06/11/26 23:07:59 VLpdsCWP
アンソロからネタが振ってきました。
…ごめん。ネタバレじゃないけど、ごめん。
まだ朝日が出て間もないころ、ラグナは身支度をして早速今日できた作物を採っていた。
今日は主にカブが中心で、こういう日は採れた中で一番できがいいカブをミストにあげるのは、もう習慣となっていた。
「おかしいな。なんか抜けない」
ある程度作物を取っていたところ、さっきから力を入れても取れないカブがあった。
「カブだけど大根みたいに曲がっちゃって取れないのかな」
どうしたもんかと、ラグナは考えていると、雨の日セリシーとニコルと一緒によんだ、絵本の巨大なカブを思い出した。
そういえばこの辺一帯にカブの種を蒔いたのにも関わらず、たった一つのカブの葉しか出ていない。
これは本当に巨大なカブかも。
期待に思わず鼻歌を歌いながら、ラグナはカブの葉を引っ張る。
なかなかでない。そうとうしつこい性格のようだ。
ラグナは引っ張るのを諦め、回りの土を掘り起こしてカブを取ろうとした。
「あれ? 普通のカブの大きさだ」
半分ぐらい掘り起こして出てきたカブは、全く普通のカブと変わらなかった。
「変だな。まあとりあえず、よいしょっと」
ラグナはカブを引っこ抜いた。
あれほど力を入れても取れなかったカブは、あっさりと取れてしまった。
普通のカブだった。白くてまん丸と上質なほうだろう。
だがカブの底には、
腐食した腕がくっついていた。
ラグナはカブを振り払い、思わずしりもちをつく。
「な、なんでヒヒひとととと、人のひとのうでが…」
っザ。
ラグナの背後から足跡が聞こえた。
「おはようございます。 ラ グ ナ さ ん 」
いつもの挨拶と違う声が、ラグナを迎えた…。