06/10/01 19:21:02 KlzbGqtC
気がつけば1年も後2ヶ月である。
ハロウィンがあと30日ほどでで来る。
しかし困ったことがあるのである。
ジャック・オ・ランタン製作の為に置いておいたカボチャが材料になってしまったのだ。
また畑に行かなければならない。面倒なのである。
話は変わるが、レッドがこのあいだ風邪をひいた。
そこでアシュリーがレッドの為に魔法薬の本を調べ、風邪薬を調合したのだ。
ところが、ここで問題が発生した。
失敗なのである。
記述によると「黄緑色」になれば完成らしい。
アシュリーの薬はどこをどう間違えたのか明るいピンクになったのである。
しかしアシュリーはその薬の入った鍋を持ち、レッドが寝ている部屋に行ったのだ。
「なあ、それほんまに風邪薬か?」レッドが心配そうに言う横で、アシュリーは言った。
「・・・たぶん。」薬を鍋からカップに移しながら。
「・・・たぶんなら飲まんぞ。俺は。」鼻水を垂らしながらレッドは言う。
「まあ、アシュリーがせっかく作ったんだから飲んでやれよ。大丈夫だ。俺が保障する。」
悪意に満ちた笑いを浮かべたドアの飾り付けの骸骨が言った。
「なあ、もう大丈夫やって。だからな、俺は飲まんでもええねんて。熱も下がったし・・・」
そう言いながらレッドは体温計をアシュリーに見せたのだが、なにぶん心無き道具ゆえ、
体温計は平熱のラインにはまだ届いていない事をきっちりと表していた。
「・・・うそつき。」それだけ言うとアシュリーは、あの例の薬が入ったカップを持った。
「しかし、本人が飲みたがっていない。無理やり飲ませるしかあるまい。つっかえ棒は無いか?」
私がそう言うと、他の亡霊たちも意見を出し始めた。
「いっそのこと口移しで飲ませちまえ。」
「我々が口を開けさせている間に飲ませよう。」「それでいい。」「おい、俺の話を・・・」
かくして最後の抵抗と暴れるレッドを我々は押さえつけると、四人がかりでレッドの口をこじ開けた。
その時私が見たレッドの瞳には、かなりの恐怖が感じられた。
当然の事ながらアシュリーがそんな事で動揺するはずも無く、一気にカップの中身はレッドの口へと注がれた。
味が悪かったのか、それとも熱かったのか、のた打ち回るレッド。「お大事に。」骸骨はそれだけ言うと、そのまま黙ってしまった。
たまにあの飾り付けの骸骨はしゃべる。来訪者の時は特に。
翌日、レッドはひどくやつれていた。昨晩から下痢と吐き気が続いているらしい。
「アシュリー、今日は俺、手伝えんぞ・・・頭が痛い・・・」
「・・・そう。」相変わらずアシュリーは無表情のままだった。
もしやと思うが、ある亡霊の話。
「・・・俺な、実はあの日こっそり鍋の中に犬のクソ入れといたんだ。あれがまずかったのか?」
結局原因がなんだったのかわかりはしない。わからなくてもいい事だ。
ただ、ハロウィンまでにレッドの体調が回復するかどうかだけが心配だ。
もっとも、そうであるはずだが。