07/09/01 02:33:44 XDQsgefx
>>526
定食屋で腹ごなしをした米田一行は琴音の考えにより仲見世に繰り出すことになった。
その中で、米田の印象に残ったのは見たのは菊少年の満ち足りた笑顔だったという。
そうして短いようで長い時間が過ぎ、日も落ちた。
彼らが最後に向かったのは少年と出会ったアクセサリィ屋。
琴音の勧めであった。
『…何か欲しいものはあるかしら?』
琴音の問いかけたことばに、少年が肩をふるわせた。
「えっ…えと…母にこれを…」
恐る恐る指差したのが小さな髪留め、百合が鮮やかにあしらわれている。
『わかったわ、店主さん…これを』
琴音が代金を支払い、その品を受け取ると…
「あっ……」
『似合うわね』
琴音の手が菊の髪にその髪留めをつけたのだ。
『これはあなたが欲しかったんでしょう?
…わかるわ、嘘をついてもね』
琴音の不適な笑みに菊は口をパクパクとさせていた。
米田もどうやら気づいていたらしく後ろで笑っている。
真っ赤なりんごになった少年に、琴音がこう囁いた。
『…自分を偽ってはいけないわ。
好きなものは好き、そういえる大人になりなさい、菊乃丞君。』