08/04/28 00:02:48 t8KxSa/HO
51:ゲームセンター名無し
08/04/28 00:03:10 680enR1i0
52:「譲れない思いは」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/28 00:03:18 Zt9Q+d1j0
「そんな風に生きてるくせに、諦めるなんてことするやつが一番傲慢だってことだよ!」
立ち上がれば、この幻は全て消えるだろうと思っていた。
倒れた手に触れていた封雷剣をなんとか持って立ち上がると、何一つ消えることはなく、見知った顔が紅丸を囲んで微笑んでいた。
『じゃあ、やりぬいて見せろよ』
「ああ、言われなくてもな!」
ルガールだったそれは、まだ立ち上がる紅丸を認識し、瞬時に間合いを詰めた。
今度は完全に直線を突進してくる。
だから、その手を突き出すだけでいい。
「ウジュラバアア!」
「食らいやがれ!!」
紅丸の全身の骨が砕け、ルガールだった肉体に封雷剣が突き刺さった。
さっきよりも何倍も大きい雷が天へと走った。
「見たかぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
稲光の只中で紅丸は叫ぶ。
絶叫に応えるように、楓の幻が拗ねたように空を見た。
「え?」
釣られて見たその空は真っ暗で、まるで夜のよう。
空に伸びる雷光は何かに通じる道のよう。
そしてその闇の中にぽっかりと空いた穴は地獄のようだった。
『地獄門だ』
詳しい説明もなく名前だけを楓の声が告げる。
「なるほど、俺らにはお似合いだ」
『違いない』
53:「譲れない思いは」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/28 00:03:48 Mecef9zL0
稲光は間もなく消えた。
天はいつの間にか青く晴れ渡り朝の眩しさを取り戻していた。
屋上には封雷剣も、ルガールの死体も、紅丸も、何一つ残っていなかった。
54:「譲れない思いは」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/28 00:04:55 Mecef9zL0
「WTG!?」
一瞬、窓の外が真っ暗になったのを見てニーギが声をあげた。
「余所見してていいのか?」
アランがエネルギーバズーカを放つと、その弾を辛うじて蹴り飛ばす。
体勢を立て直すこともできずにニーギはそのまま倒れ込んだ。
「ゴメンね、説教の最中だった」
「そうそう、ちゃんと叱りつけてくれなくちゃ」
腹から流れる血を押さえることを無駄と知りファイティングポーズをとるニーギにアランは笑う。
もう窓の外は明るくなっていたし、ニーギの意識もそちらには向いていなかった。
55:ゲームセンター名無し
08/04/28 00:05:42 t8KxSa/HO
56:「譲れない思いは」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/28 00:06:35 Mecef9zL0
少し前のこと。
アランはニーギに背負われて階段を降りていた。
10階ほど下ったところだろうか、アランが声をかけた。
「なあ、アンタ」
「舌噛むよー」
軽い口調で言いながらまた1階降りる。
「んで何?」
「神様って信じるか?」
ニーギは足を止めることなく考える。また1階降りる。
「物理的に?精神的に?」
「まあ、さっきの俗物みたいのじゃなく、運命をどうこうするって感じの」
「あー、じゃあ信じないかな?」
「ふーん、なんで?」
「人智を超えた力を持つのを神と定義するならイヤって程見てきたから。
でも運命ってのは自分の道のことでしょ、それなら自分でなんとかできるもん」
彼女らしい受け答えだとアランは素直に思う。
「俺さ、孤児院っていうか、教会で育ったんだ」
ニーギは反応せずに足を進める。
心なしか背負われたアランは揺れが減った気がしていた。
話しやすいように気を使ってくれていたのかも知れない。
「だから、お決まりの神の御心~だとか、天にまします、だとかもやってきたんだけどよ」
階数表示はどんどん小さくなっていく。
57:ゲームセンター名無し
08/04/28 00:08:13 WfZOtc1u0
58:「譲れない思いは」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/28 00:08:46 Mecef9zL0
屋上での戦闘には当然気づいていたが、戻りはしなかった。
紅丸を止めるだけの理由をニーギもアランも持ち合わせていなかったし、止めても、もちろん加勢することも無駄だと分かっていた。
ポツポツと孤児院での思い出を語るアランに耳を傾けながらニーギはただひたすら階段を降りる。
途中でアランが片方の手を放したのも特には気にせず、照れくさくて頭でもかいているのだろうと思っていた。
そろそろ半分といったあたりでニーギはその足を止めた。
「理由なら、聞くけど?」
歯を食い縛り、背負ったままのアランに声をかける。
「アンタと同じさ。神なんていやしない。いるのは俺にはどうしようもない神様きどりの連中ばっかりだ」
ニーギの腹から、日本刀の刃が突き出ていた。
「なるほど、叱り飛ばしてほしいのね。まったくバカな男なんだから!」
59:ゲームセンター名無し
08/04/28 00:12:03 WfZOtc1u0
60:ゲームセンター名無し
08/04/28 00:12:13 AAookRfrO
61:「譲れない思いは」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/28 00:12:18 Mecef9zL0
「それで……私を殺してどうするっての?」
時は今へと還る。
ニーギはその武器全てをアランに預けたまま不意を突かれたため、肉体一つで戦う以外の選択肢を持ち合わせていなかった。
さらには限界近い体でアランを背負ってギースタワーを半分下った疲れ、なによりもルガールとの戦いによる消耗とアランに刺された傷。
これだけの条件を背負ってなお前を見据えていること自体が奇跡である。そしてニーギはそんな奇跡を起こす女であった。
「簡単さ、あのおっさんと同じ……俺の世界を作る」
「……あれの末路を見た上で言ってるのよね?」
「もちろん、ルガールよりよっぽど勝算はあるんだぜ?」
言いながらもバズーカを放つ。
ニーギは攻め込んでこない。避けるので精一杯だと表情が物語る。
「まず首輪はこの通り」
カチリ、とその首にはまった銀の輪を外して投げつける。
金属の音が響いてニーギの足元に自分達を縛る枷であったはずのそれが転がった。
「で、ルガールは間違いなく死んだ。上にいるのはルガールの残り香みたいなもんだろ?多分紅丸も死ぬだろうし。アンタはこの様」
ニーギは答えない。答えないことがその苦境を肯定していた。
「蒼月はどうかな……ただアイツは首輪が解除されてないからもう死んでるかもしれない。となれば……」
カチカチと音を立てるエネルギー切れのバズーカを捨て、右手に日本刀、左手にマカロフを構える。
「アンタと、逃げ出した連中を殺せば俺が最後の一人だ」
「そこまでして自分の世界がほしいの?」
「ああ、欲しいね」
ニーギは膝をついて体を起こす。
「さっき話した孤児院のため?」
「……ジーナとかソフィアとかっていう、いい女がいてさ……取り戻したいんだ」
しっかりと両足を伸ばしたニーギは黙って立つ。
「よくわかったよ。俺一人じゃプローブをどうこうなんてできない。世の中には普通の人間にはどうしようもないことがあるんだ。
神だなんておこがましいことは言わない…ただ、ただ俺はシスター達と思い出の場所を…」
アランが引き金を引く瞬間まで、ニーギは目を逸らさなかった。
「取り戻したいだけなんだよ!」
嗚呼、その言葉は神に許しを請う、まさに懺悔のようだった。
62:「譲れない思いは」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/28 00:13:30 Mecef9zL0
【二階堂紅丸:死亡】
【結城晶(首輪解除) 所持品:大学ノート(死亡者の名前とハガーメモの要点写しと手記、およびニーギたちとの会議メモ)と鉛筆、
首輪 目的:葵を守る、街から脱出する】
【梅小路葵(首輪解除、肩に大きな傷) 所持品:釣竿、ハガーのノート 目的:晶たちとともに生きて帰る、街から脱出する】
【かすみ(首輪なし、戦闘服着用)
所持品:拳銃(マガジン複数個:ほぼ弾切れの心配なし)、忍者刀朱雀、多目的ゴーグル 目的:街から脱出する】
【現在位置 3区北】
【ニーギ・ゴージャスブルー(全身の広範囲にダメージ+中程度の火傷、腹部を貫通する刺し傷、超消耗) 所持品:なし 目的:脱出】
【アラン・アルジェント 所持品:携帯電話2つ、折り畳みナイフ、出刃包丁、日本刀「紅鶯毒」、雑貨、ゴーグル、コンドーム、首輪、
マカロフ、目的:全てを取り戻す】
【現在位置:ギースタワー23F】
63:ゲームセンター名無し
08/04/28 00:13:36 WfZOtc1u0
64:ゲームセンター名無し
08/04/28 00:13:42 t8KxSa/HO
65:ゲームセンター名無し
08/04/28 00:15:11 t8KxSa/HO
66: ◆nucQuP5m3Y
08/04/28 00:19:33 Mecef9zL0
なんか支援の人いっぱいいねぇ!?
本日分の投下はここまででございます。
さて、ご覧の通りの展開となりましたが……
ご意見ご感想はレスでどうぞ。
ひとつだけ失敗。
前にナガセが登場した回、一人称を「アタシ」にしてましたがよく聞いたら「わたし」でした。しまった。
まあ、ロワ設定ってことで!もしくは脳内補完で!
さて、明後日、残ってる二人(山田と蒼月)の状況を書いていよいよラストです。
ただ、そのパートと一体化させるとなんかアレなので、短めになっても2話投下になるかなと。
その2話のうち、後に投下するほうがいよいよ最終回となります。
で、ご都合をお聞きしたいのですが、完結打ち上げラジオするならどの日がいいでせう。
GWになるとは思うけどできるだけ人がいる日にしようと思います。
エピローグはそのラジオ開始前に投下して話の種にしようかなとかも思ってますので
是非とも聞ける日を教えていただけると有難いです。
あとは、走りきるのみです。
67:ゲームセンター名無し
08/04/28 00:22:22 680enR1i0
乙であります!
まさかのアラン豹変…確かに怪しさは満点だったが…
しかしニーギ相手じゃ流石にどうなるんだ?相手は精霊脚持ちだし。
紅丸もお疲れさん…お前さんはよくやったよ
68:ゲームセンター名無し
08/04/28 00:24:38 AAookRfrO
乙でした!
うわーあと二話でラストか……しかもいいところで純和風チーム(適当)とアランvsニーギが途切れてるとは…!
蒼月や山田も気になるけど、今日の人々も気になる。
そして紅丸、最後までよく頑張った……。あの世(かさぶた)でもみんなと仲良くやってほしいものだ。
GWのラジオは2日~6日の間がいいなぁ。
69:ゲームセンター名無し
08/04/28 00:24:47 WfZOtc1u0
乙でした!
主催者が倒れても、まだまだ終わらないものですな。
破滅的な予感がしますが、最終回wktk
長く過疎っていたアケロワもいよいよ完結か…
70:ゲームセンター名無し
08/04/28 00:27:41 t8KxSa/HO
超乙!
紅丸は最期まで男前だった!
豹変したうんこは表へ出ろ!
他のキャラは大丈夫なのか?特に葵とニーギ!
ラスト近いのに結末が読めねえよ!
71:ゲームセンター名無し
08/04/28 00:30:44 t8KxSa/HO
もしかして明後日一気に二作投下して完結ってこと?
頭がアホで面目ない
72:ゲームセンター名無し
08/04/28 09:12:00 +CocdKYhO
乙!
素晴らしい。アランはあのメンバーの中じゃ一般人だし、それゆえの裏切りと考えることもできるわな。
とはいえ相手は極楽台風。どうなることやら。
しかし、まもなく終結か。なんとなく寂しいものを感じるな。
ラジオは……GWの休みの日(3、4、5日)あたりが妥当じゃないかと。
73:ゲームセンター名無し
08/04/28 13:49:22 6S46d7h50
乙!
アランがまさかの裏切りを。
確かにこの状況ならそう考えてもあながちおかしくはないか。
ベニーは乙。
まさか高慢に決着がつくとは思わなかったぜ。
積み重ねが昇華されたことにグッときた。
74:最終章最終幕「なんで?」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/29 19:54:11 t+yv2LqH0
エッジは外を見ていた。
爆発と銃撃戦で滅茶苦茶になった部屋の中で、ただ椅子に腰掛けて外を見ていた。
後ろには二つの死体。
一つはこの世界で誰よりも憎いと思っていた男、もう一つはこの世界で誰よりも優しいと思った男。
何度考えても自分の中でその二つの死体が同じ表情、笑顔であることの答えが出ずにいた。
この場に残った最大の目的がヴィレンへの復讐であった彼からは、本来最大であるべき脱出という目的は一緒になってかき消えてしまった。
「なんで、なんでだよ……」
決して気が触れたわけではない、しかしその言葉を繰り返し呟いた。
「なんでおっさんを殺したやつが笑ってんだ」
「なんであそこまで生き汚い野郎が笑って死んだんだ」
「なんでオレの身代わりになったネオさんが笑ってんだ」
「なんでネオさんも人を殺して笑ってんだ」
「なんでオレはイリヤ…ヴィレンを殺したかったんだ」
「なんで殺せなかったのにほっとしてるんだ」
「なんでオレは……こんなところに来ちまったんだ……」
エッジは外を見ていた。
光が降るのを見た。
外が夜のように暗くなるのを見た。
また明るく元に戻るのを見た。
光と闇の間を一瞬で駆け下りて行った青い影には気づかなかった。
75:最終章最終幕「なんで?」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/29 19:55:13 t+yv2LqH0
蒼月は早々に地上へと辿り着いていた。
途中の階に人影を察知したがとりあえず無視して最後までビルの壁面を走り降りた。
屋上で再び始まった戦いの音にびくりとする。
もちろん予想外とはいえ、冷静を遺伝子レベルにまで刻んでいる彼にとってその程度のことは驚くほどのことではないはずだった。
「何故……ですかね」
その音はあまりに大きく聞こえた。
最初に思ったのはやはり水邪の影響だった。
人ならざる力が自分の感覚を増幅させ、普段よりも鋭敏に音を伝えたのだと考えた。
しかしそれはおかしい。
なぜなら彼は地上についてからあまりの静けさに違和感を覚えていたからだ。
風の音、ビル中で瓦礫の欠片がたてる音、階段を駆け下りるニーギたちの音さえも聞こえたのだから
やはり感覚は鋭くなっていたかもしれない。
それでも彼は「あまりに静かだ」と感じていた。
だからこそ、屋上での激突音に普段ならありえないほど動揺したのだ。
「ふむ…やはりなにかされたと考えるのが」
そう言いながらいつものポーズで額をトントンとやる。
エッジと違い脱出のことを忘れたわけではないが、己の身がいつ水邪に乗っ取られるかわからない現状で安易に先発組に合流するほど
彼は楽観的ではない。
この違和感が水邪復活の予兆であるならば何か対策を講じなければと考えていた。
トン
トン
ト……
一秒に1回、一分で六十回。正確に刻み続けるその指が止まる。
あまりに頭に響くその音に気づく。
同時に、あまりに聞こえない音に気づく。
「なるほど、こういう手できましたか……」
聞こえなかったのは本当に当たり前の音だ。
心臓が、動いていなかった。
76:最終章最終幕「なんで?」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/29 19:58:21 t+yv2LqH0
「ぬぅ!?何事!?」
半裸の巨体を傾けて天を仰ぎ見るのは不破刃その漢である。
それまでの凄まじい力の衝突を感じ取っていた五感が察知したのは天から降る無数の光だった。
引き換えにおそらくは戦いの余波であっただろう衝撃や音は消えていた。
しばらく舞散る光の花を見つめ、彼はゆっくりとビルへと入った。
「む、カレー?」
不破は入ってすぐ、ロビーに漂うカレーの香りに面食らった。
殺し合いの場だと聞いていたこの街、その街での残党処理を命じられた自身にとってあまりにギャップの大きな香りだ。
折れた腕がズキリと痛むのを感じて思い出す。そう言えばあの連中からもかすかにカレーの匂いがしていた気がする。
つまりあいつらがここで飯を食った。それだけのことだと気づいて息を吐く。
「なるほど、こんな香りの強いものをこの修羅場で喰うような連中、某には荷が重いわけだ」
常人にはあまり納得しがたい結論をあっさりと受け入れてエレベーターに向かう。
「動かぬ……」
蒼月などと違い現代に生きる忍びである、エレベーターが動いているかどうかくらいはわかる。
ただ、彼は自分が乗ると決まって重量オーバーのブザーが鳴るのであまりそれを好きではなかった。
「ふん、丁度よい」
このビルが50階近いことを知ってか知らずかそんな言葉を吐いて階段を登りだす。
とりあえずは一番激しい戦闘をしていたに違いない屋上を目指すつもりだった。
しかしあまりにも早くその足は止まった。
「何ゆえ人の気配が?」
すっかり静まり返ってしまったビルの中で息遣いが聞こえた。
視線を巡らすとボロボロになったドアの残骸が散乱する廊下の、一つの部屋が目に留まった。
77:最終章最終幕「なんで?」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/29 19:59:44 t+yv2LqH0
蒼月は首の後ろに手をやる。
首輪をはずした仲間達の様子は、水邪との対話に集中していたため見ていなかったが、
あの日守という男がかすみの首輪を外したときのことを思い出して、繋ぎ目と思しきところを見つける。
指を軽く捻るとパチンと音がしてあまりにもあっけなく首輪は外れた。
少しの安心感と共に、少しの落胆がある。
散々生を脅かしてきたその首輪が生きていることの証だったのだと思えた。
いったいどのタイミングだったのだろうか。
一番有力なのは屋上で水邪の力を全力で使ったときだろうが、今となっては確認も出来ず、そしてそのことにあまり意味はなかった。
大切なのは水邪が蒼月の心臓を止め、その魔の力によって血液を循環させ命を永らえているということだ。
ただ蒼月はこのこと、つまり自分がある意味死んだということに関してそれほど感じる所がなかった。
そもそもあの列車の中で自分の首を斬り、水邪の力を一部使ってその血を止め続けていたのだ。
水邪は「これで我を封印すればお前は死ぬ」という意味で行ったのだろうが、そんなことはとうの昔に自分でしていたというわけである。
だからすんなりと受け入れた。
「やれやれ、ついに私も人間でなくなってしまいましたか」
という言葉はおそらく自分に対する確認の意味だったろう。
78:ゲームセンター名無し
08/04/29 20:00:07 3+T42eO+O
79:ゲームセンター名無し
08/04/29 20:02:05 3+T42eO+O
80:最終章最終幕「なんで?」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/29 20:03:40 t+yv2LqH0
そういえばこれは爆薬だったなと外した首輪を懐に入れ歩き出す。
蒼月が降り立ったのは裏口だったので、まずは見覚えのある場所にと思い正面を目指す。
ちょうど、大きな男がその正面入り口から建物の中へ入るのを見て反射的に身を隠す。
なにぶん大きくガサツそうではあったが、その男の身のこなしは忍びのものだった。
気配を絶つような細やかな神経は使っていなかったが、修行しなければ決して身につかない所作を蒼月が見間違えるはずはない。
とはいえ忍びとしては大雑把なその動作に自分の弟を思い出しすぐに振り払う。
視線を正面に戻したとき、すでに思考はその男が何者であるかに移っていた。
あのときロビーにいなかったのだから少なくとも仲間ではありえないと思い至って、自分達以外に生き残りがいることを思い出した。
自分が屋上で戦っている最中も階下での戦闘の気配には気づいていたが、それどころではなかった。
だから誰と誰が戦っていたのかはわからないし、結果がどうなったかなど知る由もなかった。
仮にあの男が階下で戦っていた「もう一人の生き残り」だとするならば、おそらく相手になっただろう仲間は死んだに違いない……。
「それでも、ネオなら脱出しろと諭すのでしょうね」
この街で出会えた相棒と呼べる男のことを思い出し、気配を殺してビルに入った。
せっかく殺した気配を打ち破るように音を立てて自動ドアが動くのが煩わしかった。
81:最終章最終幕「なんで?」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/29 20:05:37 t+yv2LqH0
「何をしている」
それまでの彼ならば振り返って見事なツッコミを入れていたはずだが、エッジは振り向かなかった。
部屋の入り口に立っていたのは不破刃である。
「生き残りか?」
室内の様子を伺いながら入ってくるその男にエッジは関心を示そうとはしない。
不破は返事がないことに苛ついたが襲いかかるようなことはなかった。
ルガールに会って真意を問いただすという目的のために、必要な情報を生きている者の少ないこの街で得るには滅多なことはできない。
しかし、何度声をかけても、自分が近づいても反応を示さないエッジにいい加減業を煮やして肩をゆさぶった。
「うぬ!ルガールはどこだ!?」
「なんだ、アンタ?」
エッジは初めて気づいたかのように振り向いた。
「なんで、ここに?」
「ぬ?そ、某は不破刃!ルガールに会うためここに来た凄い漢だ」
「不破刃?なんで俺らの知らない人がいるんだ?」
「いや、某は貴様らのような生き残りを全て殺してだな……」
「なんでそんなことを?」
「任務だからに決まっておろう!」
「なんでだ?この街の人間は全部ルガールに殺されるんじゃないのか?」
「ぬ、貴様もそれを言うか……」
不破はエッジの瞳に見つめられて言葉に詰まった。
その目は敵意も害意もなく、そもそも何らかの意思を感じさせることがなかった。
感じ取れたのは唯一「疑問に思ったことを問いかけているだけ」という幼い子供のような態度である。
「なあ、なんでそんな仕事受けたんだ?」
「忍びとは……」
「忍びは下命には逆らえない。そういう生き物なのですよ」
「なにやつ!?」
エッジの肩に手を置いたままの不破の言葉を補足したのは、音もなく入り口に現れた蒼月だった。
82:最終章最終幕「なんで?」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/29 20:07:39 t+yv2LqH0
「そう、か……ルガールは死んだと」
「間違いありません。儀式の話も本当です。本人から聞かなければ納得はできないでしょうが、それは無理なこと……」
蒼月は比較的傾いていないデスクに腰掛け、ある程度の距離を置いて不破に事情を説明した。
不破は時折ぬぅとか、うむとか唸っていたが、ルガールを殺したという男の言葉に聞き入っていた。
それは目の前の忍びが完成されすぎており、自分と違う次元の生き物に見えて動くことすらできなかったことも一因であっただろう。
「なあ、蒼月さん」
「なんですか、エッジ」
「なんでルガールは死んだんだ?」
「詳しいことはわかりませんが、まあ力の反動という言葉で説明がつくのでは?」
「じゃあなんでそんな力取り込んだんだ?」
「制御する自信があったのか、そうでもしなければ不安が消えなかったのか、今となってはわかりませんね」
「なんで、わからないんだ?」
遅れて部屋に来た蒼月はその時、ようやくエッジの異変に気づいた。
どんな言葉を返してもエッジはその言葉に納得しない。
それなりに説得力のある説明をすればその疑問は沈静化するようだったが、すぐさま別の問いかけをするのだ。
「不破と言いましたね。貴方が何か」
「いや、某もわけがわからん」
「なあ、そもそもなんでここに来たんだ?」
エッジはなおも問いかける。
無視すればいいのか、そう思いわざと返答を遅らせるとエッジはすぐに外を見て、蒼月や不破などいないかのように
ブツブツと自問を繰り返した。
「……ネオ、貴方ならどうする」
床に倒れる相棒の亡骸を見つめて、蒼月は呟いた。
83:ゲームセンター名無し
08/04/29 20:08:07 3+T42eO+O
84:最終章最終幕「なんで?」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/29 20:08:52 t+yv2LqH0
「そうですか。では」
そう短く告げて蒼月は部屋を出た。
背には気を失ったエッジを背負っている。
結局答えの出ないまま、蒼月はエッジを連れて脱出すべく一時的に当て身で昏倒させたのだった。
「ああ、最後に一つ」
「なんですか?」
「その忍びの技、もしまた会うことがあったら教授願えないか」
「考えておきましょう」
満足そうに頷いて不破は階段を登り、心にもないことを言って蒼月は下る。
結局、依頼者が死んだならそれこそ確認しなければという理屈をつけて不破は屋上を目指すことにした。
それは蒼月の言葉を信じなかったとか、自分が納得できないとかいう理由ではなく、ただの言い訳である。
彼の真意は先ほどのエッジの問いかけの中にあった。
『なあ、なんでそんな仕事受けたんだ?』
「何故、だったかな」
呟くと脳裏に宿敵如月の姿が浮かんだ。
「そう……決着のためだ」
漢は冷たい階段を上っていった。
その先にはただの死体しかないと聞きながら、何故だろう、そこに求める宿敵がいる気がして。
もしかすると生涯の目標を失った事になんとなく気づいていたのかも知れない。
階数表示が15階を越えたあたりで、足が止まった。
85:最終章最終幕「なんで?」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/29 20:10:23 t+yv2LqH0
蒼月は何十キロもある人間一人を背負っているとは思えないほどの速度で風のように駆けていた。
あの不破という男の話によれば、かすみたちは無事だという。
しかし別れてからの時間と不破が出会ったという位置から察するに、三人での行軍はなかなかにはかどっていないようである。
それならば追いつけるかも知れない。
しかし、追いついてどうするというのだろう。
自分の中の水邪がすっかり眠っていることに疑問はあった。
もし水邪が息を潜め、追いつくのを待っているのだとしたら?
かすみ達を殺し、とって返してニーギとアラン、それに先ほど会った不破を殺し、水邪の世界を作る気だったら?
そんな最悪のシナリオを頭に抱えながらも、足を止めはしなかった。
エッジの問いが蒼月の心にも響いていた。
『じゃあなんでそんな力取り込んだんだ?』
生きるためだと思った。
しかし、自分は今死んでいる。
だったら何故?
走り続ける彼もまた、ただ子供のように答えを求めていたのだろう。
【風間蒼月(頚動脈に傷、心臓停止) 所持品:忍者刀青龍 目的:脱出】
【山田栄二(エッジ)(左肩負傷、首輪解除、気絶中)所持品:なし(すべて放置) 目的:なし】
86:ゲームセンター名無し
08/04/29 20:12:53 3+T42eO+O
87: ◆nucQuP5m3Y
08/04/29 20:13:32 t+yv2LqH0
お早い時間にこんばんわ!
予告どおりやってまいりました!
とりあえず、最終章最終幕ということで章表記はこれで最後。
残るのは「最終話」のみです。
今晩中に投下できる予定ではいますが、終わりよければ…の言葉にあるようにあまり急いで書いたもので〆るのもどうかと思うので。
見直して納得できなければ一晩寝かせさせてください。
ちゃっちゃと風呂入ってきて作業に戻ります。
それでは、投下あるなしに関わらずまた今晩!
88:ゲームセンター名無し
08/04/29 20:17:00 3+T42eO+O
乙!超乙!
最終話どうなるんだ最終話!
水邪さんが大爆発しそうな気もするが…
気になる気持ちを抑えてこっちも風呂と飯とトイレをすませて支援に臨みます
89:ゲームセンター名無し
08/04/29 20:37:06 oobDCMk20
乙です!
ああードキドキする。 最後の最後まで気が抜けない展開ですね。
どういう終わり方にせよ、完結は実にめでたい。
90:ゲームセンター名無し
08/04/29 21:17:17 SAqE+QUOO
乙!
エッジの「なんで?」の連続がなんだか怖いよ…大丈夫かエッジ…
蒼月もどうなるか分からんし、最後の最後まで読めんな。
91:ゲームセンター名無し
08/04/29 22:18:30 miTLxxHD0
乙です!
いよいよなんだな…もうドキドキがとまらない…!
もうどういう結末になるのかまったく予想がつかないっす。
URLリンク(takukyon.hp.infoseek.co.jp)
テンション上がって一気に描いちまった…
ラジオ聞きたいが3~5日あたりだと旅行とかぶ…orz
92: ◆nucQuP5m3Y
08/04/30 00:20:42 KoAitV1w0
うん、多分、いいと思う。
行くます。
93:最終話「Game Over」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/30 00:28:18 KoAitV1w0
ラルフは、その戦車の上に立って街を見ようとした。
「ようやくかよ……」
この3日収集を続けた情報を総合するに、まず間違いなく中は地獄だ。
2つめのゼロキャノンの発射を阻止できなかったことは悔やまれたが、
それが今現在も観測不能なサウスタウン内部に着弾することなく、
妨害のない遥か上空で消滅したと言う報告はラルフに希望を与えていた。
きっと、中で誰かが戦っている。そう信じてそこに立っていた。
しかし、ラルフの目に街は見えはしない。
果てしないと思えるほど高い壁がそこにそびえている。
サウスタウンを封じる地獄の蓋。
申し訳程度にある扉を思慮に入れれば「地獄の門」と呼ぶべきかもしれない。
もし半日早くここに来ていればあらゆる妨害があったし、実際斥候部隊は何人も何人も死んだ。
しかし、今そこにあるのは本当にただの門だった。
94:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:29:14 BwWZjODI0
95:最終話「Game Over」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/30 00:29:39 KoAitV1w0
-大佐、突入までのカウント開始します-
「ああ、頼む」
ラルフは戦車の中から通信機を引っ張り出して口に当てる。
車内からははっきりとした声でオペレーターの声が響いた。
-10-
-9-
-8-
突然、轟音が響く。何かの崩れる音。しかしそれは「途中から」聞こえているような唐突さ。
それが街を包む結界に大きなほころびの出来た証拠だとは知る由もない。
96:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:29:59 8nPwyzfn0
97:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:30:52 BwWZjODI0
98:最終話「Game Over」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/30 00:30:54 KoAitV1w0
-7-
-6-
-5-
轟音の主、街で一番大きく高い建物、ギースタワーが倒壊した。
-4-
-3-
カウントは止まらない。
何があろうと止める気はなかったし、止めるなとも言ってあった。
自分の後ろに控える部隊が息を飲むのが聞こえる。
99:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:30:58 yeiYtvWB0
100:最終話「Game Over」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/30 00:31:40 KoAitV1w0
-2-
-1-
「うおおおぉぉぉぉ!突入だぁぁぁぁぁ!」
ラルフの叫びが、門の向こうにいる者に届いていた。
101:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:32:02 lB61vSVZO
102:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:32:20 8nPwyzfn0
103:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:32:25 BwWZjODI0
104:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:32:28 yeiYtvWB0
105:最終話「Game Over」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/30 00:33:16 KoAitV1w0
「いい加減死んでくれ!」
アランは引き金を何度も何度も引きながらそう叫んだ。
バッグに入っていたマガジンも使い果たし、残りは何発もないだろう。
「…やなこった」
ニーギはすでに二桁近い銃弾を身体に浴びており、彼女の足元には血だまりが広がる。
踏ん張ればぬかるみ、ぬかるめばバランスを崩す。
それでも、ニーギは立ち続けた。
「あと何発あんの?」
「知るか!」
また一発撃つ。
ニーギは身体を少しずらすだけ。そして銃弾はその身体の末端を穿つ。
その繰り返しだった。今の弾は三発目の左足への被弾だ。
「いったぁ…」
すりむいたところでも見るようにニーギがその弾痕を眺める。
アランは焦る。
早くしなければかすみ達は逃げ延びてしまうだろう。
一刻も早くニーギを殺し、追いかけなければならない。
しかしそれは「ニーギを完全に殺す」ことが絶対条件である。
ニーギの力は間近でいやと言うほど見た。
もちろん、その消耗ぶりも見てはいたが自分が彼女の0.何%の力で死ぬのかわからない以上、それを0にしなければ決して安心はできなかった。
「ほら!どうしたアラン!」
ニーギは声を張る。
106:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:33:37 BwWZjODI0
107:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:34:04 yeiYtvWB0
108:最終話「Game Over」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/30 00:34:41 KoAitV1w0
「くそっ!」
また一発。
今度は左腕に当たる。
「くうっ…」
アランは気づいていない。
ニーギはとっくに限界で、ひょっとすればその手の刀でもう一撃深く斬りつければ死ぬかもしれないこと。
それゆえに避けきれず、しかし急所だけは避けて挑発を続け警戒させ、距離を詰めさせていないこと。
最後に、右足にだけは一発も銃弾が当たっていないこと。
アランになんとなくわかっていたのは時間を稼がれているということだけ。
そしてそれによる焦燥感が彼の指を折り曲げ続けさせた。
109:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:34:51 lB61vSVZO
110:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:35:01 BwWZjODI0
111:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:35:13 yeiYtvWB0
112:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:35:46 VsE13rn2O
113:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:35:53 8nPwyzfn0
114:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:36:38 yeiYtvWB0
115:最終話「Game Over」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/30 00:37:42 KoAitV1w0
「ねえアラン?」
「なんだよ!」
膝を折るまいと必死に足に力を込めていたニーギがふっと力を抜いてみせた。
くらっと揺れる身体を壁にもたれさせて、それまで以上に優しい口調で問いかける。
「考え直さない?」
「残念だけど、ノーだ」
「やり直すなら、手伝ってあげてもいい」
一瞬、アランの表情が緩む。
それは本当に一瞬。
険しく戻った顔を見て、ニーギは心底切なそうに言葉を吐いた。
「アンタの大切なものを取り戻す手伝いだって」
「……一番の手伝いは早く死んでくれることだ」
最後の一発が、ニーギの腹に食い込んだ。
「……はいはい……まったく素直じゃないんだから!」
116:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:38:25 yeiYtvWB0
117:最終話「Game Over」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/30 00:38:37 KoAitV1w0
「やはり人が!」
不破刃が23Fの階段からその通路に飛び込んで見たもの。
自分の気づいて驚く二人の人間。
カチカチと無駄な音を鳴らす銃を捨てる男。
もう一方の手に持った刀を振り上げて駆ける男。
ニヤリと笑って、青く光る右足を振り上げる女。
その足を床に叩きつける女。
そして、崩れる23Fの床。
落下する自分と、目の前の二人。
118:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:38:49 VsE13rn2O
119:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:38:50 lB61vSVZO
120:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:39:42 VsE13rn2O
121:最終話「Game Over」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/30 00:40:10 KoAitV1w0
「塔が崩れる!?」
轟音に振り返った蒼月の目に入ったのは、その建物のちょうど中心から発せられた爆発のような閃光。
そしてその直後にぐらぐらと安定をなくし崩れ落ちるその場所より上の階層だった。
「急がなければ…」
何が起きているかを把握する術はない。
だがおそらくあれはニーギの技、それをいまだにあの建物で使う事態となれば緊急の事態。
脱出まで一刻の猶予もないことは確かだと考えた。
倒壊するギースタワーから視線を外して前を向くと、遥か遠くに大きな鉄ごしらえの門のようなものが見えた。
そして、それが破られるのも。
耳に飛び込んできたのは男の怒鳴り声だった。
122:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:40:37 yeiYtvWB0
123:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:40:58 VsE13rn2O
124:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:41:32 lB61vSVZO
125:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:43:26 lB61vSVZO
126:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:44:55 yeiYtvWB0
127:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:45:14 8nPwyzfn0
128:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:45:29 VsE13rn2O
129:最終話「Game Over」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/30 00:45:33 KoAitV1w0
「誰か!誰かいないか!」
ウィップやレオナと言わず、紅丸程度の知り合いであってもその声を聞けば助けだと安堵しただろう。
だが今現在その男を知るものはこの街にはいなかった。そんな人間は全て死んでいた。
過去からやってきた蒼月が彼を救出に来た軍人などと判別することは不可能。だから警戒した。
その男が顔を出している乗り物らしきものには大筒と思しきものが取り付けられ、それを先頭に彼の後ろには一回り大きなその乗り物が多数。
それと同じ服に身を包んだ大量の人間が控えていた。
「何かの軍?かすみたちの脱出計画と噛み合わなかった……?」
蒼月はここまでの距離と自分のスピード、そしてかすみが連れ立っている男女の速度を簡単に仮定して考え、
地図の上で陸地と繋がっているこの場を目指していればちょうど追いつけるくらいだと踏んでいた。
しかしその場にいたのが素性も知れぬ男と大部隊となれば、おそらくその算段は失敗であったろうと蒼月は考える。
別の場所から脱出を図ったのだろうか、たとえば海路であるとか。
「…探すべき…ですね」
呟いて背中のエッジを見る。
未だ意識は取り戻していないが、あれだけの人数がこの街に侵入してきたとなると彼を背負って動くのは不利。
が、侵入したという言葉が浮かんですぐに大きく溜息をついた。
「ああ、なんと情けない。死んで頭の廻りが悪くなったようですね」
気づいたのは、彼らの乱入によってルガールの目論んだ儀式は完全に崩壊したということ。
もし続いていたとしてもあれを全て殺さなければいけなくなった以上、実質的には崩壊ととって構わないだろう。
つまり、少なくとも今見えている彼らは儀式を完成させようと目論む直接的なルガールの手の者ではないという事実。
「つまり助けにきた者か、ルガールに証拠を消させようとした連中の手先のどちらか……」
その結論に至ってようやく蒼月は動いた。
130:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:46:48 VsE13rn2O
131:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:46:52 yeiYtvWB0
132:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:48:00 8nPwyzfn0
133:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:48:50 yeiYtvWB0
134:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:49:22 lB61vSVZO
135:最終話「Game Over」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/30 00:49:27 KoAitV1w0
エッジを建物の影に寄りかからせて、先頭に立つ男の前に姿を現す。
その男、ラルフは音もなく突然目の前に現れた男に反射的に銃を向けた。
「下衆めッ!」
声と共にラルフの手はこれまた突然出現した水球に打ちつけられて銃を取り落とす。
「我に武器を向けるとは何事ぞ!」
やめろ、止まれ。心の中で念じる。
「貴様ら人間のあまりの愚かさに呆れて関わるのをやめようと思った矢先にこれか……」
やれやれと大袈裟なポーズで落胆を示す水邪の行動を内側から見て、おや、と蒼月は思う。
相手の出方を見ようと姿を晒した瞬間に意識を水邪に持っていかれた蒼月は直後から必死の抵抗を試みていた。
儀式は崩壊しているはずだから、もし相手が敵ならば水邪が全滅させても何ひとつ問題はないのだが、味方だった場合は非常にまずかろう。
しかし当の水邪にはもともとその意思がなかったらしい。
136:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:50:55 lB61vSVZO
137:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:51:09 8nPwyzfn0
138:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:51:26 7gfStK8E0
139:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:51:29 VsE13rn2O
140:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:51:49 yeiYtvWB0
141:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:52:32 8nPwyzfn0
142:最終話「Game Over」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/30 00:52:38 KoAitV1w0
「貴様らに問う」
水邪は空中に腰掛けてその場の全ての人間を指差した。
「命とはなんぞや?」
ラルフ以外の全ての兵士から銃を向けられて、平然と睨みつける水邪。
一歩前に出たラルフは一瞬の間をおいてはっきりとと答えた。
「命ってなぁ、大切なもんだ…なによりもな!」
その答えを聞いた水邪の表情が少し崩れたのを中にいる蒼月だけが感じた。
「下らぬ。本当に下らぬ。人の命などたかが数十年、儚きものぞ」
「でも、だからこそ大事なんだろうが!」
ラルフも水邪も、相手がなんであるかすらわからない状態で、意味があるかもわからない問答を繰り返す。
「ならば……この都で消えた何十何百という命は、全てが尊きものだったというのか」
「なっ……!?」
「あの男、ルガールといったか。神になりたがって死んだあの俗物の命ですらも…?」
「ルガールが!?」
きっ、と目を細めて水邪がラルフを睨む。
回答を促されているのだと感じ、ラルフは一層大きな声を出した。
「それでも、どんな悪人でも命は大事だ。そうじゃない命なんてねえ!」
「……本当に愚かよ……そうか…そんなに大切ならば救ってみよ」
ふっと威圧感が消えるのをラルフは感じた。
その長い青髪の男の後ろから、何か大きな塊が引きずるように近づいてくるのが見えた。
143:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:52:42 7gfStK8E0
144:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:53:25 yeiYtvWB0
145:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:53:38 VsE13rn2O
146:最終話「Game Over」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/30 00:54:06 KoAitV1w0
「終わりだ、全て」
アーデルハイドは辛うじて回線を繋いだその門の監視カメラからの映像を見てそう呟いた。
「どうやらそのようで」
その声に一室にひしめく兵士がいろめきたつ。
後ろに立つウォンに対しアーデルハイドは静かな声で問う。
「ウォン卿、貴方はどうなると思って父に協力したのですか?」
「さあ?」
「最初から、成功するとは思っていなかったのでしょう?」
「おやおや…旗幟鮮明、私は最初からずっとルガール殿を応援していましたよ?」
「黙れッ!」
その足が弧を描き、そこにいるウォンの身体を切り刻むはずだった。
しかし父譲りの虐殺の刃は空を切る。
「甘い」
「のはそっちだ!」
まだ宙にあるその体を捻り、拳を後方へと振るアーデルハイド。
「ちいッ!!」
いつの間に移動したのか、その後方でせせら笑っていたウォンの頬をかすめて拳は唸った。
「なるほど、英姿颯爽、お父様に似てきたではないですか」
「待て!」
貼りついた笑顔を僅かにゆがめてウォンが去ろうとする背を追おうとアーデルハイドが踏み出す。
しかし、そこにはいつからあったのか鋭利な刃が突き刺さっていた。
「くそっ!」
部屋ではいまだ兵士たちがざわめき続けている。
「くっ、聞こえなかったか?ルガールの子、アーデルハイドの名において全てのプログラムを終了する。処理にかかれ!」
「はっ」
一瞬で場が秩序に支配される。
綺麗に揃った返答が響き渡った。
もうウォンの姿は部屋の外の廊下にすらない。
147:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:54:09 lB61vSVZO
148:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:54:39 7gfStK8E0
149:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:54:56 lB61vSVZO
150:最終話「Game Over」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/30 00:55:06 KoAitV1w0
アーデルハイドはモニターに視線を戻す。
「本当に、なんということを……父は……」
画面に映っているのは気を失った三人の女性を担いで必死に歩く青年の姿。
たしか参加者で、名を結城晶と言った。
背負われているのはその結城の知り合いだという梅小路葵、そして霧幻天神流忍術の抜け忍かすみ。
さらに父が依頼したか勝手に申し出たかは定かでないが、今回の協力組織の一つ「アデス」から
最終生存者処理のために送られたエージェント、ナガセ。
全て、生きていた。
151:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:55:08 yeiYtvWB0
152:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:56:06 VsE13rn2O
153:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:56:17 7gfStK8E0
154:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:56:34 lB61vSVZO
155:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:57:03 7gfStK8E0
156:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:57:23 8nPwyzfn0
157:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:57:40 yeiYtvWB0
158:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:57:50 VsE13rn2O
159:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:58:31 vei2+7MVO
160:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:58:32 7gfStK8E0
161:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:58:35 yeiYtvWB0
162:最終話「Game Over」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/30 00:58:48 KoAitV1w0
「蒼月さん!」
「どうしたと言うのですかすみ、だらしのない」
「すいません、ちょっとしびれ薬が……」
「愚かなり…やはり一度躾けなおすか…」
「あれ?水邪様!?」
「ゴホン、そのことについてはまた、ここを出てから詳しく」
背負われたまま、かすみは少しだけ動く首をかしげる
「うぅぅぅ……」
「そちらの娘は?」
葵の横で唸るナガセは手足を葵の帯でグルグル巻きにされていた。
「ええと、私の、忍術の弟子ってことじゃだめですか?」
「はぁ…」
なんとも呆れた様子で額に手を当てる蒼月の目の前で、血にまみれた着物を身につけた葵と体力を使い果たした晶がどさりと倒れた。
163:ゲームセンター名無し
08/04/30 00:59:20 yeiYtvWB0
164:最終話「Game Over」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/30 00:59:32 KoAitV1w0
「最終報告書はどうします」
「連中に詳細なデータなんてくれてやる必要なんかない、書くのはこれだけでいい」
アーデルハイドはモニターを見たまま指示をする。
どうせ、協力した組織には独自のルートから今回の様々なデータが行っているはずだ。
父を利用するため、父の死を前提として協力などとうそぶいた奴らに何かする義理などあるわけもなかった。
「本当にこれだけでいいんですか?」
「ああ」
兵士が別のキーボードを叩くと、別のモニターに文字が映った。
165:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:00:28 8nPwyzfn0
166:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:00:33 7gfStK8E0
167:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:00:48 VsE13rn2O
168:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:00:52 lB61vSVZO
169:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:00:54 yeiYtvWB0
170:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:01:15 8nPwyzfn0
171:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:01:31 7gfStK8E0
172:最終話「Game Over」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/30 01:01:34 KoAitV1w0
【第1回ACBR 正式参加者数:85名】
【死亡確認:78名】
「ともかく……早く……皆の手当てを……してくれ!」
息も切れ切れに晶が叫ぶと弾かれたようにラルフの後ろから救護兵が飛び出した。
【脱出者:5名】
「葵…がんばれ、しっかりしろ!」
「晶ちゃん……」
弱々しい声と荒い息で葵は最後まで自分と共にいてくれた幼馴染の名を呼ぶ。
【結城晶、梅小路葵】
「結局、こっちにこれたのは蒼月さんだけなんですか……」
「あ、忘れていましたね」
蒼月はわざとらしく気づいたフリをして走っていく。
【かすみ、風間蒼月】
「エッジ、起きなさい」
「あと5分……」
バシャン。
「わ、わわわ!?え?外?」
きょろきょろと辺りを見回す。当たり前だが状況が把握できていないようだった。
「え、なんで?」
【エッジ(山田栄二)】
173:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:01:41 yeiYtvWB0
174:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:01:57 7gfStK8E0
175:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:02:37 yeiYtvWB0
176:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:02:42 8nPwyzfn0
177:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:02:46 VsE13rn2O
178:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:03:19 lB61vSVZO
179:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:03:27 8nPwyzfn0
180:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:04:05 7gfStK8E0
181:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:04:21 yeiYtvWB0
182:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:04:28 vei2+7MVO
183:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:04:30 VsE13rn2O
184:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:04:48 7gfStK8E0
185:最終話「Game Over」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/30 01:04:59 KoAitV1w0
「この拠点も破棄する。データ送信終わり次第撤収」
「アーデルハイド様!」
直立不動で兵の一人が進み出る。
「その、サウスタウンの調査はいかがしますか」
「放っておいても軍がやってくれる」
「それはそうなのですが…生死不明の者が何人か」
「それこそ、放っておいたほうがいい。報告書にもそのまま書いておいてくれ」
「はっ!」
敬礼をして兵が持ち場に戻る。
別のモニターには
この街の支配者が立て
この世界を終わらせようとしたものが死に
明日を諦めなかったものが壊した場所
――ギースタワーの残骸が映し出されていた。
【生死不明:ニーギ・ゴージャスブルー、アラン・アルジェント】
186:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:05:25 yeiYtvWB0
187:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:05:26 lB61vSVZO
188:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:06:08 7gfStK8E0
189:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:06:08 8nPwyzfn0
190:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:06:31 VsE13rn2O
191:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:06:35 7gfStK8E0
192:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:06:40 vei2+7MVO
193:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:06:41 lB61vSVZO
194:最終話「Game Over」 ◆nucQuP5m3Y
08/04/30 01:06:44 KoAitV1w0
「…よし、それでは正式にAbsolute Code Battle Royale 全プログラムの終了を宣言する」
アーデルハイドの声が響き、部屋を飛び出す兵士たちと入れ違いにローズが入ってくるのが見えた。
モニターにはもう、誰も映っていない。
しばらくすると全ての電気が消え、ブツンという音と共にそれも消え去った。
アーデルハイドはそれに向かってゆっくりと一礼し、ローズと共に部屋を出た。
AC Character Battle Royal
完
195:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:07:02 yeiYtvWB0
196:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:07:09 7gfStK8E0
197:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:07:34 lB61vSVZO
198:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:07:34 8nPwyzfn0
199:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:07:46 yeiYtvWB0
200: ◆nucQuP5m3Y
08/04/30 01:08:15 KoAitV1w0
おーーーーわーーーーーーりーーーーーーーー!!!!!
終了ーーーーーーーー!!!!
おつかれさまでしたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
以上を持ちましてアケロワの本編、全て終了とさせていただきます!
ご意見ご感想を待ちつつ告知関係を書いてきます。
201:R-0109 ◆eVB8arcato
08/04/30 01:14:47 8nPwyzfn0
お疲れ様です。
本当にお疲れ様です。
なんていうか涙が止まりません。
そういえばアケロワが始まったのは中2だったなあとか。
なんか色々思い出して本当に涙が止まんないです。
そしてこのアケロワの最終回をRTで読めた事が本当に嬉しく思います。
アケロワっていう企画があったことを嬉しく思います。
以下は感想を。
女性三人担いで走る晶すげえっ、火事場のバカ力というか。
フラグ神フラグ神言われてたエッジと蒼月とか
でも蒼月の心臓問題とかウォンとかエッジの「なんで?」とかニーギ達とか
微かに残るフラグがなんだか楽しみです。
202:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:15:08 8nPwyzfn0
ありゃ?コテがついてる。
申し訳ないです
203:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:15:20 lB61vSVZO
超乙です!
女の子三人を背負った晶を凄いと思ったり、
山田は最後まで山田だなと思ったり、
葵がなんだかかわいかったり、
心臓止まっちゃった蒼月&水邪の今後が心配だったり、
かすみとナガセの関係に注目したり、
ニーギとうん●の真相が気になったり、
アーデルハイドも大変だったなと思ったり、
生存者のその後の生活が見たかったり、
エピローグもwktkしながら、最後の支援が出来たことに感謝!
最後まで読めたことに感謝!
204: ◆nucQuP5m3Y
08/04/30 01:15:44 KoAitV1w0
さて、ええと、なんかすごい数の支援いただいて恐縮です。
最終チェックしながら一節落とす度にすげえんだし、ビビるし。
正直なところ、暴走を始めた当初は本当に俺が勝手にやってひっそりと終わっても文句は言うまいと思ってたんですが
なんかもう、本当にありがとうございます。
まさか最終日に新作絵が見れるとか思ってもみませんでした。
いろいろと書きはじめたらキリが無くなってしまうんでこの二つだけを言わせてください。
勝手やってスイマセンでした。
読んでくれてありがとうございました。
で、綺麗にシメられないのがオレなんですが、このたまりにたまった語りたいことは全部ラジオでやったろうと思ってますので
お時間に余裕があって聞いてやろうじゃねえの!?って人はよろしくお願いします。
時間は、5/2の金曜の夜にしようと思います。
もう連休に入ってる人はオレの敵ですからまあ考慮しないにしても、とりあえず連休初日の前ですからギリで旅行とかも
みんな行ってないんじゃないかなあと。翌日朝早い人とか超ゴメン。
で、開始時間は追ってスレに連絡しますが、その時一緒にエピローグを一編投下しようと思っております。
レスとかは知らんけど作品として俺が投下するのはこれが最後となります。
別にあんまりすごいもんでもないので期待せずにお待ちください。
それでは、エピローグとラジオでお会いしましょう。
皆さん本当にありがとうございました。
205:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:18:41 yeiYtvWB0
お疲れです。ほんとうにお疲れです。
いやあ……実に感慨深いです。
懐かしいなあ。始まったのは、あの頃か……懐かしい。
水邪と蒼月はどうなるんだろう……
ニーギとアランはいったい……
とにかく、うまい感想はいえないけれど、リアルタイムで読めてよかったです!
本当におつかれです。そして、本当にありがとう!
206:エド ◆O0LqTosP8U
08/04/30 01:28:33 VsE13rn2O
祝!アケロワ完!
完結、おめでとうございます!
古の交流所にて驚異の勢い、ネタ量を誇り
様々な後続ロワに沢山の影響をも与えたこのアケロワ。
それが完結したことに感慨深く思い、めでたきことと思いながらも、どこか淋しく思う自分もいたりします。
お疲れさまでした!
また一つ、歴史に刻まれる瞬間がここに!
本当にお疲れさまでした!
完結、おめでとうございます!
207:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:29:22 7gfStK8E0
超GJ!!
終わった……終わっちまったよACBR。
78人もの人が死に、最後に残ったのはたったの5人。
傷だらけでみんなを脱出する晶は映画のラストシーンみたいで感動した。
ナガセとの決闘で最悪、全滅してるかと思っただけに本当によかったよ。
そして蒼月。まさかお前が生き残るとは思わなかった。
我侭水邪様がここにきて人に慈悲らしきものを向けるとは。
ラルフとのやりとりも単純ながらいい締めだったと思う。
エッジは生き残りの中では最も成長したキャラクターだな。
ケーブルやネオとの友情、ヴィレンとの戦い、そして死。
日常に戻ったら、こいつは何を思うんだろうか。
……ニーギとアランは悲しい結末になってしまったな。
もっと他によい道はあっただろうに。
まあ、しかし、そのやりきれなさもバトロワであろう。
最後になったけど、◆nucQuP5m3Y氏、本当にお疲れ様。
ここまで来るには本当にたくさんの人の頑張りがあったけど
あなた抜きでは正直、ここまで来れなかった。
地図にSSに奔走し、停滞していたこの小説を完結に導いたあなたはまさにMr.アケロワと言っていい。
俺は最初からいたわけじゃなく、途中参加したくちだが、それでもこの企画には何年も楽しませてもらった。
楽しい時間を本当にありがとう。
心からこの企画の完結を祝福するよ。
208:ゲームセンター名無し
08/04/30 01:37:48 vei2+7MVO
話の感想はエピローグとラジオの時に語らせて頂きます。
様々な思いを胸に散っていった個性豊かなキャラ。
登場時「こいつは即死候補か!」と勝手に思ってた(失礼)エッジの驚くべき男気と成長。
クールかつ知的に、そして濃いカリスマ性を放っていた蒼月(水邪)。
強運とセクシーさと優しさを併せ持つ超いい女なかすみ。
ほぼ拳一つという状況下ながらも熱くまっすぐなガッツで生き抜いた凄い漢の晶。
か弱い普通の女の子でありながら、健気さと明るさで皆を癒してくれた葵。
最後まで話を盛り上げてくれた、生死不明のジョーカーアラン。
ずっと活発でパワフルで元気いっぱいだった、女ヒーローのニーギ。
こいつらを参加メンバーとして投票にしてくれた方々。
こいつらに命を吹き込んでくれた方々。
そして最後まで頑張って下さったF氏。
感動をありがとう。
アケロワはー私のー青春ーそのもーのー…って感じです。
209:ゲームセンター名無し
08/04/30 03:05:32 Pj4YpIjZO
お疲れ様でした…そして完結おめでとう!
色々あったけど無事に完結してよかった。
俺は途中から読ませてもらってたクチなので最初の方の流れは分からないけど楽しかったです。
まさかバーチャ勢から2人も脱出するとは思ってなかったw
ニーギとアランはどうなってしまったのか。気になってしょうがない…。
しかし無事に脱出した5人にもおめでとうと言いたい。
エピローグとラジオも楽しみにしております。
最後に、FLASHの人もアケロワを書いてくれた人も含めて、本当にお疲れ様でした。
楽しい物語をありがとう。アケロワを読んでてよかった。
210:ゲームセンター名無し
08/04/30 05:27:38 FFMzfHzZ0
遅くなったけどお疲れ様でした!
丸一年止まってもう見れないと思っていた続きを実際に見ることができて感動です。
今はとにかく余韻をかみ締めて、ラジオ聴けたらいいなーと祈ることにします。
>>91
こちらも超GJ!ベニー熱いぜ
211:ゲームセンター名無し
08/04/30 05:30:30 FFMzfHzZ0
続きと、そして終わりだな。どうでもいい追記。
しかし生死不明の二人(と不破w)の安否が気になる…
そのまま想像にお任せなのか、エピローグで判明するのか…。
212:ゲームセンター名無し
08/04/30 06:52:30 cJuEQQyP0
◆nucQuP5m3Y氏、お疲れ様です!
アケロワ完結……長く停滞していた頃には実現するなど思ってなかった。
リレーという形式で続ける事は出来なかったものの、
クライマックスを一手に引き受けてくれた◆nucQuP5m3Y様には深く感謝します。
ラジオとエピローグもwktkして待ってます。
生き残った者達や間に合わなかった者達の今後はいかに。
213:ゲームセンター名無し
08/04/30 10:28:42 +ChjaD9uO
完結おめでとう。お疲れ様でした。
私がこのロワを知ったのは、過疎って久しいころのこと。
完結は無理だろうと悲観していたのだが、やってできないものじゃないのですね。
しかし、ここをもっと早く知っていれば、と思わざるを得ない。意外と知ってるキャラは多かったのだし。
とはいえ今は、エピローグとラジオを楽しみにして待つことにしましょう。
生死不明者とか心臓とか、気になることも多いので。
では最後にもう一度。
完結おめでとう!
214:ゲームセンター名無し
08/04/30 21:44:31 /ZaG95110
完結おめでとうございます!!!
完結してよかった!最終回読めて感動です!
◆nucQuP5m3Y氏、ホントおつかれさまでした。
そして書き手のみなさま、数えきれない名場面・名言をありがとう!!!
あああ完結してもその後が気になる。
エピローグ楽しみにしてます!
215:ゲームセンター名無し
08/05/01 19:15:21 a6G1K8oR0
最後までリレーでいけなかったのは心残りですが、FF1stと同じく完結が見れた感動の方が大きいです。
完結まで書ききったFの人お疲れ様です。
あの停滞していた位置からここまで書ききったのは感無量としか言いようがないです。
もう完結したのだから、埋もれていったアナザーなども気にせず投下してほしいなーと期待してみる。
216: ◆CFbBJSZQHE
08/05/01 23:15:55 0Lm4uhn20
気づいたら…乙、何も言わずに、乙
217:ゲームセンター名無し
08/05/01 23:26:10 0bpKDHe+0
>>216
おお、貴方は――――ー!!
218: ◆nucQuP5m3Y
08/05/02 16:37:48 josRebrB0
ういす、ちょっとぶりです。
さて、ラジオですが予告通り本日夜やろうと思います。
時間は22:30(久しぶりなんで22:00くらいからつないでテストします)より!
そんでもってエピローグは22:00前までに間に投下予定です。
ラジオはいつもどおりねとらじ
URLリンク(live.ladio.livedoor.com)
にて。時間になったら(多分)名前がでますので
「アケロワ最終回打ち上げラジオ」とかそんな感じの奴をクリックしてください。
それとその名前の下に[関連サイト]と出るのが放送用のスレッドになりますので、書き込んで盛り上げてやってください。
多分聞けるはず。ほんっとしばらくやってなかったのでなにか仕様変更とかで
手間取るかもしれませんがそんでも開始までにはなんとかします、多分。
とりあえずいくつかネタは用意しておきますが、話してほしいこととかあったらご希望をどうぞ。
そんじゃまた夜に。
219:ゲームセンター名無し
08/05/02 18:54:37 pP50Malk0
乙です!
時間になったら行きます!
220:ゲームセンター名無し
08/05/02 21:09:22 axBIR0yWO
さて今からネカフェに飛ぶか
221: ◆nucQuP5m3Y
08/05/02 21:14:36 E06pk34r0
そんでは、最終投下。エピローグ行きます。
222:the epilogue of ACBR ◆nucQuP5m3Y
08/05/02 21:17:36 E06pk34r0
シーン1
<日本 某所 病院玄関>
晶「そうか、わかった。いや、無茶はしないでくれ。そう安泰な身じゃないんだろ?ああ、わかった。
こっちは任せてくれ。絶対に潰す。ああ、そっちもな」
笑顔で携帯電話を切る晶。
背にした玄関から葵が出てくる。
葵「どちらはんからどすか?」
慌てて携帯電話をしまう晶。
晶「あ、ああ。ちょっとした友人だよ。それより、傷の具合はどうだって?」
葵、訝しげな目をむける。
葵「浮気どすか……」←出来るだけ低い声で
晶「ばっ、ばか!そんなわけないだろ!俺はそもそもモテないぞ!」
葵「でも、うちにはそのモテない晶ちゃんしかおらへんのに……」
着物の裾で目を押さえる
223:the epilogue of ACBR ◆nucQuP5m3Y
08/05/02 21:18:11 E06pk34r0
晶「す、すまない!そういう事じゃないんだ!本当に友達にちょっと仕事を頼んだだけで!」
ぺろりと舌を出す葵。
葵「ふふ、わかっとりますえ」
晶「う、勘弁してくれよ」
晶、ポリポリと頭をかく。
葵「傷は完治したそうどす。武術も問題ないと」
晶「そうか……よかった」
画面モノクロに、回想シーン。
224:the epilogue of ACBR ◆nucQuP5m3Y
08/05/02 21:20:25 E06pk34r0
シーン2
<3ヶ月前の同病院病室>
晶「死ぬな!葵死ぬな!」
葵、目を閉じたままベッドに仰向けに寝る。
身体には至るところに包帯が巻かれ、肩に巻かれたものからは血が滲む。
晶も多数の包帯を巻く。
医者「お静かに!直後の処置が適切でしたし、刃に塗ってあったしびれ薬も後遺症のあるものではありません。
念のためそのレシピまで頂いているのですから問題ありません!患者さんを休ませてあげてください!」←小さい声で強い語調
シュンとなる晶。
少しだけ目をあけて微笑み、すぐにまた眠りにつく葵。
225:the epilogue of ACBR ◆nucQuP5m3Y
08/05/02 21:21:45 E06pk34r0
シーン3
<病院からの帰り道>
画面カラーに復帰、回想終了。
並木道を並んで歩く二人
葵「でも、うち……もう武術はやめようかと思っとるんどす……」
晶「……そうか。俺は反対しない」
少しうつむいて晶の方をチラチラと見る葵。
葵「そしたら、うちは何をしたらええのですやろ……」
晶「え?」
葵「もちろん武術以外のお稽古もたくさんしとります。でも一番生活の中心だったのは武術どす…
それがのうなってしもうたら、うちは何を中心にして生活したら……」
晶、腕を組んで考え込む。
うつむき、表情は見えない。
226:ゲームセンター名無し
08/05/02 21:21:46 axBIR0yWO
227:the epilogue of ACBR ◆nucQuP5m3Y
08/05/02 21:25:09 E06pk34r0
晶「なあ、もしよかったらなんだけど……」
葵「なんどす?」
晶「その、うちの道場でだな、なんというか、武術でなくて、その門下生の世話とか、その、俺の飯とか洗濯……」
葵「…………」
晶「ええと、うちは無駄に広いから住む部屋はいくらでもあるし、俺もその方が目が届いて……別に他意はなくてだな!」
葵、顔をあげてイタズラっぽく微笑む。
葵「あははは!晶ちゃんひっかかりましたなぁ!うちが武術捨てるわけないですやろ?単純なんやからー」
きょとんとする晶。
はっとしてあらぬ方向を見る。
晶「そ、そうだよな!葵はやっぱり凛々しく戦ってるのが似合うよ!うん!」
葵「うふふ……」
葵の口元をアップに。
音声なしで「ありがとう」の口の動き。
口の横に涙が流れて暗転。
228:the epilogue of ACBR ◆nucQuP5m3Y
08/05/02 21:27:10 E06pk34r0
シーン4
<日本 某所 外道高校校舎裏>
朝、アキラ、岩、エッジが校舎裏で話をしている。
アキラ「本当に大丈夫なのか?」
岩「そうじゃ、そんなにタチの悪い風邪じゃったら」
エッジ「いやいや、なんでそんなに心配性なんだよお前らは」
アキラ「普通風邪で3ヶ月は休まないから言ってるんだ……」
岩「そうじゃ、うつされたらかなわん」
エッジ「ああそうですかい、久々に帰って来た俺にそれかコンチクショー!」
拗ねたように非常階段を駆け上がる。
口元アップ。笑っているエッジ。
階段下、メットを外すあきら。
あきら「あ、まだおかえりって言ってないのに……」
岩「しまったのう……病院生活が心細かったのかもしれんのに」
229:ゲームセンター名無し
08/05/02 21:28:16 axBIR0yWO
230:the epilogue of ACBR ◆nucQuP5m3Y
08/05/02 21:30:26 E06pk34r0
シーン5
<外道高校屋上>
フェンスによりかかってニヤニヤしているエッジ。
エッジ「変わってなかったな、あいつら……」
醍醐「帰ったか」
エッジ「総番!?ち、ちわっす!」
醍醐「おう」
エッジ「な、なんか俺にご用っすか?」
醍醐「エッジ、どこ行ってた」
エッジ「あ、ああ、えっと、すんげぇタチ悪い風邪ひいちまって、ずっと病院暮らしでして」←しどろもどろに
醍醐「ほう、じゃあこいつらは医者か何かだってのか」
醍醐、後ろ手にひきずっていた男二人を放り投げる。
エッジ「げっ!?軍の人!」
231:ゲームセンター名無し
08/05/02 21:30:36 54+MUBTM0
232:ゲームセンター名無し
08/05/02 21:33:24 axBIR0yWO
233:the epilogue of ACBR ◆nucQuP5m3Y
08/05/02 21:34:45 E06pk34r0
監視役A「すいません、影ながら保護しろと大佐から言われていたのですが、ぐふっ」←気絶
監視役B「まさか、ここまでの用心棒をすでにお持ちとは…がくっ」←気絶
醍醐「さ、説明してもらおうか」
エッジ「でも……もし総番や、アキラや岩も…!巻き込んじまったら……」
醍醐「そうだな、お前に何かした野郎にお礼参りはしないと」
エッジ「や、やめてください!絶対、やめてください!なんでそういうこと言うんすか!本当に!やめて!やめてくれ醍醐サン!
なんでもする!他の高校一人でシメろとか、授業真面目にうけろとか、なんでも聞くから絶対にそれだけは!」
異常に狼狽するエッジ。
目には涙をためて醍醐の足にすがりつき懇願する。
醍醐「……悪かった。絶対にそんなことしねえとこの背中に誓う。だから、話だけでも聞かせてくれねぇか」
エッジ「…………は、はい……」
画面一瞬暗転。
234:the epilogue of ACBR ◆nucQuP5m3Y
08/05/02 21:36:35 E06pk34r0
シーン6
<外道高校屋上 夕方>
復帰後夕方に。
エッジ「だいたい、そんなとこっす……総番……教えてください。なんでケーブルのおっさんは……死んじまったんすか!」
醍醐「エッジ!!」←大声で
エッジ、跳ねるほど身体を硬直させる。
醍醐「ダチだからだろうが……ダチのために命はるのが本当のダチだろうが!」
醍醐の右の拳が難く握られ、そこからポタポタと血が落ちている。
エッジ「じゃあ、じゃあ俺はやっぱりおっさんの仇を討たなきゃいけなかったんだ!そうだ、ネオさんの
仇だってとらなきゃ。俺はあの人だって、蒼月さんも、みんなダチで……」
顔面蒼白でおろおろするエッジ。
倒れている兵士の腰から咄嗟に拳銃を取って喉に当てる。
醍醐「バカヤロウ!!!!!」←さらに大声で
一瞬でその手の中にエッジの持った拳銃を奪い取る。
そのまま拳銃を握りつぶす醍醐。
手を開くと血に染まってぐしゃぐしゃになった拳銃。
醍醐「死んだダチの気持ち台無しにしてぇのか!お前を死なせたくなくて命はったんだろそいつらは!!」
エッジ「でも…でも…俺…俺……!!!」
235:the epilogue of ACBR ◆nucQuP5m3Y
08/05/02 21:38:00 E06pk34r0
醍醐「お前の命は、もうお前だけのモンじゃねえ。その二人や、お前と出会って死んでった全部のヤロー
の命をお前は引き継いでんだ。シャバいこと言ってねえでしっかりしねえか……」
血のついていないほうの手でエッジのホウキ頭を潰すようにくしゃくしゃにする醍醐。
エッジ「醍醐サン……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
その場にしゃがみこんでボロボロ泣くエッジ。
醍醐「今は泣け…それと…」
屋上の扉を睨む醍醐。
醍醐「コソコソしてねえで出て来いや!」
間をおいて扉が空く。
岩が出てくる。
その影からゆっくりとあきらも。
二人とも泣いている。
236:the epilogue of ACBR ◆nucQuP5m3Y
08/05/02 21:39:55 E06pk34r0
あきら「エッジ……朝はごめんね、辛かったんだね…ごめん…ねぇ……」
岩「うぉーーーん、うぉぉぉーーーん」←号泣
エッジ「あきら……岩……」
あきら「うん、私だよ!エッジの友達のあきらだよ!」
岩「うぉぉぉぉぉーーーーん」←まだ号泣
エッジ、鼻をおおきくすする。
エッジ「ば、バカヤロー!泣いてんじゃねえよ!」
あきら「でも、私、こんなにエッジが辛いのに何もできなくて……」
何度も何度も涙を拭うあきら。
赤くなりながら頭をかくエッジ。
エッジ「そ、そんじゃさ、あきら!頼みが……あるんだけどよ…」
あきら「ぐすっ……何?」
エッジ「その、さ……」
あきら「うん……」
エッジ「俺さ……お前の作った甘ったるいチーズケーキが食いてぇ……」
きょとんとするあきら、ニヤリと笑う醍醐、後ろを向くエッジ、いまだ号泣の岩を遠景で。
夕焼けをバックにして暗転。
237:ゲームセンター名無し
08/05/02 21:40:03 axBIR0yWO
238:ゲームセンター名無し
08/05/02 21:41:40 axBIR0yWO
239:ゲームセンター名無し
08/05/02 21:41:46 7XQ7Pi2Z0
240:ゲームセンター名無し
08/05/02 21:42:12 54+MUBTM0
241:the epilogue of ACBR ◆nucQuP5m3Y
08/05/02 21:43:21 E06pk34r0
シーン6
<某国 クイズタウン ネオ&ジオ探偵事務所>
ジオが机に向かいキーボードをカタカタと叩いている。
最後のキーを強めに叩いて背伸び。
ジオ「ふーっ、とりあえず今日はこんなとこかな」
ふわりとカーテンが揺れ何かが部屋に入る。
ジオ「お、蒼月おかえりー」
蒼月「どうも。どうですか、軍からの資料まとめは」
ジオ「やっと1/10ってとこだよ……時間順に追ってるからまだ1日目の状況くらいしかわからない」
蒼月「そうですか」
ジオ「そっちは?」
蒼月「ええ、今日の依頼は全て終わりです。ラッキーさんの家のヘルバちゃんもこの通り」
帽子の男が喜んでネコを抱いている写真をジオに見せる蒼月。
ジオ「さすがニンジャだなあ……この3ヶ月で何度言ったかわかんないけどこれ」
蒼月「私も三ヶ月前はまさかネオのやっている『探偵』というのがこの時代の密偵とは思いませんでしたよ
てっきり芸人や役者、贔屓目に見て学者か何かだと…」
242:the epilogue of ACBR ◆nucQuP5m3Y
08/05/02 21:44:12 E06pk34r0
ジオ「似合わないだろ?」
蒼月「これ以上ないほどに」
顔をあわせてくっくっくと声を漏らして笑う二人。
ジオ「で、依頼じゃないほうは?」
蒼月「それについては……っと、客のようですね」
ジオ「ん?」
またも窓から何かが飛び込んでくる。
ナガセ「ようお前ら、元気?」
蒼月「はぁ」←やれやれのポーズ
ジオ「お前かよ!」
ナガセ「おま、お前ら抜け忍が顔出すってどれだけ大変かわかってんのか!?少しは驚いたり歓迎したり」
かすみ「抜け忍の自覚があるならもう少し神経使いなさいね」
かすみがナガセの後ろに立っている。
蒼月?「……腕を上げましたね……面白い!我が少し稽古をつけてやろう!光栄に…」
243:ゲームセンター名無し
08/05/02 21:45:16 axBIR0yWO
244:the epilogue of ACBR ◆nucQuP5m3Y
08/05/02 21:45:34 E06pk34r0
ぺちんと蒼月の頭を叩くかすみ。
かすみ「水邪さん!深夜なんですから静かにしてください!ご近所に迷惑です!」
水邪「む、おのれ小娘……」
ジオ「おかえりかすみちゃん。日本はどうだった?」
かすみ「お久しぶりですジオさん。晶さんたちには会ってきましたけど、例の話は確認できなかったですね」
かすみとジオの間に割って入ナガセ。
ナガセ「例の話?」
かすみ、蒼月とジオを交互に見る。
両方が渋々頷くのを見てから話す。
かすみ「日本で、ニーギさんに似た人の目撃情報があったんです。情報元はH&K探偵事務所っていう
なんだかここによく似た感じのところだったんですけど……結局ガセかどうかも分かりませんでした」
ナガセ「ふーん、ニーギ……って誰だっけ?」
蒼月「こちらも、プローブの幹部会にアラン・アルジェントが居るという噂について未確認、要追跡調査
と言ったところでしょうか。あの会社、なかなか手ごわいので時間はかかりそうですが」
ジオ「そっか、それでもそういう情報があるだけでも、な」
245:the epilogue of ACBR ◆nucQuP5m3Y
08/05/02 21:47:14 E06pk34r0
ナガセ「無視すんなー!お前らー!」
かすみ「はいはい、ナガセも静かにして。お土産あげるから」
ナガセ「へーん、そんなもんで……すごっ!スト2レインボーの基盤じゃん!」
基盤を掲げて小躍りするナガセ。
水邪「こやつも十分騒がしいではないか……それにしても、我の力をもっと使えば楽に調査できるものを……」
かすみ「それはそうなんですよねー。なんで蒼月さんは水邪さんに頼らないんですかね」
蒼月「水邪のものは魔の技、私のものは忍の技です。あまり魔にばかり頼っては本来の忍の技が鈍り……」
ジオ「でも現代の文明機器は大喜びで使いこなしてるじゃん」
かすみ、ニヤニヤして蒼月の方を見る。
蒼月「キャメラとコーヒーメーカーだけじゃないですか!」
かすみ「メール返してくれませんもんね」
蒼月「あれはやり方がわからないだけです!電話はできるじゃないですか!」
ジオ「そうだよかすみちゃん、蒼月はかすみちゃんがかわいくてしょうがないんだから。
返せるなら5秒で返す」
蒼月「……ジオ、貴方最近ネオに似てきましたね」
246:the epilogue of ACBR ◆nucQuP5m3Y
08/05/02 21:49:42 E06pk34r0
ジオ「蒼月だけじゃない、水邪様だってかすみちゃんが来たときくらいしか顔出さないんだよ?
『我はあの戦いで人間の愚かさを飽きるほど見た。そんなものを器としていたら魂が腐る』
とか言ってさー」
かすみ「水邪さんがそんなことを……」
ジオ「他にも『この者は我が見捨てればすぐに死ぬ身ぞ、しかしそれでは愚鈍なあの女が泣くだろう』とか
『かすみはいつ帰ってくる』とか『こぅひぃの水がいまいちだ』とか、えーっと」
水邪「……」←指をくいっと振る
水弾がジオの顔を直撃する。
弾けた水の多くがパソコンにかかる。
バチバチと音と煙を上げてモニタが消える。
ジオ「冷たっ!って……うわぁぁぁぁぁぁ!!!今日一日の苦労が!!!」
ナガセ「そんなもん私が復元してや……あ、ダメだこりゃ」
ジオ「水邪様ぁぁぁぁ!!」
かすみ「こら!水邪さん!」
蒼月?「……我、ごほん、私の中でしばらく寝るそうじゃ…です」
かすみ「水邪さん……?」←わざとらしく睨んで
蒼月?「こぅひぃを淹れてやろ…来ましょう。今日はキリマンジャロで……」
給湯室に逃げ込む水邪。
ジオ「うむむむむ…あのインチキ神様め…せっかくいい情報手に入ったってのに」
247:the epilogue of ACBR ◆nucQuP5m3Y
08/05/02 21:50:34 E06pk34r0
かすみ「いい情報、ですか?」
ジオ「ああ、実はブラウン博士っていうマイナーだけど大天才の時空学の権威がタイムマシンを所持してる
っていう噂があってさ。ひょっとしたら蒼月が過去の世界にもどれるかもしれない」
かすみ「本当ですか!」
ジオ「かすみちゃんが戻ってきたら一緒に確認に行ってもらおうと思ってたんだけど……」
ジオとかすみ、給湯室をじっと見つめる。
ジオ「明日にしようか」
かすみ「そうですね」
ソファでは話に入れないナガセが勝手にテレビをつけて見ている。
深夜のニュースでとある海岸に打ち上げられた日本人らしき半裸の記憶喪失男の話題が映って暗転。
248:the epilogue of ACBR ◆nucQuP5m3Y
08/05/02 21:52:09 E06pk34r0
ラストシーン
<最終話の破棄された主催拠点>
真っ暗な部屋の中、ほとんど見えないが辛うじて乱雑に機材が積んであるのが見える。
その中のモニタが一つ、パチパチと小さな雑音を発しながらやがて点灯。
中央に何文字かアルファベットが表示される、A、Cまでしか確認できない。
部屋の全景に変わりゆっくりと暗転。
249:the epilogue of ACBR ◆nucQuP5m3Y
08/05/02 21:53:11 E06pk34r0
【結城晶 目的:謎の協力者の情報を元にJ6の拠点を目指す】
【梅小路葵 目的:晶に心配をかけないくらい強くなり、いずれ…】
【エッジ(山田栄二) 目的:死んだダチのために、生きてるダチと精一杯生きる】
【かすみ 目的:タイムマシンの真偽確認。本当なら蒼月と一緒に?】
【風間蒼月(ときどき水邪) 目的:かすみの怒りが冷めるのを待つ。その後タイムマシンの調査】
Thank you for your reading !
ACBR is ALL END !
250: ◆nucQuP5m3Y
08/05/02 21:56:13 E06pk34r0
さて、今度こそおしまいです。
ちょっと特殊な書き方っていうか、台本をイメージして書いたんですが
これが俺の基本の書き方で、頭の中でこういうのをイメージしながらキャラに動いてもらい
それを文章にする感じ?でやってました
まあ、細かい事はこのあとのラジオで。
全ての書き手と読み手と興味を示してくださった方に感謝を。
それでは。
251:ゲームセンター名無し
08/05/02 22:00:36 axBIR0yWO
超絶乙!!
これで完結のはずだけど続き…、もといこいつらの未来が楽しみだ
さて今度こそネカフェに走る
252:ゲームセンター名無し
08/05/02 22:14:21 es9pQtDJ0
乙です!
ついに終わった、これで完全終了ですか。 お疲れ様でした。
まだ先に物語が続きそうな終わり方、けっこう好きだなあ。
ラジオまでもうちょっとwktk
253:ゲームセンター名無し
08/05/02 22:22:01 yf1gv37LO
くそう、憎いなあ。
肝心なところは読者任せか。
最後なのに続きが読みたくなるとは、いやはや、俺も精進が足りん。
つーか、水邪様かわゆすww
すごい漢カワイソスwww
ともあれ、ニーギもアランも元気なようで何より。
乙でした!
254:ゲームセンター名無し
08/05/03 00:20:43 K7e4vg+r0
お疲れッス!
いやあ、長かったなあ。
255:ゲームセンター名無し
08/05/03 03:13:31 JrxD595T0
亡くなったキャラに黙祷!
そして皆に感謝!
256:ゲームセンター名無し
08/05/03 03:15:00 sYtjE6+i0
お疲れさまでした。
アケロワに関わった皆が大好きです。
1000でスービエはとれなかったけどね
257:ゲームセンター名無し
08/05/03 03:15:13 xcyHXjDN0
ラジオ楽しかったー乙ですー
258:ゲームセンター名無し
08/05/03 03:16:04 3vraIOLx0
ラジオ、エピローグともにお疲れ様でした~
本当に記憶に残るロワになりました
259:ゲームセンター名無し
08/05/03 03:17:43 s0JuJ0SfO
ネカフェに来てラジオ聞けて良かった…
アケロワを通じてやればできるって教えてもらった気がするから今日からやる気出す
ありがとうアケロワ。さよならは言わないよアケロワ
260:ゲームセンター名無し
08/05/03 03:19:01 R8ZAwaII0
ラジオ本当に楽しかったです。
お疲れ様でした、ゆっくりやすんでね!
261: ◆YC5JZsKCnM
08/05/03 20:43:52 8cVRhq7o0
仕事でラジオ聞けなかったので、こちらでご挨拶を
完結お疲れ様でした。僅かでも自分が関わった部分が確実に物語の歯車になるというのが
リレーの楽しさであり難しさだというのをここで知ることが出来ました。
思えば終電逃して会社の食堂でノートパソコン広げて書いた作品もあったっけ
262:ゲームセンター名無し
08/05/03 21:45:30 ZRFrwPCf0
>>261
すまない…誰だったっけ…
263:ゲームセンター名無し
08/05/07 02:23:50 CEfs9koC0
あけろわ2まだー?
264:ゲームセンター名無し
08/05/07 12:19:35 lJyR+g+W0
まだアーケード全般に勢いが無いから厳しいだろうな。
格ゲーの新作ラッシュが来た時、どうなってるか
265:ゲームセンター名無し
08/05/07 22:46:36 JlGhV0LsO
乙!
最初から見てたけど完結までに何年かかったんだろう…
最後の記憶喪失の半裸男には笑いましたw
266:ゲームセンター名無し
08/05/08 21:19:28 KFRJISkkO
>>262
>>261は元常連書き手の1人、あと>>216も。
まあ今ここを見てる人のほとんどが昔の書き手陣を知らないのも無理ないか…
267:ゲームセンター名無し
08/05/12 03:11:20 sks3EcMAO
ここはあと落ちるのを待つだけなのか?
268:ゲームセンター名無し
08/05/12 19:26:58 eQmT/WLx0
適当に感想書くとかで良いんじゃね。
やっぱりロックinギースステージは神だと思う
269:ゲームセンター名無し
08/05/14 01:55:02 vhR93gKu0
>>266
>>261のトリップの作品がないぞ。
大分後半で何を書いたか言いつつトリップつけて名乗ったような記憶があるが
トリップないせいで作品を見返せないからすっかり誰だったか忘れてる。
全くの記憶違いだったらそーりー。
×××××××でお腹を壊した>>216を知らない人はいないだろw