07/07/09 21:23:34 UXHk6ypB
>>471
静寂の内、米田は口を開いた。
「だったら・・死んだつもりで、もう一度俺についてきてくれねぇか・・・」
肩をつかむ米田の手は震えていた、手に力がこもっている。
「・・米田中将・・・」
「どうせ死ぬなら、・・死んだつもりで俺の仕事についてきてくれ・・
・・死ぬな、あやめ君!」
米田の声は震えていた。
強い覚悟を宿した言葉は、あやめの心に届いたのか。
「・・うあぁぁぁっ!」
あやめは、声を上げて泣き出した。
あやめは数日前に目の前で愛する者、大切な仲間を失ったというのに軍人という身分が涙ひとつ流すことを許さなかった。
しかし、米田の言葉があやめの頑なな軍心を解きほぐし、その抑えていたものを解き放った。
米田は泣き崩れるあやめを支え、しっかりと抱き止めた。
それからしばらくして、提灯の淡い明かりが近づいてきた。
米田たちを探しにきた権爺の提灯の明かりであった。