07/07/30 23:52:04 zAeZVDyM
>>490
米田行き着けの蕎麦屋【夕蛍庵】は、修行を重ねた主人が明治元年に創業した店である。
季節ごとに変わる品が通の間でも人気であり、そして希望とあらば、三種類のご飯と20種類以上あるおかずが頂けるとあって食欲旺盛な若い青年達にも人気の店なのだ。
のれんをくぐると、老人達が数人蕎麦をすすっていた。
蕎麦湯の薫り香ばしく、辺りに漂っている。
座敷に腰を下ろした米田達は、注文を聞きにきた女将にお品書きを見て注文してゆく。
『俺ぁもり蕎麦に酒だ』
米田は何時も通りの蕎麦に酒を頼んだ。
米田によると、酒と蕎麦のナントカカントカって成分が相性が良いらしい。
『私は‥【桜】にしようかな』
あやめは春期品の【桜】を頼んだ。
蕎麦に桜餅と三色団子がついてくる、桜を浮かべたお茶もつき、モダンな女性に人気なのである。
少しお足を足した【幽桜】には抹茶が追加される。
『私は、とろろを。』
山崎はとろろ蕎麦を頼んだ、とろろとは山芋をすりおろしたもので、肌につくと痒くて堪らなく厄介だが、その美味さに病みつきになる人も少なくない。
そのとろろがついたのがとろろ蕎麦だ。
『んー…私は梅ざるで』
一馬が頼んだ梅ざるは、ざる蕎麦に梅ぼしがついたもので、さっぱりとした風味の蕎麦である。
米田達は、お茶を頂きながら束の間の休息を楽しんでいた。