07/07/18 01:21:03 MJwyAHZS
エトリアじゅうの名声を欲しいままにしたあのギルドも、今ではすっかり忘れ去られ、
酒場のバードの歌に聞けるくらい。
就任当時はヒヨッ子だった執政院長も、今じゃヒゲを蓄え立派になったものさ。
施薬院の見習い女は一人立ち、ミセス・メリルの装飾品はもう流行遅れ!
時代は変わるものだ。
俺もいまは腕も衰え、弓を引くほどの力も無くなったよ…
「おいおい、お前は元から採集ばかりのレンジャーだったじゃないか」
ふん、それを言うんじゃないよ。それでも俺は、あんたの率いる―今じゃ伝説になっちまったあのギルドの一員だったんだ。
「ああ、そうさ、お前は今も昔も俺の仲間だ。…それで?今日は何のようだ」
…そうそう…このエトリアの町は変わった。
ギルドは次々店をたたんで、シリカ嬢は結婚した。それでも―変わらないものがあるんだ。
レンと、ツスクル…と言ったっけ?
あの2人の容姿さ。
当時二十なら、もう不惑になるだろう。それだってのに、彼女らと来たらあの時のまんま―2人と戦ったお前なら、何か解るかと思ってな。
「…ふふ…なにかと思えば、その事かい」
なにがおかしいんだい。
「バーボンおごり損だぜ。あの人たちのことは…幾らお前でも、話すわけにはいかないよ」
男は立ち上がり、あの人たちはこの町の守り神だからね、と呟いた。
樹海解明から約20年。今でもエトリアでは、町がモンスターに襲われたという話を聞かない。