07/08/07 08:20:57 Ln/cRhcI
>>508
浅草雷門。
今夜は屋台が立ち並び、様々な人間が集っている。
そういえば、と米田は思い返した。
対降魔部隊と白百合隊の面々が思い思い行きたい場所に散開してからしばらく経つ。皆は何をしているのだろうか?
今まで立ち飲み屋台で呑んでいた米田は酒徳利を抱えて辺りを彷徨く事にした。
まず見つけたのが射的に興じる対降魔部隊の山崎とあやめであった。
『おう、あやめくん…っく』
『あら米田隊長、…また呑んでますね?』
『良いじゃねぇか、こういう席で呑む酒は縁起酒ってンだ。』
屋台の脇で雑談するあやめたちをよそに、山崎は銃を構え眼を閉じた。
次に眼を開いたとき、銃口は的を捉え、強いバネの音高らかに、的心を射抜いた。
「にいちゃんスゴい腕だな!
ほら、持ってきな!」
テキ屋のオヤジが渡して来た景品は和細工の髪留めだった。
『…あやめ。』
山崎があやめにそっと近づき、髪留めを髪に結い止める。
『俺には要らぬものだ。』
『えっ…その…ええ?』
あやめは照れているらしく、夕闇の内でもその頬が赤く見える。
そんな情景を目の当たりにした米田は、すっとその場を後にした。