06/12/04 18:02:09 bnhCCn/Q
一、「+++→」の意味に関して
>>217は記号の意味が等しいことに疑いがあると言うのである。
ところが、元より、教王という同じ駒に、全く別の機能を持たせながら、全く同様の記号を
偶然に用いた、という解釈自体に無理があることは言う迄もなく、更に例を挙げるならば、
大大将棋「大象」は斜め前方に「・」が一つ欠けている他は同様の記号であり、同じく
大大将棋「金翅」は、重複して表記されているが、一方は後方の走り、一方は前方の走りが
欠けている他は同様の記号を用いているのである。特に、「金翅」は元々前後共に走りが
可能な様に表記したところ、線が薄れた類の原因で欠け落ちたものと言えるであろう。
そうすると、『大局将棋駒』の著者が、少なくとも『象棋六種之圖式』と同様の意味として
「+++→」の記号を用いる意図であったことは、殆ど疑う余地がないのである。
又、『世界の将棋』が該解釈を用いなかった理由は、教王「狛犬奔王之行走兼」に対して、
狛犬は奔王に完全に内包されるものであるから修正案を考えたとの旨を記述しており、
偏に、狛犬が現行の「3○」の動きとの固定観念に基づいて惹起されたことは明らかである。
ところが、『象棋六種之圖式』「摩訶大大象棋口傳」では
「四方四角、踊り三目、其中一目二目、 要に隨てこれをつかふこと、獅子のごとし、
但し獅子は踊り二目、不正行度なり、 狛犬は踊り三目、八方正行度す」
とあり、狛犬が単なる「3○」でないことは明記されているのである。
該文言に遵うならば『世界の将棋』が感じた疑問は全て解消されるのであり、
複数資料に明言された教王の説明を覆す必要も、「+++→」の記号に新たな
解釈を与える余地もないことになるのである。
尤も、踊りが全て狛犬と同様であるかは不明である。「3○」となっている駒が
全て正行度三踊の獅子であるとは、直ちには言えない。但し、金剛に関しては
「四方三目踊る、踊らざれば一目なり、二目馬を越え、四角あゆみ一目」
という解説が、同じく「摩訶大大象棋口傳」にあることを紹介しておく。
他の駒の解説では踊るとあっても、踊りの内容には深く触れていない。