【サクラ大戦】迫水&米田【哀愁】at GAL
【サクラ大戦】迫水&米田【哀愁】 - 暇つぶし2ch516:名無しくん、、、好きです。。。
07/08/10 16:33:46 ZblcD/JV
>>515
夕焼けが赤々と空を染め、仲見世の蒸気灯や屋台の提灯が灯る頃、小腹の空いた米田は屋台を巡っていた。
『焼き鳥ってのもなかなかうめぇもんだな、…お?』
目線の先には、建物の影から何かを見つめる琴音が居た。
情報将校である琴音の事、ただ事でない場合もある。
知らぬふりで近づき、声を掛けてみた。
『…どうした?』
米田に気づいた琴音は、影に身を隠してこっそりと指で指した。
この二人を端から見たら、ずいぶん怪しい存在だったに違いない。

『あの少年です、…さっきからアクセサリィの辺りをウロウロと…』
米田はずっこけそうになった。
しかし顔には出さなかった。
『…欲しいだけじゃねぇのか?』

米田もその少年に目を移すと、少女のように華奢な少年が小物屋を覗いては離れ、覗いては離れと繰り返していた。
こちらにはまだ気づいてないらしい。

『いえそれだけではないような…
……あの子、何かあるわ…』
『なにか、だぁ?』米田には検討もつかない、少年が好いた子への贈り物にでもするのか。
はたまた、妹や姉、母への誕生日の贈り物か…位しか思いつかなかったのだ。
『そうです、…何かを感じます。
…中将、あの子に接触してみますわ』
艶髪を靡かせ、颯爽と飛び出した琴音。【早まるんじゃねぇ!】と米田は言いかけたが時既に遅し。
仕方なく米田もついていくことにした。

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07/08/11 20:05:21 zQb0uWoA
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07/08/12 12:42:32 Ma6HKq4v
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07/08/12 18:17:51 6bs5pSkz
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07/08/12 21:06:42 bHq2hTGI
>>516
『…坊や』
琴音が、少年の肩に手を置いた。
少年は反射的にかビクリと体を震わせ、とっさに逃げ出そうと身構える。
しかし、まるで磁石のように琴音の手は掴んだままだ。
そんな様子に異常を感じた、屋台のおっちゃんが声をかける。
「姉さん姉さん、この坊やに何か用でもあるのかね?」
この男、琴音を女性と勘違いしたらしい。琴音が幾ばくか頬を染めた。
『あら…いや、まあ、そうよ』
その時、後ろから人影が現れた。米田である。
「じいさん、この姉さんの知り合いかい?」
米田は、「姉さん」に一瞬眉が引きつったがなんとか取り繕うように話を続けた。
『ま、そんなところだ。
この坊ちゃんにちょいと用があってな、俺が頼んだンだ』
「ならいいんだけどね、ほら最近いろいろ危なっかしいからねえ」
『隣組の目ってのはそういう所で生きてくるンだ、これからもよろしく頼むよ』
「ああ!任せときな!…いかん、客だ!」
屋台にまっしぐらに戻って行くおっちゃんの背を眺める米田。
琴音はどうしていたかというと、米田の巧みな話術に圧倒されていた。
流石陸軍きっての知将、米田一基。話術もお手のものである。
『…さて、ボウズ…ちょいとこの姉さんが話があるそうでな。ついてきてもらえねぇか?』
少年は俯いたままだった。
その時、腹が鳴った。少年である。
『お?腹ぁ減ったか?
よし、このジジイが奢ってやろうじゃねぇか!』

『…?可い…ん…ですか?』
初めて少年から語られた言葉に、琴音と米田は顔を見合わせ…少年に微笑んだ。
かくして、彼らは小さな定食屋に入ったのだった。

523:名無しくん、、、好きです。。。
07/08/14 11:37:12 Qz6f6zMz
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07/08/15 15:20:56 VwzF3Afw
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07/08/16 21:48:14 AvByj9Kb
>>522

『オヤジ、冷やで!…おめぇらはどうするんだ?』
定食屋に入った米田一行は、少し奥の席に腰を下ろした。
米田の前に少年が座り、少年の隣に琴音が座った。
米田は早速冷やを頼んだ。冷やというのは酒を冷やしたものである。
『私は水とお新香だけで結構です、君は?』

琴音は水とお新香だけにした、脂っこいものも時には良いのだが食べ過ぎは美容の大敵である。
そして少年はというと…
『えっ…その…え……天丼…を』

「あいよっ!うちで天丼を頼むたぁ坊ちゃん通だねぇ、旨ぇの作ってやっからほおっぺた落ちねえように押さえときねぇ!なんだったらじっちゃんとおっかさんにも押さえてもらいな!」
『あの…そ、の……は、は…い…』
江戸っ子オヤジの軽やかな弁に押され気味の少年であった。
それはさておき、少年を名を知らないことに気づいた米田は、聞いてみることにした。
『…おう、ボウズ…おめぇの名前聞いていいか?ボウズじゃあ他人行儀でいけねえや』
少年は少したじろいだが、何故か頬を染め言葉を詰まらせながら呟いた。
『…菊……です』
米田は耳を疑った、菊という女は良く聞くが男ではめったに聞かない。
『え?…ああ、菊か…好い名前じゃねえか』

『ええ、菊は華やかな花ですが…どこか儚げな花、です。
菊つくりは罪つくり…ともいうのよ、菊君。』
琴音が少年を見つめ、そう言った。

526:名無しくん、、、好きです。。。
07/08/21 03:16:30 e91RKZ6M
>>525
「あ…いえ……」
少年の頬に赤々と紅が差した。

『へいっ!お待ちっ!』
オヤジの威勢がいい声が飛んだ、そういえば先ほどから天麩羅の香ばしい薫りがしていた。つゆの香りもあってか食欲を掻き立てられる。

『おう菊、来たぜ…こいつぁうまそうじゃねぇか!…ヒック』
菊の前に運ばれた天丼をのぞき込みながら本日何本目かの酒を煽る米田。
酒の味も好く、可い具合に冷えているのもあってかするすると手が進んでいる。

『そういえば菊君、何故アクセサリィ屋の前に居たのかしら?』
ふと先程まで新香を摘んでいた琴音が口を出した。
『え!……その…』
菊が言葉を詰まらせた、琴音が耳を寄せて囁くように促すと…
『……が…その……で……え…』

どうやら、昔から女性に対する憧れがなんたらかんたら…だという。
それを聞いた琴音が、腕を組み力強く然し優雅に頷いた。

『菊君、今日は…私達とデートしましょう』

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07/08/23 12:59:08 aGpfSurP
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07/08/25 19:06:57 B3W4anoU
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07/08/29 11:36:12 YBXzC3xQ
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532:名無しくん、、、好きです。。。
07/09/01 02:33:44 XDQsgefx
>>526

定食屋で腹ごなしをした米田一行は琴音の考えにより仲見世に繰り出すことになった。

その中で、米田の印象に残ったのは見たのは菊少年の満ち足りた笑顔だったという。

そうして短いようで長い時間が過ぎ、日も落ちた。
彼らが最後に向かったのは少年と出会ったアクセサリィ屋。
琴音の勧めであった。

『…何か欲しいものはあるかしら?』
琴音の問いかけたことばに、少年が肩をふるわせた。
「えっ…えと…母にこれを…」
恐る恐る指差したのが小さな髪留め、百合が鮮やかにあしらわれている。
『わかったわ、店主さん…これを』
琴音が代金を支払い、その品を受け取ると…
「あっ……」
『似合うわね』
琴音の手が菊の髪にその髪留めをつけたのだ。
『これはあなたが欲しかったんでしょう?
…わかるわ、嘘をついてもね』
琴音の不適な笑みに菊は口をパクパクとさせていた。
米田もどうやら気づいていたらしく後ろで笑っている。
真っ赤なりんごになった少年に、琴音がこう囁いた。
『…自分を偽ってはいけないわ。
好きなものは好き、そういえる大人になりなさい、菊乃丞君。』


533:名無しくん、、、好きです。。。
07/09/02 06:39:22 hqpNvE7P
>>532
女性への憧れ。
琴音達にもあるその感情を、この少年も持っていた。
琴音はそれを感じて声を掛けたのかもしれない。
『あなたもこの私と同じ、これからも仲良~くしましょうね
あら…菊之丞、可愛いんだからこんな時に泣いちゃ駄目じゃない、女は涙をいざという時の武器にとっとくものよ』
今まで否定されてきたその感情を初めて認めてくれた人の手が、菊之丞少年の頬に伝う雫を拭う。
『…失敗や欠点…それをひっくるめて自分を認めてやれるようになりゃあ1人前だな。』
菊之丞の頭を撫で言葉を掛けた米田、その時の目はとても穏やかな…父親のような瞳だった。

『米田隊長~!』
ふと背後から聞きなれた女性の声がした。
どうやらあやめらしい、一馬や山崎も共に行動していたらしい。
『おうおめえらか…どした?』
『いや、米田隊長がこの方の子供と一緒に居るのを見たっていう人がいまして』
対降魔迎撃部隊の面々は菊之丞の母親と出会い、子供を探していたというのだ。
背後から姿を表した女性は菊之丞に駆け寄り抱き締めた。
「菊之丞!」
「…お母さん」
暫し抱きあった後、母親が菊之丞の髪に留められた髪留めに気付いた。
途端、母親は声をあげる。静かな怒りを含んだ声だった。
「菊之丞…これは何かしら」
母親の声に戸惑いを見せた菊之丞はとっさに後ろへ退いた。
丁度琴音に寄りかかるような体制になったのだ。
「貴方ですか?これを菊之丞に与えたのは」
この母親はどうやら菊之丞の感情に気づいていたのだろう、しかし世間体を気にしてかそれを否定してきたらしい。
それを掘り返されたのだから母親にしてみればたまったものじゃない。
その怒りの矛先を向けられた琴音は菊之丞を両手で包みこみながら、凛として立っていた。

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07/09/02 06:42:28 mHmN+GVl
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07/09/05 09:44:29 3Gqv3deN
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07/09/10 12:25:11 h838yMhI
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07/09/11 16:42:58 xE5LC4RL
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07/09/12 11:24:01 Nu9C9uFr
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07/09/12 19:07:53 emCAQPFM
>>533
『アナタは恐いのねぇ、人と違うということが…』
口を開いたのは琴音だった。
母親の顔が一瞬、動揺に歪んだ。
『人なんざ何人居ると思ってんの、アナタ。
何人も同じ人間がいたら怖いわよ、ねーあやめちゃん』
『たしかに…清流院さんや太田さんが五人もいたら…』
『ちょっと琴様、あやめさんったら御挨拶ねぇ!』
『斧彦、アタシが五人居たら周りの方々の心を奪ってしまうでしょうけど、アナタが五人もいたらアタシだって近寄れないわよ』
『琴様ったらヒドい御言葉…!』
両手で顔を隠してシクシクと涙を流す斧彦を尻目に、琴音は言葉を続けた。
『人と違うことは悪いことじゃないわ、常識なんて所詮多数派の意見よ
…大切なのはそんなことじゃない、他人と違う自分を認められるか…よ』
『…みんな違ってみんな良い…か』
一馬が呟いた言葉にふと山崎が口を挟んだ。
『…真宮寺、それは金子みすゞか?』
『ああ、良い詩だろう?』
『…ああ』
『…ン゙ン』
話が脱線してきたと感じた米田が、咳払いして言葉を続けた
『…世間様の目を気にするのは仕方ねえことだが、自分を押し込めさせるのは良くねえ。
子供達を…かばい、守り、自由にさせるのが親のつとめじゃねえのか?』

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07/09/13 02:25:57 6YltOUrV
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07/09/13 23:50:40 1xJTXPHM
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07/09/16 08:06:09 qIqvy60V
こんなところに神がいた……。
SS師さん支援。

548:名無しくん、、、好きです。。。
07/09/18 00:54:51 NJ2iCyw4
>>541
「…っ………」
菊少年を挟んで責め立てられた母親はたじろいだ
彼女にはいくらか被害妄想地味た思考があるのか自分の考えを全て否定されているように感じたらしい。
その時である。
『は…母を苛めないで…ください…っ!』
菊少年が母親の前に立ち、必死に声を張り上げた。
人通りが少なかったのが幸いしてか野次馬もない、否…例え野次馬がいたとしても少年は母を庇っただろう。と米田は直感した、少年の瞳はまっすぐこちらを見つめ返していたからだ。
『ごめんなさいね、言い過ぎたわ…』
沈黙の後、琴音がひしと菊少年を抱きしめた。その瞳はほのかに潤んでいたという。
次に斧彦がその上から抱きついてワンワン泣き出した
『菊ちゃんっ…アナタは乙女の鑑よぉ!
ねっ琴様!』
『そうよ、ここまで清純で勇敢な心を持った少年を連れまわした挙げ句傷物にしたなんて!』
いくらか過剰な表現が出て、米田は少し眉をひそめる。
『…おいおい…
まあ、…おめぇさんがこの坊主に教えてきたことは間違いじゃなかった
…おめぇを庇って、俺達に歯を向けてきたんだぜ…』
米田の柔らかく穏やかな言葉に、母親も泣き崩れて百合組の輪の中に入っていった


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