07/03/16 04:43:25 bfwkcQZ7
「レナを引き込むっていう着眼点はよかったな。……だけど、肝心の中身が駄目だ。」
ばっさりと切って捨てられる。
「妹だと? たわけが! お前は沙都子の真の良さをまるで分かっちゃいない。
いいか、今巷には安易な妹キャラが溢れている。それはそれでいいだろう、人間は背徳感に惹かれるものだからな……。
だが、それとメイドの食い合わせは、はっきり言って下の下だ!
いいか? そもそもすでにメイド属性の大切な要素として『身分違い』という背徳感がある。
それと妹を足したらどうなる!? お互いの風味を打ち消しあってなにがなんだか分からなくなるだろうが!
いいか、萌えは足し算じゃない、掛け算だ! もともとの魅力が大きければ大きいほど、相反するものと組み合わせたときに価値が薄れると思えっ!
さらに言わせてもらえば、妹という距離感の近さもマイナスだ。
古来メイドとは触れそうで触れられない、届きそうで届かないそんな微妙な距離感を象徴するものッ!!
幼馴染メイドも妹メイドも俺に言わせりゃ侘び寂びが足りん、圧倒的にっ!
そしてニーソがありだといったな! だから安易に属性を足すなというのだ!
淑やかさに比例して裾の長さも長くなるものと相場は決まっている! メイドマスター・イリーがいみじくも言っていた、ミニスカメイドなどメイドではないとなッ!!
だが、それすらも俺は許そう。萌えは千差万別、多様な学説の存在はまた大きなテーゼを生み出してくれるのだからな。
だが……あんたの叫びはそれ以前だ。本当に心からそう思っているなら、俺や……この同志たちの心に触れる可能性もあるいはあっただろう。
だけどなあ、あんたの言葉からは魂が感じられねえんだよおスネェェェェェェク!!!」
うおおおおおおおおお!!! K!K!K!
観客からは割れんばかりの怒号と拍手! 口々に圭一を褒め称えている。
これが……ザ・クールの真髄か……。
俺の心はもはや完全に折れていた。
この時点で勝負は決まっていたのだった……。
「勝者、レナ&圭一ーーーッ!!」
その内にレナが完食し、勝負は俺たちの負けで幕が下りた。
俺はうなだれたが……健闘をたたえ、特別に入部を許可するということに結局なった。
ただし、罰ゲームは後で行われるらしい。なんとかごまかそうと思ったが、敵もさるものだった。
入江はまだ昏倒していた。