06/12/15 19:05:20 FLMh4q6B0
アグリアスは毅然とした態度を取っているが、アリシアはまだ俺の身が心配らしい。
「しかし、よく見つけてくれたな……」
「それは、ラッドの匂いがした気がして、追いかけてったら地面から煙が出てて……」
「タバコのおかげで命拾いしたって訳か」
皮肉たっぷりに言ってやると、アグリアスはコホンと咳払いをした。
「ま、まあ今回は役立ったが……無駄金であり消耗品であり有害なタバコなど、私は認めんぞ」
「男の嗜みだ」
「ラムザは嗜んでおらん!」
「酒もタバコも駄目なあいつは大人の男じゃないからいいんだよ。
まあ、筆下ろしくらいすませば大人として認めてやってもいいけどな。
アグリアス、あいつの相手してやったらどうだ」
「ななな、何を言うかこの破廉恥男!」
「くっくっくっ……なあアリシア、お前もそう思わねぇか?」
言われて、アグリアスは小さく微笑んだ。
「アグリアス様。好いた殿方に抱かれる喜びは蜂蜜よりも甘く、ワインよりも濃厚ですよ」
「あ、アリシア……」
「私達はもう一人前でやっていけますから、いつラムザ様を追いかけに行ってもいいんですよ」
アグリアスの顔が真っ赤に染まる。くっくっくっ、うぶだねぇ。
「あ……アリシアとラヴィアンはともかく、ラッドがまだまだ危なっかしくて放っておけん!
私はまだしばらくムスタディオの厄介になるぞ。そしてラッドを 真 人 間 に矯正してやる!」
「ケッ。労八に出番取られてごくつぶしになるのが嫌だからって、俺を理由に居座ろうって魂胆か」
「そのような戯けた真似をこの私がすると思うか!? ええい、天の願いを胸に……」
「怪我人相手に何する気だこの剣女!」
「誰が剣女だ、このごくつぶしが!」
「戦利品をゲットしただろうが! 連射銃と炎の斧!」
そんな言い合いをしながら、時折アリシアが口を挟み、それなりに退屈せず病院へとたどり着いた。
病院に入る前に、俺はふと空を見上げた。
出かける前は鈍色だった空が、俺が埋もれていた間に青一色に変わっている。
今度アリシアに指輪を買ってやろう。なんて思わせるくらい、機工都市ゴーグは今日も晴れだった。
そしてこれからも晴れは続くだろう、こいつ等がいる限り。―終。