05/09/06 01:30:19 wyFzxm/x
「珍しい菓子が手に入りましたぞ、どうぞご賞味下され」
「わー」
涼しげな和菓子が目の前に現れ、いつきが感嘆の声を上げた。
手のひらほどの長さの青竹の中に、羊羹が詰まっている。
小十郎はつるりと中身を器用に取り出し、政宗といつきの前の小皿に取り分けた。
「よく冷えております。ささ、お召し上がりください」
と小十郎が言い終える前に、いつきはもぐもぐと羊羹を頬張り、
幸せそうな表情を浮かべている。
「政宗様、Which would you like, tea or coffee?」
「・・・茶でいい」
「それならばすぐご用意できます。Wait a moment, please.」
そのやりとりを聞いて、いつきはすっかり感心していた。
「小十郎のえーごは、きれいだなー」
「恐縮です」
笑みを浮かべながら、小十郎はてきぱきと茶の用意を始めている。
「どうせ俺は口が悪いさ」
政宗が横を向いて独り言を呟いていると間もなく、二人の前に煎れたての茶が差し出された。
「政宗様、どうぞ」
「thanks」
と小十郎に言ってしまってから、自分が英語で返答してしまったことにはたと気が付く。
会話の相手が小十郎だったのですっかり油断していたのだ。
(聞かれてたか・・・?)
といつきのほうを窺うと、政宗のほうを見て、にまーっと嬉しげな笑みを浮かべていた。
「政宗の負けだべ」