アクセル・ラミアvsジョッシュ・ラキ 3スレat GAMEROBO
アクセル・ラミアvsジョッシュ・ラキ 3スレ - 暇つぶし2ch825:それも名無しだ
07/02/20 04:55:58 GYwq0j+B
「ジョシュア、いるか?」
 声とともにアクセルはジョシュアの部屋へと足を踏み入れた。グラキエース
は読んでいた本から目を離すと、横目でちらりとアクセルを見やり、不思議そ
うな口調で彼へと問い掛けた。
「部屋に入るにはノックなどをして部屋の主の了承を得る必要があるとジョシュ
アには教わったが……違ったのか?」
 その声に、咎める色はない。ただ、それがいっそう自らの不手際を指摘され
たようで、アクセルは所在無さ気にぽりぽりと頭を掻いた。
「いや、その通りであってる。すまない、俺が少し無作法だったみたいだ」
 軍隊で何を言うのか―そう思う気持ちがないわけではないが、ジョシュア
が彼女の育成に心を注いでいることを知っているアクセルとしては、こう言う
ほかない。何しろ、彼は怒ると怖いのだ。それもとてつもなく。
「そうか、やはりジョシュアの言ったことは正しかったのか」
 やはり、のところで深く頷くグラキエース。妙齢の女性が子どものような仕
草をするのはどこか滑稽なのだが、ばつが悪いアクセルとしては面白がる
こともできず、どうにもやるせないでいた。
「ジョシュアなら、ジェアン・シュヴァリアの整備に行ったぞ」
 と、そんな彼のやるせなさを見透かしたかのようなタイミングで、ようやくア
クセルの質問の答えが返ってきた。そのタイミングのよさといったら、質問を
したアクセル自身ですら、一瞬虚を突かれた。
 この突拍子のなさ、まるで子どものようだだ―世話をするジョシュアの苦
労を思い、改めて彼の懐の深さを実感する。そのようなことをアクセルに思
われているとは露知らず、グラキエースは再び読書の世界へと没頭し始めた。
「何をそんなに熱心に読んでいるんだ?」
 ジョシュアの行き先がわかり、もうこの部屋に用はない。ないのだが、その
本の内容が気になり、アクセルはグラキエースに問い掛けた。そんな彼に、
グラキエースは胡乱な瞳で見つめ返してくる。
「聖書だ」
「聖書? そんなもの、何だってそんな何の役にも立たんものを」
「ジョシュアが言っていた。いないとわかっていても、祈るための存在が人間
には必要だと。それで神とやらに興味を持ったのだが……」
 そこで、グラキエースは意味深に口をつぐませた。その先はグラキエースと
さほど親しくないアクセルにもわかる。彼女の陰鬱とした口調と態度が、わか
りやすすぎるほどにそれを物語っていた。
「つまらない、と」
 ジョシュアに気を使い、なかなか次を切り出せないでいたグラキエースの代
わりに、アクセルが続きを繋いだ。それを肯定も否定もできないグラキエース
は、眉を八の字にしてアクセルを見上げる。
 その目はやめろ―そう言おうとしたアクセルだが、それよりも早くグラキエ
ースが口を開く。
「やはり、私が人間ではないから理解できないのだろうか?」
 これがWナンバーズ相手なら、アクセルは迷わず嘲笑することを選んだ。い
くら雨にぬれた子犬のような目で見つめこようと、アクセルに人形を慰めるよ
うな趣味はない。アクセルの主観では、グラキエースも人形の範疇になるの
だが、その保護者の存在を考えると、ぞんざいに扱えるものでもなかった。怒
らせると怖いから、という理由だけではない。彼は数少ない友人なのだ―そ
れもできるかぎり無くしたくないと思えるほどの。
 ここはジョシュアの顔を立てておくか―これで何度目の借りになるだろう
と嘆息して、アクセルは目を覆いながらも口を開いた。



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