06/04/09 15:13:44 AwhDFKzG
「誰だ。」
背後に人の気配を感じ、元親が声をあげる。
「人が折角、風呂入ってるっつーのによお。」
「あー…背中、流しに来ただ!」
何処かの忍と思っていたが全くの見当違い。
それは人質として囲っている少女、いつきだった。
「おいろけさくせん、だべ。」
「…てめェに色香なんてあったのかい。」
わざと苦々しげな言葉を吐くけれど、自分の
本心を見抜かれる事を恐れてるのことだった。
灰色の綺麗な髪を肩まで下ろし、身に纏うのは
薄い布1枚。きっと濡れると肌が透け出てしまうだろう。
まだ12歳と言う少女にこの様な感情を抱く自分を
恐ろしく思いながら、いつきから視線を反らす。
「もう、体、洗ったんだが。」
「えー…。じゃあ、おらが体洗おうっと。」
よいしょ、とその場に座り込んで石鹸を手にとる。
すると思い出したかのように少女は此方を向いて言った。
「髪、洗って欲しいだ。」
「自分で洗え。」
「嫌だ。自分じゃなくて他の人に洗って貰うのが夢なんだべ。
村の人は皆、鼻血出して嫌がるし…何でだか。」
断っても断ってもいつきがしつこく言い寄ってくる。
遂には元親が折れて、いつきの髪を洗ってやる事になった。
浴槽から上半身のみを出して小さないつきの頭に触れる。
綺麗な白い背中が目の前にあり、あまりいつきを直視しない様に
上を向きながら洗う。何とも奇妙な光景だ。
(ったく、俺ぁ、何やってんだ。
て言うか、こいつに羞恥心ってもんはねえのか。)
余りの自分の腑抜けさに溜息を吐きながら手を動かす。
「ふぁー…気持ち良いー。」
いつきの口から漏れた感嘆の台詞に思わず閨事を連想した。
そんな考えを吹き飛ばそうと、側にあった盥を乱暴に掴み
水を掬い上げていつきに被せる。