06/12/20 13:46:25 2ZBmeKRP0
「キミが兄貴と同じ事務所で仕事してることが最近気に入らない」
食事に誘われて二つ返事ですぐレストランへ来たというのに、席についてす
ぐ響也はそんなことを言った。
「な、なんでだよ・・・・」
オドロキはいきなりすぎて彼の心理が読めなかった。
もしかして自分の能力では眼鏡の事務所に合わない、ということだろうか。
確かにまだ新人だし、自分も弁護士としての能力が他人よりもズバ抜けてる
とは思っていない。
「なあ、それってどうゆう意味・・・・」
さんざん考えた後、直接聞くのが一番だろうと思いなおし、響也に疑問を投げ
かけた。
が。
「アレって、牙琉響也じゃない?」
「うっはwwwwwマジだwwwwww」
「超カッコイイんですけど!!!」
お客のヒソヒソ話が聞こえた。
そうだ、コイツは検事でありバンドのボーカルであり、国民も認めるスター
でもあったんだ。
響也はかっこいいし、歌もうまい。さらに検事としても優秀だ。
しかし、彼は自分を好きだと言った。
彼は自分のもののはずだ。
ヒソヒソ話をしていた相手にスターらしく笑顔を振りまく響也。
オドロキは、ふてくされた顔で言ってやった。
「オレは、お前がスターってことのほうがよっぽど気に入らない」
響也は怪訝そうな表情を浮かべる。
「なんでだ?」
「だ、だって! ・・・・オレとは住む世界が違うみたいで・・・・女のコにもモテ
るし・・・・なんか、オレとはつりあわないのかな、とか・・・・」
オドロキの発言に、響也は思わず吹き出した。
なんで笑うんだよ! と照れ隠しに慌てて水を飲むオドロキ。
「妬いてるのか?」
「ちが、違うよ!」
「ぼくは妬いてるぜ」
「え・・・・」
「同じ事務所で仕事をしてるアイツがうらやましい、ってね」
「何言って・・・・」
目をぱちぱちさせて響也を見つめるオドロキ。
響也はその様子を愛しく思い、オドロキの手を取ってその甲にキスをした。
「わ、ばか、何すっ・・・・」
「かわいいな、と思って」
「だ、誰がかわいいんだよっ」
オドロキは顔を真っ赤に染めているものの、嫌がってはいない。
「好きだよ」
響也は手の甲に何度もキスをし、愛の言葉をささやいた。
さっきまでヒソヒソ話をしていたファソ達は、ぽかんとした顔でこちらを凝
視しているが、そんなことは気にしない。
ウェイトレスが注文を取りにきたことをきっかけにして、オドロキが慌てて響也か
ら手を振り払う。
響也は何も言わず、素直にオドロキから手を離した。
今夜は絶対に帰してやらない。
そう考えながら、嬉しそうに料理を頼むオドロキを見つめた。
748:枯れた名無しの水平思考
06/12/20 13:49:13 2ZBmeKRP0
先生が殺された・・・。
事務所で事切れた先生・・・何故だ?
そして第一発見者であるオレが、逮捕されたのだった。
「ふぅん、君が今回の被告か」
検事が拘置所に現れた。今から調書を取るらしい。
オレは渋々とそいつを見て、驚いた。
先生が、いたからだ。
「先生!先生!!!生きてたんですか?!先生!」
オレがたまらず抱きつくと、無理やり引き剥がされた。
「勘違いするな」と、見たこともない冷たい瞳で睨まれて。
「ぼくは響也。兄さんが・・・殺されたと知って、仇をうつために検事に復職した」
彼はオレに指をつきつけ、「絶対に有罪にしてやる」と高らかに宣言したのだった。
* * *
「ふん・・・君みたいな犯罪者は、ぼくがヒートなロックに乗せて裁いてあげるよ。
さぁ、観客たちも最高に盛り上がってきた・・・。もうアンコールはない、ぜ」
もう、駄目だ・・・。オレは自分で自分の弁護をしていたのだが、
絶望的な立場に立たされていた。どうしよう、どうしよう。
ーーー発想を・・・逆転・・・---
え?
ーーー大切なのは・・・真実ですよ、オドロキくんーー
ーー発想を、逆転させるんだ・・・---
せん、せぇ・・・!!!!!!!
オレを見守っているんですね。オレ、オレ・・・大丈夫です!!!!!
オレはたまらず机をたたき「異議あり!!」と叫んだ。
そう、オレの伝説はここから始まる。
逆転弁護士としての伝説が。
749:枯れた名無しの水平思考
06/12/20 14:46:09 VyExPHYsO
おえ