07/07/09 04:18:09 UXHk6ypB
>>465
「一馬よ、おめえたぁ良く酒飲みに行ったなぁ・・」
脳裏に浮かぶのは一馬との思い出。
散歩だと神田明神辺りまで足を延ばした事。
酔った自分を背負い、本部まで連れ帰って貰った事。
何より、娘のさくらについて話す一馬は印象深く残っている。
一馬の語る平和の裏には、必ずさくらが居たからだ。
米田はそれを知っていたからこそ、一馬に魔神器を遣わせたくなどなかった。
一馬のやつれた姿を見つめながら米田は呟く。
「・・一馬、おめえの娘さん・・さくら君っていったなあ。・・まだまだおめえが必要だってのに・・」
『・・いえ、さくらは・・私が逝っても・・・強い子ですから・・』
「一馬!おめえ・・」
一馬はいつの間にか目をさましていた。
もしかすると意識を戻すことなく、一週間が過ぎることもあると医師は云っていたのだ。
ましてや数時間前に倒れて、意識を取り戻すまでに至った回復。
これは奇跡であった。
『・・米田中将、後はお任せします・・』
一馬はそういって、もう一度目を伏せた。
それから二日後、真宮寺一馬は死出の儀式を行うために仙台の真宮寺本家へと移った。