07/02/24 11:41:22 /bLhJjJS
>>29の続き
二人は気づいていなかった。ロック・ヴォルナットという青年を迎えに行くために今日この瞬間までがんばってきた。その想いはもう宇宙すら越えている事に―
「いよいよ明日ね」
トロンは思い出していた。
データが地上に戻ってきた時に「終わったよ。ロックは無事だよ」という言葉を耳にしたとき、本当は素直によかったと口にしたかった。でも私がそう思っていた瞬間、ロールは「あぁ…よかった」と涙を溜め声を漏らした。
私もあんなに素直になれたらいいのにと思ったのもつかの間、彼女は
「迎えに行かなくちゃ」
と力強く言った。その時無意識に私は、
「私も手伝う―」
と力強く、彼女と同じ位置に立つように。
「うん」
ロールは思い出していた。
データが地上に戻ってきたときの言葉。
「あぁ…よかった」
宇宙に飛び立った大切な人、私の大切な家族。何があっても諦めない人。私を支えてくれる人。時には不安にさせる人。だけど絶対笑顔にさせてくれる人。
まだ生きているのだと。
私はあの時、心で安堵をかみ締めた。それと同時に、
「迎えに行かなくちゃ」
きっと待ってる。そう確信した。
二人は完成したロケットを見上げ、同じ想いを口にした
「迎えに行くからもう少し待っててね、ロック!」
◇ ◇ ◇