06/08/29 23:27:38 1c9HvbHx
「リク…あの怪我で生きていたとはな…」
目の前に立ちはだかった男を見て、ロクサスは嘲るように言った。
「影からコソコソとソラを助けて…俺達の邪魔をして…」
ソラの前に顔を出す勇気も無い癖に
「目障りだ」
両手に意識を向けると、光が走りキーブレードが現れる。
光と闇のキーブレード…
だけど、これも所詮はソラのもの
自分はソラの持つものを霞めて使ってるに過ぎない…
ロクサスはそれが自分がソラの偽者のようで、紛い物のようで嫌だった。
そしてそれを考えると酷く辛くて、哀しかった。
しかし彼はいつの間にかそれを憎悪と捉え、ソラとソラの周囲全てにその憎しみを向けていた。
リクも例外ではない。
「お前がソラを消そうとするからだ」
リクはロクサスの殺気にも憶せずそう言い放った。
「ハートレスをけしかけてるだけさ」
「同じ事だ!」
リクも剣を構えた。
ロクサスはフン、と息をつく。
「忘れたのか…?お前は俺に一度負けたんだぞ」
「俺はもう負けない」
リクはロクサスの声を遮り言った。
「その覚悟を…今した!」
「ほざけ!」
ロクサスはリクの言葉は一蹴すると、地面を蹴った。
リクはいくつもの黒い炎の球を剣の先から打ち出す。が、ロクサスはそれを軽く避けて行く。
しかしリクに動じた様子はない。
ロクサスはその様子に背後を一瞥する。と、避けたはずの炎がこちらに方向を変えていた。
「…フン」
ロクサスはそれがどうしたとでも言いたげに鼻で笑うと、キーブレードで炎を切り裂いた。
一つ二つ三つ四つ…それらをかき消しながらも、リクの動向を伺う。
リクが動いた。
ロクサスは一回転して最後の炎をかき消すと、そのままの勢いでリクの剣を受けた。
「ハァッ」
リクはすぐ後ろに飛び退くとまたロクサスに向かって剣を振り下ろす。
ロクサスはそれを二本のキーブレードをクロスし受け止めた。
「…この程度か?」
金属が擦れる音を聞きながらロクサスは問う。
「この程度の力じゃ…何も成し得る事は出来ないさッ!!」
ギンッという金属音と共にリクの身体が吹っ飛んだ。
ロクサスは体制が崩れた隙を見逃さず、リクの側面へ重い一撃を食らわす。
地面に叩き付けられ、リクはクッ、と息を詰めた。
――強い…
ロクサスは強い。
そんな事判っている。
NO.1から奪い取った機関の指導者の地位は伊達ではないのだ。