アグリアス様に萌えるスレ Part30at FF
アグリアス様に萌えるスレ Part30 - 暇つぶし2ch2:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/27 02:27:54 j+JH73fX0
>>1
乙アグーーン

3:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/27 02:28:21 arzNuruy0
そうか

4:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/27 02:29:38 xugs0gTp0
今更疑うものか!私は>>1を信じる

5:「アグ単」購入一号
06/11/27 02:36:05 kK+OAAyJ0
>>1
お疲れ様です

6:1 ◆Y2NezmymcE
06/11/27 02:42:02 /RYuk8H10
 ……SS貼るなら今のうち?
 お久しぶりです、とびねずみです。30スレ到達おめでとうございます!
 (しかし、スレ立てを担当することになるとは……。ホスト規制を無事くぐり抜けて良かった)
 ということで、30にちなんだお話をひとつ。
 記念に固定キャラをほぼ全員出したら、10レスに渡ってしまいました。お許しあれ。

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 はっぴーさーてぃーず
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 ここは、逃亡生活もかなり長くなってきた異端者ラムザ隊の宿泊する宿である。
 このごろはさすがに教会の追っ手も見かけなくなってきたような気がするが、しかし
油断は禁物ということで、ひとつの町に長くとも二日しか逗留しないという暗黙の了解が
守られていた。
 それ故に、宿で飲み明かすようなこともほぼ無くなっていた。いっそ町ではなく、野営の
方が飲んだ気がすると、酒飲み派には不評である。酒に酔いしれて口が軽くなってはいけない
からだとわかっていても、食前酒程度しか飲めぬのは辛い。部屋で飲むことは許されていたが、
酒場の開放的な空気があってこそ、美味い、という日もある。

7:2 ◆Y2NezmymcE
06/11/27 02:42:23 /RYuk8H10
 それに、酒に限らず、追われる異端者の生活は常に他人の目を気にしなくてはならないため、
かなり窮屈なものなのだ。
 むろん、ラムザもその辺りを気にしていて、年に数度は宿の酒場を貸し切って、飲酒できる
宴会日を作るように心がけていた。密猟のおかげで、こうした余分なお金を使える余裕も、
時折は出来る。そして、今夜は、皆が楽しみにしていた、その宴会日に当たっていた。
 料理をつくり置きしておいてもらうことと翌日の掃除を店に頼み、給仕や調理師たちの
給金もはずんで、酒場の関係者には早く帰宅してもらう等ということも話がつけてある。宴会の
最中の配膳その他は、酒を飲まぬラムザ等が担当するので問題はないとも説明済みだ。
 これらは全て、飲んで口走った事を聞いてしまった給仕の口を封じずとも済むように、
また、心ゆくまで騒げるように、という配慮だった。
 とはいえ、事前に作り置いてもらった大皿料理を前にしての酒盛りになるので、温かい物を
口にすることは難しい。調理場に入ることを調理師たちがいやがるので、温め直せないからだ。
何とか温かい物を出せるようにできないかと、ラムザは最近それで悩んでいたりする。
 それでも、気兼ねなくおしゃべりと酒を楽しめる夜は楽しいものである。
 隊員たちはそれぞれに大いに飲み、ある者は歌い、ある者は叫び、夜も更けた頃。
 アグリアスの陣取った卓の会話が、どうにもおかしな方向へと転がり始めていた。

8:3 ◆Y2NezmymcE
06/11/27 02:42:50 /RYuk8H10
 発端は、誕生日やら星座やらといった飲みの席では定番な話題だった。日々の戦場で魔法の
効果のほどを見ているのだから、隊の中の誰と誰が魔法の相性が良いかはわかっている。
それに魔法の相性とそれぞれの誕生日との関連については、イヴァリースの誰しもが知って
いることだ。
 では、もう一歩踏み込んで考えてみて、それが互いの年の差といったものにも関連して
いるのか? という議論で盛り上がっていたのである。
 酔っ払い同士だから適当な計算を繰り返しつつ、どうやら年の差とは関係が無いらしいという
結論に落ち着きそうになったところで、年の差を計算していた馬鹿男から余計な一言が飛び
出したのだった。 
「あれっ、アグ姐さん、ひょっとして次の誕生日で節目のお年?」
 ムスタディオの素っ頓狂な大声に、即座にアリシアがテーブルの下でその足を蹴ったが、
それでひるむような酒量ではなかった。すでに多少の痛みは感じられない状態になっている。
「節目とはなんだ? 誰しも一年たてばひとつ年を取る。それだけのことだろう」
 ムスタディオの対面に座っていたアグリアスは淡々と答え、それから杯をしみじみと堪能した。今夜のラヴィアン特製配合のカクテルは、香りも口当たりも本当に美味かったのだ。隣に座ったラヴィアンに対してそれを誉めるのも、今夜幾度目であったかしれぬ。
 もっとも、内心、目の前にあるのがこの男の馬鹿面でなければ、もっと美味い酒だったかも
しれない、などと思っていたのだから、アグリアスも相当酔っている。

9:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/27 02:43:14 e2RMLN0c0
こうして彼女は色々といい具合にほぐれていくのでした。

10:4 ◆Y2NezmymcE
06/11/27 02:43:36 /RYuk8H10
「でも、異国では、三十歳を『ミソジ』という特別な呼び方で注目するそうよ」
 少々意地の悪い言い方で話にのってきたのは、メリアドールだった。今となっては、隊に
参加した理由など、ほとんどどうでも良くなって来ている彼女は、時折アグリアスを敵対視
したような事を言ったりする。
 とはいえ、アグリアスがメリアドールに対して何かしたせいではない。自分の美貌に
気づいていないらしいアグリアスに、メリアドールが一方的にいらつかされているだけだ。
 もし自分があれほどの美人だったなら違う人生を送ったのではないか、と、考えてしまった
事があって以来、自分の一方的な敵愾心だと知りながらも、メリアドールはアグリアスに対して
意地悪になってしまうのだった。もっとも、メリアドール自身だって、そのような悩みを持つ
事がおかしいような容貌の持ち主なのだが。他人の芝生は青く見えるものなのだろう。
 アグリアスがそうした会話に対して無頓着なところも、ふたりの関係を(一方的に)
悪いものにしており、アリシアやラヴィアンは内心『今日も始まってしまったなあ、どうしよう』と考えていた。
 メリアドールがアグリアスを煙たがっている理由はわからないが、できれば仲よくして
欲しいのである。アグリアスから歩みよることは考えにくいから、自分たちがどうにかして
仲を取り持たなくてはならない。
 こんな具合に、アグリアスの元部下たちは、いつも元上司のことを思いやって勝手に気苦労を
背負っているのだった。

11:5 ◆Y2NezmymcE
06/11/27 02:44:09 /RYuk8H10
「ミソジって、何ですかぁ?」
 問いかけたのは眠たそうな瞳のラファである。私の里の言葉じゃなさそうだわと続けながら。
最年少の彼女が実はかなりの酒豪だと発覚してから、もう何年になるだろうか。けれど、今日の
酒は、彼女に睡魔を呼び寄せているらしい。
「さあ? 詳しくは知らないけど、女性が三十歳を迎えるとそう呼んで、もう娘とは呼ばれ
なくなるとか、結婚は出来なくなるとか、そういうことらしいわよ」
 話題に出しはしたものの、メリアドールの情報もいい加減なものである。
「そこの娘さん、じゃなくて、そこのミソジさんとか呼ぶのか? 変な国だなー。女の魅力は
若さだけじゃないんだぜ、なあ?」
 マラークの意見には、誰も賛同が無く、彼は寂しそうにひとりで杯を傾ける作業に戻って
いった。意見そのものには賛成でも、マラークに賛成したくない……そんな空気が感じられた
からだろう。
 マラークは、見知らぬ女性に声をかける事が好きらしいと聞いていたが、本当だったようだと、
アグリアスは思っていた。今のところ、隊の風紀を乱すような状態ではないようだが、いずれ
注意すべきだろうか。そもそも隊にも女性は多いのに、何故見知らぬ女性に声をかけるのだ? 
危険ではないか。敵かもしれぬというのに……いや、危険なのは女性ではない。マラークその
ものに違いない。マラーク自身が敵なのだろう。
 この日以来、マラークは、アグリアスの心の手帳に「危険分子」と書き込まれたのだった。
そこに至るまでの過程が酔っ払い故のおかしなものだったことなどは全く覚えていないのに、
マラークはアグリアスから厳しい目つきでにらまれ続けることになった。それでも除隊希望を
出さなかったのだから、マラークも意外と肝の据わった人物である。

12:6 ◆Y2NezmymcE
06/11/27 02:44:46 /RYuk8H10
「でもなんでそんなに年齢にこだわるんだろうね。年齢を書いた札でもつけて歩くのかな」
ラッドののほほんとした突っ込みに、ラヴィアンは笑顔を返した。なんとかして、年齢その
ものにこだわるのではなくて、もっと大きな視点で語る方向に持って行かなくてはならない。
時代や国の事情で年齢についての注目は違うとか、お国自慢などの方へ持って行こう! と
ラヴィアンは考えたのだ。考えたのだが。 
「平均寿命の若い国なんじゃない? イヴァリースだって、一時は若くして亡くなる人が
多くて、だから、年齢は注目されたっていうか………戦争が多いと若い人が亡くなるから……」
ラヴィアンの言葉はだんだんと小さくなり、やがて「お代わりを作ります」と言いおいて、
新しい酒瓶を取りに行くことで、その場を逃げ出すしかなくなってしまったのだった。
 ちなみにアグリアスの心の手帳に書いてあるラヴィアンの項目には「自分で自分を追い込む
タイプ」とある。今日もそうなってしまったようだなあと、アグリアスは元部下のあたふたと
した様子を眺めていた。
 話にでているのは、自分の年齢に関する事だとわかっている。わかっているが、話題に
のって言葉を発するような気分には到底なれない。アグリアスはもともと口数が少ないが、
酒が入ってもそれには変化がないのだ。
 そして、もうひとりの部下であるアリシアも、困惑顔をしていた。話題をどの方向へと
持って行けば円満な状況に戻れるのか、残されたアリシアにはもうわからなくなっていたのだ。
 ここで宴会を切り上げても良いくらいなものだが、隣の卓の奥に座ってしまったラムザに、
視線だけでその願いを伝えることは無理だろう。どうしようかと悩み始めたとき、朗々とした
強い声が聞こえた。

13:7 ◆Y2NezmymcE
06/11/27 02:45:05 /RYuk8H10
「このシドルファス・オルランドゥの知る女性の年齢は、三十を越える事は無いぞ。だから
アグリアスもミソジとやらに怯えんで良い」
 隣の卓の端にいたオルランドゥにまでこちらの話が良く聞こえていたらしいと思いながらも、
奇妙な言葉に、他の面々は首をかしげた。
 三十を越える事は無いとは、どういう意味だろうか?
 まさか、三十歳を越えたら即死刑といったような、乱暴な法がオルランドゥ家にはある
というのだろうか。
 貴族たちには、各家の中で、ある程度の自治が認められている。特に女性は、家ごとの
規則に縛られている部分が大きかった。「女は子供を産む道具にすぎない」といった考えの
家も多いから、アグリアスは貴族に嫁すだけの人生を嫌って剣の道を選んだのだ。
 オークス家は貴族としてはリベラルな家風だったから、剣の道を選ぶことにもさほど
問題視はされなかったのである。また、そんな娘でも受け入れてくれるのであれば、その家は
娘の個性を大事に考えてくれるだろう、という両親の思惑もあってのことだったが。
 いずれにしても、アグリアスが貴族に嫁すことはもはや考えられず、その意味では「ミソジは
嫁にいけないということ」という話に合っているのかもしれない。主原因が年齢ではなく、
異端者の同行者になってしまったことだという部分がかなり違っているが……等と、のんびりと
アグリアスは考えていた。

14:8 ◆Y2NezmymcE
06/11/27 02:45:22 /RYuk8H10
「伯、まさか、三十歳をすぎたら、女性ではな……あぎゃうぎゃ」
 ムスタディオの失礼な台詞は、アリシアの腹部への拳によって不発に終った。
 いずれにしても、ムスタディオの顛末は、雷神の耳には入っていなかったらしい。落ち着いた
声が説明を続けてゆく。
「つまり、アグリアスは、さ来年二十九になる。次の年には二十八ときて、二十五からは再び
二十六に戻って、三十までは年を加える。そして再びひとつずつ減らす。それを繰り返すだけだ」
「はぁ……」
 一行は頭の中でその様子を思い描いてみた。だが、酔った頭で数字について考えることは
なかなか難しく、しばし酒場は沈黙に支配されてしまった。
「それじゃあ、良い年代を繰り返すばかりですね。オルランドゥ家の女性に生まれれば良かったわ」
 レーゼの笑いを含んだ声に、他の女性たちも同意を込めて笑い出し、場は賑やかさを
取り戻した。
 むろん、レーゼの言葉に、この男が反応しないはずはなく。
「何を言ってるんだ、レーゼの魅力には年齢など関係ないよ。むしろ、僕と出逢ってから
重ねてくれたその皺にこそ、僕らの歴史が」
「……シワ?」
「あ、いやっ、その、つまり、僕はいつまでも君を愛していると」
 ブレスによる酒場殲滅は、こうしてなんとか免れた。

15:9 ◆Y2NezmymcE
06/11/27 02:46:03 /RYuk8H10
 一方で、アリシアとラヴィアンは必死だった。今度こそうまく話を展開しなくてはならない。
「女盛りは二十代よね」
「ううん、いくつになっても、女盛りでいないとねー」
「ラヴィアンとアリシアは女盛りなの? 今? へえー」
「そのへえーってのは、何よ、ラッド? 文句でもある?」
「返事次第では、踏むわよ」
「いや、単に、そうなのかって感心しただけ。文句はない」
女性たちの声が生気を取り戻し、話題を持ち込んだメリアドールが少しばかり居心地の
悪そうな表情になったところで。
「んでも、男は年齢が増えて行く一方なんじゃ、姉貴よりも年上の弟とかが出来ちまうだろ?
 面倒なことになりそうだけどなあ」
という、ムスタディオの無粋かつもっともな指摘が、場を再び当惑に支配させてしまった。
「なんでこんな時だけ頭が回るのよっ、馬鹿男っ」
とつぶやいたのは、ラヴィアンだったか、アリシアだったか。
「男の年齢は確かに少々厄介なことになるがね。さほど問題にはならないさ。姉は姉、
弟は弟だから」
笑いながら言ったオルランドゥは、なみなみとつがれていた杯を一気に飲み干し、こう続けた。

16:10 ◆Y2NezmymcE
06/11/27 02:46:51 /RYuk8H10
「男は四十五になったら、一旦四十に戻って、それから再び五十までの年齢を繰り返すのだ」
 仲間たちの頭の中は、再び数字に支配された。しかし、すでに計算のできるような頭の
持ち主はおらず、酒を飲んでいなかったラムザがこう尋ねるのが精一杯な具合だったのだが。
「その後はどうなるのですか」
「好きな年齢を名乗って良いことになっておる」
……………。
 今度は、沈黙が酒場を支配することになった。
「あのう、では、伯の年齢として伺っていたのは、オルランドゥ家方式の年齢なのですね?」
重ねて聞くラムザに、オルランドゥは笑みで肯定する。
「そういうことになるな」
「……では、実際は……」
「さて、生まれた年のことなど忘れてしまったし。私は一体いくつに見えるかね?」
 誰よりも強い剣聖の年齢がいくつに見えるかと聞かれて、答えられるような人間が、どこに
いるというのだろうか?
 ちなみに親友だったバルバネスとオルランドゥの間で、年齢の話が出た事は一度も無く、
故に、どちらが年上であったか等、わからぬのだそうである。

17:11 ◆Y2NezmymcE
06/11/27 02:47:25 /RYuk8H10
 さて、実際にアグリアスがミソジを迎えたその日。
 ラヴィアンとアリシアを中心に、祝いの宴が催された。各人がそれぞれに贈り物を用意しての
盛大なものである。
 中でもアグリアスが一番嬉しかったのは、ラムザから贈り物と共に贈られたものだった。
「僕は、ミソジって言葉はきっと、三十年生きて来られて良かったと、それまでの人生を
讃える言葉だと思うんです。若くして命を落とすことだって多いですし。だから、僕は、
今日、おめでとうと一緒に、こう言わせてください」
 ここでラムザは一度息をついて、真剣な瞳でこう言ったのだ。
「アグリアスさん、三十年生き抜いてくださってありがとうございました。これからも
どうか、僕のそばで生き抜いてください」
 アグリアスの返事は、もちろん……。
                                  Fine

うわ、計算ミス。11レスでした。
IDがSMのまま、この話を貼ることにならなくて良かったです……。


18:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/27 02:52:34 vFCQ+oVp0
>>6-17
リアルタイムで読めたー!
乙です。良い話ダナー


19:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/27 03:04:07 V7NADmz10
この人の改行の区切り方って相変わらずだなあ…
もう癖か?

20:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/27 09:31:23 RvQclgfz0
>>6
GJ&スレ立て乙でした。
しかしマラーク、なぜそこまで嫌われる。

21:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/27 15:10:13 srcuEeLE0
>>6
新作SS&スレ立て乙です。

22:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/27 15:49:13 2hdPd0+D0
>>6
乙です。
ちょwマラークwww

23:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/27 16:39:23 ga75JC+XO
ラヴィアンかわいいよラヴィアン

24:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/27 18:21:26 9A0CLRT90
    ┌――─――─―
    |>>6 乙           
    └―v―─――─‐
                     
     /´⌒`ヽ             
    i´||ヽヾ、 |             
   ミ リ*゚⊿゚リ  ∧____   
   ミ〈´〔 ,个、〕つ=| |-------->  
   ´ ∪ム爻、〉  ∨ ̄ ̄ ̄ ̄   
     し' ヽJ             

アグのAA作ってみた


25:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/27 19:18:25 kngClqBa0
やけにマッスルですね

26:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/27 19:58:43 Yh4aWCFj0
着太りするタイプなんだよ

27:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/27 20:05:19 /PZVZ6d00
麻生 これ→(゚⊿゚) 思い出した。

28:三十路で行く! 1/4 ◆WVAHnGXcls
06/11/27 23:03:36 AtHReCcv0
旅とか戦争は非常に長く続くものだ。
特に旅。酒場で仕事を探して財宝ゲットしたり秘境発見したり。
あと養殖。豚をはじめ、ドラゴンとかヒュドラとか、色々繁殖させて密漁して。
そんなこんなで色んな事を長い年月積み重ねて、ラムザ一行はすごいパーティーになっていた。
どれくらいすごいっていうかというと、まず全員レベル99。
某レベル上げ下げ方でドーピングもしまくりです。
で、全ジョブをマスター。ゾディアークも全員習得してます。
で、レアアイテムは源氏装備以外すべて入手済み。
しかも忍者が投げてくるレア武器は全部99個集まるまでキャッチ祭りとかした。
まさに最強、地上最強のパーティーである。
そこまで鍛え上げるのにかかった年数を計算するとだいたい10年近く経っていた。

そして迎えた巨蟹宮一日。
ラムザ一行の一軍、ホーリーナイトを務めるアグリアス・オークス。
30歳の誕生日です。

「―という訳で、ハッピーバースデイアグリアスさん!」
数多のバトルを繰り返し腐るほどお金を稼いで、刀全種99本購入しても余るほどの彼等は、
盛大にアグリアスの誕生パーティーを開いた。
まず高級ホテルを貸し切った。
垂れ幕にデカデカと『30歳おめでとう』と書いて会場に飾った。
そして色とりどりのディナーが並ぶ中、紅い薔薇の花束を受け渡されているアグリアス。
その笑顔、なぜかぎこちない。
だって、何か気の毒そうな笑顔を向けてらっしゃる方がいますもの。
特に女性陣から。

29:三十路で行く! 2/4 ◆WVAHnGXcls
06/11/27 23:04:13 AtHReCcv0
嗚呼……30にもなって未婚って、何ですか。婚期逃しまくりですか。
女盛りもそろそろ終わりを迎える年頃です。
歳の近いメリアドールとはお互い涙したりもした。2年後には彼女も仲間入りです。
ラファあたりは成熟した女性の魅力にあふれているものの、
やはりそろそろ歳を取る事に焦りを感じてきている。
ラヴィアンとアリシアも後数年で30歳だ。
野郎共はそんな乙女心を気にせず酒盛りを始めている。デリカシーの無い連中だ。
クラウド何かは精悍に成長した面持ちで「早く帰りたい……」と夜空を見て泣いている。
女性で一番年長のレーゼは未だ20台で通用する瑞々しさを持っていて不思議だ。
だから、レーゼと並んで年上に見られてしまうと屈辱だ。
だから最近アグリアスやメリアドールはレーゼの隣には立たない。

「いやぁ、それにしても終わらねぇなぁ。戦争」
「ホントホント。何年内輪もめやってりゃ気がすむんだか」
「そういや神殿騎士団の連中、オーボンヌ修道院で五年以上も何してるんだろうな」
「オーボンヌ修道院かぁ……懐かしいわね。ラムザ様とラッドに出会った思い出の場所よ」
「もうどんな所だったか思い出せないわ。あっはっはっ」

どうでもよさげに語り合う面々を見て、アグリアスは頭痛を感じた。
こんなノリだからいつまで経ってもオーボンヌ修道院に行かなければならない重要性を、
全力投球で忘れているのだ。
昔はルカヴィが出るたびに大騒ぎだったのに、今じゃルカヴィなんてただの雑魚扱い。
あんなのが12匹くらいいてもたいして問題無くね? とか、抜かしやがるのですよマラークあたりが。
それにアグリアス含め全員同意しちゃうから余計に困ってしまう。
だってルカヴィなんてアグリアス一人で軽く捻り殺せるんですもの。
99個集まったリボンひとつと、99本集まったエクスカリバー一本で戦場に出れば、もう負け無し。
実際はエスカッション(強)とかカエサルプレートとかベネチアプレートとか、
マクシミリアンにロードオブロードとラバーコンシャスも完備して、
香水特にシャンタージュなんかも99個集めちゃってますもので、
最強装備なんかした日にゃあルカヴィも裸足で逃げ出すってもんですよ。

30:三十路で行く! 3/4 ◆WVAHnGXcls
06/11/27 23:04:53 AtHReCcv0
「トホホ……こんなノリでいつまで我々は旅を続けるんだか」
「まあまあアグリアスさん、それなりに楽しくやってるんだからいいじゃないですか」
ラムザが気楽に慰めてくる。
出会って数年は互いのちょっとした仕草にときめいたりもしたけれど、
こう何年も連れ添っていると家族同然というか姉弟同然というか……。
何かもう『お互いをよく知りすぎていて恋愛感情まで発達しない幼馴染み』みたいな感じですよ。
結局パーティー公認のカップルはベイオウーフとレーゼだけですよ。
ラッドとアリシアが妖しい関係だという噂が流れた時もありましたが真相は闇の中ですよ。
もう恋愛沙汰とかやれる雰囲気じゃないんですよ。
アグリアスさん的にはその辺ちょっと悲しいんですよ。
一時は「この戦いが終わったら結婚しよう」な死亡フラグ的なもんも立ててたんですよ。
でもこの戦いいつまで経っても終わる気配が全然ちっとも微塵も無いんですよ。
「なあラムザ、なぜ我々はこんな旅を続けているのだろうな」
「さあ、何ででしょうねえ」
「アルマ様はご無事だろうか」
「僕の妹なんだから無事に決まってますよ。ルカヴィが出てきてもちょちょいのちょいですって」
「貴公は気楽でいいな」
「ははは。ディープダンジョンで100時間くらいずーっと戦ったり密漁したりしてるうちに、
 心を楽にする方法に目覚めちゃいましたので。あはははは」
「そうか。ところでだなラムザ、私達ももういい歳なんだし……そろそろ……」
「そろそろオーボンヌ修道院行きましょうかねぇ……」
「…………そうだな……」

31:三十路で行く! 4/4 ◆WVAHnGXcls
06/11/27 23:05:28 AtHReCcv0
という訳で、アグリアスの誕生会の後、ようやく一行はオーボンヌ修道院へ到着。
そこではアルマが教会の人達と平和なティータイムをすごしていた。
「あら兄さん、お久し振り」
「ああ、アルマ。久し振りだね」
一緒にお茶を楽しむラムザ。他の面々も席に招待される。
困惑しながらアグリアスはアルマに訊いてみた。
「ちょっ、アルマ様……神殿騎士団はどうしたのですか……」
「んー、一人で延々マバリア唱えたりしてレベルを上げてるうちに、
 あまりにも長々と機械的にレベル上げしていたせいか、
 何か急にアルテマという魔法に目覚めちゃって、
 それで神殿騎士団を三年くらいかけて掃討して、
 去年からここで下働きに使っているわ」
と、そこに茶菓子として焼き立てのクッキーを持ってくるヴォルマルフ。
「お嬢様、どうぞお召し上がりを」
「ありがとうヴォルマルフ」
それを見てメリアドール呆然。そんな娘にヴォルマルフは語る。
「10年近くも時が流れれば人も変わるというものだ……」
「そうですか……」
そしてその日の夕刊でオリナス王子が戴冠したというニュースが報道されたりしました。
獅子戦争終了、ディリータは王女オヴェリアというカードを失って普通に失脚しましたとさ。

   めでたしめでたし。

「ラムザ、我々の旅と戦いはいったい何だったのだろうな」
「極めプレイみたいなもんでしょうかねぇ……」
「8年くらい前に普通にオーボンヌ修道院に行ってたらどうなってただろうな」
「想像もつきませんねぇ……」
「そうだな……うう、私の春は無駄に終わったという事か……」
「じゃ、そろそろ結婚します?」
「え」

32:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/27 23:55:00 ZVCjC7GP0
おめでとう! 30歳おめでとう!

33:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/28 00:06:17 /M8BNPgO0
アグ「ああくそ! 30だ! 三十路だ! 欝だ! こん畜生!
   てなわけでラムザ、この鬱っけ払うために、今まで以上に
   夜、頑張ってくれな」
ラム「は、はぁ(僕の寿命長いこと内かもしれない…)」

34:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/28 00:47:28 73pgCWys0
三十路越えの女性剣士といえば、ソウルキャリバーシリーズのアイヴィー様だな。
URLリンク(namco-ch.net)
同3ではタキも29歳設定。
アグリアスさんもあそこらへんのピチピチとムチムチを兼ね備えたボディーラインでぜひ頑張ってもらいたい。

35:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/28 00:57:53 nF+BJM9F0
大丈夫。三十路だろうがなんだろうが
アグリアスさんはラムザの頼みならばこんな格好もいとわない。
URLリンク(nov.2chan.net)

36:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/28 00:59:10 8n7PTQfB0
行く人氏も三十路SSを書いてくれるとは!
まあ実際に、ラムザ達がのらりくらりと密漁やらして何年もかけてたら平和な証拠なんでしょうねぇw

37:屋根裏散歩士 ◆0MKMjdfW.M
06/11/28 01:16:04 SKSf+01B0
ハッピー三十路バースディ!

前スレからのつづきを投下します。
ラムザとの年齢差をそりゃあもう思いっきり気にするアグリアスさん。
年齢の表現はお好みの数値でさしかえてどうぞ。

38:最後の帰還者 下 ◆0MKMjdfW.M
06/11/28 01:16:47 SKSf+01B0
ぎゅわん、と、重金属の塊がわたしたちめがけて突っ込んでくる。
曇天模様の雲を切り裂き、はるか天上から。
そう、そうくるの。あなたもなかなかガンコですこと。
「はいっ、ラムザ、こうたーい♪」
ラムザのでっかい背中を盾にしてわたしは引っ込む。
「うわ!ちょっと!!いきなり何するんだッ!――ッ!」
「ほいキャッチ、お見事」
「―――――ッ!!!!!」
真っ赤になったラムザがキャッチしたての剣を振り回す。
わたしたちはわたしたちで、ギャア危ないギャア危ないと大喜びで逃げ回った。
「わぁ!危ない!いまのはわたしたちのせいじゃないよ?」
「剣が空から降ってくるなんてな?」
「あれー、ちょっと見て見てムスタ。この剣どこかで見覚えあるんだけれど~?」
「おーっ。なんだかこの柄の細工も
 オレのデザインの趣味と似てないか~?」
 おまけにおーっと、これは噂に聞くところの
 攻防優るる名剣ディフェンダーではないですかリリベットさ~ん」
「あら本当ねムスタディオく~ん。こんなものそうそう転がってるものなのかしら~?」
「オレ、偶然二本同時にあるとこ見たおぼえあるけどな~」
思いっきり棒読みで漫才するわたしたちをラムザがまた睨みつけ、
それからようよう剣の柄に目をやる。

39:最後の帰還者 下 ◆0MKMjdfW.M
06/11/28 01:18:03 SKSf+01B0
無骨で幅広な騎士の剣は女性の手にはあまりに無味乾燥だからと、
ふた振りのおなじ騎士剣を見つけたラムザのたのみで
器用なムスタディオが両方の柄に細工を施した。
ラムザは自分に一振り、残る一振りは最愛の女性に託した。
「アグリアス・・・?」
ラムザの目の色が、変わる。ああもうホントに鈍いんだから。
「危ないからこれ預かってもいーい?」
腰からもう一振り、おなじ騎士剣を下げたラムザが無言でうなずいた。
「クウカンノ ヒズミヲ サイド カクニン シマシタ。
 ジョウクウニ ユーザー トウロクシャノ ハンノウ アリ」
労八、おりこう!
ぐるっとわたし達に背を向けたラムザは下っ腹に力をこめ、剣が飛んできた方向の空を見据える。
「アグリアス!」
さて、お邪魔虫は消えますか。
労八のかついでいた荷物とディフェンダーはボコとココに見てもらおう。
中身?野営の道具以外は彼女の着替えだの化粧品だのばっかりだしね、まさに「誕生日祝いのオマケ」。
ムスタディオが小声で労働八号を呼び、こっそり物見の塔を降りる。
チコの手綱だけを解くの、手早くできるといいけど。
ボコとココと一緒にだれかさんがガッチリまとめちゃってるし。


「あれ、労八、なんかキナくさい!」
「やばい!どっか接続ミスったか?!」
物見の塔を降りきった直後、いきなり立ち止まった労八が、ドスンバスンと不吉な音をたてはじめた。
「うわ、うわ、どうしよう!」
「リリ、下がってろ!暴走するかもしれない!」
グルグルまわりだしたかと思いきや急停止した労八のなかから、ラムザの声が飛び出した。
「アグリアス!愛している!還ってきてくれ!」
・・・・・・誰の趣味かしら、こんな録音?ムスタディオくーん?
え、違う。それじゃまさか労八?
「ユーザー トウロクシャ アルマサマノ ゴメイレイ デス」
ああ、なるほど。お嫁に行く前にやることやってたのね、さすが。あの鈍感兄貴にしてこの妹あり。

40:最後の帰還者 下 ◆0MKMjdfW.M
06/11/28 01:19:00 SKSf+01B0
「アグリアス!貴女に触れたいんだ!還ってきてくれ!」
「ちょっとこれ、止めないと!」
物見の塔のラムザの表情はここから見えないのがつくづく残念!
わたしは左手のミトンをはずして右手に重ねてはめ、
労八のふところに突っ込んだ。
「アグリアス!だれよりも貴女を愛している!」
正面ボディの左下に、ななめ70度、この角度がポイントよ♪
「渦巻く怒りが熱くする!これが咆哮の臨界!波動撃! 」は、ちょっと拙いから、
「止まれぇ!」
ジャブを一発素手の左で放つ。避けた。
「アグリアス!アグリアス!貴女しかいないんだ!」
でも、このボディはムダのない動きで避けるには大きすぎるんだから。
「アグリアス!愛している!貴女の笑顔をもう一度見たいんだ!」
「もういっちょ!」
「アグリアス!愛している!還ってきてくれ!ガピ!」
はい、右の掌底一発、無事停止。
「それじゃムスタ、そっちはよろしくね」
「システム サイキドウチュウ ソノママシバラク オマチクダサイ」
「あのなーっ!古代の英知の結晶をいつもそう安物家電みたいに・・・」
「やすものかでんって何?」
「ゴーグに伝わる古代語だよ。はあーっ」
「だってわたし、これしか止める方法知らないし。
 算術でストップかけようにも労八にはできないでしょ?」
「あーっ、もういい、あっちも止めて来い!」
「はーい」

41:最後の帰還者 下 ◆0MKMjdfW.M
06/11/28 01:20:03 SKSf+01B0
そうだッ!
どうせ聞こえてたんなら、また聞かせてやるさ!
アグリアスさん!
好きだァー!アグリアスさん! 愛しているんだ! アグリアスさん!
こんな僕を信じるって言ってくれる前から好きだったんだ!
好きなんてもんじゃない!アグリアスさんの事はもっと知りたいんだ!
アグリアスさんの事はみんな、ぜーんぶ知っておきたい!
アグリアスさんを抱き締めたいんだァ!拳術で鍛えた腕で潰しちゃうくらい抱き締めたーい!
外野のツッコミは僕の叫びでかき消してやる! アグリアスさんッ! 好きだ!
アグリアスさーーーんっ! 愛しているんだよ!
僕のこの心のうちの叫びをきいてくれー! アグリアスさーん!
おなじ戦場で剣を振るうようになってから、アグリアスさんを知ってから、僕は貴女の虜になってしまったんだ!
愛してるってこと! 好きだってこと! 僕のもとに還ってきて!
アグリアスさんが僕のところに還ってきてくれれば、僕はこんなに苦しまなくってすむんです!
優しい貴女なら、僕の心のうちを知ってくれて、僕に応えてくれるでしょう !
僕は貴女を僕のものにしたいんだ! その美しい心と美しいすべてを!
異端審問官が邪魔をしようとも奪ってみせる!
恋敵がいるなら、今すぐ出てこい! オヴェリア様でもルカヴィでも相手になってやる!
でもアグリアスさんが僕の愛に応えてくれればこの手をまた血に染めたりはしません!
僕はアグリアスさんを抱きしめるだけです! 貴女の心の奥底にまでキスをします!
力一杯のキスをどこにもここにもしてみせます!
キスだけじゃない! 心から貴女に尽くします! それが僕の喜びなんだから
喜びを分かち合えるのなら、もっとふかいキスを、どこまでも、どこまでも、させてもらいます!
アグリアスさん! 貴女が戦場に素っ裸で出ろというのなら、やってもみせる!

42:最後の帰還者 下 ◆0MKMjdfW.M
06/11/28 01:21:30 SKSf+01B0
ガッツと拳術と貴女からの愛さえあれば、アルケオデーモンも素手でひとひねりです!!
アグリアスさーん!覚えていますかーっ!
貴女にチャームを仕掛けてきた身の程知らずのシーフ共は
全部僕がボコボコの血祭りに挙げたことーっ!
アグリアスさーんっ!それだけ貴女が好きなんです!
この場所で、ゴルゴラルダの処刑場で、
貴女が僕を信じるといってくれたこと!僕は一生忘れません!
貴女がつくってくれた美味しいお弁当を持って河原に行った日のことも!
僕にはじめてのキスを赦してくれた日のことも!!
僕にすべてを与えてくれた日のことも!!!
僕は死んでも絶対に忘れません!!!!


あーあー、歯止めが利かなくなっちゃってる。
えらいことになってきちゃったな~。でも面白い。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・毎度のことでなければね。
あああ、昔よりもさらに内容がしつこくなっている。
ちょっとこれまだ続くの?
そりゃ、叫んで呼びかけてみろって提案したのはこっちだけど。
気合を入れてパワーアップするからって、
毎度毎度この手のことを絶叫しては戦闘に臨んでたなんて、ねぇ。
せいぜい大声にびくつく程度のモンスター相手より対人戦での破壊力が抜群だったっけ。
あれはオルランドゥ伯やメリアドールの剛剣技よりある意味強力だった・・・。
彼女の頭から湯気が出てブレイブアップのおまけつき。
「ラムザラムザ、ちょっといい?あのね、言葉遣いが昔に戻っちゃってるんだけど、
 いまは君のほうが年上になってるんだし、さっきの録音みたいな言い方のほうがいいかもね」
こっちに背を向けて絶叫しっぱなしだったのが一瞬ぴたっと静まる。
「アグリアス!俺は貴女だけを愛している!」
そうそう、そのくらいシンプルなほうが、照れ屋のアグリアスにはいいと思うよ。

43:最後の帰還者 下 ◆0MKMjdfW.M
06/11/28 01:26:08 SKSf+01B0
いまにも泣き出しそうな曇天が急速にほぐれてゆく。
ディフェンダーのやってきたあたりから光がさしてきた。
天上の清らかな光が数条、異界と人界をつなぐように。
その光に負けないくらいに輝く、小さな点が見える。
あの時身に着けていたクリスタルの武具が輝いているんだろうけれど、彼女そのものの輝きに思えた。
多分気絶したまんま。ディフェンダーには負けるけれど剣の主も相当な速度で落っこちてきている。
ああもう、こっちもこっちでホント、意地っ張りなんだから。
まあそんなの予想の範囲内だけどね。
誰よりも誇り高くて純粋で優しくてついでにマジメすぎて照れ屋で意地っ張りで、
たった四歳年上って理由だけで大好きな男性に甘えるのも遠慮がちで。
だからこそあなたはラムザにとって最高に可愛い女なんだって、どれだけ自覚してるかな。
ようやく労八から解放されたムスタディオがわたしの隣にいた。
「そら、行って来い!」
背中を勢い良く叩かれたラムザはわたしたちを振り返って頷き、二、三歩下がる。
助走をつけて思いっきり飛翔する。
さてそれじゃあお邪魔虫はようやっと退散できるわけだ。

44:最後の帰還者 下 ◆0MKMjdfW.M
06/11/28 01:26:56 SKSf+01B0
「リリベット」
「なに?」
「あいつら周りがお節介やかないとまたあのまんまだろうから、とっとと式も用意しとこうか」
ミトンを取ってそのままだった左手薬指に、わたしの為に用意された冷たい物が触れた。
「ん。あのふたりの分は?」
「五年もまえにラムザがうちの親父に頼んでとっくに出来てるよ。
婚礼衣装の生地もラファがこっちに送る手配済ませてるし」
「そう、よかった」
「リリ、オレ、まだ機工師は名乗れないし、飛空挺の復活なんて夢のまた夢だけど」
「んッ」
ティンカーリップをつける度に思うんだけど、これって発色はキレイだけどちょっと落ちやすくない?
ラムザの顔については落とし忘れたの気付いてたよ。
はーい大正解。みんな面白がっていつもそのまま教えないで放置してました。首謀者ラッドね。
ラムザがあなたの身長を追い越してからは首筋についてたことも結構あったでしょ、
アグリアス?

45:最後の帰還者 下 ◆0MKMjdfW.M
06/11/28 01:27:57 SKSf+01B0
あの大爆発のあと、ムスタディオ・ブナンザ、わたし、リリベット、
それに少し前に名前を変えたばかりのアグリアスは
ずいぶん時間をかけてから戻ってきた。
わたしたちを待っていてくれた人たちにもさんざん心配をかけてしまった。
だけどそれはわたしたち三人にとっては多分、まばたき一つ分の時間も経過していなかった。
ムスタディオは、きっちり一年分の記憶と歴史がなかった。
身に着けていたものは武器を含めてぜんぶあの日のままだった。
まさに、あの爆発の直後に工房の仮眠ベッドに姿を現したことになる。
そしてわたしが戻ってきたのがその二年後ちょっと過ぎ。
やっぱりあのときのままで。
おかしな話だけれど、
三つ下の死んだ弟と同い年だったはずの、ラムザと同い年になってしまった。
わたしより二つ年下だったはずのムスタディオもわたしやラムザと同い年。
ついこの前、最後に戻ってきたアグリアスもまさにあのときのまま、
つまりは、四つ年上だったはずのラムザより一つ年下ということに。
彼女の生まれ月がまためぐってきて彼女も29歳になったんだけど、それはあくまで書類上のこと。
ゴーグ市民として晴れて入籍しましたルグリア夫妻は、
だんな様のほうが約一歳年長の仲睦まじい新婚さんでして。
ルグリアの奥様は恋人時代よりほんの少しだけ
だんな様に甘えるのに遠慮を感じなくなったとか。
ねえ、人間がルカヴィになるよりはずっと素敵な話だと思わない?

46:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/28 04:01:12 /c6mrXcR0
屋根裏散歩士さんにお願い
通し番号つけて欲しい
終わりなのか中断なのか判断に困るのでレスつけづらい

47:アグスレ職人名鑑
06/11/28 10:02:17 r8j3rTry0
異端者(Part1~)
 この板のFFT系スレすべての中興の祖。このスレへの作品投稿はないが、最萌え
トーナメントの際硬派なアグSSを一本書いた。「高嶺の花なアグ」が好きで、
甘々主流の流れの中に隙を見つけてはハードな萌えをねじ込んでくる古強者。

従者(Part1~)
 絵師にしてSS職人。スレ最初のSSはこの人による。絵柄に癖があるが、
りぼんアグ・こげアグなどリクを受けた名作も多い。「千古の都」の続きはまだか。
ふたば絵師でもある。代表作「flower of mine」「こげアグ」他

顔無し黒魔道師(Part2~3、5)
 初代神。独特の世界観を持つ連作をものし、現在まで続く良SSスレの基調を作った。
ラファが明るくけなげなのが特徴。Part5で再登場したが今一つ不評で、以後書き込みが
無かったがPart20で久々に姿を見せた。代表作「ティンカー・リップ」「夜光虫の夢(仮)」他

hc(変チュ)(Part2~)
 主にネタ師。甘々な小ネタを数多く発表。可愛い系アグたん最右翼の一人。
代表作「ちょっとありえたかもしれない話(仮)」他

れっどふぉーど(Part2~)
 主にネタ師。クセのない親しみやすい甘々短編や掛け合いを多く書いた。Part4
スレを最後に姿を消していたが、Part20あたりで復活してわりに硬派なSSを
多数手がけた。代表作「悪夢」「変異」「戯曲「黒」」他

白魔導師(Part2)
 Part2スレにてその後のラムザ達を描いた一連のSSを投稿。

チャペルナイト(Part2)
 Part2スレに初々しいラムアグ短編を投稿して好評を博した。当時高校生だった
らしい。

48:アグスレ職人名鑑
06/11/28 10:02:48 r8j3rTry0
ダークラムザ(Part4)
 Part4スレにてライオネル城脱出行のSSを書きかけたが、未完。

昼寝士(Part4~)
 二代目神。行く人氏が現れるまではスレ最多作職人だった。初めてエロに手を
染めた職人でもある。スレがラムアグ一辺倒なのを気にしているらしい。代表作
「小姓ほど素敵な商売はない」「ザーギドスの長い夜」「ラムや」他

おーらん?(Part4)
 Part4スレにてラムアグ短編を一本書いたが、以後現れず。

とびねずみ(Part5~)
 独特のまったりした雰囲気のSSを得意とする。サイト持ちでDQ系スレでも活動中。
オンリーイベント「FFT+A」ではこのスレの主力職人を集めて本を作った。代表作
「あなたの鼓動に」「ペールブルーの空に」「トーナメントの行方」他

ギュスタヴ(Part5)
 Part5のSS閑期にリクを受けて執筆。期待の新人と呼ばれたが、一本書いた
ところで新作執筆中の告知をしたまま姿を消してしまった。代表作「ありがとうと
言いたかった(仮)」

甘々士(Part6~)
 絵師。名の通り甘々ラムアグを好み、画力は神クラスだが現在は引退中。
商業漫画家でもあり、「FFT+A」ではラムアグ本を刊行。代表作「ときめき
アグリアス」他

カエル(Part6)
 Part6スレに現れ、スレの半分近くにまたがるラムアグ大長編を著し、「オヴェリアの
アグいじり」という萌えジャンルを定着させた。それ以降姿が見えない。

49:アグスレ職人名鑑
06/11/28 10:03:27 r8j3rTry0
もみもみ士(Part6~)
 三代目神。ラムアグ、オヴェアグ、単体アグ、ギャグ小ネタから本格長編まで
守備範囲が広く、独特の「お姉さんアグ」にはファンも多い。なおハンドルは
「おっぱいもみもみ士」の意。代表作「秘密の夜」「世界を滅ぼす者」他

はちまるいち(Part6~)
 ラムアグかつラムメリ。三角関係のSSを多く書くが、ラムアグよりもアグメリの
掛け合いの方が楽しかったりする。最近はSS投下もなく、サイトは開店休業中。
代表作「誰と名コンビ!?」他

ばるばろ(Part7)
 Part7スレに突如現れ、ラムアグ恋愛長編を投稿して去った。軍事板住人らしいが、
今も見ているのだろうか。代表作「恋の囁き」

通行人R(Part8)
 コメディ・シリアス双方の良SSを一本ずつ投下。「初恋の人と再会するアグ」という
微妙なネタを扱って叩かれもしなかったのは筆力か。代表作「アグリアスに首ったけ」
「メモリー」

199(Part11)
 ラムザのことを何とも思っていないアグと、一方的に妄想する空回りラムザという
斬新な配置で半ネタ・半SSのような文章を多数投稿。

◆awRuXUefoY(Part12)
 Part12スレにて悲恋SS「ルカヴィの贈り物」を投下するが、未完。

ふみんしょ(Part12~)
 四代目神。もみもみ士以降久々に登場した長文・多作系パワー職人。甘々
ラムアグの旗手。萌えキャラ・エレーヌを創造した。不眠症は結局治ったの
だろうか。代表作「アグリアスさんのデート指導」「海水浴」他

50:アグスレ職人名鑑
06/11/28 10:04:00 r8j3rTry0
ギルロゼ珍道中(Part12~)
 ふみんしょ氏と双璧をなす甘々ラムアグ職人。代表作「あなたがいれば」「ルザリア
道中膝栗毛」「孤剣の死」他

チョコボヘッド(Part13)
 ムスタディオ視点でのラムアグのその後、ラッド視点のキャンプ話など、一歩引いた
視点でのラムアグ話を多く作る。代表作「ある女性ホーリーナイトと剣聖」「異端者の
恋の始まり」他

ヨネヤ(Part13)
 絵師。シャープな今風の線でアグを描く。ラムアグというよりラムザ萌え?

629(Part13)
 考察ネタの他、ヘヴィな戦場系アグSSを一本投下。凛々しいアグ好きでハードな
考察が得意だが、書き込みは以後ない。

行く人(Part13~)
 五代目神。丸一スレ以上にわたる妄想系暴走系ストロングアグ長編「アグリアスが
行く!」でデビュー。ナンセンスからシリアスまで書き分ける懐の広さと圧倒的な
執筆速度を持つ、超多作かつ息の長い職人。代表作「アグリアスが行く!」他

145(Part14)
 甘々な流れの中でハードでシビアなアグ像を描いた「人殺しの夢」を投下し、
高い評価を受けた。

&(Part14)
 獅子戦争後のラムアグの再会を書いた長編「桜花の約束」を投下するも未完。
続きが待たれる。ギルロゼ珍道中氏も一度このハンドルを使ったことがあったが
のちに別人と確認。

51:アグスレ職人名鑑
06/11/28 10:04:41 r8j3rTry0
愚物(Part14)
 おじいちゃんシドが大変なことになるSS「老人の嘆息」を投下。

見習い審問官(Part15)
 日記仕立ての短編「アグリアスの観察日記」を投下。

744(Part15)
 オーボンヌへ派遣されるまでのアグリアスを独自の解釈と考察で描いた
「オークス家の令嬢」を投下したが、未完。

モトベ(Part16~)
 戦闘描写を得意とする職人。蘊蓄は異様に豊富だが実践はさっぱりな侍モトベが
持ちキャラ。代表作「黒い聖騎士」「カティロア記」「奪う女」他

牛鬼(Part16)
 Part16スレにて季節ネタSS「クリスマス戦線」を投下。

橋乃根本(Part16~)
 Part16スレにて短編「悩み、想う(仮題)」を投下。Part28スレにて
エロパロスレ経由で復活したが、未だアグスレへのSS投下はない。

コウモリ(Part17)
 Part17スレにて珍しいクラアグSS「特効薬」を投下。

さきまし(Part18~)
 Fateネタでデビューし月厨扱いされたものの、以後良質のSSを投下して認められる。
看病編の続きはまだか。代表作「アグリアスさんのケーキ事情」「看病黙示録」他

◆xZ3z4MfPQE(Part19~)
 ザルアグ長編を書くも、ラムアグ急進派の叩きに遭って擱筆してしまった。続きが
待たれる。代表作「恋の始まり」「戸惑い」

52:アグスレ職人名鑑
06/11/28 10:11:33 r8j3rTry0
超絶勇者ゴラグロス(Part19~)
 絵師。スレンダーでむっちりで目つきの厳しいアグを描く。スレにはPart19が初投下
だが、画像あぷろだの方では昔からいた。

◆Elk5NtY7Pw(Part19)
 Part19スレにて夜営SS「夜風」を投下。

寒椿(Part20)
 汎用忍者ソウテツの視点からラムアグを描いた長編「風、薫る」を投下。内容は
評価されるが、携帯からの打ち込みなので間遠な連続投稿になったことが
顰蹙を買った。

& ◆C2xaDmwbR(Part21)
 Part21スレにて野営SS「見張りの夜に」を投下。

まとめの人(Part22~)
 停滞中の千一夜に代わりアグスレSSまとめサイトを作ってくれた人。千一夜更新
再開に伴い活動を停止したが、肝心の千一夜がまた止まってしまった。

ふぅ(Part22、23)
 Part22スレにてオリキャラ・シャレーヌが活躍するSS「或る女戦士」を投下。代表作
「或る女戦士」「Feeling Hearts」「東方文化~天国と地獄」

是路零士(ゼロレイジ)(Part23)
 アグリアスに告って玉砕する汎用を通してラムアグを描いた中編「決戦前日」
を投下。キツめの感想をもらうのが好きらしい。サイト持ち。

カテナツィオ(Part24~)
 夫婦ラムアグによる後日談連作のほか、評伝風アグ、ショタラムザなど正統派
ガチ萌えSSを多数書く。代表作「丘の上の風」「異国傑物伝」「女騎士と幼子」他

53:アグスレ職人名鑑
06/11/28 10:12:18 r8j3rTry0
太便士(Part25~)
 久々の多作職人。絵師でもあり、自作の挿絵つきSSは評価が高い。元は「多弁」
というハンドルだったがネタで改名した。排泄好き。代表作「私立イヴァリース学園」

積木屋(Part25)
 Part25スレにてラムザの家族に目通りするアグを描いた短編を投下。半年
ROMっていたらしい。

rightbrain(Part26)
 ゲームブック仕立ての短編を核にした連作長編を投下。SS自体の評価は低く
なかったが、叩かれるのに慣れていなかったようでずいぶん後まで粘着していた。
代表作「Love is」

妄想(Part27)
 Part27スレにてアグが性に目覚めるSSを書いたが、18禁相当ということで途中から
エロパロ板に移動した。代表作「雨の降る夜に」

ぬこ(Part27)
 Part27スレにてChapter1と2の間の荒んだラムザのSSを書いたが、アグスレに
書く話ではないということで恋する小説スレに移動した。

67(Part28)
 Part28スレにて、ED後捕縛された異端者ラムザが枢機卿の暗殺者として働く
暗く切ないSSを投下。

339(Part28)
 Part28スレにて忠臣蔵をパロった長編台本風SS「仮名手本十二宮戦士」を投下。

54:抜けてたら教えて
06/11/28 10:13:44 r8j3rTry0
387(Part28)
 Part28スレにて夜営中のアグを描いた短編を投下。Part28スレはSSタイトルもトリップも
ないまったくの名無し職人が多く、何人かは同一人物かもしれない。

823(Part29)
 Part29スレにてシドが活躍するラムアグSS「愛とはかくも素晴らしきかな」を投下。

屋根裏散歩士(Part29)
 久々の「士」がつくコテハン。ラムザも誰もみんなアグたんに首ったけ、という
アグ萌えの本道を行くコンセプトでSSを書く。代表作「聖女」「リィヌ・ホランドゥの
瞳」他

902(Part29)
 Part29スレにて小柄好きのラムザに独占欲を燃やすアグのSS「ここでキスしろ」を投下。

ラトーム(番外)
 更新が止まりっぱなしの千一夜管理人。かつてこのスレの職人だったらしいが、
誰なのか不明である。

55:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/28 11:34:12 M+zR/zhV0
>>47-54
おおお! GJ!!!
こうして見ると職人さんはこんなにたくさんいたんだな・・・。
ほんとにこのスレは恵まれてると思うよ。


行く人さん新作SS&屋根裏さんSS完結(?)も乙です。
行く人さんと屋根裏さんのラムザのアグたんへのプロポーズ(告白)の温度差がありすぎるw

56:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/28 11:48:29 Yni2MYoX0
アグ姐はほんと愛されてるねぇ

57:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/28 12:14:14 7D6CDoMq0
職人の多さに改めて驚愕。
FFDQ板では文句なしにトップだろうな。

58:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/28 13:35:23 FxUEx3YR0
職人さんたち乙です。
もう三十にもなるのか・・

59:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/28 17:11:39 pvFL8Tg0O
屋根裏散歩士さんのSSを早くちゃんとパソコンで見たいぜ
だから今日は寄り道しないで真っ直ぐ帰宅するんだぜ

60:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/28 18:08:22 VMG6zBBM0
>>59
そういうことを話し出すのは、死亡フラグだ

61:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/28 19:34:52 jCrZTFyq0
おい、>>59……目を開けろよ、なあ……
寄り道しないでまっすぐ帰るんだろ? 屋根裏散歩士さんのSSを
パソコンで見たいって、そう言ってたじゃないか……
返事をしてくれよ、>>59ーーーっ!!

つまりこういうことか

62:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/28 20:20:14 EppdsT320
それは、どっちかというと蛇足

63:修道院での一幕 1/7 ◆WVAHnGXcls
06/11/28 22:39:13 BTOPSf0V0
秋から冬へと変わる季節、ただでさえ風邪を引きやすい時期。
王女オヴェリアの窓の鍵がふとしたきっかけで壊れ、誰もそれに気づかず、
夜になってオヴェリアが寝静まってから夜風が強まり、
窓がキィと音を立てて開き寒風を室内に呼び込んでしまった。
結果、王女オヴェリアは風邪を引いた。

女中達が看病する中、寝室の戸がノックされ、開いた。
「お邪魔いたします。オヴェリア様、お加減は如何でしょうか?」
入ってきたのは王家直属の近衛騎士アグリアス・オークスだった。
オヴェリアは半身を起こし、手を払って女中を下がらせる。
「ええ、大丈夫よ。少し二人きりにしてもらえないかしら」
女中達が部屋から出るのを待ってから、
アグリアスはオヴェリアのベッドの隣に椅子を運んで座った。
「お見舞いに来てくれたの? コホッ、コホッ」
「その通りでございます。少々失礼をば……」
アグリアスは手のひらをオヴェリアの額にあてがい、
その熱が先日より下がっている事に安堵の笑みを浮かべた。
「順調に回復しておられるようでなによりです」
「コホッ。ええ、昨日よりはだいぶ楽になったわ」
「しかし、治りかけというのも危ういものゆえ、もうしばしご辛抱のほどを」
「大丈夫よ、こっそり部屋を抜け出す元気だって無いんだから」
「抜け出す気はお有りなのですね」
言われて、オヴェリアはクスクスと肯定するように笑った。
いつもなら苦言のひとつも出ようものだが、アグリアスも今日この時は微笑む。

64:修道院での一幕 2/7 ◆WVAHnGXcls
06/11/28 22:39:45 BTOPSf0V0
「海がよく見える岬の近くにね、冬にしか咲かない白い花があるの」
「花、でございますか」
「ええ。もうそろそろつぼみがついているでしょうから、見に行きたかったのだけど……」
「その際は我々にお声をおかけ願います。お一人で行かれては……」
「あら、一人じゃないわ。二人よ」
「アルマ様……ですか」
「ええ。……アグリアス、そこの紅茶を淹れてくれないかしら?」
「はっ」
命に従いアグリアスは近くの机にあったティーカップに紅茶を注ぎ、オヴェリアに手渡した。
丁度飲み頃に冷めていた紅茶を、オヴェリアの可憐な唇が飲む。
「ああ、おいしい……」
「…………何か茶菓子を用意させましょう」
「いいわ。コホッ、コホン。……アグリアス、ここにいて」
「はっ」
しばし沈黙が場を支配する中、時折オヴェリアの咳が響いた。
「……オヴェリア様。布団の中に入られてもらえませんか」
「ずっと横になっていると、何だか色々考えてしまって……」
「そうですか」
「ねえ、アグリアスは不満に思った事はない?」
「何に対しての不満でしょうか」
オヴェリアは視線を修理された窓に向けた。その先には風でざわめく森があった。
その森を抜けてしばらくすると岬があり、海が見える。
たまにアルマに誘われて、警備の目を盗んで抜け出しているオヴェリアだったが、
ラヴィアン、アリシアはともかく、アグリアスは見逃してやっていた。
最近、その事に気づきつつあったから、オヴェリアは訊ねてみたのだ。

65:修道院での一幕 3/7 ◆WVAHnGXcls
06/11/28 22:40:22 BTOPSf0V0
「こんな辺境の地で……私一人のために質素で退屈な日々を送る事になって……」
「王家からの勅命、私はこの任に誇りを持っております」
「そう……」
「それに」
「それに?」
布団の上にあるオヴェリアの手を取り、アグリアスは微笑んだ。
「オヴェリア様の御心を少しでもお慰めできる事を……嬉しく思っております」
「……ありがとう、アグリアス。コホッ、コホン」
オヴェリアが咳き込むのを見て、アグリアスは紅茶のカップを取り上げた。
「どうか横になって下さい、今無理をなされては風邪がこじれてしまいます」
「そうね、少し休むわ……コホン、コホン」
コン、コン。
咳に合わせるように、戸がノックされた。女中だろうか?
しかしノックの癖からオヴェリアは相手を察し微笑んで応えた。
「どうぞ」
「失礼します」
入ってきたのはベオルブ家令嬢アルマだった。頭を下げ一礼し、ベッドに寄ってくる。
アグリアスは「どうぞ」と自分の席を上げた。
「ありがとう、アグリアスさん」
「いえ」
「アルマ、今日もお見舞いに来てくれたのね。……何を持ってるの?」
言われて、アルマはニコリと笑って応える。
「さあ、何だと思う?」
もったいぶった仕草をしながら、手のひらにおさまる何かをいじるアルマ。

66:修道院での一幕 4/7 ◆WVAHnGXcls
06/11/28 22:40:59 BTOPSf0V0
「……オヴェリア様、横になっていただくお約束です。
 アルマ様もオヴェリア様にご無理をさせないようお願いいたします」
アグリアスに睨まれ、オヴェリアはおとなしく布団に潜った。
一方アルマは唇を尖らせて小声で何事かを呟く。多分悪意の無い嫌味だろう。
「―それで、アルマ様。何をお持ちになられたのですか?」
「花でも摘んできてくれたのかしら。でも、あの花はまだつぼみよね……」
二人の疑問を聞き、アルマの表情が一点、パッと輝く。
「えへへ~。オヴェリア様の退屈をまぎらわすためにお持ちいたしまするは何と……」
手のひらを開く。
王女への見舞いの正体、それは。
「葉っぱ」
だった。
「…………」
「…………」
沈黙するオヴェリアとアルマ。
よく見てみる。うん、草だ。
その辺に生えている雑草だ。
多分教会の庭に落ちている。
森に行けば全力全開で生い茂っている。
そんなどこにでもある葉っぱだった。
「……アルマ様。それが病床のオヴェリア様への貢ぎ物とは、少々ご冗談がすぎるのでは」
「あら、冗談じゃないわよ。失礼ねぇ」
クスクスと悪戯っぽく笑うアルマ。どうやらこの草には何か秘密がありそうだ。
「……ただの木の葉と見せかけて、正体は何ですか? 薬草の類か、ハーブの類か」
「ただの葉っぱよ。名前も知らないし木から一枚拝借してきたの」
「…………」

67:修道院での一幕 5/7 ◆WVAHnGXcls
06/11/28 22:41:37 BTOPSf0V0
言い切られて唖然とするアグリアスを見ると、アルマはいっそう嬉しそうに笑うのだった。
「それで、アルマ。その葉っぱを私に見せてどうするのかしら?」
アグリアスと違い、まだ期待の色を瞳に浮かばせているオヴェリアが訊いた。
「いえいえ、これはオヴェリア様にお見せするためにお持ちしたのではありません。
 お聴かせするために拝借して参りました」
「聴かせる? コホンッ。……葉を、ですか?」
「どうかご拝聴を」
言って、アルマは葉っぱを唇に挟んだ。スッと息を吸い、吐く、いや、吹く。
「ヴィィィィィィ」
「わあっ、音が鳴ったわ」
「草笛……ですか」
「その通り。昔、お父様に教わったの。久し振りだけど、うまく吹けてよかったわ」
カラカラと笑うアルマ。同様に、見舞いの品の正体を知って笑顔を浮かべるオヴェリアとアグリアス。
「ただ音が鳴るだけじゃありませんよ。ちょっと加減をすれば、こんな風に……。
 ヴーヴィーヴィー♪ ヴィーヴーヴーヴヴィー♪」
「まあ、音楽に」
「いかがでしたでしょう、オヴェリア様」
「ええ、とっても……コホン、コホッ、コホンッ」
「ああっ、あまりおはしゃぎにならないでください。お身体に障りますよ」
咳き込むオヴェリアを見てアルマは布団の中に手を入れ、オヴェリアの手を探し出して握った。
「ごめんな、コホンッ、なさい。あまりに楽しかったから……」
「オヴェリア様……」
「ねえアルマ、私にも草笛の吹き方を教えてくれないかしら?」
「お望みとあらば、完璧にマスターさせて差し上げます」
「ではさっそく……」
「なりません」
ぴしゃりとアグリアスが言い切って、二人の視線を一点に受けた。

68:修道院での一幕 6/7 ◆WVAHnGXcls
06/11/28 22:42:10 BTOPSf0V0
「オヴェリア様は未だ病床の身、草笛を学ぶのでしたら風邪が治ってからにしてもらいます」
「ぶー、少しくらいいいじゃない。アグリアスさんったら堅物なんだから」
「アルマ様、貴女様は少々おてんばすぎます。
 こうして修道院で暮らしているのですから、もう少し慎ましさというものを学んで下さい」
「はーいはいはい。アグリアスさんの小言は聞き飽きました。
 それと、私から見ればアグリアスさんはもう少し肩の力を抜いた方がいいと思いますよ」
「そうは参りません、オヴェリア様をお守りするのが我が務めゆえ」
「恋のひとつでもして、乙女心を呼び覚ませばだいぶ可愛くなると思うんだけどなー」
「残念ながら恋をしようにも、この教会にいる殿方はシモン様くらいですから」
「いつか、チョコボに乗った王子様が迎えに来るかもしれませんよ」
「それはまた夢のあるお話で。しかしご存知ですか?
 人の夢と書いて儚いと読むのですよ。
 そんな夢物語に花を咲かせるより、アルマ様はベオルブ家ご息女として現実を学ぶべきかと―」
「アグリアスさんとおつき合いできる殿方は、さぞ心の広い方でありましょうねぇ」
アルマが言って返すと、オヴェリアがプッと吹き出した。
「そうね、アグリアスには心が広く優しいお方がお似合いだわ」
「お、オヴェリア様まで……。私は剣と王家にこの身を捧げておりますゆえ……」
「それでも、もし殿方を好くような事があれば、アグリアスにはその方と結ばれて欲しいわ。
 私はきっと……そういう風に誰かと結ばれるとは思えませんから」
少し斜になって語るオヴェリアを見て、アルマとアグリアスは口をつぐんだ。
王女である以上、相手は相応の身分が求められる。
そしてそれ以上にいずこかの派閥が政治的に有利になるよう婚姻を運ぶだろう。
恋を知らず、愛を知らず、それでも否応なしに誰かのために誰かと結ばれる。
そんなオヴェリアの境遇を二人は不憫に思わずにはいられなかった。
「……大丈夫ですよ、オヴェリア様にもきっといつか素敵な殿方が現れます。
 全力で貴女を愛し、慈しんでくれるような人が、きっと」
「……ありがとう、アルマ」

69:修道院での一幕 7/7 ◆WVAHnGXcls
06/11/28 22:42:53 BTOPSf0V0
友情を深める二人を見、アグリアスは己の胸があたたかくなるのを感じた。
王女オヴェリア・アトカーシャ。
ベオルブ家末娘アルマ・ベオルブ。
二人の未来に幸多き事を祈り、アグリアスは一礼した。
「それでは、そろそろ私はおいとまさせていただきます。
 アルマ様はどうかごゆるりと……くれぐれもご無理をさせぬようお願い申し上げます」
「解ってるわよ。大丈夫、草笛を聴かせて差し上げるだけだから」
微笑みながら葉っぱを咥えるアルマを見て、アグリアスは小さく笑った。
「それでは」
アグリアスが退室した直後、ドア越しにアルマの草笛の音色が聴こえ出す。
アグリアスはしばしドアに背を預け、アルマの奏でる曲に耳を傾けていた。

「ふっ。恋……か。恋をし、その相手と結ばれる……。
 そんな当たり前の事が、オヴェリア様の身には何と儚い願いだろうか……」

腰から下げた剣を握る。そして思う。
守ろう。騎士である自分にできる事はそれだけだ。
国王オムドリアⅢ世と王妃ルーヴェリアの間に生まれた子が二人、すでに病死している。
偶然とは思えないきな臭さ。オヴェリアに王位を委ねようとする意思が働いているのだろうか?
数年以内に王位継承者をめぐるトラブルが発生するだろうとアグリアスは予測した。
自分に恋は無用。必要なのは守るための力。
そう思い、アグリアスは廊下を歩き出した。

それから数年―アルマが修道院を去って、さみしさも癒える頃―王女オヴェリア誘拐事件が発生する。
そして彼女の物語が、一人の青年の物語と合流し動き出す。

   THE END

   そしてChapter2『利用する者される者』へ―。


70:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/28 23:47:53 7/o9RxPX0
乙です。
うん、こういうのいいね。
アグたんとオヴェリア様とアルマがなんだか姉妹みたいでいいな。

71:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/28 23:51:30 9AhL68rIO
オヴェリアの結末がわかってるから、せつない

72:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/29 00:06:45 ta7ZZbjSO
なんかディリータ殴りたくなってきた

73:屋根裏散歩士 ◆0MKMjdfW.M
06/11/29 00:16:13 M9lwcggp0
>>46
ご指摘ありがとうございます。
このお話はこれでおしまいです。
ほかに読みやすさで気をつけたほうがいい点があったらまたお願いします。


>>59
この続きでエロパロスレ行ってエロやろうかと思ったらムリでしたよ。
という残念イベントが発生したので死亡フラグは相殺されました。


ラムザ一行は稼いだお金を武器防具、回復アイテム程度しか使ってないのは、
やっぱりアグリアスさんに食材買いに行かせて「おまけ」と称して
在庫一切合財もらってこれるからじゃなかろうか・・・?

74:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/29 02:21:32 9rgkESuZO
遅ればせながら全ての職人さん&新スレ立て乙です。アグ姐もとうとう30…30…さんじゅ…うわやめろなにする(ry

75:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/29 02:37:28 BsxtXfB5O
嗚呼、儚きトンベリ王女…

76:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/29 10:02:20 6wzCwwWE0
そんなオヴェ様もゼイレキレではピョンコピョンコ滝登りするほどに逞しくなられて…
オヴェ「ザンギュラのスーパーウリアッ上ッ!!」

77:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/29 10:20:24 46FUxp440
騎士の渾身のヘッドブレイクをガードするぐらいだからなぁw
実は脱ぐとマッty…う嘘ですごめんなさいアグリアスさんお願い斬らないで><

78:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/29 14:02:21 V6v/xlPI0
アルマ 「えー、マバリア使えないのー?」
オヴェ 「マバリア使用できないのが許されるのは士官学校までだよねー」

汎用シロマ 「何という暴言
       一言聞いただけでショックを受けてしまった
       この修道女達は間違いなく魔女」

79:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/29 15:12:25 B2WhsCNt0
そういや29チャンネル12月いっぱいで終わっちゃうらしいな

80:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/29 19:39:38 6wzCwwWE0
2006年も終わりになろうかというときに、戌年年賀アグを発見・転載。
URLリンク(kasamatusan.sakura.ne.jp)
アグ「どうせ、私は王家のイヌだ…」
ラム(みかん、何個乗っけられるかな…?)
てな感じか。

81:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/29 21:16:16 C+VsgwT40
やはりアグたんはエロいな。

82:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/29 22:07:11 HDhGST5Z0
わんこアグを飼い慣らしたい

83:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/29 23:55:12 zSwldlSu0
新世紀アグンゲリオン

ポコ「クェェ」
アグたん「食べちゃ駄目だ、食べちゃ駄目だ」

                   新世紀アグンゲリオン 完

84:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/30 01:26:29 kI1suP3F0
時代が>>83に追いつくにはあと8年を要するな

85:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/30 03:06:43 kI9UC0nW0
スレリンク(news4vip板:111-113番)
111 名前:VIP村人a[] 投稿日:2006/11/30(木) 02:48:01.37 ID:HlZ3vG740
アグ「今さら疑うものか! 私はサンタを信じる!!」

112 名前:VIP将軍[] 投稿日:2006/11/30(木) 02:51:23.22 ID:m8LhwGn30
>>111
いや、そこは疑っとけよwww

113 名前:VIP足軽flash[] 投稿日:2006/11/30(木) 02:55:58.39 ID:CJY5aVUq0
>>111
後の「人の夢と書いて儚い」である


86:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/30 03:22:45 LM7Gmov50
磨羯の月29日の夜、隊長たるラムザは士気向上の為に仲間達にこっそりプレゼントを配ることにしていた。
赤ずきんを被り、人知れず(ほんとは皆知ってる)仲間達の部屋に忍び込んではプレゼントを置いていくラムザ。
あらかた配り終わり、ようやく最後に残るはアグリアスの個部屋である。
ちょっとドキドキ。
だがラムザは知らなかった。
アグリアスの部屋に設置されている特大の靴下の中に熊取りの罠が仕掛けられていることを。

87:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/30 06:32:37 j79GT6PUO
サンタ捕獲すればプレゼントひとりじめじゃね? ってタイプなのか
サンタさんに会ってお礼を言うためなら罠だってしかけるわ! ってタイプなのか

88:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/30 06:55:13 FIHJpKCQ0
わかってないな。
アグたんはトナカイのソリに乗りたいんだよ。

89:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/30 07:51:33 MK4nkcL7O
まだ11月なのにお前らときたら

90:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/30 09:41:50 feYt0vPW0
アグリアス・・・のちの生粋のショタである

91:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/30 16:03:52 CMfGzJ/f0
>>85
何か閃いた(・∀・)
初投稿どころか初SSだけど書いたですよ。

92:91 1/3
06/11/30 16:05:27 CMfGzJ/f0

「今さら疑うものか! 私はサンタを信じる!!」

アグリアス様がそんなことを言い出したのは、聖アジョラの聖誕祭の日のことだった。
私は今でもその時のアグリアス様の、めったに無いほど上気した顔を覚えている。
そのころの私たちは異端者の一味として追われる立場ではあったし、決して軽々しく騒げる立場では無かったのだが、
その日が近づくにつれて街角に溢れていく喧騒や、道行く人のどこか幸せそうな顔、木枯らしに舞う木の葉でさえも慎ましげに聖誕祭を祝っているようで、
前日から町から少し離れた場所にキャンプを張り、最低限の警備は維持しながらも、ささやかながらその日を祝うことにしたのだった。

かくしてささやかながらも楽しいパーティは始まった。
そう余裕があるわけでもないので、食事の内容も普段と特に変わらないし、煌びやかな装飾も、素敵なプレゼントもなかったけれど、
夕食のあとに焚き火を囲んで、町で買ってきた少しだけ特別なワインと、甘い干しフルーツ、それだけでとても幸せな気持ちになれたのだ。
まぁ、そんなロマンティックな雰囲気も長持ちはしなくて、今日はもう見張りの無いムスタディオあたりがエールに酔っ払って、
調子はずれの歌を数人で歌い始めてからは、いつもは厳しいお顔のオルランドゥ伯まで巻き込む大合唱が起こったり、
マラークが蛙を使ったかくし芸を披露したら、ラッドが対抗して傭兵隊仕込みの一発芸を始めたりと、まぁ、これはこれで楽しいのだけれど。


93:91 2/3
06/11/30 16:06:39 CMfGzJ/f0
そして私、アリシアはといえば、ラヴィアンや数人の仲間、歌い疲れたムスタディオたちと、「サンタクロースの存在」について激論していた。
勿論皆、本気で信じているわけでは無いのだけど、なかなかの白熱した議論になり、熱血漢のガストンに至っては
「何も解っちゃいないんだ!サンタが居ないなんていうやつには『俺がサンタだ!』だって言ってやるンだよッ!」とばかりに吼えるほどだった。

そして議論の盛り上がりも最高潮になったときのこと
「―サンタクロースは確かに居るさ。少なくとも私はそう信じているよ。」
とアグリアス様が静かに呟いた。
「意外だなぁ、姐さんって結構ロマンティストなんスねぇ。」
と、ムスタディオが本気で感心した様に言う。


94:91 3/3
06/11/30 16:08:16 CMfGzJ/f0
何気に失礼な発言にも思えるのだけど、アグリアス様は気にした様子もなく、それどころかだんだんと顔を火照らせながら
「そうかもしれん。だがなムスタディオ、我々は今までルガウィなどという伝説の怪物さえもこの目で見、戦いすらした。
 御伽噺の怪物が居て、同じ御伽噺のサンタクロースが居ないなどということはあるまい?
 それに、だ。考えても見ろ。ルガウィは悪しき心に聖石が反応して生まれるが、また聖石は、清き願いに呼応して奇跡も起こす。
 つまりだ、強い願いや意思というものには不思議な力があるのかもしれんぞ?
 それならば、少なくとも今日のこの日、国中の子供が実在を強く願い、また、信じているサンタクロースが存在しないなどと何故言える?
―それにな、ここだけの話だが、私だってもう二十年もサンタクロースを信じているし、願ってもいる。私のような人間も一人や二人じゃあないだろう。
 ならばもう疑う余地は無いさ、そう『今さら疑うものか! 私はサンタを信じる!!』」

アグリアス様はそう言って笑っていた。
アグリアス様の部下としてチームを組んでから長いけれど、そんな風に笑うアグリアス様の顔は同性の私から見てもとても綺麗だったし、
そんなアグリアス様の横顔に見とれているラムザ隊長が微笑ましくもあって。
こんなに幸せな気分になれたのはのはきっと。
サンタクロースがくれた贈り物なのかもしれない。と思ったのだ。

95:91
06/11/30 16:11:59 CMfGzJ/f0
区切り方が何か変になった気がする…。
というか二回の書き込みで大丈夫だった気もします。
お目汚し失礼しました。

96:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/30 16:39:16 ISxtf8AF0
GJ!
色々と理屈をつけつつ純粋にサンタを信じてるアグリアス萌え。
ラッドの傭兵隊仕込みの一発芸とか見てみたいw

97:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/30 18:14:42 CSGJgqZCO
ガフガリオンから暗黒剣は継承できなかったけど、一発芸は継承していたわけで
多分きっと絶対ケツで割り箸破壊とかだろうなぁ

98:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/30 18:42:06 jMgWD6s30
>>93
俺がサンタだ!
URLリンク(www.geocities.jp)

99:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/30 19:24:13 m7QDjc4r0
>>91さん
初めてにしては中々よ(はぁと

100:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/30 19:45:07 CMfGzJ/f0
>>98
Exactly(そのとおりでございます)

101:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/30 19:56:16 LM7Gmov50
やっぱ、いぢり絵師さんとこのこれだな。
URLリンク(edelweiss-box.hp.infoseek.co.jp)

102:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/30 23:14:22 Oiw0iKuu0
太陽戦隊サンアグたん

アグパンサー「カレー大好き!」

                   太陽戦隊サンアグたん  完

103:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/30 23:23:24 XOUVJiUB0
きょうも嫌なことがあったのでアグリアスさんにいいこいいこされたい。

104:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/30 23:37:21 BYXcKhlN0
もしもラムザとアグが学生だったら。

ラムザ「アグリアスさんはなんでフィールド競技にしか出ないんですか?」

アグ「しくしくしくしく」

105:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/30 23:43:30 LM7Gmov50
>>104
MOVE3&おっぱいバインバインだから

106:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/01 00:34:46 34VlLwUM0
おっぱいバインバインなアグリアス先輩の所属する部活はやっぱ剣道部なんだろうか

107:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/01 01:01:07 5FOBVX7S0
新体操部は異端ですか。

108:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/01 07:21:02 j0Hp5dKIO
生徒会副会長(オヴェリア)補佐&フェンシング部部長なアグたん
毎朝ラムザを起こす役をアルマと争う

109:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/01 11:18:39 Cf30RmPPO
映画研究部でひとつ

110:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/01 14:19:38 CnZCwHtl0
光画部しかないだろう

111:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/01 17:47:58 7wu3phnS0
FF12アルティマニア・オメガのカバーイラストが素敵すぎる
あの絵柄で吉田にアグたんを描いてほしい

112:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/01 18:08:39 8m+g9PeD0
>>111
なにそれ?

113:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/01 18:23:34 SFJlXC3z0
>>112
ほい。

URLリンク(www.amazon.co.jp)


>>111
いいね、情報㌧クス

114:vsホーリーナイト 1/11 ◆WVAHnGXcls
06/12/01 18:31:22 0UU+7Tsp0
嬉しかった。
王家直属のルザリア聖近衛騎士団に入隊できた事が。
嬉しかった。
名誉ある王女オヴェリア護衛の任務を受けた事が。
嬉しかった。
憧れのホーリーナイト、アグリアス・オークスの部下になれた事が。
嬉しかった。
ラムザ・ベオルブと共に歴史の裏で繰り広げられていた魔性の戦いに勝利した事が。
嬉しかった。
巨悪を倒し憧れの先輩から戦友となったアグリアスと一緒に元の世界に帰れた事が。
嬉しかった。
自分が強くなった事が、身も心も強くなった事が、あの人に少しでも近づけた事が。
嬉しかった。
本当に嬉しかった。
だから、言います。

「アグリアス様。私と一対一の決闘をしてくださいませんか」

あなたにどれだけ追いつけたのか、確かめたいから。
自分の実力を知りたいから。
だから、戦います。

「いいだろう。何を思ってそう言い出したのかは知らぬが、全力でかかってくるがいい。
 アリシア」

   【vsホーリーナイト】
   ―貴女の背中を追いかけて―


115:vsホーリーナイト 2/11 ◆WVAHnGXcls
06/12/01 18:31:54 0UU+7Tsp0
「ちょっとちょっとちょっと。アリシア、本気なのー?」
「本気も本気の大本気。一世一代の大勝負よ」
決闘前にお互い装備の手入れをしていると、ラヴィアンが話しかけてきた。
どうしてこんな事を言い出したのか、アグリアス様と違って聞きたいらしい。
「あのさー。私達、ラムザさんと一緒に旅してずいぶん強くなったけど……アグリアス様は別格よ?
 最後の最後までエースとして活躍してさ」
「解ってるわ。かの雷神シドをはじめ、
 あのメリアドールさんやベイオウーフさんと肩を並べて戦ってらした方ですもの。
 NO.1がオルランドゥ様なら、NO.2は誰かしらね……」
「そのNO.2最有力候補がアグリアス様でしょうが~っ!
 はっきり言って、あんた勝ち目無いわよー?
 戦争も表と裏の両方が終わって大団円って時に、何で仲間に決闘なんて申し込むかな」
「あははっ、何でだろ。大団円で嬉しかったからつい、かなぁ……。うん、そうね、きっと」
「つい……って、何よその理由」
「自分でもどうかしてると思うよ」
決闘前だというのに笑みがこぼれる。本当にラヴィアンといると退屈しない。
気さくで愉快でいつもコンビを組まされている大親友。
心配をかけてしまい申し訳ないとも思うけど、今回ばかりは引く訳にはいかない。
「アリシア、こちらの準備は整ったぞ」
アグリアス様の言葉に振り向き、目ざとく装備を確認する。

ディフェンダー。装備武器ガードのアビリティで物理攻撃を防ぐ。
イージスの盾。魔法防御はこちらで補う。
リボン。ステータス異常を防ぐ。
クリスタルメイル。騎士として身を守る最上級の鎧。
ゲルミナスブーツ。機動力を確保するための装備。

なるほど、小細工抜きできましたか。

116:vsホーリーナイト 3/11 ◆WVAHnGXcls
06/12/01 18:32:27 0UU+7Tsp0
こちらももちろん小細工を弄するつもりはありません。

アイスブランド二刀流。近接戦闘での威力は絶大。
バレッタ。一部ステータス異常を防ぐ。聖剣技の追加効果対策として有効だ。
黒のローブ。身を軽くすると同時に氷属性強化でアイスブランドの威力を向上。
フェザーマント。物理・魔法を防ぐ重要な装備。盾無し鎧無しをフォローする必需品。

私もアグリアス様も、いかなる状況にも対応できるよう旅の中で選んだ装備。
手入れはもちろん行き届いている。何より扱い慣れている。
今日の体調は良好。青空の下、精神が冴え渡っている。
うん、ベストコンディション。
「私も準備できました。いつも通りの装備で挑ませていただきます」
アイスブランドを両手にひとつずつ握りしめて私は立ち上がった。
「ふっ、それはお互い様という訳だな。ラヴィアン、合図を頼めるか」
「はいはい。それじゃ、お互い配置について。あー、もう、何で決闘なんかするかなー?」
「知るか、アリシアに聞け」
「大団円が嬉しくてつい、だそうですよ?」
「……何だそれは。今さら冗談だとかは無しだぞ」
私の動機を聞いてアグリアス様は眉をしかめた。
あははっ、まあ、それはそうですよね。そんな理由じゃ。
満面の笑みを浮かべながらアグリアス様の数メートル前に立った。
アイスブランドを構えた瞬間、鋭利な刃物のように私の表情は凍りついていく。
アグリアス様の顔からも笑みが消えた。しかし、表情には余裕がある。
この辺が実力の差だと実感、アグリアス様がディフェンダーを構えた瞬間から威圧感を感じる。
そうこなくっちゃ。私の緊張が最大限にまで張り詰めた。
これから私のすべてをアグリアス様にぶつけるんだ。よおし、やってやる。
「ラヴィアン、合図よろしくね」
「はい、はい、っと」

117:vsホーリーナイト 4/11 ◆WVAHnGXcls
06/12/01 18:33:00 0UU+7Tsp0
私はアグリアス様の眼を真っ直ぐに見た。私と違ってリラックスしている、自然体だ。
鼓動が高鳴る。一秒一秒がやけに長く感じる。
風が、頬を撫でた。
「それじゃ……いち、にの、さんで……始め」
ラヴィアンが叫ぶと同時にバックステップ
アグリアス様は聖剣技で中距離戦がこなせる、一方私はアイスブランドによる近接戦闘が得意だ。
しかしあえて私は距離を取り、聖剣技の効果範囲から逃れた。聖剣技、封じさせてもらいます。
「大地を肉体とする堅牢なる生命よ、我らを守らん! ゴーレム!」
召喚魔法により呼び出された岩の巨人が雄叫びを上げ、その姿を隠した。
これでアグリアス様の攻撃はゴーレムの巨大な腕が防いでくれる。
さあ、聖剣技を撃って来てください。私は構わず突っ込みますよ。
そう思って突進しようとすると、アグリアス様もまたこちらに向かって疾走していた。
接近戦を挑むつもり!? アイスブランド二刀流のこの私に! 聖剣技を用いず!?
虚を突かれアグリアス様の一刀が振り下ろされる、と、地面から巨大な岩の手が這い出て攻撃を弾いた。
だが岩は一撃で半壊し、アグリアス様の一撃の重さを思い知らされる。
もう一発ゴーレムで防げれば上等。
ならばその一発を放たれる前にこちらからたたみかける!
右手のアイスブランドを真上から一直線に振り下ろす、当然の如くディフェンダーで軽々弾かれ、
その場に踏ん張りながら腰を捻って左手のアイスブランドを斜め下から斬り上げる。
アグリアス様はそれを紙一重でかわした。鼻先数センチの距離を測って。すごい。
驚嘆する私に向かって再びディフェンダーが一閃、ゴーレムの腕が地面から飛び出し、粉々に粉砕。
そのままアグリアス様は私に体当たりを仕掛けてきた。
その動きを見切り、私は即座にサイドステップで回避。
横に回り込んで、アイスブランド二本をバツの字を書くように振り下ろす。
ガキンと甲高い音がしてディフェンダーがそれを防いだ。鍔競り合いが起こる。
「なるほど。強くなったな、アリシア」

118:vsホーリーナイト 5/11 ◆WVAHnGXcls
06/12/01 18:33:42 0UU+7Tsp0
私はこんなに一生懸命なのに、貴女は微笑みを崩さない。
私の成長を見て喜んでくれている。それだけの余裕がある。
でもそれだけじゃ駄目なんです。貴女にどれだけ追いつけたのか確かめたいから。
全力を引き出してもらいます、アグリアス様。
私は軽く腰を引くと同時に、アグリアス様の腹部を蹴り飛ばす。ラッド仕込みの喧嘩殺法だ。
バランスを崩したアグリアス様だけれど、ディフェンダーを握る手はしっかりとしている。
左手にはイージスの盾。確率は五分五分。
でも少しでも動きを封じられればと思い、"確認"の意味を込めながら後退しつつ詠唱。
「風、光の波動の静寂に消える時、我が力とならん」
アグリアス様がイージスの盾を構えるのが見えた、構わず放つ。
「シヴァ!」
召喚された氷の精霊シヴァが氷河の結晶をその場に巻き起こす。
身体を切り裂く吹雪がアグリアス様のイージスの盾により弾き飛ばされ、
氷の残滓が周囲に舞いキラキラと光る。

あっ、綺麗。
光の飛沫の中、盾を下ろし悠然と立つアグリアス様のお姿。
幻想的なその光景は、どんな画家でも表現しきれない美しいもので―。

それを、これから焼き払います。二度防げますか? アグリアス様。
「創世の火を胸に抱く灼熱の王、灰塵に化せ!」
「大地に眠る古の光、眠れるその力を地上にもたらせ!」
あ、駄目だ。向こうの方が詠唱が早い。
「ウォール!」
「イフリート!」

119:vsホーリーナイト 6/11 ◆WVAHnGXcls
06/12/01 18:34:16 0UU+7Tsp0
氷の連撃から意表を突く灼熱地獄。それがアグリアス様の周囲に現れた光の壁に阻まれる。
プロテスとシェルを同時にかける、すなわち魔法戦でも物理戦でも私は不利に陥ったという事。
特にアイスブランド使いの私には痛い。
物理攻撃だけじゃなく、追加発動のブリザラの威力も殺される。いい手です。
けれど、けれどどうしてそこで防御に回るんですかアグリアス様。
間違った手ではない。でも、最善の手でもない。
この距離なら届きますよね、沈黙効果のある無双稲妻突き。
私の装備はバレッタだから、アグリアス様の聖剣技の異常効果は大半を防げる。
不動無明剣のストップ、北斗骨砕打のデス、聖光爆裂破の混乱。
でも、乱命割殺打の死の宣告と、無双稲妻突きの沈黙を防げるのはカチューシャです。
私にダメージを与えると同時に沈黙効果により召喚魔法を妨害できる無双稲妻突き。
イフリートのダメージを軽減するより私に確実に大ダメージを与えつつ、
詠唱を妨害できる可能性のある聖剣技を使わないだなんて……貴女は全力を出していない。
この距離なら無双稲妻突きを放った後にウォールをかける余裕だってありますよね。
私が格下だから、私が弱いから、軽くあしらえるって訳ですか。
その余裕、崩させてもらいます。
裂ぱくの気合と共に私はアグリアス様に肉薄した。
「でやああああああっ!!」
駆け込む勢いを乗せた重い二連撃。
右手で真っ直ぐ氷刃を右脇腹目がけて突き出し、
左手で左斜め下から繰り上げるようにもう一方を突き出す。
右の一手でアグリアス様は左に避け、左の一撃がアグリアス様をとらえるが、
外側からディフェンダーで打ち据えられ軌道をさらに右へとそらされる。
と同時にアグリアス様は私の左手に回った。

120:vsホーリーナイト 7/11 ◆WVAHnGXcls
06/12/01 18:34:57 0UU+7Tsp0
ディフェンダーの軌道が円を描き私目がけて振り下ろされる。
バサッ、私はマントをひるがえさせて姿を隠し視界ギリギリに映るディフェンダーの軌道を見切る。
ディフェンダーがマントの表面を撫でた。一瞬先まで自分の背中があった場所を。
私は振り向き様に左、右、わずかな高低差をつけて氷剣を薙ぐ。
が、最初の一撃はプロテスの膜に威力を殺され、勢いが鈍ったために服をかすめるに終わる。
二刃目はすでに距離を取られ空を切ってしまった。
「くっ……」
「肩に力が入りすぎだ」
アグリアス様は聖剣技があるから強いんじゃない、純粋な剣術だって半端じゃない。
繰り出されるディフェンダーの刃。大丈夫、見切ってかわせる。
一閃。かわした―はずだ! 黒のローブが裂ける。
攻撃力UPによる強烈な一撃は風すらも切り裂き、私に手傷を?
刹那の逡巡、再びディフェンダーが振り下ろされる。
フェザーマントで刃を包んで威力を殺しバックステップ。
ああ、駄目だ。アグリアス様が全力なら聖剣技の餌食。
後退はわずか一歩で踏み留め、アイスブランドで反撃。攻撃。猛撃。
「はああああああっ!!」
次々と放たれる氷刃、次々と弾かれる氷刃、次々と避けられる氷刃。
そして攻撃の合間に余裕を持ってディフェンダーが私を襲う。
避ける、見切って、避ける、避けてるのに!
「ハッ……ハッ……クゥッ……!」
私の一撃が宙を切るのなら、アグリアス様の一撃は風を切っている。
一撃の重みが違う。紙一重の刃が私を威圧する。
避けるしかない。刃で受けては威力に重心を崩されて致命的な隙を作ってしまう。
酷使するフェザーマントが次第に切り刻まれていき、私の呼吸が荒くなる。
「ゼハァッ、ハッ……」
落ち着け、私。手数だけなら二刀流の私が有利。スピードも大差無い。
でも、剣術のレベルが違う。
追いついたと思ったのに、追い放されている? そんなの、イヤッ!

121:vsホーリーナイト 8/11 ◆WVAHnGXcls
06/12/01 18:35:29 0UU+7Tsp0
鋭利に研ぎ澄まされる精神。
氷のように冷たく、クールに、見極めろ、アグリアス様の動きを。
繰り出される剣撃。
見切る。
避ける。
紙一重、前髪が切れる。
左一閃、渾身の一撃に殺意は込められず、しかしアグリアス様の首を狙う。当たれば死ぬ。
―大丈夫。アグリアス様なら、これくらい。
ディフェンダーに切り上げられ、刀身を揺さぶられ、左手からアイスブランドを手放してしまう。
「くっ……アアアアアアッ!!」
次、右!
アグリアス様は悠然と腰を落とし、右のアイスブランドを紙一重で避けようとし、
炸裂する私の右膝。アグリアス様は頬を強打され頭が跳ね上がる。
そこに迫る右手のアイスブランド、それをイージスの盾が弾いた。
構わず左拳でアグリアス様の左手を掴み捻り上げた後、
手を滑らせて拳を作りつつイージスの盾を内側から殴り飛ばす。
アグリアス様の手からイージスの盾が離れた。そのまま左肩でアグリアス様に体当たり。
「あぐっ……!」
肉弾攻撃により後退するアグリアス様。今だ、右手のアイスブランドを両手で握りしめる。
「タアアアッ!!」
真っ直ぐに―刃をアグリアス様目がけて突き出して―。

122:vsホーリーナイト 9/11 ◆WVAHnGXcls
06/12/01 18:36:17 0UU+7Tsp0
金の髪を揺らしながらアグリアス様が体勢を立て直し、刃を振り上げる。
「天の」
見切る。振り下ろされるだろう一撃は紙一重の距離で身体を引いてかわしす。
「願いを」
振り下ろした後の隙を突いて攻撃すれば―。
「胸に」
振り下ろされないディフェンダー。タイミングが……ずれる。
「刻んで」
目算していた距離で私は立ち止まり、来ない一撃を回避してしまった。
「心頭滅却!」
間に合え。腰を捻り体重を乗せた一突きをアグリアス様に―。
「聖光爆裂破!」
閃光。視界が白濁し全身が焼ける痛みに震える。
「―ッ!!」
悲鳴すら出ない。
頭上から足元まで突き抜けた衝撃が頭を揺さぶり、意識を混濁させる。
それでも私は―全力で両手を伸ばした。かすかな手応え。
刹那、首筋に当てられるヒヤリとした鋭利な感触。

「そこまで!」

ラヴィアンの声が響き、私は動く事をやめた。
視力と感覚が戻り、のどにディフェンダーの刃があてがわれている事に気づく。
ほんの少し引くだけで、私は大量の出血をし、死ぬ。
ああ、負けちゃったんだ、私。

123:vsホーリーナイト 10/11 ◆WVAHnGXcls
06/12/01 18:36:51 0UU+7Tsp0
悔しげに見上げたその先―アグリアス様の頬―紅い線が一本。
「……あ?」
アイスブランドが、アグリアス様の頬をかすめていた?
「見事だ、アリシア。よく精進したな」
アグリアス様の笑みから余裕が消えていた。
アグリアス様は最後の最後、全力を出した。
一瞬全力を出されるだけで負けてしまう私。
でも、そこには確かな手応えがあって―。
「やっぱり、アグリアス様にはかないませんでしたか。残念です」
嘘、ちっとも残念じゃなかった。
私はニッコリと笑い、剣を引く。アグリアス様も私の首からディフェンダーを離す。
と、私は急速に襲い来る疲労に思わず尻餅をついてしまう。
「あ、アリシア~、大丈夫!?」
観戦していたラヴィアンが駆け寄ってきた。
戦ってる間、ラヴィアンの存在は完全に意識の外にあった。
「うー……全身が焼けるように痛い……」
「すまんな、手加減する余裕が無かった」
アグリアス様は苦笑しつつ、空になった左手を私に向け、目を閉じる。
「空の下なる我が手に、祝福の風の恵みあらん」
手のひらが、ポウッと光って。
「ケアルガ」
私達を包む。
ああ―あたたかいな。
全身の痛みが引いて行き、アグリアス様の頬の出血も止まり、傷跡すら消えていく。

124:vsホーリーナイト 11/11 ◆WVAHnGXcls
06/12/01 19:00:57 0UU+7Tsp0
「さあ、アリシア」
アグリアス様が左手を差し出す。
「はいっ」
私も左手を差し出す。
手を握り合って、私は引っ張り起こしてもらった。
それからお互い、微笑んで。
「強くなったな」
「はいっ! おかげさまで」

嬉しかった。
貴女と遭えた事が。
嬉しかった。
貴女と闘えた事が。
嬉しかった。
貴女が全力を出してくれた事が。
嬉しかった。
貴女の背中に少しでも追いつけた事が。
嬉しかった。
本当に嬉しかった。
だから、言います。
「アグリアス様。貴女と共に闘えた事、貴女自身と闘えた事を、私は誇りに思います」
「私もだ。アリシアのような騎士が私の仲間である事を心から誇りに思う」

貴女の背中を追いかけて―結局追いつけなかったけれど、少しだけ近づけて―。
これからも貴女の背中を追い続けていいですか? アグリアス様。

   FIN


125:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/01 19:05:05 ThrAnusT0
GJ&乙
すごい面白かった

126:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/01 19:06:26 SFJlXC3z0
9レスめにゾクゾクした。

127:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/01 20:05:47 F8oUk0AE0
アグリと言えば浅野内匠頭長矩の正室

128:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/01 20:54:52 Bbi1PQuYO
爽快感溢れる素敵SSでした
乙です!

129:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/01 23:00:31 WZ9R0Lta0
次はラヴィアンあたりが、ラン○ルローズinイヴァリースでアグリアスさんに決闘を。

130:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/01 23:28:05 08YDgCdo0
ラヴィアンは、新ジョブ「女子プロレスラー」を手に入れた!

131:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/02 00:02:58 MfAyKl+I0
>>124
GJ。ゲーム的な部分もくどくなく巧い事文章に落とせてる感じ。
突っ込みを入れるとしたら、召喚魔法は魔法回避無視じゃよー。

132:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/02 01:04:33 85DZBL0t0
>>124
乙です
まあ実際には、バリアスの谷で再会した時点ではラヴィアリの方が
強いなんて事もよくあるわけですが

133:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/02 01:15:08 u+yrHYMN0
>バリアスの谷で再会した時点では
>ラヴィアリの方が強い

R&A「たいちょー! 大丈夫っすかぁ!!」
アグ「な、なんかお前達、やたら強くなってないか?」
ラヴ「まぁオーボンヌから汎用やってますからぁ~」
アリ「敵は逃げ出しましたね」
ラヴ「で、どうします? ラムザさん~? 隊長仲間にしますかぁ?」
アグ「おいおいおい、つれないな、お前ら!」

134:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/02 02:54:42 NKU3EIz80
ラヴィ「アグリアス様ーッ!私とアリシアとのコンビと、貴女とラムザ隊長とのコンビ、どちらが最強のR&Aコンビに相応しいか勝負ですッ!!」
アグ「ラ、ラヴィアン…」
ラヴィ「いやー、我々の友情パワーとそちらの愛情パワーのどちらに軍配が上がるか楽しみですねえ!イヤこれは余計なお世話でしたかアハ♪」
アリ「あ、あのねラヴィアン、やっぱり止めましょうよ…」
ラヴィ「なーに、ビビッてんのよう。別にアンタみたいにガチンコバトルやろうってんじゃないんだから。
   ルザリアふれんどパークみたいな感じで楽しく勝負してさ、ついでにあのニブトンカチの二人の仲も押してやろうっていう寸法よ」
アグ「実に言いにくい事なんだがラヴィアン、お前の英字綴りは『Lavian』!我らとR&A対決は出来んのだッ!!」
ラヴィ「な、なん(ry

結局、R&A対決はラファたんとアリシアとのコンビが出場することになりました。
ラヴィ「ぐすん…」

135:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/02 03:15:10 ZFBBB7B3O
ラヴィアリとラムアグのR&A対決とはうまいこと言うなぁ

一瞬でもそう思った自分が憎いッ!

136:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/02 07:39:53 Hhnj4yyk0
ちょ、ラヴィアンw
今の今まで自分の名前の綴りを間違えて覚えてたのかw
学校などで名前を記入する機会があったろうに、誰も今まで指摘しなかったのか?

137:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/02 08:19:00 ZFBBB7B3O
竹田と武田の違いみたいなもンじゃないか?

138:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/02 09:21:45 yL+c8A780
兵卒あがりだったりしたら読み書きできないってのもあり得るだろうけど
王女付きの騎士だしなぁ

139:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/02 10:04:51 y4L3iMV8O
アリシアとラヴィアンが学生時代からのコンビで
試験前に必死にアリシアを頼る一夜漬けなラヴィアンだったなら納得かもしれない
いやさすがに名前のスペルは間違えないか……?

140:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/02 10:52:15 VS+FpJNs0
ラムザの名前を勘違いしてたってことにすれば?
L&A対決を申し込むも、ラムザがRで参戦不可能
代わりのLは…ラッドか!?

141:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/02 20:35:49 nMM+VTVp0
もう12月だというのにクリマスSSのアイディアが浮かばない。

142:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/02 20:41:41 NKU3EIz80
エロい奴だな。
構想が練れたら責任持ってエロパロ板に投下しろよ。

143:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/02 23:24:45 85DZBL0t0
クリスマスSSももう結構あるからねえ

144:屋根裏散歩士 ◆0MKMjdfW.M
06/12/03 00:26:52 X+39gq8w0
毎年クリスマスっつーと交通事故で死亡フラグが立ちやすいので、
(近所のイルミネーションを見学しに来た人の車にはねられかけた)
季節感ゼロSS投下します。
べイオウーフとアグリアスだけど寝取られものではなし。
タイトルは「騎士は金髪がお好き」

145:1/8 ◆0MKMjdfW.M
06/12/03 00:27:28 X+39gq8w0
視線を感じる。それも非常に熱いものを。
悪意や下心は感じないのでほうっておいたが、
やはりどうにも気になって仕様がない。
憧れの目線は知っている。同性、異性をとわずアグリアスに憧れる者は多い。
値踏みする目にさらされた経験もある。
小娘のくせに一丁前にホーリーナイトを名乗って、とひがみ半分の人間が大半ながら、
挑発するまなざしで彼女の騎士としての実力や行き方を問うてきた
ガフガリオンという男もいた。
そしておそらくは、女性としての自分にむけられた、
愛情をこめたまなざしを受け取っているらしいことも気付いている。
ラムザ。
誰よりも先陣を切って駆けてゆくその背中を守ることこそが
今の自分が彼の想いに対して応える最良の方法だと、
いまだ自分の気持ちに整理がつかないアグリアスはそう決めている。
ラムザの笑顔をふと思い出し口元がわずかに緩む。
嬉しい、と感じる自分を否定できない。

146:2/8 ◆0MKMjdfW.M
06/12/03 00:28:03 X+39gq8w0
ラムザはいい。異性に対してまっすぐに好意を伝える態度だ。
だからこそこの男からの不可解な視線が気になる。
ベイオウーフ・カドモスはそもそも、
竜に変じた恋人のレーゼを求めて仲間に加わった。
れっきとした恋人がいてその上何年もの別離のあと再会したはず。
このごろこの男、レーゼに向けるものとはまた違う、
かつ熱烈な好意をこめた視線でアグリアスを見据えることが多いのだ。
同じ武人として技量を認め合うような表情をすることもある。
オルランドゥ伯やラムザに向けるそれと同じもので、それは別にかまわない。
それがどうしたことか、ときには剣を振るっている姿の彼女を目にしても、
目尻を思いっきり下げてニコニコと見つめていることまである。
一時期はメリアドールのことも熱心に目で追っていたが、
こちらに対してはなぜか飽きたらしくもうやめている。

147:3/8 ◆0MKMjdfW.M
06/12/03 00:28:55 X+39gq8w0
アグリアスは目立つ。それも、美貌で。
何度仲間たちに指摘されてもぴんとこないのだけれど、
酒場で居合わせた男どもから下卑たちょっかいを出されたことは数多い。
言うまでもなく丁重に夢の世界へ旅立っていただいたが。
男のほうがつい彼女に目を奪われて痴話喧嘩に発展する男女もいた。
だからこの熱視線のせいでレーゼとの間にひと悶着あるのではないかと、
いかにもありそうな展開を予想してうんざりしたものだった。
それが、予想は見事なくらいあっさり裏切られた。
少なくとも自分の恋人が他の異性にいい顔をしていて面白く感じる人間はいない。
恋愛にはうとい彼女でさえなんとなく察しがつくはず、なのだが。
喧嘩とまではいかなくても、レーゼにとってこの状況は愉快とはいえない。
不可解なこの気分を払おうと剣を振り出すとまただ。
おまけに今日はレーゼまでくっついている。
あの熱烈な視線、そしてひそひそ楽しそうに交わされる会話。
「ふふ、ベイオウーフ・・・」
レーゼもベイオウーフも楽しそうに微笑みながらどこかに去って行く。

148:4/8 ◆0MKMjdfW.M
06/12/03 00:29:40 X+39gq8w0
「腑に落ちない」
「ベイオウーフね」
つい半月ほど前までアグリアス同様に熱のこもった目で見つめられていた、
剛剣の使い手メリアドールが同調する。
「なんだか彼、私じゃイメージが違うだのなんだのつぶやいていたけど何のことやら」
「レーゼの態度も何か不自然というかなんといったらいいか」
「普通恋人がよその女に目を向けてニッコリってことはさすがにねぇ・・・」
「それどころか聞いて聞いて、ベイオウーフさんったら昨日はさらに、
 あのニコニコ顔がいきなり崩れたかと思ったらボロボロオンオン男泣きしだしたんですよ!」
漆黒の目をくりくり輝かせたラファはおかしくてたまらないという顔をしている。
「一体何なの・・・?アグリアス、あなた何か変わったことでもした?」
「いつも通りに剣の稽古をしていたつもりだけど・・・」
「んっふっふ、甘い甘い!そこに誰か他の人が来てましたよねっ」
「ラムザが」
「そう!ラムザさんですよ!」
どうやらラファは真相を知っているらしいが、教えてくれる気はないらしい。
「それじゃ、がんばって謎をといてくださいね~」
たまには娯楽も必要だろうが、自分が娯楽のタネにされるのは、
女同士のおしゃべりでつきものの恋愛の話題だけでもう手一杯なのがアグリアスだ。

149:5/8 ◆0MKMjdfW.M
06/12/03 00:31:46 X+39gq8w0
「だから!はっきりさせていただきたいのです!
 一体どうしてベイオウーフ殿が私を見つめなくてはならないのですか!」
みんなで和やかに食卓を囲んだときでもついつい硬い言葉遣いが出てしまうが、
焦ったり緊張したりするとすぐこうなるのもアグリアスだ。
「あはは・・・」
「そうかあそうなのかあ」
「なるほど一応納得できるわね・・・」
「気が早いって・・・何年先のことだよ・・・」
とっくに事情を知っているらしいラムザやメリアドール、
それにムスタディオたちが脇でニヤニヤしている。
こういうときにまとめ役となれるのはオルランドゥ伯くらいしかいないのに、
こちらもまた、あのベイオウーフが見せたような目尻の下がったニコニコ顔。
「ベイオウーフ殿!」
困惑してますます頭から湯気が出るアグリアスを見かねたレーゼが、
恋人の腕にそっと手をそえた。
「ねえもういいんじゃないのかしら?
 アグリアスも子供好きだから怒らないと思うわ」
ね、と上目遣いで覗きこまれるベイオウーフはまたもやあの不可解な笑顔でこちらを見つめる。

150:6/8 ◆0MKMjdfW.M
06/12/03 00:32:33 X+39gq8w0

「は?娘?」
「そう、ベイオウーフったらね、私たちが女の子を授かったとしたら、
 大きくなったらアグリアスみたいになるんじゃないかって」
レーゼがアグリアスに近寄り、その透き通る金の髪に触れる。
「私たちの髪って、色が似ていると思わない?」
「ええ、まあ」
透き通った金髪の色味自体は確かに似ている。
「それでね、私に似た女の子がいいって彼は言うんだけれど、
 私だって彼に似た子が欲しいと思うわけ」
「それで、目元はもうちょっとキリっとさせて、
 女の子でも男の子でも騎士としての剣術や教養は身につけさせるつもりよ。
 ドラグナーの能力は分からないけれど、
 少なくとも魔法剣の素養はある子になるんじゃないかしら」
メリアドールが得意とする剛剣技は、
剣に祈りをこめるのと同時に全身のバネや足の踏み込みを駆使する。
女性騎士として恵まれた長身を存分に生かしたパワフルな技だ。
「ほら、私の剛剣技だと明らかに剣のスタイルが違いすぎるでしょ」
アグリアスの聖剣技は剣に使い手の祈りを載せる技で、
基本の剣術を身に着けるのとはまた違う次元のものといってもよい。
同じく神に仕える騎士の技であっても、
ベイオウーフの魔法剣のほうが性質としては確かに似ている。

151:7/8 ◆0MKMjdfW.M
06/12/03 00:33:52 X+39gq8w0
「それではいきなり泣き出したあれは・・・」
「うふふ、もう、ベイオったら気が早いんだから」
「レーゼに似た美人ならあっという間だろう?」
こちらお二人、またしても自分たちだけの世界に入ってしまったところを
ニヤニヤ笑いのムスタディオがベイオウーフの声色を大げさに真似する。
『君みたいな美人の娘が生まれたら絶対に男どもも放っておかないし心配だ・・・』
調子に乗ったラッドも参加する。
『ああッ!剣に生きる真っ直ぐで真面目な女性に育てたつもりなのに
 やはりいずれはどこかの男に持っていかれてしまうのかッ!』
「生まれもしてない娘に親バカもいいとこだよな!」
「なあ、ラムザ!」
アグリアスの席からはラムザの表情は見えにくくて何もわからない。
「だってアグリアスがあんまりにも『理想の私たちの娘』なんですもの!」
いつの間にかレーゼがアグリアスの背後にいる。きゅっと彼女を抱きしめる。
「可愛いアグリアス、かあさまあなたがお嫁に行っちゃったら寂しくなるわ~」
「なッ!」
「お義父上!お義母上!アグリアス嬢と結婚させてください!」
「ラムザまで!」
「アグリアスさん!僕は真剣です!!!」

152:8/8 ◆0MKMjdfW.M
06/12/03 00:36:01 X+39gq8w0
異端者の烙印を押された一行にとっては避けて通れない、
他人の命を奪う戦い。
根っからのお人よしであるラムザ・ベオルブは、
無駄な血を流すことを好まないまま他人の血で手を染めてきた。
それがこのごろめっきり、後味の悪い人殺しの機会が減っている。
「アグリアスさん!愛しています!!!」
思いのたけを絶叫することで己の潜在能力を極限まで高める方法を知ったラムザは、
毎度のごとくこの手合いの内容ばかりを天下に公表し続けている。
「アグリアスさん!すべての戦いが終わったら僕の妻になってください!!!」
ほかの事にかえたらどうにも身が入らないのだといって聞かない。
仲間たちも大笑いして活気付く上、
敵陣からは早々に戦意喪失者、逃亡者を大量に輩出した。
そしてさらにごく最近はラムザのほかにこの男も絶叫に参加するようになった。
「ならん!アグリアスとの結婚はこのオレが赦さん!!」
「義兄上!僕のどこがご不満なのですか!?」
「うふふ~、可愛いアグリアスはまだまだ私たちのもの♪」
アグリアスと背中あわせで戦っている女性もニッコリと笑いながら、
アグリアスの頬をぷにゃっとつつく合間に敵兵を殴り倒す。
「あんなのが異端者なのかぁ・・・。ハァ、実家、帰るかな・・・」
そしてまた今日も今日とて信仰厚く結束硬いはずの神殿騎士団の平団員たちが、
アホらしさのあまり聖ミュロンド寺院からのそのそと立ち去っていく。

153:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/03 01:33:49 PNzQbBQZ0
>>152
乙です。
ほのぼのSSかと思いきや、終盤はアホ話ですなw

アグたんが誰かの母親的な立場もいいけど、娘または妹的な立場もこれまたいいもんだな。

154:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/03 14:22:44 ELflDNcTO
ベイオかわいいよベイオ

155:辺緒瑠部家らむ平
06/12/03 22:51:47 31i/7hjl0
             )∧..∧    
           . (´・ω・`)  <アグリアスさん!僕は真剣です!!!
           cく_>ycく__)    
           (___,,_,,___,,_)  ∬  
          彡※※※※ミ 旦
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     さすが異端者!    お尻に敷かれぬように…
     \     /      \    ∞    /
 l|||||||||||||| ∩,,∩ ∩,,∩  ∩,,∩ ミ∩ハ∩彡
 (,    )(,,    )    ,,)(    )(    )
        ラヴィ             アリ

156:「アグ単」購入一号
06/12/03 23:12:00 kW/NUNEZ0
おお!今気がついた!
ちゃんとアホ毛がついてる!

157:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/03 23:28:09 dMmCQkzc0
アグたんの体臭をスーハー・・・

158:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/04 01:13:09 Tdbn0hi10
fate,ジャンヌとやってきたがやっぱアグたんが一番だった

159:1/3 ◆5ulQYykmOo
06/12/04 17:04:10 ys+ZOdww0
こんにちは、初投下です。
学生なら誰でも一度はやる命乞い(w のお話を。



一週間後、試験がある。
いや、試験ならば昔から幾度となくあった。

学生は合格に向かって勉強し、そして己の無力を思い知る。
裏技を使うという愚さえ犯した学生たち。
発覚を恐れた学生たちは、その無残な光景を見て正攻法でいこうと心に決めた。

合格に最も遠い態度で合格を目指す彼女ら―




160:2/3 ◆5ulQYykmOo
06/12/04 17:05:24 ys+ZOdww0
そのとき私は、教官の部屋にいた。
貞操の危機を告げるいやらしい顔が、私に近づいている。
なんでこんなことになったのか―

初めから思い出してみよう…。


―王都ルザリア士官アカデミー。

規模としては、畏国全土に優秀な兵士を送り出したガリランドのそれには及ばないが、王家直属の騎士を養成するという栄誉と、設立以来長い歴史を持つという点では畏国最高の教育機関である。
だが、長い歴史は腐敗をもたらし、昔よりも楽に入学できるようになってからというものの、生徒の質の低下が問題となっていた。

…らしいわ。

私もそこの生徒の一人。
立派な騎士になって王家に仕えるために入学させられた。
でも、私にはちょっと荷が重いみたい。
流石に王家直属なだけあって、校則と試験の厳しさは生半可なものじゃない。
これなら、そのガルバナだかガリランドだかなんか目じゃないわ。

今日だって一週間後の試験のために勉強してるの。
でもね、どうもうまくいきそうにない。このままじゃ落第しそう…。

私は、成績のためなら何でもやる決意よ。
私の担当の教官は50過ぎで昔ながらの堅物。生半可な頼み方じゃとても動いてくれそうにない。でもその反面むっつりな所があるらしくて、ついこの間も同じクラスのラヴィアンが噂してたのを覚えてる。
普通のやり方でダメなら思い切って、ちょっと強引な手を使うつもり。



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