07/03/30 22:32:01 KFVwvpwN0
>>100の続き
「整備用通路か…まさかこんなところを通るなんてね」
足音が響く。整備用の通路と言っても車一台が通れるくらいの広さと、壁がリーバードの出入り口になっている事位しか何の変哲の無い通路。
「お、あった」
『さっそくで悪いが、接続してみてくれ』
「わかりました」
『“エデン”は飛び出るわ、ヘブンとは接続できなくなるわ、扉は閉じてるわ…もうやんなっちゃうわねぇ…』
通信機越しからユーナさんの声が聞こえてくる。ボクはコンパネを操作しながら耳を傾けていた。
『こちら側を遮断されている。これはシステムに侵入…いやシステムを乗っ取っとられている』
『私達、まだ“マザー”として認識されてない、一番手薄な時を狙われたわね』
『これからどうなるの?』
不安そうなトロンちゃんの声が聞こえた。
『“エデン”を動かされた以上地上のデコイが危ないって事は確かね…』
『そんなっ!?お兄様達が…』
『しかもあれはNo.0―言わば“エデン”の親機。“エデン”の修復機能を持っている』
『…つまり?』
ロールちゃんが恐る恐る尋ねる。
「繋ぎましたよ」
大きな扉の動く振動がこちら側にもわかる。
「先に行っててください。ボクが粗方先のほうも動かしておきました。ロールちゃんつまりね…起動していないエデンを動かすことができるってことだよ…」
『っ!!』
悲鳴の混じった驚きの声。
「セラさん。この先たしか…」
『おそらく必要だろうな』
「じゃあ行ってきますね」
独特の切断音。通信を切った、というより切れた音。ボクは走りながら通信機を確かめる。
こんなところでも通信ができる、そんな物を造って持ってきたロールちゃんはやっぱり、ロールちゃんだなと思った。
広い通路に出る。ヘブンの記憶をたどれば、すぐ近くにディフレクター保管庫。ディフレクター保管庫といっても大きくは無くて、本当に十数個くらいしか置いていない。そう、保管庫はいくつもあるからだ。
扉を開けると未だに動き続けるシールドにさまざまな色や形を持つ結晶体はエナジーフィールドを発生させないように守られている。その輝きはどことなく、リーバードの命のように感じられた。
手ごろなディフレクターを数個持ち出して、みんなのところへ駆け出そうと保管庫を飛び出したその時―
「わっ!?」
ガンッ!
ボクは何かに躓いて倒れる。
「一体何が…あ…!」
ボクがぶつかったのは、リーバードだった。ボクは反射的に左手を向けた。だけど―
「ほっ…」
ボクは手を下げる。それは非戦闘リーバード。溶接器具やドリルなどのを見る限り修復作業用だろう。ただおかしい点を言えば、
ギュギュピーーー!
「青い…」
泣き声のような反応音を上げるリーバードの瞳は通常とはちがって青く光っている。
「どうして…って急がないと!それじゃあね!」
リーバードは持ち場へと移動を始めていた。
◇ ◇ ◇