薙の剣 ももんじゃのしっぽ 聖者の灰 カヌー(縮小中)皆殺しの剣 高級腕時計
     妖精の羽ペン
 第一行動方針:様子を見る
 最終行動方針:脱出・勝利を問わずとにかく生き残る】
【現在地:カナーンの街】

31:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/06/05 16:13:36 b1LKPN9f0
保守だよ

32:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/06/08 07:50:12 RTynfrNn0


33:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/06/09 14:31:47 EMjiXPCw0
保守

34:痛みが教えてくれること 1/9
07/06/10 20:31:44 B0bWXMnY0
「やあ」
声をかけてきたのは、笑顔だったか無表情だったか。
答えは梢の傘の下に広がる闇の中で、それは永遠に分からないだろう。
「会えてよかった」
なんでこんな場所でサックスに出くわすのだろうか。
戸惑いと疑問に対する論理的な思考をすっ飛ばして、直感的にルカは銃を構えた。
そうしないと、サックスが近づいてくるから。
近づいてきて、きっと―
だから闇に紛れて立っているサックスが動いたような気がしたとき、ルカは跳べっ、と身体に命令を下した。
判断を下したのは自分は直接戦わないとはいえ長く戦闘に関わってきた者のカンだ。
茂みへと身体を躍らせたルカは、さっきまで立っていた所をすごい速さで突き抜けていく槍、そしてサックスを見た。

頭の中でちょっと前の爆発と、サックスが結びつく。
「ハッさん……!」
押し込めていた嫌な予感が、抑えられないほどに膨れ上がっていく。
何故、一緒にいなかったのか。
改めての後悔、けれどそれよりもルカの内には自分が戻らなければ、という強い決意が生じていた。
ハッサンを助けるため、そして謝るために。
それは最悪の予想から目をそらす逃避であり、ルカ自身を行動させるための自責の強迫でもある。
しかし、少年はもう一つ、考えなければならないことに直面している。
さし当たってはっきり殺す気で突いてきた男、サックスをなんとかしなければならない。
気配なんて読めなくても、サックスが間違いなく体勢を立て直してまた攻撃してくるのは子供でもわかる。
だから、駆け出す―ふりをしていきなり反転し、狙いも付けずにウインチェスターの引き金を引いた。
響く発砲音。再反転するときに耳にした不自然な葉擦れの音では多分サックスの回避行動のものだろう。
結果は関係ない。追ってくれば反撃の痛い牙があるぞと、わからせればそれでいい。
あとはもう構うものかと後ろを振り返ることなく、ルカは木々の間を走り抜けていった。




35:痛みが教えてくれること 2/9
07/06/10 20:32:41 B0bWXMnY0
カッと、黒い炎が燃え上がるのを感じた。
火種となったのは鋭い発砲音。
遮蔽物を求めて木の陰へと身体をすべりこませながら、理不尽だと、サックスは怒った。
一突き、復讐して心を晴らす。心に受けた傷を、返す。
それだけだったのに、なぜ自分のほうがこうして身を隠さねばならない?
ともかく、ひとまず炎が揺らめく心を落ち着かせ、あの少年が使っていた武器のことを思い出す。
遠く離れた距離から相手を射抜く、機械。
射程は驚異的だが単発、さらに弓同様キッチリ命中させられるように使いこなすのは難しそうだ。
障害物の多い森、狙いを隠す闇。分析すれば恐れるような条件にはない。
少年ルカはそれを承知で森での遊撃戦にサックスを引き込む気か?
それはない、とサックスは即断する。
姿を消したルカがどこに向かうか察しはついた。
再び、衝動がサックスを駆け巡る。
突き動かされるように闇の中、少年の目的地へ向かって走り出す。
森の中、進んできた路を戻るだけだ。
ルカより先にたどり着くことさえできるような気で、サックスは少年を追った。




ハッサンを置きざりにして歩いた距離だけルカは懸命に走った。
バカだ、おれは。
その間中、ずっとそう繰り返す。
あたりの木の感じに見覚えがある気がする。ちょっと前、逆方向に通った気がする。
突然、懸命に動かしてきた足をピタリと止めた。
崩れそうになる膝を懸命に支えながら、呆然と立ち尽くす。
―本当に、おれは、バカだ。
自らの愚かさを愕然と呪いながら、ルカはその焼け焦げた塊をじっと見つめていた。


36:痛みが教えてくれること 3/9
07/06/10 20:36:21 B0bWXMnY0
「あまり走らせないで欲しいな」
サックスの声。それが背後ではない別の方向であることを察し、ルカははっと顔を上げる。
姿は完全に闇の向こうに隠れているが、確かにそこに憎むべき相手が潜んでいることがわかる。
大きな暗闇そのものを睨みつけ、ウインチェスターを構えた。
「爆発したんだ。……だから」
誰のこと、何のことを言っているのか、ルカにはすぐに理解できた。
目を滑らすとさほど離れていない距離、動かないハッサンの巨体がそこにうつぶせで横たわっている。
傷だらけで瀕死でも不思議と死ぬ感じじゃあなかったハッサンが、今は見る影も無い。
「嘘だっ!」
叫び声とともに再び激情込みの鋭い視線をぶつけ直す。
声から一歩遅れて、子供にはやや手に余る大きさのウインチェスターから再び音が響く。
今度は、闇の向こうからは何の反応も無い。
「ハッさんは動けなかったんだ! 動かなきゃ爆発なんかしない!」
「そうだったんですか」
ひどく冷静で、無感情な声だと感じられた。
構えたままの銃口の延長線上に槍を構えたサックスの像が見える気がする。
夜の森のひやりとした空気がゆっくりと張り詰めていく。
「なら、無理にでも動いたんですよ」
「違う! お前だ! お前がその槍でやったんだろ!」
あたりが急に沈黙する。刹那、すべてが緊張に張り詰めていく。
じっとりと汗ばみ始めた両手で銃に力をかける。息が少しずつ荒くなる。
命を賭けた立ち合い。
膨らんでいく重圧に蝕まれまいと耐えながら、闇の中のサックスを見極めようとする。
その時だった。
―サックスは左肩にダメージ。軽度の毒―
不思議な感覚が、闇の一角にサックスの像を結ぶ。同時に情報が流れ込む。
ルカにとっては何故かわかってしまった、としか言いようがない。
それは、見極めようとした気持ちが引き出したマテリアの能力。けれどルカには知る由もない。
不思議としか言えない感覚、あるいはハッサンが助けてくれているのかとさえ思えた。
ともかく、この情報がルカの敗北の未来を救うこととなる。
見破ったサックスの姿は銃口の延長線より外れた―ルカにとって予想外の―位置にある。
槍先はしっかりとルカの居場所を指してその命に狙いを付けているようだ。

37:痛みが教えてくれること 4/9
07/06/10 20:38:57 B0bWXMnY0
自分とサックスの差というものを実感し、ルカは攻撃より回避を即断していた。
間髪おかず、またもサックスの半歩先を制して右へ身体を投げ出す。
その傍らを、闇から現れた恐ろしく速い突進が突き抜けていった。

体勢を立て直しながら、闇から薄明かりのある場所へ現れたサックスを見る。
見た目にはわからないものの、
あんなに速い突きを繰り出せる人とは別人のようにぎこちなく(それでも、遅くはないが)
片腕で槍を旋回させるサックスの動きが、不思議な情報の正しさを証明するようだった。
「戦いの緊張感に負けていない。そして二度までも僕の攻撃をかわしてみせた。
 君もただの子供じゃない、ってわけか」

長台詞を聞きながら、ルカは反撃のタイミングだと、思った。
攻める側ならここは相手を休ませず攻撃し続けて押すポイントで、
あんな科白を吐きながらルカに思考と行動の時間を与えているサックスは、
それだけまだ自分を子供だと甘く見てくれているのだろう。
構え、狙い、引き金を引く。身体に与えようとした命令は放り捨てられていく槍を見て中断した。
肩を怪我しているといってもあれだけ強烈な攻撃ができる武器なのに?
理由を見つけられなくて、この意外な行動に驚いたルカは一連の戦いで初めて後手を踏んだ。
気付けばサックスは再び闇に身を沈めていた。
息を呑みながら闇に警戒を向けるルカの脳裏に、イメージが閃く。
―サックスは左斜め前方。毒により緩やかに体力減少中―
先ぶくれの変わった棒を持ったサックスの姿を察知して、ルカはそちらへ顔を向けた。
その顔面を、岩や肌の硬さとは異なる不思議な硬さの衝撃がかすめていった。
押されてのけぞり、視界がぶれる。
何をされたのか分からない。
分からないまま、同じ衝撃が今度はしっかりとルカを捉えた。
重心が崩され、両足は体重と衝撃の合成力を支えられない。
口の中に血の味が広がるのを感じながら、銃だけは決して離すもんかと指に力を込めた。


38:痛みが教えてくれること 5/9
07/06/10 20:40:18 B0bWXMnY0
音を立てて地面を滑り、摩擦の痛みが肌を刺す。
必死に立ち上がりながら、ルカは危険を感じながらサックスを探した。
このままじゃ危ない。あいつはどこだ?
―サックスは左。冷気属性は吸収―
答えるように不思議なイメージが湧く。
今度は、迷いない動きのつもりで把握した位置へ向け銃を持ち上げ、一気に引き金を引く。
いや、引こうとしたその動きは中断を余儀なくされた。
形としてはウインチェスターの銃身で衝撃を受けた格好になり、
腕、肩と伝わるブレが容赦なくルカのバランスを崩していく。
そこへさらにあの妙な硬さの衝撃―いや、風?が殴りつけた。
さらに崩れ落ちるのを許さず、立て続けに同じ攻撃がルカの身体を叩いていく。
痛みと混乱の中、それでもルカはサックスの位置を問う。
―サックスは正面。炎属性は半減―
見開いたルカの両目が、確かに闇の向こうから手にした棒を振るうサックスを見つけた。
その身体を、真正面から風の塊がえぐる。
そんな攻撃、アリか? なんだよ、それは?
ちょっと待てよ。待てって。
「待てって……いってる、だろ!」
じっとサックスを睨みつけたまま腹の底から声を出して、無理矢理に怒鳴った。
何故だか、不意に攻撃が止まった。




39:痛みが教えてくれること 6/9
07/06/10 20:42:49 B0bWXMnY0
風の乱打を浴びている少年の眼光と視線が合い、その少年ルカが叫んだ、それだけのはずだった。
その一瞬、右腕ひとつで猫の手ラケットを振るっていたサックスの身体が、
喝を浴びたように、視線で射すくめられたように固まる。
サックスの攻勢がそれで中断し、森の中には一時静寂が戻る。
予想外の事態にわずかに狼狽しつつサックスは固まったまま数度呼吸を繰り返す。
始まり同様、唐突にその拘束は解けた。
「本当に……君は何だ」
運動能力、反射神経、戦士としての身体の完成度には大きな差がある。
それなのに、大きく隙があるとも思えない槍での一撃を二度、ルカはかわして見せた。
ならばと威力こそ劣るものの取り回しと連打の速さに勝る猫の手ラケットでの攻撃に切り替える。
実力差の通りルカはこれを避ける事はできなかったが、
しかし今度は何らかの力でサックス自身を止めて見せた。
「無駄な抵抗を。…………槍だったら一度で済んだのに」
冷たい心に、ふつふつと黒い炎が浸食する。
目の前の少年は、正当に自分に復讐を遂げられるべきなのだ。
なのに無駄な抵抗をするから、こんなにも気分が悪いじゃないか。
サックスはラケットに両手を沿え、大きく振りかぶる。
「どうして僕が、こんなに嫌な思いをしなくちゃならない?
 どうしてみんな、僕の望まないほうへ変わっていく?」
それから感情をぶち当てるようにルカへ向けて一息に振り切った。
片手で使っていたときより大きな風塊が放たれ、ルカの身体を吹き飛ばした。


40:痛みが教えてくれること 7/9
07/06/10 20:43:57 B0bWXMnY0
勢いで二度バウンドして、ルカの身体は焼け焦げたハッサンであった塊にぶつかり止まる。
倒れている二人の姿をひとつの視界に認め、サックスの気分は晴れていく。
燃え上がった炎は影に戻り、元通りのさっぱりした気分を取り戻しつつあった。
あと、一刺し。
ハッサンの腕に乗り上げるようにうつぶせているルカが立ち上がれないことを確認し、
放られていたビーナスゴスペルを拾い上げる。
「会えてよかった」
右腕に槍を抱え、にじりよりながらサックスはかすかな笑顔を見せた。
どこかでその瞬間を待ち望んでいた自分が、姿を見せている。
心に導かれるように、槍の刃を少年へと運んでいく。
ルカを見下ろすように立ったとき、サックスには得もいえぬ優越感が到来していた。
―実力に差があるゆえの、油断。
バネ仕掛けのように顔を向けたルカの強い視線がサックスを射る。
その傷だらけの顔は、笑っていた。
差し上げるように伸ばされたルカの手、その指に鈍い輝きがある。
後悔するより早く、今度は不思議な力に囚われることなくサックスは身を翻した。
その背後から、爆風がサックスを突き飛ばした。



手も足も、自分の身体じゃないみたいにひどく自由が利かない状態。
その時、人の肉が焦げた嫌な臭いと指先に触れた希望、いや覚悟の感覚が、ルカの意識をつなぎとめていた。
サックスが、倒れて動けなくなった自分にとどめを刺しに来るだろうと予想はできた。
慎重に、残る全力を込めて指輪を引き抜き、自分の指に移し変える。
その間、今になって動けないハッサンの気分が身をもってはっきり理解できた。
とにかく悔しくて、無念―そして、あとからあとから死ぬことへの恐怖が湧いてくる。
このまま怖いとか絶望とかに飲み込まれてしまえばイルの気分も体験できるのかもしれない。
だが、諦めない。
この男、サックスなんかには負けたくない。その気持ちがルカを焚きつける。
嫌な思い? 思い通りにならない?
おれだって―誰だってみんな、同じだよ。一人で不幸ぶるな!

41:痛みが教えてくれること 8/9
07/06/10 20:48:11 B0bWXMnY0
ちゃんと答えてくれる不思議なイメージが、サックスの位置を教えてくれる。
距離が離れるとダメだから、チャンスは1回きり。
タイミングを計って振り返った視線の先、能面みたいな表情が歪むのが見えた。
しかし、ルカにはサックスの表情など気にする余裕なんか無い。
ただ、感づいたのか身を翻していく、それはわかった。
構うもんか、狙う必要なんかないんだ。このまま、指輪をした手を、叩きつける!

…………
……数分後。
ルカは、全身激痛の中にあった。
ぬるいダメージではない。今度は本当に、動く気にもなれないくらいに痛い。
どうやら、サックスを倒すことはできなかった。
不思議なイメージが教えてくれることには無傷で逃れることもできなかったようだが。
そして今、愉快な戦闘結果が告げられる。
―サックスは『逃げだした』。近くには存在しません―
ルカは笑ってやろうと思ったが、それさえも痛くてままならない。
けれど一人で不幸ぶって他人を傷つける奴に負けなかったことは嬉しくもあり、誇らしくもあった。
ただ、悲しいこともある。
呪いの爆発は、ハッサンの身体も吹き飛ばしてしまったのだ。
……ハッサン。
体験してみて、ハッサンがどれだけ恐ろしい呪いに耐えていたのか知ることができた。
同時に瀕死でも死ぬ感じがしなかったわけもわかった。
こんな爆発を何度も体験して、それでもまだ誰かのために駆けつけようとしたハッサンは本当に馬鹿だと思う。
「ごめん、よ……ハッさん」
言えなかった言葉を、虚空に向けて何とか搾り出した。
しかし、その相手はもう身体すらこの世に残っていないのだ。
自然に涙が溢れ、頬を伝って地面へ流れ落ちていく。
ルカは、今はそれを拭うこともできない。
けれど――
生き延びてやる。そして、ハッサンの仇を取る。
木々の間から星を見上げるその眼には確かに、強靭な意思が受け継がれていた。


42:痛みが教えてくれること 9/9
07/06/10 20:49:57 B0bWXMnY0


サックスは、苛立っていた。
動くには支障は無いものの、身体にはいくつもの傷が増えている。
相討ち狙いの行動に気付かなかった自分も腹立たしいが、
何よりも一度見下した相手に思わぬ反撃を受けたことが気分を晴れなくしていた。
ずっと、そうだ。
リルムのときも。
レオンハルトのときも。
あの2人に見捨てられたときも。
…フルートのときも。
すべては常に望まない方向に進み、自分は常に失い続けてきた。
この身体の痛み、そして心の痛みが精神の奥で暗い炎を灯し続けている。
そして、進み行く時間に望まれぬ故に過去を取り戻せ、と教えてくれている。
復讐を果たしたというのに晴れない心を引きずり、
暗い炎に魂を浸食されながら、サックスは故郷へとゆっくり、ゆっくりと歩いていた。

【サックス (HP半分程度の負傷、軽度の毒状態、左肩負傷)
 所持品:水鏡の盾 スノーマフラー ビーナスゴスペル+マテリア(スピード)
 ねこの手ラケット チョコボの怒り 拡声器
 第一行動方針:ウルの村へ行く
 最終行動方針:優勝して、現実を無かった事にする】
【現在地:ウル南部の森→ウルへ】

【ルカ (瀕死)
 所持品:ウインチェスター+マテリア(みやぶる)(あやつる) シルバートレイ
 満月草 山彦草 雑草 スタミナの種 説明書(草類はあるとしてもあと三種類)
 E:爆発の指輪(呪)
 第一行動方針:ウルの村へ行く
 第二行動方針:仲間を探す/呪いを解く
 最終行動方針:仲間と合流】
【現在地:ウル南部の森】

43:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/06/14 09:50:13 8k4ALy2g0
香ばしいスレだな・・・

44:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/06/17 19:51:08 GcW0967t0
ほしゅ

45:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/06/21 17:46:46 L40fmxYLO
保守

46:ケフカ=パラッツォの実験 1/8
07/06/24 17:46:03 MLHUyoRy0
被験者・ライアンの場合

どこを走っていたのかさえ分からなかった。
何を疑っているのか? 何に臆病なのか?
「拙者は臆病者ではござらぬ!」
迷い歩く精神と肉体を立ち直らせるべく繰り返し繰り返し呟く。
そして、私は信じられぬ相手を見たのだ。
月の光があるとはいえ夜、だというのにはっきりと細部が認識できる。
魔族の甲鱗、爪、牙、鋭い眼光。醜く変貌した五体を持つその者の名は、デスピサロ。
戦慄する。
引き連れているのは魔族の従者であろうか。
何ということか、彼とこのような形で再会することになろうとは!
だが、私とて勇者殿の仲間。この場面、この出会い、怯み、逃げるときではない。
「おおおおおっ!!」
鼓舞する如く、気合の咆哮をあげる。剣を振りかざし、倒すべき敵へと突進する!

いつかと同じように、手にした刃を舞わせて私とデスピサロは打ち合う。
小癪なことに従者に手出しをさせぬのは、1人とたかをくくっているからか。
負けられぬ。
邪悪を打ち倒し、必ずや世界に平穏を取り戻さねばならん!
「拙者は勝たねばならぬのだ!」
腕を、足を切り飛ばし、その腹を貫く。頭を叩き潰し、その目を穿つ。
デスピサロとの死闘を断片的に思い出しつつ丹田に力を集め、両足で大地に踏ん張る。
切り返し、自分に向かって来る剣を受けようとした腕の感触が、不意に消えた。
眼前の、デスピサロの顔が歪んでいく。笑っているのだろうか。
いや、変わってゆく?

47:ケフカ=パラッツォの実験 2/8
07/06/24 17:48:23 MLHUyoRy0
痺れたような頭が徐々に正気を取り戻し、痛みが強くなる。その場に立ち竦む。
だが、その大地が、消えた。
「なんとっ!?」
沈む、沈んでいく。
地の底へ引き込まれるように私の体が闇へ沈んでいく。
理解不能の出来事への混乱と恐怖が私を蝕み、闇はただ見る間に私を飲み込み続ける。
「ピサロ殿っ、拙者は……無念!」
たちまちのうちに、私の全身が穴へと呑まれていた。続いて私の五感も、闇に塗りつぶされた。



実験協力者・ピサロの場合

すべてが唐突であったとしか、言い様がない。
大地が描くゆるやかな起伏の一つを越えた先に、その男・ライアンはいた。
まずは、どう応対するかを考えた。
考えを難しくしているのは自分の背後にいる、長身の魔王と二人連れでいる道化・ケフカの存在だ。
ライアンは剛毅かつ朴訥な戦士であり、常識的に魔女に煽動されようもない男である。
しかし単純ゆえにケフカのような策士・道化に簡単に騙されてしまいそうなタイプでもあろう。
またロザリーのことを知ればさらに関係をややこしくしかねない。
どうすべきか。


48:ケフカ=パラッツォの実験 3/8
07/06/24 17:52:05 MLHUyoRy0
結局考えはまとまるより先に私は天の村雲を抜き放つほか無かった。
絶叫と共に、猛り狂ったライアンが猛襲してきたからだ。
「知り合いだ。手を出すな、貴様ら!」
事態をややこしくしないように、まずは後ろの連中の介入を制する。
しかしライアンの太刀筋は実に速く、鋭く、強く確実に私の命を絶つことを目的に襲い来た。
幾つか斬撃を捌き―切り結ぶ拮抗の中、ようやくのことで私はライアンの異常の原因に気がついた。
目の奥にある妖しい輝き。
俗に言う「混乱状態」。ライアンは今、歪んだ世界を見、歪んだ頭で考えている。
わかれば対応策はある。痛覚で覚醒を促す…要は一撃、適度にダメージを与えてやればいい。
その程度ならば、後ろの連中の手を借りずともできる。
というより他の三人にそういった手心を加えるという気遣いは期待できない。
自分でやるほかないだろう。
考えつつ、気合の絶叫とともに盲目的に切り込んでくるライアンをあしらう。
刃同士をぶつけ合い、隙を窺う。チャンスまで、手加減できそうもない。
突然ライアンの動きが鈍ったのは、その数度の打ち合いの最中。混乱の影響か。
すでに、手加減なく放たれた天の村雲を止めることは叶わなかった。
刃が露出した肉に食い込み、手に固く握った剣ごとライアンの腕が身体を離れ飛んでいく。
それでも幸いといえるだろうか、痛みによって自分へ向いた攻撃の手が止まった。
やや間合いを離し、私も構えを解く。

その時だった。
突然ライアンが膝から崩れていくように見えた。
すぐに、そうではなくライアン自身が地面へ、
いや地面に開いた夜の闇より暗い黒の大穴へ引き込まれているのだと気付いた。
為す術なく異変を見守るほか無い。
すべてはごく短い時間の出来事。
私がすべてを悟ったのは、あっけなく時が過ぎ去った後のこと。
無念の一言を残したライアンも、地面に開いた闇の穴も、すでに完全にどこかへ消えていた。




49:ケフカ=パラッツォの実験 4/8
07/06/24 17:53:14 MLHUyoRy0
傍聴者・ロザリーの場合

ここはポケットの中―風も吹かない布の牢獄です。
ほこりっぽい狭い空間で、柔らかい壁にもたれながら小さなわたしは物思いにふけります。
一時の混乱からようやく落ち着きはしましたが、気がかりは晴れません。
距離はとっても近いのに、心は逆に離れてしまった気がします。
どうして、ピサロさまがイザさんを殺さなければいけなかったのでしょう。
そばにいたい気持ちに嘘偽りはありません。
でも、わたしがいることで逆にピサロさまが殺気立っているのも真実でしょう。
どうすればいいのか。答えなんて簡単には出ません。

身体に感じることのできた振動が止まりました。
その原因を思い当てるよりも先に耳に飛び込んでくるものがありました。
『おおおおおっ!!』
ポケットの中まで聞こえてきたのは勇ましく、そして恐ろしい雄叫び。
背中がぞくり、と寒くなります。
さらに、ピサロさまが他の方々を制する声が続きました。
ぶつかる音、動く音。
ピサロさまが戦っているのです。また、誰かを傷つけてしまうのでしょうか?


50:ケフカ=パラッツォの実験 5/8
07/06/24 17:54:57 MLHUyoRy0
急に予想していなかった近い場所からの声がありました。
『…あれは不要でしょう?』
どういう意味か、わかりませんでした。とにかく冷たい囁くような声です。
ケフカさんがそう言ったのだと気付くまで、時間がかかったほどです。
それきり近い距離からの声はありませんでした。
いや、なにかあったのかもしれません。けれど、それどころではなくなったのです。
『拙者は勝たねばならぬのだ!』
かなり興奮が混じっていますが、雄叫びと同じ声。
悲しいことにわたしにも声の主が判別できたのです―ライアンさんのものでした。
それでは、外ではピサロさまとライアンさんが戦っているのでしょうか?
なぜそんなコトになってしまっているのでしょう?

やがて、剣がぶつかる音が止み、それからあたりはまったく静かになりました。
ライアンさんの―おそらく末期の―声が耳の奥に貼り付いて離れてくれませんでした。



実験施行者・ケフカの場合

いやいや、オマエは不思議だとは思いませんか?
何がだと? 凡人はボクちんの素晴らしい話を黙って聞け。
で……そうだ、首輪の性能の話ですよ。
こいつはボクちんの首にもついていることを除けばホントに面白いアイデアですねえ。
どうやら機械と魔法の技術融合の産物のようですが、
実際どれくらいの性能なのか調べてみたいなんて思いませんか?
そこらに気絶したロックや筋肉ダルマなんかが落ちてると丁度いいんだがなあ!
まあ、賢いボクちんはチャンスなんて滅多に見つからないのはわかっていますがね。


51:ケフカ=パラッツォの実験 6/8
07/06/24 17:56:22 MLHUyoRy0
ところが、やっぱりボクちんは選ばれた人間だ。
こんな危なそうな連中に斬りかかってくるとち狂った男が現れるんだから。
ピサロのヤツが何か言っているようですが、何だ、あの体たらくは?
優しいボクちんは考えるのです、手伝ってあげましょうねぇ……っと。

「…あれは不要でしょう?」
ザンデのヤツに聞いてみました。言い訳……おっと、理由ってのは大事なものだからな。
無言というのがシャクだがまあ黙認するというのだろう。
まったく、笑みを押し殺すのがタイヘンだったよ!
いや、楽しい!
なんせ堂々と実験ができる機会なんてそんなにあるものじゃないからな。
さあ、何がいいかな?
衝撃を与えてフッ飛ばしてみようか?
解呪実験でも試してみようか?
いや、そうです。ピサロの知り合いらしいから今回は探知機能を探ってみよう。
五体無事のまま次元の狭間送りでも『死んだ』ことになるのかな?
魔女の発表が楽しみになりますねえ。
ヒャヒャッ、じゃあ、「デジョン」だ!



52:ケフカ=パラッツォの実験 7/8
07/06/24 17:57:48 MLHUyoRy0
実験・アフター

デジョン。空間転移の魔法。移動先を定めず無作為に放てばその相手を次元の狭間に落とす。
結果として、ライアンは剣を握る右腕を残しこの場から消え去った。
当然、ピサロは余計な手出しをしたケフカに詰め寄った。
「敵に回る知り合いなら手早く片付けて欲しかったですねえ。
 ボクちんは時間をとられるのは良くないと思って手を貸したんですが。ねえザンデ?」
もちろん、ケフカは自ら張った予防線どおりザンデの賛同を確認する。
話をふられ視線が集まる中、長身の魔王は二人を無言のまま見下ろした。
そうなった時点で、ピサロは引き下がらざるを得ない。
人質同然のロザリーのことを考えずにはいられなかったし、
ザンデは理由はどうあれ自分(の目的)に手向かってくる相手を許すようなタイプではないのも理解できる。
それは立場・状況が変わればピサロ自身にも備わっている、百歩譲っても備わっていた冷酷さだ。
その上残った結果は「狂った男が急襲し、敗北した」それだけで。
この一団では中立に近いマティウスでさえこの事実認識は大きく外れまい。
弁護すべき相手がもう消えてしまった以上、事を荒立てる利は皆無だった。

「カナーンへ、急ぐぞ」
何事もなかったかのように、ザンデが再出発を指示する。
もやついた気持ちを抱えたままのピサロに、マティウスが声を掛けてきた。
同時に、『右腕』が差し出される。
「遺品だ。……詮索はしない。お前が好きにすればいい」
ライアンが遺したもの。一振りの剣と、指にはまっていたリングが1つ。
受け取った腕からはまだ、ぬくもりのある血液が雫となって地面に吸い込まれていく。
ピサロは遺品を収め、自らの呪文によって腕を氷漬けにする。
それからできあがった氷塊ごと、地面に突き立てた。
永久に、とは望むべくも無いが、立派な氷の墓標ができあがる。
「礼を言う」
見届けて駆け出すマティウスの背中にそう一声かけ、ピサロは三人を追った。


53:ケフカ=パラッツォの実験 8/8
07/06/24 17:58:38 MLHUyoRy0
【ピサロ(MP1/3程度) 所持品:天の村雲 スプラッシャー 黒のローブ 命のリング エクスカリパー
 第一行動方針:ロザリーの扱いに目を配る
 第二行動方針:カナーンでアリーナを探す。ザンデ・ケフカを強く警戒しつつ同行】
【マティウス(MP 1/3程度)
 所持品:E:男性用スーツ(タークスの制服) ソードブレイカー 鋼の剣 ビームウィップ
 第一行動方針:カナーンに向かい、ゴゴの仇(アリーナ2)を討つ
 基本行動方針:アルティミシアを止める
 最終行動方針:何故自分が蘇ったのかをアルティミシアに尋ねる
 備考:非好戦的だが都合の悪い相手は殺す】
【ザンデ(HP 4/5程度)
 所持品:シーカーソード、ウィークメーカー、ルビスの剣、
 再研究メモ、研究メモ2(盗聴注意+アリーナ2の首輪について)
 第一行動方針:マティウスの協力を取り付ける
 第二行動方針:ケフカとピサロの衝突を抑える
 第二行動方針:カナーンへ向かいアリーナを探す。可能ならば首輪を奪う。
 基本行動方針:ウネや他の協力者を探し、ゲームを脱出する】
【ケフカ(MP2/5程度)
 所持品:ソウルオブサマサ 魔晄銃 ブリッツボール 魔法の法衣  アリーナ2の首輪
 第一行動方針:「こいつらをできるだけ上手く利用する方法」を考える
 第二行動方針:「こいつらをできるだけ楽に殺す方法」を考える
 最終行動方針:ゲーム、参加者、主催者、全ての破壊】
【ロザリー(小人、悲しい) 所持品:世界結界全集、守りのルビー、力のルビー、破壊の鏡、クラン・スピネル、E猫耳&しっぽアクセ
 第一行動方針:?
 最終行動方針:ゲームからの脱出】
【現在位置:カナーン北の平原】

【ライアン 行方不明(死亡?)】
【残り 44人】

54:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/06/28 17:37:33 EhEVWOmJO
あげ

55:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/07/03 21:18:26 yLR9ojg50
ほす

56:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/07/06 08:20:21 nc4YZBLwO
保守

57:暁より、或る風に寄せて 1/5
07/07/09 05:17:13 FY6baWvJ0
風の音が聞こえる。体を吹き抜けていく風は冷たく、頬を撫でる草はくすぐったい。体がぶるっと顫えてしまう。
「ん?」
辺りの喧騒に目を開く。まず目に飛び込んできたのは、星輝く空と、その空をさぁっと流れていく雲、そして赤く輝く月。
記憶の糸を手繰り寄せる。サラマンダーと名乗る赤髪の男と交戦し、井戸に突き落とされ、無我夢中で魔法を放って。
「誰かが助けてくれたのか……」
一瞬夢だったのかとも思ったが、肌に冷たい濡てた衣服が、あれは現実だということを物語る。
すぐ傍には一匹の利発そうな犬がちょこんと座っている。
起き上がると、村が燃えていることに気付く。なんで村が燃えているのか。
直後に耳に入ってきたのが、雷でも落ちたかのような轟音、そして魔物の咆哮。
炎に照らされ、巨大な姿が見える。あれはブオーンという魔物に間違いない。

自分が行ってどうにかなるのか、という考えも一瞬浮かぶ。
何故か傷は完全に塞がっているが、水の中にて失った体力は戻っていない。
が、だからといってここで指をくわえて突っ立っているのは我慢できない。
村に向かおうとしたとき、突如犬が吠え出し、ピアスが鳴り始めた。
何事かと思って後ろを向くと、騎士風の男が見える。
男も、こちらに気付いたのか、向かってくる。

58:暁より、或る風に寄せて 2/5
07/07/09 05:18:13 FY6baWvJ0
「こんばんは」
騎士は両手を頭の上に上げ、語りかける。
「敵対する気はありません。僕はサックス。あなたは?」
サックスは淡々と語りかけ、ヘンリーはそれにひどく違和感を覚えた。
後ろからは風に乗ってぼうぼうとものが燃える音が聞こえてくる。
犬はサックスを見て低い唸り声をあげている。

「ヘンリーだ」
質問には答える。腹の底で何を考えているのか分からない。
ただ、サックスという名をどこかで聞いた覚えもある。
犬は相変わらず唸り続けている。
サックスはどこ吹く風といったように犬を無視し、抑揚の無い口調で質問を続ける。

「ヘンリーさん、ですね。僕は森を抜けたところであの炎を見てやってきたのですが、
 一体何が起こっているんですか? それと、あなたはこんなところで何をしているんですか?」
「巨大な魔物が村を襲っているらしいが、何が起こっているのか詳しくは分からん。
 俺のほうはなんでここにいるのかも分からん。襲われて、井戸に落とされて、気付いたらここにいた」
「なんですか、それ」
「なんですかといわれてもな。誰かが俺を助けてくれたんだろうが、当人はいないし、
 気付いたときにいたのはこの犬一匹さ」
「はあ…」

サックスがあらためて村のほうを眺める。サックスの表情が僅かに翳り、ため息をつく。
「俺は今から村のほうに向かう。あそこにまだ仲間がいるかもしれないしな」
そう言って、動き出そうとして、ふと足を止める。

「そういえばサックスとどこかで聞いたと思ったんだ、エリアの仲間だったな」
「……エリアに会ったんですか?」
「ああ、昨日の夜から一緒に行動している。お前のことも少し聞かせてもらったよ」
「ということは、今は村に?」
「ちょっと前までな。無事に逃げてくれていることを祈ってるよ」

59:暁より、或る風に寄せて 3/5
07/07/09 05:19:49 FY6baWvJ0
ハッサンとルカを殺し、故郷の村のほうへ進んできた。森を抜け、初めに見たのは故郷が燃え上がる光景。
この世界は架空のものだと言い聞かせても、もう自分には帰る場所すらなくなってしまったのだと思わずにはいられない。
それでも進んでいくと、男と犬を見つけた。村から逃げてきたのか、村に火をつけた張本人なのか。
最初は殺そうかとも思ったが、相手は見た感じでは万全、一方で自分は体力をかなり失っている上に体の毒がまだ取れていない。
そこで相手の様子を伺った。
ヘンリーというこの男は村の中にいたらしいが、どうも答えが曖昧だ。
警戒しているのだろう。少なくとも、彼が連れている犬はあからさまに敵意をむき出しにしている。
が、少し話していると、この男はエリアと共に行動していたということが分かった。
このままだとエリアに会うことになるだろう。さて、そうなったときどうする?

……自分はエリアに命を救われた。それは事実。でも、だからこそ自分は生き延びないといけない。
……この命を繋ぐために、死んでいった仲間のためにも、自分は最後まで生き残らないといけないのだ。
そう言い聞かせる。


さて、この男自身は信用に足るか? 否。
ゼル、リルム、ルカ、ハッサン、アルス、フリオニール、カイン、それにギルダー。自分は数々の裏切りを見てきた。
彼らが何を考えていようとも、彼らのとった行動は自分にとっては裏切りでしかなかったのだ。
初めて会う人間などとても信用できるものではない。いや、ここにいる人間はもう誰も信用など出来ない。
口ではいくらでも上手いことは言える。今なら、イクサスの気持ちも少しは理解できるような気もする。

では、この男は利用するにはどうか? 
今話した様子では、この男には何人もの仲間がいるようだ。
怪我をしている様子が見られないというのは、それだけ強いか、回復魔法が得意な仲間がいるということ。
毒に先ほど受けた傷、これ以上無理をするわけにはいかない。
なら、一時的に彼らの仲間として身を潜めるのがよい。
幸いにも、この男は自分のことを知っていて、なおかつさほどの警戒はしてはいない。
ゼルやリルムとはまだ会っていないのだろう。それは幸運だった。

60:暁より、或る風に寄せて 4/5
07/07/09 05:22:27 FY6baWvJ0
「僕も行きます。エリアがずっと一緒にいたというなら、あなたは信用できる人間でしょうから。
 ただ、僕らは負傷者や逃げ遅れた者の救助が先決でしょう。
 僕の故郷ですから、地理は正確に把握しています。何より、いくら手負いとはいえ、
 あんな怪物にバカ正直に挑んだところでどうにかなるとも思えない」
「ああ、そうだな」
ヘンリーは大規模な攻撃呪文も使えない。あの怪物を銃で撃っても、針で刺すようなものだろう。
戦いのことはリュカに聞いたことがある。残念だが、自分にあれと戦えるだけの能力はない。
「では、東から回りましょう。森がありますから、そこから村のほうへ入りましょう。
 まだあまり火は広がっていないようですし、井戸のところだけは開けているので、もしかしたら誰か避難しているかもしれません」

犬が必死に吠える。まるでそちらに行ってはいけないとでも言うかのように。
「悪いな、確かに危険だが、行かずにはいられないんだよ。
 この糞ゲームで一緒に生きてきた仲間だからな。
 それに、向こうも俺のことを心配してるだろ。顔ぐらい見せてやらねえとな」

犬はその言葉をどう理解したのか、唸っていたが、突然サックスに向かって体当たりを仕掛けた。
だが、それに反応したサックスは水鏡の盾で見事に受け止める。
しかし、渾身の体当たりだったのだろう、弾かれて尻餅をついてしまった。
「あいたた……」
「おい、大丈夫か?」
「ええ、大丈夫です。ちゃんと受け止めましたから」
「お前、一体どうしたんだ?」
未だに唸る、いや、すでに戦闘態勢に入っているようにも見える犬に尋ねる。
といっても言葉は通じないのだが。

犬の代わりにサックスが答える。
「やっぱりあの怪物を本能的に怖がっているんじゃないですか?
 それか、飼い主からヘンリーさんを動かさないよう命令されているとか。
 僕がヘンリーさんをあの怪物の連れて行こうとしているように見えたんでしょう」
犬が身を翻し、南の森のほうへ駆けていく。
「そう…か、そうだな」
違和感をしまい込み、自分を納得させると、ヘンリーは風のように遠ざかっていく犬を見送る。

61:暁より、或る風に寄せて 5/5
07/07/09 05:23:47 FY6baWvJ0
アンジェロはサックスから僅かな血の臭いを嗅ぎ取っていた。
それも嗅いだことのある臭い。きっとハッサンのものだ。
サックスが危険な男なのは明白。なのにそれを伝える手段がない。
意思疎通が可能だというのは、どれだけ便利なことか。
もしかすると倒せないかと強引にサックスを攻撃したが、防がれてしまっただけ。
どんなに吠えても、攻撃しても、無駄なのだろう。
それに、ハッサンたちに何が起こったか。嫌な予感がする。いや、もう彼らは…。
とめどなく湧き出る不安を抑え、アンジェロはルカたちのもとへと風のように駆けていく。



【サックス (HP半分程度の負傷、軽度の毒状態、左肩負傷)
 所持品:水鏡の盾 スノーマフラー ビーナスゴスペル+マテリア(スピード)
 ねこの手ラケット チョコボの怒り 拡声器
 第一行動方針:ウルの村へ行く
 第二行動方針:ヘンリーたちの仲間にもぐりこみ、利用する
 最終行動方針:優勝して、現実を無かった事にする】
【ヘンリー
 所持品:アラームピアス(対人)、リフレクトリング
 第一行動方針:ウルの村へ行く
 基本行動方針:ゲームを壊す(ゲームに乗る奴は倒す)】
【現在地:ウル南方の草原地帯→ウルへ】

【アンジェロ
 所持品:風のローブ
 第一行動方針:ルカ、ハッサンの元へ行く】
【現在位置:ウル南方の草原地帯→ウル南の森へ】

62:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/07/12 19:03:08 LZVeSOEl0
ごめんね、保守だけ

63:冒険のお話 1/7
07/07/15 06:52:43 9HjMD1xx0
「みんな、準備はいい? ここのぬしはどんなやつだろ?」
初めて見た旅の扉。そこに広がる、広くて深い異世界。今までとは比べ物にならない深さ。
深さはぬしの強さを表す。今度のぬしは相当強いに違いない。
ごくりと唾を飲み込む。それはヘルードも、グレンザも、ゴルゴも同じ。
最下層へ続く穴は、何よりも黒く、底がないように見えた。
仲間と手をつなぎ、勇気を出して穴へと飛び込む。

飛び込んだ先は深い闇。真っ暗。何も見えない。
「暗いな。みんな、俺から離れるなよ」
すぐそこにいるはずの仲間に手を伸ばす。その手は空を掴んだ。

「あれ? お~い、みんな、どこ行ったんだよ? こんなときに冗談はやめてよ」
返事はない。耳を澄ませると、聞こえるのは複数の息遣いだけ。
直ぐ隣には誰かが倒れていて、その隣にも誰かが倒れていて。それが延々と続いていた。

警戒しながら辺りを見渡すと、やはり暗闇だけがあったが…いくつかの気配を感じる。
恐らくは…他にも数人が起きていて、自分と同じように警戒しているのだ。
いつの間にか、明かりが付いた。
ただその明かりはとても小さく、蝋燭の様に儚く、そしてどこか冷たいものだったが。そして。
「ようこそ、選ばれた選手達よ…!」

64:冒険のお話 2/7
07/07/15 06:53:28 9HjMD1xx0
その存在は、絶対的な力と悪を持っていた。それこそ自分の存在など、一瞬で消されてしまうような。
壇上に何かが積み上げられているのに気付く。
それは、ヘルードの、グレンザの、ゴルゴの、そしてタイジュで放牧していたはずの魔物たちの変わり果てた姿。

信じられない光景に足取りはおぼつかなくなり、よろけて、倒れる。
正面から目をそらすと、その先にわたぼうや、わるぼうの背中が見えた。
(いや、大丈夫だ。わたぼうなら……)
「ねえ、わたぼう…」
こんな状況でもわたぼうなら、わたぼうならきっとなんとかしてくれる。
そう思って、わたぼうの肩に手を置く。途端に、彼の頭が吹き飛んだ。


「わたぼうッッ!!」


「テリー! どうしたッスか!?」
とても慌てたような声が聞こえた。
辺りはまだまだ暗い。暗いけれど、命の気配も感じられる。
すぐそばに温かみを感じる光。周りにはギード、ティーダ、アーヴァイン、ロック。
ギードは叫び声で起きてしまったようだが、他の三人はもとから起きていたような感じもする。
そういえば、ティーダとアーヴァインの顔が腫れている気がする。
とにかく、魔女なんていなかったし仲間の死体もなかった。

65:冒険のお話 3/7
07/07/15 06:55:06 9HjMD1xx0
「ううん、大丈夫。とっても怖い夢を見て…」
その夢を思い出してしまうのか、言葉に詰まる。
普段なら脅かすなよ、の一言で終わるところだろうが、状況が状況。
みな、いつどんな悪夢を見てもおかしくない、荒んだ心。
誰も彼を責めることは出来ない。

「まさか、また誰かが助けを呼んでいるとか、そういうヤツ?」
「ううん、ロザリーお姉ちゃんのお祈りじゃなくて、ただの夢だと思う」
「そう…」
それならいいんだけどと言いかけるが、テリーの体が震えているのに気付き、グッと飲み込む。

「まだ夜は長いけど、眠れるかい?」
「怖くて眠れそうに無いんだ。もうちょっとだけ起きててもいい?」
「では、わしも起きておくとしようか。見張りも代わろう。そろそろ真夜中も過ぎたころじゃろ」
「ギードはもう大丈夫なんスか?」
「年をとると長くは眠れなくなっての。怪我のほうは大分よくなったわい。
 お主らも、若くて元気なのは結構じゃが、眠れるときに眠っておかんと後々大変じゃぞ」
「全くだよな、真夜中までギャーギャー騒いでたら近所迷惑だっての」
(ロックだって人のこと言えないじゃん)
「アーヴァインくん、何か言ったかな?」
手をグッと握る音が聞こえてくる。
「じゃあお休みー!」
「ふわぁ~……やっぱりお言葉に甘えさせてもらうことにするッス」
アーヴァインに気を遣ってはいたものの、ティーダ自身はまともな睡眠をまったく取っていない。
一応眠ったふりだったはずのアーヴァインも、本当に寝息を立てている。

66:冒険のお話 4/7
07/07/15 06:56:04 9HjMD1xx0
「まったく、眠れないんじゃなかったのかよ…。ちょっとはこっちも気遣えっての」
「なに、つらくなったらまた代わってもらうわい。ワシの体のことなら心配はいらんよ。
 お主もゆっくり休むといい。明日も頼りにしておるからの」
「あー、俺としても眠りたかったんだが、あいつらのおかげで目が覚めちまった」
熟睡している二人を横目に、水分を補給する。
二人の若者が寝静まって、あたりにまた静寂が訪れる。

「テリー、おぬしはこのまま朝まで起きておくのか?」
「眠れなくてさ。寝たら夢の中にまた魔女が出てきそうで……」
「じゃあ、なんか話すか? 見張りってのも結構暇なもんだしな」
「どんな話?」
「そうだな……」


テリーとロックが話し出す。
「ええっ、一人で100人以上を足止め?」
「ああ、俺にかかれば帝国兵の100人や200人、ちょろいもんだ。逃げるのには苦労したけどな」

二人とも、冒険好きなだけあって、話すことには困らない。
「これが魔石ってやつ? なんだかあったかいね」
「バハムートの魔石だな。幻獣の中でも最強クラスだ。他にもミドガルズオルムの魔石があるらしい」
「ふーん、………出て来い、バハムート!」
「おいおいおい!! ……一瞬肝が冷えたぞ。召喚なんてむやみやたらにするもんじゃない。もうこれは終わりだ」
「え~~」

67:冒険のお話 5/7
07/07/15 06:58:14 9HjMD1xx0
相変わらずあたりは静か。聞こえるのは虫の声と風の音だけ。
「異世界ねえ」
「うん、穴に落ちたら次の異世界に進めるんだよ」
「世界に大穴が開いてるのか?」
「うん、何故か入るたびに形が変わるんだ」

誰にも邪魔されず、二人の話が続く。
「モンスターの言葉が分かるのか?」
「うん、俺はマスターだからね」
「ドゥドゥフェドゥみたいなわけわからんやつの言葉もか?」
「どどへどぅ? なにそれ?」
「知らないか? 有名なモンスターなんだが。じゃあエドガーに教えてもらうといいぜ。あいつの城でいっぱい飼ってるからな」

ギードは、まるで保護者であるかのように二人の話に静かに耳を傾ける。
「異世界となると、見たこともない財宝が山ほどあるんだろうな」
「でも、一番下にいるぬしを倒さないと異世界からは戻れないんだよ」

68:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/07/15 07:04:31 hgvfIj/20


69:冒険のお話 6/7
07/07/15 07:27:17 9HjMD1xx0
話を聞いていて、ギードはふと考える。それは、テリーの冒険していた異世界のこと。
(この世界、テリー君の言う異世界とやらによく似ておらんか?
 世界にあいた穴……別次元、いや、無への入り口のようなものか?
 それによって繋がれた何重もの異世界…。
 ならば、最下層には世界を統べるぬしの存在?
 そうなると、魔女の居場所はもしや?)

まあ、結論を出すには時期尚早といったところ。
まだまだ情報量は絶対的に不足している。
だが、世界の謎、首輪の謎を解くカギは案外参加者の体験の中にあるのではないか。そう思える。

「イル ルカんしゅしゅ?」
「イルルカンカシュだよ。言いにくいがそういう種族名なんだ」
「変な名前のモンスターが多いなあ。俺ならもっとナイスな名前をつけてやるのに」
「例えばどんな名前だ?」
「ん~~、C・Jr?」
「……」

70:冒険のお話 7/7
07/07/15 07:28:56 9HjMD1xx0
【ティーダ(変装中@シーフもどき)
 所持品:フラタニティ 青銅の盾 理性の種 首輪 ケフカのメモ 着替え用の服(数着) 自分の服 リノアのネックレス
 第一行動方針:待機
 第二行動方針:サスーンに戻り、プサンと合流
 基本行動方針:仲間を探しつつ人助け/アルティミシアを倒す】
【アーヴァイン(変装中@白魔もどき、身体能力低下、一部記憶喪失、軽症、右腕骨折、右耳失聴)
 所持品:竜騎士の靴 ふきとばしの杖[0] 手帳 首輪 コルトガバメント(予備弾倉×3)
 第一行動方針:睡眠中
 第二行動方針:ティーダが消えない方法を探す/ゲームの破壊】
【ロック (軽傷、左足負傷、MP2/3)
 所持品:キューソネコカミ クリスタルソード 魔石バハムート 皆伝の証
 第一行動方針:テリーと話す
 第二行動方針:ピサロ達と合流する/ケフカとザンデ(+ピサロ)の監視
 基本行動方針:生き抜いて、このゲームの目的を知る】
【ギード(HP1/3、残MP1/3ほど)
 所持品:首輪
 第一行動方針:見張り
 第二行動方針:ルカとの合流/首輪の研究】
【テリー(DQM)(軽傷、右肩負傷(8割回復)
 所持品:突撃ラッパ シャナクの巻物 樫の杖 りゅうのうろこ×3 鋼鉄の剣 雷鳴の剣 スナイパーアイ 包丁(FF4)
 第一行動方針:ロックと話す
 第二行動方針:ルカ、わたぼうを探す】
【現在位置:サスーン南東・山の中、森との境付近】


71:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/07/18 00:15:26 E67izjZl0
ほ・守

72:空回りの深夜
07/07/20 05:32:55 U41FS4sc0
「ふう………」
完全に炎に包まれた宿屋を前にしてため息をつく。
それが安堵のためなのか、それとも出鼻を挫かれたためなのかは分からない。
宿屋まであと少しというところで、エリアが赤髪の男と金髪の女に背負われて助け出されたところを目撃したのだ。
エリアの顔は名簿で確認した。背負われていたのは彼女に間違いない。
彼女らは井戸のほうへと向かっていた。ならば、エリアのほうはもう心配ないだろう。
サックスやカインから聞いた、赤髪の男がいたのが気になったが、
まさか自分で助け出しておいてからわざわざ殺すようなバカもいまい。
それよりもちょっとの間とはいえ、緑髪の男の傍から離れてしまった。
アンジェロがちゃんと見張っていてくれていると思うが、少々心配だ。戻ろう。
途中、ふと怪物のほうを見ると、顔に真っ白のレーザーが直撃していた。
マッシュの仕業だろう。その後、大きな地響きがした。

「ふう…」
平原の真ん中で小さなため息をつく。
寝かせておいた緑髪の男の姿はなく、アンジェロの姿もない。
死体も血の跡も争いの痕跡もないから、誰かに殺されたということはないのだろうが、一体どこへ向かったのか。
南へ逃げたということはまずない。ウルにいる連中の仲間なら村へ向かうか留まるかするだろうし、
逆にやつが殺人者ならばやはり今の村へ向かって逃げ遅れた連中を殺害するだろう。
怪物は地響きを立てて倒れたが、仕留めたのかは分からない。一方で、村のどこかにはあの緑髪の男、いなくなったアンジェロ。
今ここに留まっておく意味はない。では、どこへ行く?

【スコール
 所持品:G.F.カーバンクル(召喚○、コマンドアビリティ×、HP1/4)、G.F.パンデモニウム(召喚×)
 吹雪の剣、ガイアの剣、エアナイフ、ビームライフル、セイブ・ザ・クイーン(FF8)
 天空の兜、貴族の服、オリハルコン(FF3) 、ちょこザイナ&ちょこソナー、ひそひ草
 ヘンリーの武器(キラーボウ、グレートソード、デスペナルティ、ナイフ)
 アイラの支給品袋(ロトの剣、炎のリング、アポロンのハープ)
 第一行動方針:臨機応変に動く
 第二行動方針:アーヴァインと緑髪(緑のバンダナ)の男、及びエドガーを探す
 基本行動方針:ゲームを止める】
【現在位置:ウル南方の草原地帯】

73:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/07/22 13:27:19 nLiEyVJe0


74:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/07/25 18:45:49 M68gtECh0
ほしゅのみ

75:山中での戦い 1/8
07/07/26 02:24:56 cbFaModU0
カインとウネ。双方動かない。相手が動くのを待っているのだ。
「………仕掛けてこないのか?」
「先攻を譲ってあげてるんじゃないか。年寄りの厚意は素直に受けるもんだよ」

本来、魔術師相手ならば魔法を唱えさせる間を作らず連続攻撃で畳み掛けるのが定石。だが、それを阻むのがこの地形。
階段状に切り立った崖に、ところどころ突き出したような足場。移動に気を取られ、相手の魔法の餌食になってしまう可能性がある。
相手は見たこともない風の魔法を使ってきた。
すでにウネは魔力を高めている。無策に飛び込んで、いきなり魔法に巻き込まれるなどは避けたい。
ちらと下界を見る。カナーンに見える炎の勢いは衰えない。
(この分なら、向こうが先に動くだろう。お手並み拝見といこうか)

どういう理由でゲームに乗ったのかは分からないが、カインは仲間のうちに入り込み、頃合を見計らって裏切る危険な人物。
説得は通じない、いや、説得を理由に仲間に入り込み、裏切りを実行する可能性がある。だから説得など考えず、ここで倒すべき。
普通の戦士なら、遠くから魔法を連発して倒してしまえばいい。
だが、相手は竜騎士。前後左右に加え、上下の動きもある。どう動くかを見定めるのは容易ではない。
それに相手の装備。出来のよいミスリル武具は対魔防御があるという。
エアロ程度では話にならないが、かといって最上級の魔法では詠唱中に近付かれてあとは接近戦だ。
派手すぎるので、距離によっては相手を見失ってしまう可能性が高い。
「面倒な相手に当たったもんだ。どうしたもんか」
ちらと下界を見る。カナーンに見える炎の勢いは衰えない。
(まあ町のほうも後始末が大変だろうし、なら先に動かせてもらおうかね)
速攻で勝負を付けられるように、そのための魔法を紡ぐ。

76:山中での戦い 2/8
07/07/26 02:28:00 cbFaModU0
「まずはそちらのお手並み拝見といこう」
「先手必勝とはよく聞く言葉だけどねえ、なら先に行かせてもらうよ」

ウネがなにやら呟いた後、こちらに指を向けてくると、自分の周りに青く薄い光が集まり、透明な直方体が為される。
行動封じの魔法か。もしくはライブラ。どちらにしろ、くらえばロクなことがない。
ミスリルの盾と篭手で保護、そのままガラスのような直方体を打ち破って外へ出る。
魔法を使った直後だ、大した攻撃は来ないと思っていたが、それは間違い。ブリザド系統とはまた違う、吹雪の魔法での追撃。
「詠唱が速いな…。何か特殊なアクセサリでも着けているのか?」
盾で吹雪を防ぎ、近くの足場へ華麗に着地。もう一度地を蹴り直し、今度は一気に本体を狙うが、先ほどまでいたはずの老人の姿がない。
ここは不規則に岩の飛び出た崖の中腹。ほぼ空中と言い替えてよい。
前後左右に加え、上下からも攻撃を受ける可能性がある。敵は…どこだ?

相手は動かない、今上位魔法を使ってもおそらくかわされるだけ。ならばまずは自分を強化すればいい。
そして相手の戦闘力が分かれば対策も打ちやすい。
カインに指を向け、ライブラの魔法を使うが、これはかわされてしまった。
カインがジャンプし、こちらへ向かってくるが、想定済み。
吹雪……魔法を覚える前から使えた、種族特有の技で迎撃する。
激しい吹雪が辺りを白く染める。こちらからは姿が確認できないが、それは向こうも同じ。
ならば今のうちに有利な場所を陣取っておくのがよいだろう。
テレポで頭上の足場へと移動。相手は自分が先ほどまでいた場所で、キョロキョロしている。
(さっさと終わらせることにしようか)

77:山中での戦い 3/8
07/07/26 02:29:38 cbFaModU0
「くそ、上か!」
「ようやく気付いたかい。ちょっと実力を買いかぶりすぎたのかねえ」

相手の行動は思った以上に速い。が、なんとか対応は出来る。
目にすら見えるほど圧縮された濃い空気が向かってくる。エアロガとかいう魔法だろう。
バックステップで避けるも、その空気の塊が自分のいた足場を砕いた。
衝撃で炸裂する石片が、凄まじい勢いで飛び散り、体に傷を作っていく。
たまらずにその場から跳び出し、ちょうど真上にいたウネを攻撃するが、ウネはまたも跡形もなくなってしまう。
「テレポの魔法か!」
相手は自分より斜め上空の足場に出現、常に自分より高いところに陣取ろうとしているようだ。
魔力が高まり、荒れ狂う白波が振動と共に押し寄せてくる。
「くそ、同じ魔法を何度も……」
足場は先ほどより丈夫。今度はミスリルシールドで受けるが、なにやら手ごたえが違う。
押されるような感覚ではなく、鋭い突きを盾で受けるような感覚。
頬を何かが高速で掠め、血がたらりと流れた。
「風の力で何か飛ばしているのか? チッ、厄介な真似を……」
弾かれて落ちた投擲物を見る。上手く表現できないが、金属の塊という印象を受けた。

エアロガの魔法。詠唱速度、消費魔力、威力共にこれが一番使いやすい。
本来は鳥よけに開発されたエアロを強化したもので、空中にいる敵にも強い。
予想通りの攻撃をしてくるカインを、テレポの魔法で避ける。
デジョンならばどこにでも出られるのだが、テレポは縦方向、移動できるのは45度~135度の位置が限界。相手は斜め前下方。
「これでも使ってみようかね」
袋から鉛玉を取り出す。カナーンでカインが回収しなかった道具だ。圧縮した空気を掌に作り出し、そこに乗せて解放。
上手く操作は出来ない上に、さすがにミスリルを貫通することはないが、殺傷力は十分あることは確認した。

78:山中での戦い 4/8
07/07/26 02:31:11 cbFaModU0
「いい加減積極的に攻めてきたらどうなんだい? 臆病が過ぎるんじゃないか?」
「臆病ではなく、慎重だと言ってもらいたいな」

実際、特殊な攻撃ばかりで今は守勢に回らざるを得ない。
飛ばされてくる金属塊は普通に投げられたものよりはずっと速く、攻撃範囲もその量も桁違い。
盾で受け続けるのは厳しい。弾かれたり、割れたりしかねない。
攻撃の合間を見つけ、ジャンプで脱出、別の足場に着地。だが着地の瞬間、転倒してしまう。
まずいと思う間もなく、ウネが上から金属塊を放つ。
「!!!」
塊が左肩を抉った。さらに風の追撃。痛みをこらえ、咄嗟に転がり、下の段に落下。
空中で態勢を整え、着地しようとするが、そこにはテレポで移動していたウネの姿。
明らかに人のものではない、長く鋭い爪で串刺しにしようとしてきた。
槍の穂先を下に向ける。爪VS槍では、リーチの関係上槍のほうが先に当たる。
ウネは攻撃を引っ込め、回避行動。無事、着地できたが、その瞬間に殴りつけられた。
盾で受けるも、不思議な衝撃。数十メートル吹っ飛ばされてしまう。
だが、プロテスの魔法のおかげで衝撃は大幅に緩和され、なんとか持ちこたえられた。
(ただの魔術師なら、接近戦ではこちらが有利だと思っていたが……正体はモンスターか。直接攻撃も危険だな…)

カインは発射間隔の隙を縫い、ジャンプして場所移動。だが、そこは先ほどの吹雪で凍ってしまった足場。
いくら竜騎士でも、凍った足場に着地すればバランスが取れなくなる。今ぞとばかりに弾撃を叩き込む。
しかし、プロテクトリングに守られているためだろう、思ったほどの効果はないようだ。
カインは下へと転がっていく。ならば、落下場所で待ち構えていればいい。
テレポで下方に移動、落ちてきたカインを串刺しにしようとするが、相手は逆に槍で突き刺そうとしてきた。
これでは相手を串刺しにするより、こちらの腕のほうが先に破壊される。仕方なく回避。
相手が態勢を立て直す前にエアロを混ぜて殴りつけ、遠くまで飛ばしてしまう。
(なかなか決めさせてくれないねえ。さてさて、困ったもんだ)
カインは実力を見せていないというより、回避に全力を注いでいるよう。さっさと終わらせてくれそうにはない。

79:山中での戦い 5/8
07/07/26 02:35:52 cbFaModU0
「さすがに逃げに関しては一流だね?」
「フッ、まともに正面から戦うのはバカのやることなのだ。
 それに、ここで無理に決着をつける必要はないからな」

距離はある。今のうちに戦力を分析。
敵は主に白魔法と風系魔法の使い手らしい。直接攻撃力もかなりのものと見た。
だが、本当に厄介なのは速さ。行動そのものが段違いに速い。
後で動くのにこちらの行動に間に合い、高速で詠唱し、こちらの攻撃も当たらない。
(いくらなんでも速過ぎる、反則だろう。……いや、相手は白魔道士。もしや?)
ウネを凝視する。周りの景色と比べて、そこだけ違和感がある。
(フッ、そういうことか)

相手の守備の堅さは予想以上。思った以上に時間を食う。再び膠着状態。呼吸を整える。
何故ダメージがあまり与えられないか?
ミスリル装備が魔法攻撃の威力を大幅に削ぎ、プロテクトリングが物理攻撃の威力を大幅に削ぐ。
一度は追い詰めたと思ったものの、まだまだ相手には余裕があった。
一向に攻撃に回ってこないのは、実力を隠しているか、何か企んでいるか。
(ここで無理に決着をつける必要はない、ねえ……)
下界に目をやる。カナーンの焔は今なおこうこうと燃え盛っていた。

80:山中での戦い 6/8
07/07/26 02:42:42 cbFaModU0
「で、どうだい、あたしを正面以外から倒す方法とやらは見つかったかい?」
「さあな。色々考えてはみたが、無傷で勝つのは難しいだろうな。だが、要は負けなければいいのだ」
「おやおや、逃げるのかい?」
「逃がしたくないと思うなら、付いてくるのだな」

ジャンプしながら移動、それをウネが追ってくる。後ろ目にその様子を確認。
逃げるとはもちろん口実。ウネの状態を確認するのが目的。
あるまじき速さ、それなのにジャンプ幅や歩幅が移動速度に釣り合っていない。
まるでそこだけ切り取って早回しにしているかのような不自然さ。
(やはり、ヘイストか)
ヘイストの魔法。時の流れから己を切り離すことで倍速の動きを可能とする。
対象者本人からしてみれば周りの動きが倍速になるわけではなく、半分になるだけ。
時を操る魔法がどれくらい続くかということに関しては熟知している。
ジャンプのタイミングを見誤って一人だけ回復が間に合わないということは何度もあったからだ。
ジャンプの着地と同時に仕込んでいた機械を作動。
そして脚力を生かし強引に反転、ウネに向かって攻撃を仕掛ける。

「まったく、何を考えているのかねえ…。まさかこのまま本当に逃げるつもりじゃないだろうね?」
カインは突然逃亡、罠が仕掛けているのかと思ったが、仕掛けられるような間はなかった。
本当に逃亡し、作戦を練って不意打ってくるつもりなのかもしれない。それならば逃がすのはなお得策ではない。
一応プロテスをかけ、意図を掴みかねながらも追っていたところで、カインが不意に反転、攻撃を仕掛けてくる。
その速さはヘイストの効力を持ってしても捉えきれるかどうかといったほど。
先ほどまで防御一方だった相手のあまりに突飛で大胆な行動、そしてその行動速度に身体が付いていかず、初めて後手を踏む。
突き出してきた武器をかろうじてかろうじて回避。その柄を掴んで動きを封じる。
「!?」
エアロを詠唱しようとしたところで、武器を掴んでいた手から紫の血が垂れた。
槍での攻撃が来たのだと思っていたが、掴んだのは槍の柄ではなく、剣の刃。それも聖剣の一つである光の剣。
痛みに思わず手を離す。

81:山中での戦い 7/8
07/07/26 02:44:25 cbFaModU0
「少し反応が遅いようだな、老人」
「……ああ、あんたの本職がペテン師だってことを忘れてたよ」
「フッ、その減らず口もいつまで叩けるかな?」

加速装置。スイッチを入れることで、何倍ものスピードで走ることが出来るようになる。当然、その突進力も数倍。
だが、地上での戦いの際、この装置を使って攻撃を仕掛けたのにもかかわらず、ウネに槍の柄を掴まれ、動きを封じられた。
ならばそれを逆手に取ればよい。剣は専門ではないが、並の戦士程度には使える。
ひそかに持ち替えておき、ウネに突進、突き出すだけ。
地上での戦いと同じ動き。同じようにウネが武器を掴む。痛みで怯む。
ウネに掴まれた時点で剣に用はない。槍に持ち替え、そのまま中距離戦に持ち込む。
ここからはもう、こちらのペース。

カインの攻撃は途切れることがない。壊れかけた癒しの杖で受けるが、ヘイストの魔法が切れてしまっている。
攻撃の体感速度が先ほどよりもずっと速い。もう一度ヘイストを使おうにも、これはレベル6のかなり高度な魔法。
とても戦いながら使えるようなものではない。大体、そのレベルの魔法が使えるのならそれより先にテレポで脱出している。
対策を考えようにも、相手は攻撃の手を休めてくれない、肩を怪我している気配も感じさせない。
いつのまにか追い詰められている。もはや後ろは崖っぷち。槍が空を切った一瞬の隙に相手の懐に飛び入る。相手が盾を構える。
ここで詠唱。次の相手の攻撃が来る前になんとか無力化。
カインの口元が歪んだ。カチリという音。体の真正面から来る衝撃。響く金属音。吹っ飛ばされる感覚。地面がない。
だが、詠唱は完成した。吹き飛ばされながらもカインの姿を正面に捉え、呪文を放つ。
「トード!!」

82:山中での戦い 8/8
07/07/26 02:48:53 cbFaModU0
慎重に下界の様子を伺う。普通の人間ならこの高さから落ちれば助からないだろう。普通の人間ならば。
自分が普通の状態ならば、仮に生きていたとしてもすぐにとどめを刺しに向かえる。普通の状態ならば。
肌は両生類のぬるぬるしたそれへと変わっている。
白魔法の使い手がまさかトードを使うとは思いもせず、まともに受けてしまった。
カエルにされたことなど、旅の途中で何度もあった。今更狼狽することもない。
が、問題なのが下界にいくつかの人影が見えること。月明かりだけで遠目にも分かる銀髪に、屈強な男、そしてケフカ。
銀髪はおそらくレーベの村で出会った、危険な男:ピサロ。
また、今の状態でアルガスに見つかればどうなるだろう?
アルガスの言っていた四人は瀕死または死亡、となると用済みとばかりに始末されるかもしれない。
(仕方がない、一旦離れるか。追ってくることもあるまい。今日のところは休むとしよう)

「……………」
カインに盾で突き飛ばされ、ジェノラ山から下まで落下してしまった。
生きながらえているのは、さほど高い位置にいなかったのもあるのかもしれないが、
やはり自身の魔物としての生命力と、プロテスが切れていなかったおかげだろう。
だが、悪いことに、強大な気を持つ人物……カナーンで確認していた複数の人物がすぐ近くにまで来ているようだ。
体をほとんど動かせないため、誰なのか確認できない。
カナーンは心配だが、動けないのでは話にならない。
残り魔力は少ないが、回復にまわすしかない。

【ウネ(HP 1/10程度、MP残り僅か) 所持品:癒しの杖 マシンガン用予備弾倉×3
 第一行動方針:自分の回復
 基本行動方針:ザンデを探し、ゲームを脱出する
【カイン(HP1/4程度、左肩負傷、疲労、カエル)
 所持品:ランスオブカイン、光の剣、ミスリルの篭手 プロテクトリング 加速装置 レオの顔写真の紙切れ ミスリルシールド
     ドラゴンオーブ
 第一行動方針:警戒しつつ、休む
 最終行動方針:殺人者となり、ゲームに勝つ】
【現在位置:ジェノラ山の北部中腹】

カエルは旅の扉を越えた時点で確実に治ります。時間経過でも治るかも。

83:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/07/27 15:33:14 lgEifPEH0


84:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/07/28 13:01:12 RV85BcbE0
hoしゅ

85:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/07/30 10:19:35 f8+Q54/k0
保守


86:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/07/31 02:52:34 aI5fljF80
リメイク祭りに備えて保守

87:名前が無い@ただの名無しのようだ
07/08/01 13:26:24 M253MvJ40
hoshu

88:残像[AFTERIMAGE] 1/7
07/08/01 19:34:21 X2lqzmkF0

力の乗った拳が、銀色の髪をした少年のこめかみにゆっくり押し当てられていく。
全身から集められた力の流れが、その拳から少年へと流れ込んでいく。
少年のバランスが崩れる。
不安定になった重心の代わりに拳が少年の身体を操り、ゆっくりと弧に巻き込んでいく。
途中から鋭く落ちる90度―拳と頭が描く弧が行き着く先は石の地面。
そして、インパクト。
熟れた果実が落下したみたいに、少年の果実からナカミが飛びしぶく。

拳の持ち主がわたしの方へと振り向いた。
ああ、『彼女』があいつの顔をしていたら、よかったのに。
残酷で乱暴で身勝手なもう一人のわたしが無邪気に笑っていたらこんな暗い気持ちにはならないのに。
でもそこにあるのは当然の結果だ、正当防衛だと言い訳がましい不敵に険しい真剣顔。
今のわたしにピッタリの、表情をしていた。




そこで場面は途切れ、一面の薄暗い石の壁が視界を覆う。
場面転換を感覚が追いかけ、痛みとだるさと倦怠感がごちゃ混ぜで身体の状態を報告する。
つぎに気持ちが、最悪な寝覚めを迎えたことを教えてくれた。



89:残像[AFTERIMAGE] 2/7
07/08/01 19:35:28 X2lqzmkF0

「よって、三人が迎撃に出、私が看病に残された。
 戦闘の結果として屋敷に火が放たれ、我らは地下室に避難して今に至っている」
「そう……なの。上はいま大変なのに―」
右拳を握ろうとして、筋肉の動きが痛みを生み無理を告げる。
左肩は、腕を振り回すことを許してくれるだろうか?
足や腹の傷は、わたしが戦うことを認めてくれるだろうか?
満身創痍、といってかまわない。
「傷を塞ぐことはできても失った血肉は戻らぬ。無理はするな」
両目はバンテージの下で傷跡しかないのに、察したクリムトが声を掛けてくれた。
見えないだろうケド小さく頷いてみせる。
自分の身体だ、自分でよくわかる。こんな身体じゃ、どうしようもない。
実際、気を失っていた間は(今もだけど)足手まといだったんだろうし。
ふぅ、っと息を吐き出す。それさえも傷に響いた。
「あの……」
「テリーは、死んだ。……彼を抑えられなかった私に責任がある」
心を読み取ったかのように、クリムトがそう言った。いや、吐き捨てた。
それは超越しちゃってると思ってたクリムトが初めて見せた感情混じりの言葉で。
そんな態度を見せられたらもうその話題には触れられない。
わたしはまた、薄暗い天井をじっと見つめた。




90:残像[AFTERIMAGE] 3/7
07/08/01 19:36:11 X2lqzmkF0

外はどうなっているのだろうか。みんな無事だろうか。
今すぐにでも加勢に行きたいけれど、身体が許してくれるはずもない。
どうしてこんな傷を負ったか。
テリーとの戦いの記憶が断片的にイメージとして甦ってくる。
―もし、戦っていたのがわたしじゃなくてあいつだったら?
答えを出さないほうがいいとは頭でわかっていても、どうしても比較してしまう。
―あいつだったら、最初から全力で殺しにいったはず。
  だから、いくらか軽い傷は負ったとしてもこんな怪我しないで勝っただろう。
  それだけじゃなくて、白いコートの彼もクリムトも、きっと殺した。
―それなのに、わたしは憎悪を向けてくる相手に対して迷って、迷って、この有り様。
  襲われた人、仲間を奪われた人……一体何人のテリーみたいな人が『アリーナ』を探しているのだろう。
  本当に、わたしは撒き散らされた憎悪を越えてあいつに勝てるのだろうか?

まるで、自分と分身の間に超えがたい力の差が、
とりわけ戦いへの真剣さのところで大きな差があるみたいに思えてくる。
必死に打ち消そうとするけれど、気勢も理屈も弱々しい。
こんなわたしが、本当にあいつを止められるのだろうか?
……できない、としたら。
わたしの、価値は?

『ないよ、そんなの。だいたい本物のアリーナはわたしなんだし』  

イメージに現れたあいつがそう言って、笑った。
勝利する自分の姿は、イメージできなかった。




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