07/03/10 11:02:34 ZiGRmeyZ
第二章
-変貌と消失-
数千年前、数百年前のある出来事―
◇
「マスター」
「ああ、アナタですか。どうかされましたか?」
「いえ、どうというわけではありませんが。御体の方は…」
「まだ大丈夫ですよ。これが完成すればどうせ私は―」
「それ以上は!」
「…少し冗談が過ぎましたね」
「…どれくらい進んでいますか?」
「そうですね…30%と言うところでしょうか。何せ“多くの人”を移民させますからね」
「…すみませんこの様な利用する形になってしまって」
「…後で私と一緒にラボによってくれますか?」
「アナタが私を必要とするように、私もアナタ―が必要なんです」
◇
“イレギュラー”
それは排除しなければいけない存在。
イレギュラーの決定権限はヘブン、及びマザーそれ以上の“存在”。
その決定に背いてはならない。
これは命令(コマンド)である。
「トリッガー君」
「…!どうされました?マスター」
“考え事”をしていると突然マスターから声をかけられる。
「あとで私の家に…」
「はい」
マスターの笑顔に私は笑顔で返す。もうこれは定期的に行われるプログラムのようになってきているが、一度もそうとは感じなかった。
「それじゃあ、ライブラリにも乗っていない“昔話”をしましょう」
マスターは私にいつも“昔話”をしてくれます。そして懐かしむ顔に時折悲しさが混じり、涙が零れることもあった。
だから私はそのひとつひとつを大切にする。
「今回はこれでおしまいです。また今度聞いてくださいね」
「はい。マスター。それではまた」
そのお返しとは釣り合わないけれど、私の精一杯の笑顔を見せる。するとマスターは必ず、
「ふふっ」
笑うのだ。自然に―
◇ ◇ ◇
>>79,>>81サンクス
とりあえず第二章冒頭。