07/06/06 04:53:15
久々に会話を交わす事になり何時間かが経過していた。
「ところでつーちゃんはお嫁さん貰わないの？」
ぶーっ、とせっかくラッキーが淹れてくれたお茶を吹いてしまった。
「何を言うんだっ！」
「だってー、つーちゃん似のかわいー子供を見せてもらうのが楽しみなんだもん～」
「あのな、俺は戦い続けることを宿命付けられた男だ。恋だの結婚だのは…」
その途中で、母親の手がミュウツーの言葉を遮った。
「覚えておいてつーちゃん。真の戦いは、愛する者を得た後に始まる事を。
自分が一番大切に想う人を見つけて、その人と自分を守る為に行動する事が
一番自分を高める戦いになるのよ。人もポケモンもそれは同じなんだから」
その時急に、しんみりした空気が流れた気がした。いきなりシリアスは反則だよお母さん…。
「なぁ…お袋って、あどけない顔と、子供っぽい仕草と、
そう言う成熟した台詞が見事にマッチしてないな…」
「お母さんの事子供っぽいって言ったなー！」
結局、夜が明ける頃に母は去っていった。
「まったく、よく人の睡眠時間を削ってくれたものだ」
「でも楽しそうでしたね」
茶器を片付けながらラッキーが言う。
「たまには良いだろう、こういうのも…」
「そうですね。まぁ今後暫くはこの話題で持ちきりでしょうけど」
「何」
ふと見渡すと眠りこけていたはずの連中が皆起きて
取り巻いていた。素の自分を見られた！？
「って言うか思いっきり見られてましたけど」
ハナダ洞窟の住民は使えない癖に、興味本位の事になると
夜中だろうが活動しやがる…！
周りから聞こえるヒソヒソ話は全て自分の事に違いない。
ここで打ち立てた冷徹で最強キャラのイメ－ジを完全にひっくり返すかのような噂話だ。
「…もうだめだ。この連中諸共洞窟を破壊するしかない」
そしてハナダ洞窟は終焉を迎え、ミュウツーは姿を消した。
３年後町の人が「すごく強いポケモンがいる洞窟があった」と言い残すのみである。