05/08/12 01:38:55 oss1GmWz
ありが㌧(・∀・)ノシ
エロじゃ無いけど投下しまつね
夜の闇を静かに暖めるのは月でもなく星でも無く、炎に焼かれていく蛾だった。灯りにまとわりつき、隣粉を巻き散らしながら炎の中に飛込んでいく姿を見て、少年はその姿を哀れだと思った。
哀れというのは愚かだということと同意語である。小さな羽虫を憂いるのは優しさではなく、自己投影だ。字の練習をしようと机に向かっていたが一行に筆は進まず、少年は筆を置きぼんやりと揺れる炎を見つめていた。
一心不乱に炎に飛込む蛾の姿はおぞましく、美しいほどだ。ここまで懸命に何かに向かっていけば、きっと思いは叶うのでは無いのかと少年は軽く背筋を伸ばし瞳を閉じた
明智光秀、この時十四歳
彼はこの年の少年がもつ悪戯っぽさ、無邪気さをあまり持ち会わせていなかった。むしろ、どこか遠くから物事を冷ややかに見つめているような印象すらあった。
だがいつしか抱くようになった感情、こればっかりは何よりも照れ臭く、馬鹿みたいなものだった。