07/09/12 19:07:53 emCAQPFM
>>533
『アナタは恐いのねぇ、人と違うということが…』
口を開いたのは琴音だった。
母親の顔が一瞬、動揺に歪んだ。
『人なんざ何人居ると思ってんの、アナタ。
何人も同じ人間がいたら怖いわよ、ねーあやめちゃん』
『たしかに…清流院さんや太田さんが五人もいたら…』
『ちょっと琴様、あやめさんったら御挨拶ねぇ!』
『斧彦、アタシが五人居たら周りの方々の心を奪ってしまうでしょうけど、アナタが五人もいたらアタシだって近寄れないわよ』
『琴様ったらヒドい御言葉…!』
両手で顔を隠してシクシクと涙を流す斧彦を尻目に、琴音は言葉を続けた。
『人と違うことは悪いことじゃないわ、常識なんて所詮多数派の意見よ
…大切なのはそんなことじゃない、他人と違う自分を認められるか…よ』
『…みんな違ってみんな良い…か』
一馬が呟いた言葉にふと山崎が口を挟んだ。
『…真宮寺、それは金子みすゞか?』
『ああ、良い詩だろう?』
『…ああ』
『…ン゙ン』
話が脱線してきたと感じた米田が、咳払いして言葉を続けた
『…世間様の目を気にするのは仕方ねえことだが、自分を押し込めさせるのは良くねえ。
子供達を…かばい、守り、自由にさせるのが親のつとめじゃねえのか?』