06/08/22 01:56:45 6/tjjpFM
1月31日昼。美鶴の部屋をノックする音。
美鶴「ん?・・・誰だ?」
ゆかり「先輩、私です。ちょっと・・・いいですか?」
美鶴「ゆかりか。ああ、かまわないぞ」
美鶴のベッドに腰掛ける二人。
ゆかり「それにしても先輩の部屋って凄いですねえ」
美鶴「やっぱりそう思うか。この間も・・・あ、いや、何でもない」
ゆかり「・・・ふーん、まあいいですけど」
美鶴「で、どうしたんだ?」
ゆかり「いや、その、んー、あれです。もちろんもしもの話ですけど、
これが最後の機会になっちゃうかもって思ったら、もう一度先輩とお話しておきたいなあ、なんて」
美鶴「・・・ゆかり、弱気は禁物だぞ?」
ゆかり「ええ、わかってはいるんですけど、どうにも・・・」
と、ゆかりを抱きしめ、頭をなでてやる美鶴。
ゆかり「せ、先輩?」
美鶴「大丈夫だ、ゆかり。私たちは全員、必ず無事に帰ってくる。
もう二度と、誰かが欠けるようなことにはならないんだ」
ゆかり「でも!でも!!」
美鶴「ゆかり。私も君に言いたいことがある。
今まで私は、桐条の跡継ぎとして常に毅然としていなければならないと教えられてきた。
そしてそのせいで、付き合いにくい私に皆が距離をおいていたように思う。
明彦と話すようになったのもペルソナ使いとして活動をともにするようになってからだし、お互い戦いの話ばかりだったよ。
でも君は違った。君だけはこんな私に本音でぶつかってきてくれた。
・・・まあ、始めは敵意しかなかったわけだが。
だけどな、ゆかり、私はそれでも嬉しかったんだよ。正面から私と向き合ってくれる人がいるってことが、な。
たとえ記憶がなくなったとしても、君とはまた友人になりたい。私はそう思っているよ」
ゆかり「先輩・・・それは、私も同じです。でも、できれば、もっと・・・」
そしてふと俯いて、じっと動かなくなるゆかり。
美鶴「どうした、ゆかり?」
突然グッと顔をあげて
ゆかり「せ、先輩!!私!!」
と、軽快なメロディを奏でる美鶴の携帯。そのメロディで送り相手を認識したのか、瞬間嬉しそうな笑顔を浮かべる美鶴。
美鶴「っと、すまない。で、なんだ?ゆかり?」
ゆかり「・・・えへへ。えーと、なんでも、ないです。
・・・あの、先輩?もしも、わたしが」
美鶴「ん?」
ゆかり「・・・もしも私が、キタロー君のことを好きだって言ったら、先輩はどうしますか?」
美鶴「・・・。そのときは、・・・正々堂々、勝負だな」
美鶴の表情に迷いはない。その美しく凛々しい姿を見て、
ゆかり「・・・。ふふっ、冗談ですよ。今のは忘れてください。
おかげで元気になりました。今日は頑張りましょうね。お邪魔してすみませんでした。失礼します」
美鶴「・・・ああ」
ゆかり「先輩、明日が来ても、またお友達になってくださいね」
美鶴「ああ、もちろんだ」
美鶴の部屋から出たゆかりは、途端にドアにもたれ崩れ落ちる。
ゆかり「・・・ちぇ・・・かなわないなあ」
しばらくして、ゆかりはロビーに降りる階段の途中でキタローとすれ違う。
軽く挨拶をしてすれ違おうとするキタローの頭を、いきなりひっぱたくゆかり。
ゆかり「キタロー君!もしも美鶴先輩を泣かせるような真似をしたら、私が許さないんだからね!」
そして階段を駆け下りていくゆかり。
事態が飲み込めず呆然とするキタローであった。
はいはい、オレキモスオレキモス。