07/05/08 21:04:45 4Bd4Ubvh
むかしむかし、エトリアの街に一人の女の子がすんでいました。
ゆうふくな家にうまれたので、おいしいお菓子もきれいな服も、
だれよりもどこよりもたくさんもっていました。
女の子は、お父さんとお母さんの愛情をうけてすくすくとそだちました。
でもざんねんなことに一つだけ成長しないものがあったのです。
女の子は、やさしさというものがわからなかったのです。
まずしい人がいれば着飾った服をみせびらかし、
お腹がすいた人がいても、お菓子を分けてあげようとしないのでした。
そんなある日のこと、女の子は両親におつかいをたのまれました。
森のおくにいるお婆さんにパンをもっていくようにいわれたのです。
女の子はいくのがイヤでしたが、ことわるとお菓子も服も買ってもらえません。
しょうがなく、おつかいに行くことにしました。
「アルルーナ、今年の収穫でとれた聖別されたパンよ。落としたりしたら、駄目よ」
「そんなのわかってるわよ、おかあさん」
おかあさんのいいつけをうけて、女の子は森のおくへと歩きはじめました。
だいぶ日が高くなったころに、ようやくお婆さんの家のちかくまできました。
しかし女の子にとって困ったことがおきました。
きのうおとといに雨がふったからでしょう。
おばあさんの家に行く道に、沼地がちらほらと出来ていたのです。
道をすすもうとすると、きれいなお洋服がよごれてしまいます。
かといって、まわり道をするとなるとたいへんです。
女の子は、沼地をまえにしてかんがえこんでしまいました。