03/12/19 05:04
「ただいま~。」
期末テストの結果も出揃い後は冬休みを待つだけのそんなある日、
学校から帰ってくるとチョコとほのかさんが居間でお茶をしていた。
「あ、おかえり~タカシ。」
ニパッと、満点をあげたくなるような笑顔で
ポニーテールの女の子―チョコが答える。
「ただいま、チョコ。ほのかさんもただいま。」
そう言ってチョコの真向かいに座っているほのかさんに顔を向けると、
彼女は落ち着いた雰囲気で軽く微笑みながら口を開いた。
「おかえり、ちょうどお茶入れた所だけどアンタも飲む?」
「あ、うん、貰うよ。おっ、お茶請けはどら焼きか~。
あれ、そういえば雪乃と皐槻ちゃんは?」
さっきから2人の姿が見えないので、ほのかさんに聞いてみる。
「雪乃ちゃんは2階でなんかやってたわ、さっき呼んだからすぐ来ると思うけど。
皐槻ちゃんはクリーニング屋に行ったわ。買い物の帰りに寄ってくるの忘れたんですって。」
そういえば、こないだカウチン(毛糸で編んだジャケット)をクリーニングに出した事を思い出した。
多分仕上がったアレを取りに行ってくれているんだろう。
何から何まで皐槻ちゃんのお世話になりっぱなしで、何だか申し訳無い気持ちになる。
でも、それを口にしても彼女は喜ばないだろう。だから一言の軽いお礼と彼女の手伝いをすることで
感謝の気持ちを表す。
それで皐槻ちゃんには全部伝わるはずだ。
いや、皐槻ちゃんだけじゃない。チョコにも、雪乃にも、もちろんほのかさんにも。
まだ半年も一緒に住んでないけれど、胸を張って言える。
だって、僕たちは家族だから。