07/03/15 21:03:08 EareGyuK0
旅の魔物使いと結ばれて、はや一年。
フローラの中には二人の愛の結晶が息付いていた。
そんなある晩のことである。
「やあ、フローラ」
ぶしつけに城の寝室に入ってきたのは、愛する夫ではない。頼りない幼馴染だった。
「ど、どうしたの？アンディ」
思わぬ客にフローラの声が上擦る。
今までアンディが夜更けに訪れた事はなかった。彼とはそんな関係ではなかったし、
大体、城の者が通す訳がないではないか。明らかに訝しい客である。
「このような時間に訪れるなんて、幼馴染とは言え、少々・・・非礼ではなくて？」
無礼な闖入者はそれに答えず、どこか恍惚とした、遠くを見つめるような目で語り始めた。
「僕は今まで間違っていたよ。君には優しく接し過ぎていた。それがこのザマだ・・・」
「出て行きなさい！」
「だから！強くなった！血を吐くような思いで！あの男を ブ ッ 殺せるほどにね！！！！」
「誰 か ！」
どう見ても正気ではない。あまりの様子に、彼女は叫んで衛兵を呼ぼうとした。・・・が
「ヒ・ヒャハ・ヒャハハハハ」
「アンディ・・・？」
「来る訳ないだろう？邪魔になりそうな奴は 全 員 僕 が 始 末 したんだもの」
「嘘でしょ・・・」
しかしアンディの目から放たれる狂気の光が、それを否定していた。
この男は敵だ。そう判断したフローラは、呪文の詠唱を始める。