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五、教王の動きに関して
「#」即ち「+++→」の動きが現行の規則となっているのは、『世界の将棋』に
「+++→の説明については、原点では詳しい説明がなく、不明であるが筋が
3つ引いてあるものは、駒を3つまで飛び越して走りが出来るものと思われる。」
とあることに基づくものであるが、御覧の様に現代人の推測である旨が
明記されている。ところが、該記号には説明というべきものが存在するのである。
「+++→」という記号は『象棋六種之圖式』で用いられているものであり、
教王の動きも八方に「+++→」で表されている。同書「摩訶大大象棋口傳」では
教王の動きが名文で示されており、>>154で引用した様に「奔王狛犬二枚の
ふるまいを兼た」ものとしている。但し、摩訶大大将棋の狛犬は八方に3○である。
すると、「+++→」とは走りか3○かの選択という動きを意味することになる。
『象戯図式』にも、教王「狛犬奔王之行走兼」、狛犬「頭尻上下四角両脇三踊」とあり、
解説が誤りである可能性は低い。これは名文の解説といっても過言ではなく、
九割八分正当な解釈と考えている。
『大局将棋駒』然りであるが、古い文献では移動可能な地点は「・」と「-」で
表しており、「-」の途中に「・」を記しても判別し難いことから直角に線を
引くことで表現したものと考えられる。
但し、現行の3○の規則では完全に走りに内包されることとなってしまうので
必然的に3○も疑問視しなくてはならないことになる。
尤も、前述の如く「・」とは「○」も「×」も「獅子の動き」も区別しないものであり、
「+++→」の場合のみ扱いをことにする可能性も充分にあり得る。斯かる意味では
摩訶大大将棋の狛犬も、「+++→」で走りと組み合わされるのも、「3・」と
表記されるべきかも知れない。