FFの恋する小説スレPart7at FF
FFの恋する小説スレPart7 - 暇つぶし2ch2:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/10/31 20:25:38 LQ5+YyoN0
2

3:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/10/31 20:26:05 PT4lXM8f0
【過去スレ】
初代スレ FFカップルのエロ小説が読みたい
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*廃スレ利用のため、中身は非エロ
FFの恋する小説スレ
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FFの恋する小説スレPart2
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FFの恋する小説スレPart3
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FFの恋する小説スレPart4
スレリンク(ff板)
FFの恋する小説スレPart5
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FFの恋する小説スレPart6
スレリンク(ff板)

【FF・DQ板内文章系スレ】
FF・DQ千一夜物語 第五百五十二夜の2・5
スレリンク(ff板)
かなり真面目にFFをノベライズしてみる。その7
スレリンク(ff板)
もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら八泊目
スレリンク(ff板)

4:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/10/31 20:26:51 PT4lXM8f0
【お約束】
 ※18禁なシーンに突入したら、エロパロ板に書いてここからリンクを貼るようにしてください。
   その際、向こうに書いた部分は概略を書くなりして見なくても話はわかるようにお願いします。
【推奨】
 ※長篇を書かれる方は、「>>?-?から続きます。」の1文を冒頭に添えた方が読みやすいです。
 ※カップリング・どのシリーズかを冒頭に添えてくれると尚有り難いかも。

 初心者の館別館 URLリンク(m-ragon.cool.ne.jp)

◇書き手さん向け(以下2つは千一夜サイト内のコンテンツ)
 FFDQ板の官能小説の取扱い URLリンク(yotsuba.saiin.net)
 記述の一般的な決まり URLリンク(yotsuba.saiin.net)
◇関連保管サイト
 FF・DQ千一夜 URLリンク(www3.to)
◇関連スレ
 FF・DQ千一夜物語 第五百五十二夜の2・5
 スレリンク(ff板)
◇21禁板
 【FF】エロパロFF総合スレ 3
 sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1160480047/
 FFDQカッコイイ男キャラコンテスト~小説専用板~
 www3.to/ffdqss

5:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/10/31 20:28:11 PT4lXM8f0
【補足】
 トリップ(#任意の文字列)を付けた創作者が望まない限り、批評はお控えください。
 どうしても議論や研鑽したい方は URLリンク(book.2ch.net)

 挿し絵をうpしたい方はこちらへどうぞ URLリンク(ponta.s19.xrea.com)

【参考】
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  (500kbが近付いたら、次スレを準備した方が安全です)

6:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/10/31 20:39:17 7RPZ6IVB0
>>1乙!


7:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/10/31 21:22:10 HPi4gGWB0
>>1乙!
そして続き物も新作もwktkして待ってる!

8:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/10/31 21:49:42 C3od+1hc0
>>1乙です

9:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/01 00:44:27 wI7Qrh6F0
>>1乙!
今後も職人さんがたには期待してます
マターリがんがってくださいw

10:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/01 08:57:50 KFxzo5UC0
>>1
乙です。このスレでも色んな作品が読めるの楽しみにしてます。

11:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/01 23:42:57 Uvq5ynz40
即死回避しつつワクテカ

12:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/02 11:46:42 ET/dag7cO
保守

13:ALERT 01(デンゼル編)
06/11/02 15:45:14 qfNlQHEH0
舞台:FF7AC~DCFF7のエッジ
参照:前スレ550-552(時間経過で言えばこの話の後が前スレ分)
----------


 エッジが怪物に襲われたあの日、俺はクラウドの仲間達を初めて見たんだ。みんな、あんな怪物に
向かって走っていくんだ。しかも手を振ったり、笑ったりしながら。
 ……俺は……ただ必死だったから。気がついたらティファが俺を庇って倒れてて、その後ろに怪物が
見えた。あとは何も考えてなかった。バレットに止められてなかったら、俺どうなってたんだろう? 今
考えるとバカだよなって思う。でもその時は本当に必死だったんだ。だから恐いとか、そういうの感じる
余裕なかったんだ。
 でもみんなは違った。クラウドも、みんなも、強いからあんなに余裕があったんだ。クラウド達がエッジを
守ったんだ。……俺は、待ってる事しかできなかったけど。
 だから俺も強くなりたいって、強くなって誰かを守れるようになりたいって、そう思った。星痕のこととかで
マリンにも心配かけてばっかりだったし。WROに入隊を志願しようと思った最初のキッカケだった。
 この話を打ち明けたらティファは最初、あまりいい顔をしてなかった。マリンと一緒になって「男の子って
どうしてそうなのかな?」ってクラウドに言ってた。よく分かんないけど、クラウドは俺の方を向いて笑ってた。
それから「がんばれよ」って言って賛成してくれたんだ。リーブの連絡先も知ってるから直接訊いてみるか? 
って言ってくれたけど、俺はそれを断ったんだ。

「ありがとう、でも俺一人の力でやりたいんだ」

 その気持ちは嘘じゃない、みんなを守れるぐらい強くなるためには、最初から誰かに頼ってちゃいけない。
そう思ったんだ。
 でも、……強がりだった。
 後になってよく考えたら、どうやって入隊すればいいのかも知らない事に気づいた。でも、今さらクラウドや
ティファには言えないし……。そう思って途方に暮れてたんだ。

14:ALERT 02(デンゼル編)
06/11/02 15:51:25 qfNlQHEH0
 そんな俺を助けてくれたのは、やっぱりマリンだった。
「……伍番街に行けば会える気がする」
 そう言ってくれたマリンに、俺はどうしてと聞いた。するとマリンはこう答えた。
「あそこは、おねえちゃんの住んでた家だから。あと、……お母さん」
 “おねえちゃん”の事は話だけ聞いて知ってた。マリンの付けてるリボンの持ち主で、クラウド達の大切な
人だって。……あと、俺たちの星痕治してくれた人だって事も。
 でも、“お母さん”って誰だ?
 それっきり黙って俯いたマリンは、猫のぬいぐるみを膝の上に乗せて大切そうに見つめていた。この
ぬいぐるみは知ってる。クラウド達の仲間だったケット・シーだ。あれ? そう言えばケット・シーを動かしてる
のは……。
「リーブさん!? おいマリン、伍番街のどこに行けばリーブさ……」
 気づいた俺は大喜びだった、だってリーブさんといえばWROの局長だぜ? だから考えるよりも先に
言葉が出てたんだ。でも、話してるうちに気づいた。
 ―“おねえちゃん”の家で、“お母さん”が住んでる。……なんでそこにリーブさんなんだ?
「なあ、マリン。それって……」
 俺が俯くマリンを覗き込んだ時だった。
『……ちょっとマリンちゃん、ボクとのデートの場所、教えたらあきまへんで』
「しし、しゃべった!?」
 マリンの抱えてるぬいぐるみが独りでにしゃべり出したのだ。……違う、しゃべるって事は知ってたけど、
突然の出来事に驚いたんだ。それでつい大声をあげた俺を、ケット・シーが見上げていた。
『そないに驚かれるのも久々ですわ。……初めまして、やな。君マリンちゃんのボーイフレンドかいな?』
「そっ、そんなんじゃ……!」
 さらに大声で反論した俺を、ケット・シーがしっぽを振って見つめている。からかわれているのだと思った。
 それをよそにマリンがケット・シーの頭を撫でながら、笑顔で話しかけている。
「……最近ずっと動いてなかったから、心配してたんですよ?」
『心配してくれてたんか? おおきに。マリンちゃんこそ元気やったか?』
 話しかけられたケット・シーは、マリンを見上げると手を振った。……その仕草はちょっと可愛い。
「うん。リーブさんは忙しそうだって、ティファ達も話してました」
『まぁ、確かに忙しいのもあるんやけど……』

15:ALERT 03(デンゼル編)
06/11/02 15:56:34 qfNlQHEH0
 少し言いよどむケット・シーの姿を、マリンが心配そうに覗き込んで「また調べもの?」と尋ねると、『そんな
もんですわ~』と答える。それから会話が途絶えた。見つめ合ってるふたり(?)に、ちょっと声かけづらかった
んだけど、聞かなきゃ何も分からない。
 だから思い切って聞いてみた。
「あ、あの……良いかな?」
『なんや、やきもちか?』
 ……コイツやっぱり可愛くない、と心の底から思った。
「違うってば! ……質問があるんだけど」
 俺をからかってるような態度に少しだけ腹が立った。だからちょっと口調がきつくなったんだけど、ケット・シーは
全然気にしてないみたいだった。
『ええけど、高うつくで?』
「金取るのかよ……」
『金やあれへん。せやな、デート1回や』
「あんたって男とデートする趣味あるのかよ」
『失敬な。……大体、ボクみたいなカワイイ男は他におらんで? 逆にボクとデートできるの光栄や思て
もらいたいですわ』
 ああもう、何だよコイツ可愛くないな。
 前にクラウドが、ケット・シーのことを「ちょっと苦手だ」って言ってた意味が少し分かった気がする。俺も、
あんまり得意じゃないかも知れない。
「あんたって……“おねえちゃん”の何?」
『“何?”言われても……なんや、本命はマリンちゃんやないんか?』
「違う! ちょっとはマジメに答えろよ」
『……怒られてしもた』
「怒るに決まってるだろ!」
 そう言った俺に、ケット・シーが『まあまあ』とか言ってたみたいだけど、こっちはそれどころじゃなかった。
本気になってマリンの抱えてるぬいぐるみを引っ張って取り上げようとしたんだ。そんな俺を見上げながら、
ケット・シーを両腕で庇うマリンに、こう言われた。
「……あそこはね、私がここへ来る前にいた場所なの」
『エアリスさんの家ですわ。そんで、ボクらが出会った記念の場所や。……まあ最初は嫌われ者やったけど』
 そう話すとマリンは照れたように「だって!」と頬を膨らませて、でも楽しそうにしゃべってた。マリン達がいた
家のことも、その理由も。何も知らなかったのは俺だけだった。

16:ALERT 04(デンゼル編)
06/11/02 16:00:20 qfNlQHEH0



 ―それはまだリーブが神羅カンパニー都市開発部門に勤めていた時代、人々がメテオの脅威に
さらされる少し前の話。
 彼はケット・シーを遠隔操作で操り、素性を明かさずクラウド達に接触した。その任務はクラウド達の
行動監視と、古代種の神殿への鍵となるキーストーンを奪うこと。
 クラウド達にスパイ活動が発覚したとき、彼は人質を取って自らの同行を求めるため交渉の材料とした。
 その時、人質になったのがマリンと、エアリスの育ての母エルミナだった。



「……だからマリンがケット・シーを預かってるのかよ?」
「ううん。それはもう一つ別の理由があるんだけど」
 まだ内緒。とマリンは笑った。ちょっと嫌な気分だった。
「それから、エルミナさんと過ごしたの。……ケット・シーがいなくなっちゃってからリーブさん、たまに
来てくれたよね?」
『せや。楽しかったな』
「うん。楽しかったね」
「…………」
 ふたりはそれから何も語ろうとしなかった。
 そう、全てが終わるあの日まで―マリンのお父さんが帰ってきたのと引き替えに、楽しい日々は
終わりを告げた。
「エルミナさんは……」
『……そんな事よりマリンちゃん、ちょっとええか?』
 まるでマリンの言葉を遮るようにケット・シーがしゃべり出した。『噂の検証、どないやろうか?』
「うわさ……?」
 首を傾げる俺に、マリンは「ほら!」と促す。言われて心当たりがない訳じゃない。
「もしかして……幽霊の?」
『なんや、君も知っとったんか』

17:ALERT 05(デンゼル編)
06/11/02 16:07:58 qfNlQHEH0
「……当たり前だよ、この辺じゃ知らないヤツいないと思うけど?」

 毎夜、ミッドガルから聞こえてくる不気味な声。
 あれはきっと、メテオで犠牲になった人達の……。

 そう考えただけでも良い気分はしなかった。あの災害でみんな沢山のものを失った。住んでいた家も、
家族も、大切な人達も……なにもかも。
 だからミッドガルの異変に気づいたとしても、そのことを積極的に話したがる大人はいなかった。わざわざ
嫌な思い出を振り返りたくないし、今はこの前壊されたエッジの再建作業でそれどころじゃないのかもな。
 でもこの不気味な声の噂は、肝試しみたいな感覚で俺たちの間ではよく話されてた。だから、エッジの
子ども達でこの話を知らないヤツはいない。
「ケット・シーはね、その噂の調査のためにここに残ったんだって」
「それで、マリンが預かってたんだ……」
 それを聞いて何だかホッとした自分がいた。だけど、ケット・シーが何でわざわざ?
『なにか新しく分かった事あれへんか?』
 ケット・シーの問いかけにマリンは首を横に振る。確かに、俺たちも全員が同じ声を聞いてるって訳じゃ
ないし、おもしろ半分で言ってる連中も中にはいた。俺も、実際に聞いたかって言われると自信がない。
ただの風の音かも知れないし。
『時間とか、場所とか……なんでもエエねん。何か気づいた事あったら、教えてくれへんか?』
 その言葉に、マリンは頷く。それを見て―ちょっと悩んだけど―ケット・シーに向けてこう言った。
「……それ、俺も手伝って良いかな?」
『遊びとちゃうで?』
 振り向いたケット・シーがこれまでになく真剣な口調で言った。もちろん、そうじゃないって言い切る自信は
ある。
「興味本位で言ってるんじゃないよ。……ケット・シーが今こうしているのは、何か理由があるんだろ? 
俺、なんでも良いから役に立ちたいんだ」

18:ALERT 06(デンゼル編)
06/11/02 16:10:46 qfNlQHEH0
 マリンの膝の上で手を組んで、少し考え込んだ様子のケット・シーは顔を上げると、俺を見てこう言った。
『無茶したらアカンで?』
「もちろん」
『もし、危なくなったらすぐ大人を呼ぶんやで?』
「分かってるって」
 その言い方が、まるで子どもを心配している親みたいだった。頭の片隅で、本当の両親の顔を思い出す。
ちょっとだけ鼻の奥がつんとなったけど、今はもう平気だ。
 ケット・シーはもう一度考え込んだように腕を組んで、しばらくしてからこう言った。
『ボクらがほしいのは……噂の詳しい内容、発生する時刻、場所……できるだけ多くの情報なんや」
「街の人に聞き込みすればいいね」
 その言葉を聞いて、ケット・シーが大きく頷く。
『せや』
「俺、やるよ」
 それからケット・シーはマリンを見上げた。意見を求めているのだろうか? それからマリンは「うん」と
言って頷いた。
『……ほな、頼んます……ええと』
「デンゼル」
『よろしゅうな、デンゼル』
 そう言って手を差し出してくれたのが凄く嬉しかったんだ。だから、がんばろうって思った。力がわいてきた。
 そんな気持ちとは逆に、悪戯っぽい事を思いついて試しにこう言ってみた。
「なあケット・シー。もしもこれが成功したら、報酬くれる?」
『……何や? 金取るんか?』
「お金なんかいらないよ……そうだな、デート1回! どう?」
 さっきのケット・シーのマネしてやったら、ちょっとびっくりしてたみたいだ。へへっ。
『デンゼル、男の子とデートする趣味あるんか?』
 ケット・シーはすかさず反論してくる。だけど不思議と腹は立たなくなった。
「そんな訳ないじゃん。……俺とデートできるんだから、逆に光栄に思ってもらいたいぐらいだね!」
『むむむ……』
 う~んと唸るケット・シーに、ごめんごめんと言ってからこう続けた。


「俺、WROに入りたいんだ」

19:ALERT 07(デンゼル編)
06/11/02 16:20:09 qfNlQHEH0

                    ***

 あの人に会ったのは、ずいぶん後になってからの事だった。まさか本当に来てくれるなんて思って
なかったから、最初は緊張してて、それから俺自身のことを伝えるのに必死で、だけど入隊したいって
気持ちは強かった、だから入れて欲しいって言ったんだ。
 あの人は首を横に振った。それから、俺にこんな事を言い残して去っていった。

 ―「大人の力を呼び起こせ」

 あれから一生懸命考えた、だけどやっぱ意味分かんないよ。
 俺は、早く大人になりたかったんだ。
 呼び起こすんじゃなくて、俺の力で誰かを守れるようになりたいんだ。……これ以上、大切な人達を
失うのは嫌だったから。

 俺にはまだ無理だって事ですか? お願いです、教えてください。


                                        ―ALERT(デンゼル編)<終>―




----------
・DCFF7第2章「エッジで奇妙な噂が…」と語る裏で繰り広げられたであろう調査風景に
 彼らが一枚噛んでいる…というそんな話。
・前スレ550-552よりは前の出来事で、プロローグ2みたいな感覚でデンゼル編。
・キーストーンの件ではケット・シーとリーブの共謀による誘拐と(勝手ながら)位置づけてます。
・FF7AC公式サイト小説「On the Way to a Smile」で会う前に、実はこんな遣り取りあったら良いな、
 という妄想の産物。…即死回避のお供にどうぞ。
 お読み下さいまして有り難うございました。

20:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/03 13:39:18 D09QWlgT0
>>13-19
GJ!ケットとマリンがとても仲良くて可愛らしい(*´д`*)
デンゼルも(・∀・)イイ!「早く大人になりたい子ども」感がよく出てたと思う。
ケットとマリンの仲に割り込もうとするデンゼルは、
やっぱヤキモチ焼いてるようにも見えますたw

21:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/04 21:05:48 uUWeIDyo0
乙!

22:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/05 16:16:04 tXE7v60B0
GJ
続きが読みたいです

23:チラシの裏に注意書き ◆Lv.1/MrrYw
06/11/05 21:23:51 lls4PLp70
投下のタイミングがまちまちになると思いますが、その辺はどうかご容赦下さい。

 ・冒頭2レスを読んで肌に合わないと思われた方はスルー推奨。
 ・「インスパイア」という能力そのもののとらえ方(定義)が曖昧ですが、それがテーマかも。
 ・舞台はDCFF7終了後。つまり完全に 捏 造 です。
 ・作者は間違いなくFF7、FF7ACもDCFF7も大好きです。
 ・DCFF7ロストエピソード、BC、CCはこのSSでは考慮対象外です。……そもそも捏造ですが。

これだけ言い訳並べておいてなんですが、石を投げられる覚悟はできてますのでどうぞご自由にw
そんなこんなで以下、本編冒頭部分です。(2レス程度ですが…)

24:ラストダンジョン (1)
06/11/05 21:29:41 lls4PLp70
参照:>>13-19 前スレ550-552(プロローグみたいな物)
----------



 ―戦いと同じ数だけ悲しみがありました。
    戦いの中で、星に還った人達がたくさんいました。
    「悲しみと引きかえに、全部終わったんだよ」
    そう言われたのは6年前でした。
    だけどまだ、人は戦うことをやめませんでした。

    ある人は言いました。
    「大切なもがあるから人は生きて、そのために戦う。
    だからこの星に人が生きる限り、戦いが絶えることはない」。

    戦いを望まないのに、戦わなければならない人達がいました。
    彼らはいつも大切なものを背負って、戦場へと赴きました。
    そこで訪れた死を目の前にしたとき、はじめて気付いたのです。
    “星に還れない命”があることを。

    これは
    この星で最も悲しい運命を生きた命と、
    その命を救おうとした人々の物語。

25:ラストダンジョン (2)
06/11/05 21:33:48 lls4PLp70
 窓越しに空を見上げれば、灰色の雲が広がっている。つい先程まで青空に浮かぶ雲の色は
白かったはずなのに。
「雨……かな?」
 椅子から立ち上がると少女はそう呟いて、窓辺に置かれたぬいぐるみを手に取った。

 今を遡ること6年ほど前。
 当時、繁栄の頂点にあった魔晄文明と、それを象徴する都市ミッドガルが滅んだ。後にメテオ
災害と呼ばれる事変だった。
 いつしか少女の父と仲間達は、その戦役を経て英雄と呼ばれるようになった。少女がまだ幼かった
当時、父が何をしていたのか? その話を聞かされ、理解できるようになったのは最近のこと。
 彼女の父が、自分のことを英雄だと言うことは一度としてなかった。
 彼だけではない、共に戦った仲間達の誰もが、自らを「英雄」だと言うことはなかった。
 自分のため、自分の大切だと思うもののために戦った。その一方で犠牲を強いた。たくさんの尊い
生命が地上から失われた、彼らの仲間であった少女も、戦いの中で命を落とし、星へと還った。
 だから決して「英雄」などではないのだと、自戒するように言っていた姿を思い出す。
 そんな彼らは強い絆で結ばれていた。
 旅を終え、離ればなれに過ごす様になっても、その絆は変わらずに彼らを繋いでいた。

「……クラウド達から連絡は?」
「ないわ」

 少女の手に抱かれたぬいぐるみを、少年は見つめていた。
 かつてそれは、人の言葉を話し、笑顔を分かち合った存在。
 けれど今は、物言わぬただのぬいぐるみに戻ってしまった。

 彼らの元にようやく訪れたと思っていた平穏。しかしそれは静かに、異変を告げた。
 沈黙によってかつての英雄達を導き、最後の戦場へと誘う使者―その名は、ケット・シー。


----------

26:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/05 22:21:53 36iErj610
>>23-25
GJ!「もっと読みたい、もっと読みたい」と思わせてくれる表現力スゴスw
感想を上手くいえない自分が悔しいー。のんびりマターリ次回を待ってますw

27:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/05 22:28:35 tXE7v60B0
>>◆Lv.1/MrrYw
GJ!クラウド(達)また行方不明w
喋らないケットシーは「かわいいぬいぐるみ」の裏に
魂の抜けた骸ってイメージが付きまとって怖いと思った
続き激しく期待!!!

28:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/07 01:35:55 rdx5fymg0
乙!

29:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/08 00:49:03 3KrRNGgN0


30:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/08 16:59:03 8lqpHNSL0


31:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/09 02:11:37 eflMpu8N0


32:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/09 19:52:48 xKGunCgo0


33:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/10 18:03:29 9f4+Yqhu0


34:ラストダンジョン (3)   ◆Lv.1/MrrYw
06/11/11 02:19:31 M2v57Wpa0
前話:>>24-25
----------

                    ***

『艦長、我々は指示があるまで上空にて待機します』
 飛空艇コントロールルームからの通信に片手を上げて応えたシドがタラップを降りたのを見届けると、
ハッチは閉ざされ飛空艇は浮上を開始した。
「……ちくしょう、とんでもねぇ大馬鹿野郎だ!」
 地上に降り立った途端、不機嫌を隠さずにシドは言葉を吐き出した。浮上する飛空艇を背に、彼の
目の前にそびえ立つ巨大な建造物を憎らしそうに見上げた。こうしてシドを含めた仲間達は噂に聞く
W.R.O―世界再生機構―の新本部施設と初の対面を果たした。



 同機構からの援助を受けている飛空艇師団、その長を務めていたシドに今回の報がもたらされたのは
つい一週間ほど前の事だった。それを聞いた妻のシエラなどは「久しぶりにみんなが集まるのね」と、
さも楽しそうに語り、夫を送り出した。
 余談にはなるが3年前のオメガ戦役で、自分の名前を付けられた飛空艇シエラ号が墜落した事を受けて
「飛空艇に二度と私の名前は付けないで下さいね」と言ったことに端を発して夫妻が揉めたというエピソードは、
飛空艇師団の中ではわりと知られた事だったが、今回の件とは直接関係がないのでこれ以上触れないでおく。
 報せを受けたシドがかつての仲間達を集めるのは比較的簡単なことだった。飛空艇を駆れば世界は
それ程広くはないからだ。しかし重要なのは招集の理由だ。

35:ラストダンジョン (4)   ◆Lv.1/MrrYw
06/11/11 02:23:28 M2v57Wpa0
「……シド、これは一体どういう事なんだ?」
 クラウドが神妙な面持ちで問う。
「そりゃ、こっちが聞きてぇ」
 視線をおろし不機嫌なままシドは答える。招集に応じて皆を迎えに行ったのはシドだが―単に説明が
面倒だという理由にしても―彼自身もいまいち状況を把握できていないらしい。そんなシドの様子を見て、
クラウドが一抹の不安を覚えたのは言うまでもない。
 ちなみにクラウドは仕事の帰り道、突然目の前に着陸した飛空艇によって―「招集」と言うよりも半ば
連行されるようにして―愛車と共にここへやって来たという経緯がある。こうなると怒りと言うよりも驚きと
疑問、あるいは不安の方が大きくなる。いくらシドとはいえやり方が強引すぎるからだ。ここまで強硬な
手段を使うとなれば、恐らく事態は一刻を争うほどなのだろうと容易に想像がつく。
 しかしその「緊急事態」に、今のところ思い当たる節がない事が一番の不安要素でもあった。狂気の英雄も
メテオもジェノバの遺恨もオメガもディープグラウンドも、これまで世界に迫る脅威はことごとく退けてきた。
また、今はそのような存在があるという話も耳にしない。クラウドの知る限り、世界はこれまでになく平和で
あるはずだった。
 黙って考え込んでしまったクラウドを見かねたユフィが、シドの後に続けて話し出す。彼女はW.R.Oへ協力し
活動を続けていたこともあり、ある程度―と言っても、クラウドやシドに比べてという意味だが―事情に
通じている立場にいた。
「なんでも建造中の新しい本部施設に、リーブのおっちゃんが閉じ込められちゃったんだとさ」
 その言葉を聞いて、クラウドが「え?」と言う表情のまま固まった。変な言い方ではあるが、ユフィの語った
招集理由に、期待を裏切られたという思いは否定できない。ちらりと視線を向けた先のシドは、異常なまでの
鋭さを帯びた視線をW.R.O新本部施設に向けていた。不機嫌を通り越し、もはや殺気に満ちている。

36:ラストダンジョン (5)   ◆Lv.1/MrrYw
06/11/11 02:26:38 M2v57Wpa0
「……閉じ込められたのはリーブだけなのかしら?」
 今回の事件の概要、それも輪郭だけを語ったユフィから不足している情報を引き出そうとティファが尋ねる。
彼女の口調がいつにも増して穏やかに聞こえたのは、場の雰囲気を察して意識的にそうしていたのかも
知れない。
 ちなみにクラウド連行に関しては、彼女の協力無しには達成できなかった。今回の招集に関して言えば
一番の功労者であり、クラウドにとっては信頼を寄せる相手だけにちょっと厄介な立場をとっている。
 もっともシドやユフィに言わせると、自分たちを含め他の仲間からの着信を無視し続けた報いだと言われれば
反論は出来ないのだが、無視したくなる気持ちも分かって欲しい。尚、ここでクラウドの名誉のため誤解の
無いように補足しておくと、決して嫌いだから出ないという訳ではない。
「そうらしいよ。なんでもリーブのおっちゃんが設計した新本部施設は、3年前の敵襲の教訓を踏まえて、
万が一侵入されたときの対策だ! とか言って思いっきり中をややこしい作りにしたらしいんだ。だけど
いざ完成が近づいた今頃になって、中にいたおっちゃんが外に出れないってことが分かったってワケ。
……どうでもいいけどさ、人騒がせだよね~」
 隊員達に聞いて回った話をまとめたユフィは一通りしゃべり終えると、両手を頭の後ろで組んでぼんやりと
空を見上げた。W.R.O新本部施設の、潔癖とも思えるほど真っ白な外観が視界に広がった。
「……どうも腑に落ちん話だ」
 対照的にヴィンセントは怪訝そうな表情をユフィに向けた。
「と言うと?」
 クラウドの問いかけに応じ、ヴィンセントは先を続けた。
「設計しているのがリーブなら、中に“閉じ込められる”というのは不自然だ」

37:ラストダンジョン (6)   ◆Lv.1/MrrYw
06/11/11 02:34:12 M2v57Wpa0
「間違っちゃったんじゃないの? ホラ、ああ見えてリーブのおっちゃん意外とおっちょこちょいだし」
 どこまでも能天気なユフィの言葉を聞いたクラウドとシドが「そうなのか?」と言いたげな視線を向けて
いたが、当の本人は全く気付いていない。
「ユフィほどじゃねーだろ」
 バレットが笑いながら横から口を挟むと、ユフィは頬を膨らませてむっとした顔を向ける。そんな姿を見て
さらに面白そうに笑いながら「冗談だ冗談」と頭を掻くバレットに、ユフィがくないを手に飛びかかろうとした
ところで、中断されていた話をヴィンセントが再開する。
「……リーブはミッドガルの設計に最も深く関わった中の一人だ。そんな人間が設計ミスとは考えにくい。
仮にそうだとしても今回の件がユフィの話通りならば設計ミス以前の問題だ。……それに」
 言いかけて、ヴィンセントは言葉を止める。ユフィも手を止めてヴィンセントを振り返り、横にいたシドは先を
促すように顎を引いたが、けっきょく先が続くことはなかった。
 確かにヴィンセントが言うのももっともな話だった。あれだけの巨大都市の開発に長年関わっていた男が、
今さら規模が大きいとはいえ建造物1つにミスというのも考えにくい。それに、自分自身が中にいるのに
出られなくなるというのは、設計ミスというレベルの問題ではない。ヴィンセントにしてみれば、だからこそ腑に
落ちないのだ。

38:ラストダンジョン (7)   ◆Lv.1/MrrYw
06/11/11 02:37:13 M2v57Wpa0
 なにより彼にはもう1つ『腑に落ちない』と口にする理由が存在するのだが、どうやら現時点ではさしたる
問題にはならないようだ。
「とにかくよ、入り口でうだうだ考えてたって始まらねぇ。中入ってみりゃ分かるだろ」
 ヴィンセントのお陰で難を逃れたバレットが、ユフィから距離を置くように後ずさりながらもっともらしい提案を
する。
「虎穴に入らずんば虎児を得ず、か。なるほどバレットの言う事も一理ある」
 そこへいちいち注釈を加えて頷くヴィンセントを、相変わらず几帳面なヤツだとバレットは笑う。
 こうして仲間達は、パーティーに招待された賓客とでも言うように、正面入り口からW.R.O新本部施設へと
足を踏み入れたのである。

 平和に浸っていた人々を巻き込んでのパーティーは、こうして賑やかに幕を開けた。




----------
・冷静に読み返すとこれ、
 「リーブを建造中のWRO本部施設に閉じ込めてみた」ってなノリになってるよ…。
 (一応、主旨はシリアスのつもりですが不安になって来たので期待せずにマターリして頂けますと幸いですw)

39:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/11 23:40:59 rCfdsEsd0
>>◆Lv.1/MrrYw
GJ!メンバー達のからみを見るだけでワクワクしてくる!
リーブは一体何を企んでるのだろう
ナナキは飛空挺にいないのかな
色々気になりつつ続きマターリ待ってます


40:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/12 11:17:26 NnE+eiPu0
>「リーブを建造中のWRO本部施設に閉じ込めてみた」ってなノリになってるよ…。
い ち ば ん 吹 い た w
ユフィとバレットのやりとりや、さりげなく助けたヴィンセントもいいけどこれ最強ww
続きをマターリお待ちしていますw

41:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/12 12:09:47 jrhVGEPk0
自分も真っ先に閉じ込めスレが浮かんだよw
メンバー達のやりとりがいい!
わくわくする。続き楽しみにしてます。

42:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/14 04:42:53 P1acqqFG0
GJ!

43:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/15 02:18:26 9wNTt3jb0
スレ一覧で最下層は妙に緊張するなぁ
保守

44:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/15 12:03:05 bXJ47gCf0
アッー!

45:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/16 08:20:11 /EGCTUPG0
hosyu

46:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/17 17:45:53 xtONbCdu0
保守

47:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/19 01:36:55 lfcW5hck0


48:小ネタ。〈1〉 ◆.ZfWgAl0Y2
06/11/20 00:04:14 eeHy2VkL0
※FF12、本編終了後久々に再会したダウンタウンのスリと王女殿下のお話。

薄暗い城内の廊下の角をいくつも曲がり、漸く奥まった一画に辿り着いた。
案内してくれた侍女が扉を開けると、そこから溢れんばかりの光が差し込み、
ヴァンは思わず目を細めた。

漸く目が慣れるとそこはバルコニーで、光の中に懐かしい仲間が立っていた。
ラバナスタの強い陽射しの中でもそこだけ凛とした空気が漂っているようだ。
いつもの調子で声を掛けるつもりだったのに、そこに立つアーシェの美しさに声も出ない。
「よく来てくれたわね、ヴァン。」
少し首を傾げ、アーシェが微笑む。
「う…うん、久しぶりだな、アーシェ…」
それだけ言うのがやっとだった。
(こいつ…こんなにきれいだったっけ…?)
旅の間は終始悩み、一人で重圧に耐えていたアーシェが、
今、お陽様の下でふんわりと微笑んでいるのだ。

「どうしたの…?ヴァン?」
心配そうにアーシェがヴァンを見上げる。
(なんだよ…なんか、いい匂いがする…)
それだけで頭がクラクラするし、目も回る。
「あ…アーシェがさっ…きれいになったから、びっくりして…さ。」
最後の「…さ。」はアーシェにはほとんど聞き取れなかっただろう。
「まぁ、ヴァンもお世辞が言えるようになったのね。」
クスクス笑う声が耳にくすぐったい。
気持ちがいいけど、のぼせるようだ。なんだかいたたまれない。
(お世辞じゃなくて、本当に…)
白いドレスが良く似合っていた。
だが、悲しいかな、それを表現する語彙力がヴァンにはなかった。
でも、伝えなければ。
(俺は決してお世辞じゃなくて本当にアーシェがきれいだと思ったんだ!)
その想いが一気に喉から迸った。

49:小ネタ。〈,〉 ◆.ZfWgAl0Y2
06/11/20 00:06:51 eeHy2VkL0
「お世辞なんかじゃないって!だってさ!アーシェ、
旅の間いつも眉間にシワ寄せて暗い顔してたろ?
髪もボサボサで日焼けしてさ!それが今じゃ本当に…」

言い終わらない内にパチーン!と、小気味の良い音が
明るいバルコニーに響き渡った。

その後ヴァンは出入り禁止か、それとも城内でもっとも口やかましい
しつけ担当の侍女頭にみっちりとマナーを教わるかのどちらかを迫られ、
泣く泣く後者を選んだのだった。

おしまい。

以下チラシの裏。
1周目はゲーム進めるのに必死で分かりませんでしたが、
2周目でヴァンはすごくいいコだなぁと分かりました。
いつも心配そーにアーシェを後ろから見つめている姿はかわいいですなぁ。



50: ◆.ZfWgAl0Y2
06/11/20 00:07:55 eeHy2VkL0
すいません、49=<2>です。
殿下に引っ叩かれて逝ってきまつorz

51:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/20 00:28:04 YsR8SfZH0
>>50
乙。ほのぼの平和ですなー

52:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/21 03:25:39 7WWph4yV0
乙!

53:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/22 01:14:26 7OZIstbf0
>>48-49
アーシェの為にマナーレッスンを受けるヴァンの姿を想像したら
本当はバッシュ以上に実直なんじゃないかと思えてきましたよw

レヴァナント・ウィングまでこのままワクワクしておきますw

54:ラストダンジョン (8)   ◆Lv.1/MrrYw
06/11/22 01:23:16 7OZIstbf0
前話:>>34-38
関連:前スレ550-552
----------

                    ***

「……これは」
 端末の前に座り、彼女はディスプレイの中を流れていくデータを目で追いながら、思わずそう呟いていた。
「分かりますか?」
「……正確なことは解析の結果を待って頂きたいのですが」
「概略、あるいは予測でも結構です。聞かせてもらえますか?」
 あるビルの一室。
 シェルクは最新鋭とまでは行かないが、それでもコンピュータ設備の整った部屋に招かれていた。
 彼女に問いかけるのは黒いスーツを身に纏い、整った顔立ちと、真っ直ぐ伸びた同じ色の髪を持つ
男性だった。身だしなみや立ち振る舞い、口調や態度も紳士的で非の打ち所はない。その反面
どことなく冷たい感じがしたのだが、それはシェルクの主観かも知れない。とにかく一度見れば印象に残る
と言うのは間違いない。
 男は自らのことを、「W.R.Oへの“姿無き出資者”、その代理人を務める者」とだけ言って名前までは名乗らな
かった。だからといって特に聞きたいとも思わなかったし、名前を知らなくても支障はない。逆に知った
ところで何かの役に立つとも思えなかったので聞こうとはしなかった。
 それに彼の名前など知らなくても、周囲の状況からシェルクにとって必要な情報は充分得ることができた。
 まず招かれたこのビル内のセキュリティ、そしてこの部屋の設備などから考えても、男の言っている事
―W.R.Oへの出資者との関係―は、あながち嘘ではないと判断できる。これだけの設備環境を揃える
には、相当の資力が必要だ。
 次に並べられた機械類の製造元として貼られたラベルに記されたロゴを見れば、彼らの後ろ盾について
ある程度の納得がいった。
 掠れてしまってはいるものの、はっきりとロゴに記された『神羅』の文字―恐らくこの男も、少なからず
過去に関わった組織なのだろう。W.R.Oの創立者も、かつてここに属していた。好むと好まざるとに関わらず、
シェルク自身も神羅とは浅からぬ因縁を持っている。
 こうして考えてみれば自分が今ここにいるのも、何ら不思議な事ではない。いかに神羅という組織が
巨大なものだったかを、改めて思い知らされる。

55:ラストダンジョン (9)   ◆Lv.1/MrrYw
06/11/22 01:30:28 7OZIstbf0



 そもそも事の発端はおよそ半月前、シェルク宛に届いた差出人不明のメッセージだった。内容は
あるデータの解析を依頼するもので、後日“代理人”が迎えに行く旨が記されていた。しかし差出人の
情報、具体的な内容が一切書かれておらず、最初はいたずらかと思って放置していた。
 しばらくしてから、同じように差出人不明で届いたメッセージには日付と時間が指定されており、
シェルクからは自分の都合はおろか居場所さえ何も伝えていなかったにも関わらず、メッセージ通りに
彼らは目の前に姿を現した。ヘリから降り立った―やはり同じように黒いスーツに身を包んだ―
ふたりの人物に見覚えは無かったが、それでも彼らが『神羅』の関係者であろうとはすぐに察しがついた。
それは彼らではなく、彼らの乗ってきたヘリに記されたロゴを見たからである。
 自分を迎えに来た人物、つまり差出人不明メッセージの出所が彼らであると知って、あまり良い気分は
しなかった。……と、言うよりも久しぶりに戦闘態勢を取ったのは無理もないだろう。
 そんなシェルクを目の前にしても、彼らは動じなかった。そしてやや一方的にではあるが、事の経緯を
語り始めた。話の中に見知った人物の名前を聞くと、いつしかシェルクの方が事態の把握に対して積極的に
なっていた。
 その後、シェルクは彼らの乗ってきたヘリに同乗してこのビルまでやって来た。こうして神羅関係者に
エスコートされるのは2度目になる。1度目はおよそ13年前の出来事で、恐らくここにいる者でそれを知るのは
自分だけだろうとは思ったが、彼女にとってはそこから『神羅』との関わりが始まり、自分と姉の人生を大きく
狂わされる事になった。シェルクが『神羅』に対して過剰に反応し、警戒心を強めるのはこのためだ。
 しかし今回、彼らの招待に応じてここへ来たのは彼女自身の意思に他ならない。
 過去がどうあれ、シェルクには今日ここに来た大きな理由―果たすべき目的があったからだ。



56:ラストダンジョン (10)   ◆Lv.1/MrrYw
06/11/22 01:34:25 7OZIstbf0


「これは何かを模倣しているような構造です……。おそらくどこかにオリジナルのデータがあると思われますが」
「手本となった物は分かるか?」
「現時点でそこまでは……」
 会話を続ける間もディスプレイの中は忙しなく動いていた。
 彼女の前にある端末は、休み無くデータをコピーし続けている。それも、コピー元のデータベースに無断で
侵入した挙げ句、勝手に拝借してきているのだ。それだけでも立派な犯罪行為だが、それに関してシェルクが
口を出せた立場になかった事もあり、特に言及することはしなかった。
 読み取りを終えた時点から、シェルクによる解析が行われる予定だった。
 しかし突然、画面は停止する。表示されていた全ての文字が消え、ディスプレイ上に広がるのは黒一色
だけになった。
 異変に気づいた男がシェルクに尋ねる。
「これは?」
「……防壁。そう考えるのが妥当でしょうね」
 シェルクが言い終わらないうちに、画面には入力用のボックスだけが現れた。カーソルが静かに点滅を
繰り返している。
「パスワード?」
「はい」
 ここで足止めされるようでは、この膨大な量のデータ解析を行うなどという途方もない計画は成し得ない
だろう。しかしシェルクが依頼を受けているのはあくまでデータの“解析”であって、“抽出”ではない。
「……策は講じてあります」
 男はまるで予定通りだと言わんばかりの落ち着きようで、隣の端末の前に腰を下ろした。
 シェルクほどの早さではないにしろ、端末を扱う手つきはどう見ても慣れた者のそれだった。無意識のうちに
男の手元を追い、彼が入力したキーが何であるかを読み取った。結果的にそれは、特に意味を持たない
アルファベットと数字を組み合わせた物のようだ。

57:ラストダンジョン (10)   ◆Lv.1/MrrYw
06/11/22 01:42:31 7OZIstbf0
 注目すべきは、これだけの桁数を男は何も見ないで入力していると言う点だ。シェルクは視線だけを動かして
男の横顔を見つめた。
『パスワード認証。アクセスを許可します』
 端末から聞こえてくる抑揚のない機械的な音声は、彼の操作が成功した事を告げていた。ディスプレイに顔を
向けたまま、男はこう続けた。
「決して誇れたことではないが、このシステムには以前にも何度か侵入した事があったのでね。
 ……それにしてもまだ、旧システムコードをパスワードに使っていたとは」
「旧……というのは?」
 シェルクの問いに男は顔を向けた。口元に小さな笑みを浮かべると、こう答える。

「神羅カンパニー都市開発部門統括リーブ=トゥエスティ。このシステムには彼の社員コードでアクセス
 できるんですよ」

 このネットワークシステムの脆弱性は、管理者の意識レベルの低さにあると断言できた。こうして外部からの
安易な侵入を許してしまう状況は、とても好ましいとは言えない。ましてやそれが、W.R.O<世界再生機構>の
機密データともなれば尚更だ。シェルクは思わずため息を吐く。
(私の出番は……しばらくなさそうですね)

 同時に、念のためにと用意してきた荷をほどく機会がこのまま無ければ良いと思っていた。




----------
・色々テキトーな事書いててすみません。

58:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/22 10:07:16 F/buIlG60
>>54-57
今回はシェルクの視点ですか!
各視線を収斂させた先には何があるんだ、とwktkしながら読ませてもらいました。
リーブはうっかり者なのか策士なのか、食えない設計士だなぁww
それから、自分は黒スーツの〈男〉が大好きなので今回登場して嬉しいです。
ゆっくりでいいので、ぜひ物語の最後まで書いてください。

59:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/23 04:22:18 vHFgAqHO0
GJ!

60:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/23 11:40:14 +DYze/mG0
壮大なストーリーのまだ初めの方といった所でしょうか?
新キャラから懐かしい人達まで総出演ですね!
続きをまったり楽しみにしております。

61:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/25 00:54:24 g/3AhLT90
ワクテカ

62:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/26 04:45:11 qmkvZDuz0


63:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/26 23:11:09 SES9dhQYO
FFTwolf◆HOZlQYR1MY 氏は
何処に行ってしまったんだろう………
待ち疲れたよ………

64:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/27 22:37:14 OZTsYeBi0


65:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/27 22:50:41 hHBzcW3i0


66:とりあえず書いてみた
06/11/28 06:15:22 md38uM+M0
喪「ふぁ~まだこんな時間か・・・まぁたまには早起きもいいかな」

久しぶりに早起きをした俺は
いつも通り着替えてリビングへ

ユウナ「あ、おはよう。今日は早いね」

姉のユウナ。
早くに両親を亡くした俺たちにとって、母親のような存在。
数年前までSEEDの銃使いとして活躍していた

喪「ふぁ~めんどくせ~」
ユウナ「こらこら、SEEDになりたいって言ったのはあなたでしょ。
    ちゃんと学校に行かなきゃ駄目だよ」
喪「はぁ~」
ユウナ「何かあったの?ヘンだよ最近」
喪「いや、なんつ~か、刺激が無いんだよね・・・体もだるいし・・・あ、やばっ」
ユウナ「・・・・・」
ユウナ「う~ん・・・どうしてだろ?う~ん・・・・」

姉が悩み始めた・・・やばい・・・
姉はかなりの心配性だ。特に家族のことに関しては
このままだと朝飯にありつけないどころか、
朝っぱらから家族会議だ。

ユウナ「う~ん・・・」
喪「い、いやっ あのさ・・・たいしたことな・・・」
ユフィ「こ~ら~喪~ まーたユウナねぇ困らしてる」
喪「ユフィ!?」


67:とりあえず書いてみた
06/11/28 06:24:13 md38uM+M0
保守ついでに書いてみた。
こういう風にFFの世界に入るっていうのはOK?
小説初投下だから読みにくい文章かもしれないが、もし皆が良いならちょっとずつ
書こうと思う。

おおまかな設定は↓の通り、キャラや世界についてはそのつど付け加えようと思う。

長女(姉)…ユウナ
二女(姉)…セルフィ
三女(妹)…ユフィ
幼なじみ…リュック
その他・・・スコール、クラウド、ティーダ、ティファ、など

主人公・・・喪(兵士養成学校バラムガーデンのSEED候補生)
喪っていう名前はモテナイ男の喪ってことで。

主に8や7の世界を組み合わせているつもり。


68:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/28 10:22:13 0kx00i5OO
姉ユウナ妹ユフィハァハァ

69:とりあえず書いてみた
06/11/28 14:39:39 M/8bUY920
いつの間にか起きていた妹のユフィ
俺と同じバラムガーデンへ通う学生。
こいつのお陰で我が家はいつも賑やか。

喪「おまえいつの間に・・・」
ユフィ「そんなことどーでもいいじゃん あのねユウナねえ、
    そんな心配しなくていいよ。こいつ学校ではい~~っつもこんな感じなんだから
    いちいち構ってたら体もたないよ」
ユウナ「でも・・・喪も色々あるみたいだし・・・」
ユフィ「いーからいーから!喪のグチはあたしが学校行く時でも聞いとくから、ね?
    それよりゴハンまだぁ?もうお腹へったよー」
ユウナ「きゃ・・ちょっとユフィ」

ユフィはユウナの服を引っぱり強引にキッチンへ連れて行った。

・・・こいつのこういう所には正直助かっているが、一言も二言も余計だから困る

喪「ふぅ・・・」

俺が一安心してため息をついていると、ユフィがすたすたと俺のところへ戻ってきた。

ユフィ「100ギルね」

ユフィ俺の耳元でそうボソッとつぶやいた。
こいつ・・・足もとみやがって

70:とりあえず書いてみた
06/11/28 14:55:39 M/8bUY920
迷惑でなければ
こういう風に普通の日常生活から
学園生活→SEED試験→あわよくばミッドガルまで書きたいと思ってる。
キャラ、設定のシリーズ滅茶苦茶はOK? 

71:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/28 20:48:00 kg7YOECz0
おk!wktk

72:バラム
06/11/28 23:28:00 M/8bUY920
>>69
喪「あ~?金とんのかよ」
ユフィ「別にいいよ~ お~い!ユウn」
喪「わーーー!まて・・・
  ふぐっ・・・・・昼飯のパンで勘弁しろ」
ユフィ「へへへ まぁそのくらいでカンベンしてやるよ
    今後も超かわいいユフィちゃんをどうか宜しくお願い致しま~す♪」
喪「・・・」

ユフィのお陰で、何事もなく
朝食をとることができた。そして制服に袖を通す。

バラムガーデンでは制服があるが
基本的に服装は自由だ。最近では風紀委員が学校内の服装を制服に統一するため活動してるらしいが・・・。
俺には風紀委員の活動なんてどうでもいいが、毎日服を選ぶのが億劫なおれは、制服派。

喪「まだ少し時間があるな・・・テレビでも見るか」

ピッ

~あなたの大切な人・物守ります。神羅カンパニー!タークス!!~

ピッ

~魔こうエネルギーの供給から、社会福祉業、警備業など幅広い事業で知られる
 神羅カンパニーが魔こう料金の一律値下げを発表しました。
 社長のルーファウス氏は、本社のミッドガルでその理由を次のように・・・~

ピッ・・・


73:バラム3
06/11/28 23:31:21 M/8bUY920
>>72
喪「神羅・・タークス・・・か」
ユフィ「いーなーミッドガルぅ~いってみたいなぁ~
    ユウナねえ 夏休みにでも行こーよ」
ユウナ「そうね 考えてみる。」
ユフィ「おっし!お金足りないならあたしバイトするからね!!
    喪もモチロンするでしょ~?」
喪「ん?ああ・・・」
ユフィ「ありゃ 珍しく素直・・・こりゃユウナねえの言う通り
    どっかヘンかも」

・・・巨大都市ミッドガル、か。
どんなところだろう?歩く場所も無いほどの人ごみ・立ち並ぶビル、
それとは正反対のスラム街・・・想像もつかない・・・
そこへ行けば今の刺激の無い退屈な日々とオサラバできるかも・・・・・

・・・んなわけないか。

ぉ~い!

ん?

ユフィ「おーい、聞いてる?」

74:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/28 23:42:27 M/8bUY920
>>71
ありがとう。
上の方々みたいにうまく書けないし、
文章も下手なオナヌー文ですが、マイペースで書きます。
スレの皆様どうか宜しくお願いします。

75:バラム4 ◆2TXthfoYnE
06/11/28 23:53:30 M/8bUY920
>>73
ユフィ「なになに 考えごと?それよりガッコウ遅れるよ~、ほい弁当」
喪「ん、まあね。今日は先行っててよ なんだか腹が痛いんだ」
ユフィ「ふ~ん・・・だいじょぶ?ユウナねえ呼んでこよっか?」
喪「い、いやいいよ。大した事無いし、教官には少し遅れるって言っといて」
ユフィ「りょ~か~い♪やべっおくれる~ ダアァッシュ!!」

ユフィが出て行った後、家に居るわけにもいかないので、外に出る。

勿論、腹なんか痛くない。
ただ・・・なんとなくサボってみたかっただけだ。
理由なんか無い。ただ行きたくない。

喪「はぁ~いい天気だな~学校なんかいってる場合じゃないって」

春を迎えたばかりのバラムは雲ひとつない快晴だ。
今の時間はちょうど通勤・通学時間なので、このバラムでも
駅周辺は多少は混んでいる。
行くところも無いので、駅の人ごみを潜り抜け港へいってみる。

港へ着き人のいないテトラポットよりの磯に座る。
平日の朝なので人はいない。
波は穏やかだ・・・ふぅ~っとため息をつく、ああ、いつまでもこうしていたい

と、そのとき

バンッ!!


76:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/29 03:03:53 E4LqM+/VO
昨日から見させてもらってるけど
ユウナ姉、ユフィ妹はツボです。
これであとリュック、セルフィがでてくるなら、賑やかになるんだろうな~
スレ盛り上がるように頑張ってくださいね

77:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/29 08:33:03 iESyc2SEO
都会の女子中高生の間ではスカートの下にハーパンを履くのはダサいらしい。
階段あがる時に、スカートの後ろを押さえたり、カバンで隠すのはかっこ悪いとのこと。
ギャル系の間では、見られてもいいように可愛いパンツやブルマを履くんだってさ。足が長く見えるそうだ。ティーン雑誌にも掲載されてた。

78:バラム5 ◆2TXthfoYnE
06/11/29 19:10:23 Vy7Ty5AI0
と、背中に強い衝撃がはしった。
俺は驚き思わず咳き込んでしまう

喪「がほっ!ゴホっ!つ・・・あ、リュック・・・さん?」
リュック「こら~サボりか~ ユウナんに言いつけるぞ~」

この人はリュックさん。
ユウナ姉さんの一番の親友で、この町で武器などの改造屋をやっている。
アイテムにも詳しく、改造屋はバラムガーデンの生徒も御用達。

喪「カンベンして下さいよ。ちゃんと後からガーデンには行きますって。」
リュック「ほんとかな~、それじゃ・・・・・よし!喪、釣りしよ、釣り♪
     このことは黙っててあげるからさ」
喪「えっ、釣り~?」
リュック「そ、いっぱい釣ってゴハンのおかずにするんだよ。
     そいでユウナんに調理してもらってさぁ~」
喪「またウチっすか?(ここん所毎日だぞ・・・)」
リュック「いいじゃんいいじゃん♪じゃ、これは喪の分ね~」

そう言うとリュックは喪の分の竿と仕掛けを手渡した。

喪「・・・ま、いっか どうせヒマだし」
リュック「そいじゃ始めますか♪やっぱ持つべきものは親友の弟だね~」
喪「(なんだそれ・・・)」
リュック「さてと・・・よっ!」

2時間後・・・

リュック「お~しっ そろそろ終わるか~
     へへへ・・・大漁大漁♪」


79:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/29 19:32:02 LzYG3R1X0
◆2TXthfoYnE氏
まずsageていただきたい。大変残念ながら名前「台詞」は小説ではありません。
ですがクロスオーバーは楽しみにしてます。小説形式での投下をお待ちしております。

80: ◆2TXthfoYnE
06/11/29 20:02:43 Vy7Ty5AI0
>>79
sageについてはすいませんでした。
小説のような形式では自分は難しく書くことがません。
なので、投下もこれまでにします。
スレ汚し申し訳ありませんでした。

>>68>>71>>76さん
こんな駄文に期待してくれて、ありがとう。
励みになりました。すごく嬉しかったです。

短い間でしたが、書いていて楽しかったです。
まだまだ書きたいことがあったのですが・・・残念です。
スレの皆さんご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

81:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/30 08:18:18 i3iyzbKL0
>>80
おもしろかったし、頑張ってた思うよ。
読んでくれる人を意識するのが一番の上達の早道だと思う。
次回作楽しみにしています。

82:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/30 17:18:47 iq+To7fyO
>>80
お疲れさまでした。
初投下とのことですが、
話もほのぼのとしていて楽しく拝見させて頂きました。
>>79氏の言われる通り小説形式ではなかったですが、
(自分としては全然構わないですが…正直残念です^_^;)
面白い話でしたので、いつかまた見てみたいです。

83:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/01 14:55:31 q8SAnapo0
>>80
お疲れ様です・・・正直残念です。こういう形式でも良いと思うのだけど批判してるのは一人?

84:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/01 20:47:38 URLq9Mza0
>>83
自分はオリキャラが出ている時点でスルーしたけど、
スレタイが

>FFの恋する 小説 スレ

だからね…。

>>79一人じゃないね、まぁ自分は好みの問題でスルーしたから、形式を気にしたわけではないけど。

85:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/01 20:48:32 URLq9Mza0
sage忘れスマソ。

86:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/01 21:59:43 RMEw4RGuO
オリキャラは嫌な人はまったく受け付けないからな
それよりこの主人公幸せ者のだよな
俺もこんな性格なんだが、羨ましい

87:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/02 15:39:40 P35byi85O
オリキャラ云々ていうよりも、ギャルゲっぽさに抵抗が…。


88:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/02 19:13:58 ZYPBYttc0
>>87
良くも悪くもギャルゲっぽいっていうのは
最近のFFみたいだよな

89:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/03 09:28:45 rocnS1me0
批判するくらいなら自分も投下すればいいのに

90:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/03 16:04:12 D9PMf2cB0
>>89
まあ感想だしいいんじゃないか。
わざわざ抵抗があるとか書く必要は無いがな。

いまさらだが、◆2TXthfoYnEは住人に許可求めてから書いたのに
かわいそうだよなと思った。
スレ過疎ってるし俺は歓迎したかった。

91:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/03 18:09:35 Siu7+vhtO
質より量か


92:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/04 05:04:05 sKmWi+1k0
>>バラム◆2TXthfoYnE
同一線上に並ぶユフィ、リュック、セルフィの書き分けは自分じゃ絶対無理だw
この3人の書き分け(作中での役回り)と、FF8とFF7の世界観がどう融合していくのかに興味を持ちました。
ただ、個人的にあまりクロスオーバーっていう発想がない(作中世界に生きているキャラの背景込みでの生き様が好き)ので
クロスオーバーを読む際のテンションは通常よりは低いかも知れません。
逆に言うとこれは読み手個人の好みだし、好みは人それぞれ。
だから書くときは自分が書きたいものを書きたいように表現すれば良いんだと思う。
実際、自分は読み手側が「なんだよそれ!」って画面の前で言ってくれれば勝ち(?)だと思ってるw
また読むときも「なんだよそれ!」って思わず言ってしまうような作品に出会うのが楽しみでもある。

要するに、読み手側の好みなんか気にするな! 書きたいように書け! と言う事で。
…自分の中にある世界を、文字だけで伝えるのはとても難しいです。(というか、伝わってるかいつも不安です)
それでも、読み手側の好み(や先入観)をひっくり返せたら、それこそ書き手冥利に尽きるんじゃないかな。
と言うわけで、もしもまた「書きたいと思うもの」が浮かんだらぜひ挑戦してみてください。
作品を拝見できるのを楽しみにしています。

お節介な長レスですみません。

93:ラストダンジョン (12)   ◆Lv.1/MrrYw
06/12/04 05:15:20 sKmWi+1k0
前話:>>54-57
----------

                    ***

「こりゃあ凄ぇな」
 正面入り口から延びた通路をしばらく歩き続けると、やがて開けた空間に出た。呟いたシドをはじめ
仲間達の誰もが、目の前に広がる光景にしばし足を止めたのだった。
 W.R.O新本部施設のエントランスホールは建物のちょうど中心部分に位置しており、そこから各エリアに
向けて放射状に通路が延びている。また、頭上を見上げれば旧本部施設を思わせる吹き抜けの造りに
なっていた。
 そんな開放感溢れるエントランスの中でもまず真っ先に目を引くのが、中央に設置された巨大な噴水だった。
機能性は別としても、噴き上がる水しぶきは今も来訪者の目を楽しませてくれている。天窓の代わりに
映像シミュレータが設置されているのは、3年前の本部襲撃の教訓を踏まえて屋上からの侵入に備えた
意図があるのだろう。
 変更された点はそれだけではなかった。質素な外観から受ける印象からは想像もつかないほど内部は
複雑な構造らしく、1つの目的地に対しても複数のルートがある様だ。また、どのルートを辿っても最終的には
ここに繋がっているが、複雑なマップを見ればさながら迷宮と言った様相だった。
 ホール入り口横の壁面に設置された本部施設内ルートマップは電光表示式のもので、マップ下には
各施設の一覧があり、対応のボタンを押すことで現在地からその施設へ通じる最短コースを表示してくれる
設計のようだったが、どうやら現在この機能は稼動していないらしく、全てのルートが点灯表示されている
状態だった。ルートが複雑に入り組んでいると感じるのはこのためでもある。
 仕事柄なのか、ルートマップを見つめながらクラウドは誰よりも深刻なため息を吐いた。―今後、W.R.O宛の
荷物を頼まれても、施設内までは配達したくない―しかし脳裏に過ぎった率直な感想は口にせず、ここへ
来た本来の目的を果たすべく口を開いた。
「俺たちの目的地は?」
「恐らく局長室だろう……が」

94:ラストダンジョン (13)   ◆Lv.1/MrrYw
06/12/04 05:22:46 sKmWi+1k0
 残念ながらルートマップには局長室の表示は無い。恐らくこれも安全面での配慮なのだろうが、それに
しても来客に対して不親切な設計である。もっとも、局長室に来客を招く機会などそうそう無いだろうが。
「も~!」
 この先に続く道のりの長さを思い、ユフィは溜まらず声をあげる。
 それにしてもこの複雑さなら、W.R.O隊員が音を上げ彼らに助けを求めたのも頷ける。敵の侵入を考慮して
いる施設である事は確かだが、身内の出入りにも支障を来すとあっては本末転倒だと思える。
「でもよ、いくら広いっても敷地は限られてんだし、フロアごとに当たっていけば何とかなるんじゃねぇか?」
 かつて世界地図にも載っていない孤島を、空の上から見つけ出すなんて離れ業をやってのけたのだ。
シドはそう言ってユフィの零した不満を豪快に笑い飛ばした。
「……そうだな」
 続いてヴィンセントが希望的観測を示す。ミッドガル地下に広がるディープグラウンドに比べれば、その
ものの規模は小さいし、今回は単身での探索ではない。というのが根拠だ。
 ルートマップの前でクラウドが携帯を開く姿を見たティファが、あることに気づいてユフィを振り返ると、
励ますようにしてこう言った。
「ねえユフィ。手分けしたら早くないかしら? コレも使えるみたいだし」
 それから電話を片手に微笑んでみせる。言われるままユフィは携帯を覗き込むと、確かに通信圏内で
ある事を示す表示がディスプレイに現れている。それから満面の笑みをティファに向けた後、ひとり飛び
跳ねたり―本人に聞けば「準備運動に決まってるじゃん」とでも言うのだろうが―していた。
 わいわいと騒がしい仲間達を背に周囲を見渡していたシドが、エレベーターの存在に気づいて噴水の
向こう側にあるエレベーターホールへ向けて歩き出す。
「起動しているエレベーターは5基中2基だけか……」
「まだ建造中だ、無理もない」
 シドに続くようにしてエレベーター前まで来た6人は、互いの顔を見合った。
 表示によれば、地上15階、地下20階の総階数35のフロアからなる建物のようだ。単純計算すれば1人
およそ6フロアを受け持つことになる。

95:ラストダンジョン (14)   ◆Lv.1/MrrYw
06/12/04 05:30:45 sKmWi+1k0
「まずはこのフロアを含めた地上部分と、地下部分に別れましょう」
 その言葉を聞くやいなや、ヴィンセントは起動している1基のエレベーターのボタンを押すと、待機している
それに乗り込んだ。どうやら下へ向かうつもりらしい。行動から察するところ何かか考えあってのことなの
だろうが、相変わらず寡黙な彼からこの場でそれを聞き出そうとする者はいなかった。その後ごく自然に、
別に話し合うでもなくエレベーターに乗り込む組とフロアに残る組とに分かれた。
「じゃあ、何かあったらすぐ連絡ね!」
「了解」
 ユフィは閉まる扉に手を振り、エレベーターに乗ったクラウド、ティファ、ヴィンセントを見送った。
 扉が閉まってしばらくすると、降下を始めたエレベーターのモーター音が建物内に響いた。
「……で。俺たちはどうするんだ?」
 シドが問う声を背中に聞きながら、ユフィは稼動しているもう1基のエレベーターのボタンを押して振り返る。
「アタシは一度、みんなより先に最上階まで行ってそれから下へ降りてみる」
 そう言ってエレベーターに乗り込む姿を見て、シドは頷く。
「じゃあ、オレ様は下の階からだ。何かあったら連絡よこせよ」
「オッケー。そんじゃお先に」
 ユフィを乗せて上昇するエレベーターを見送り、ホールにはシドとバレットの2名が残された。クラウド達を
見送ったときにはあまり感じなかったが、ユフィが去った後のフロアはしんと静まりかえっている様な気がした。

96:ラストダンジョン (15)   ◆Lv.1/MrrYw
06/12/04 05:39:13 sKmWi+1k0
 仲間達を乗せた2基のエレベーターを見送った後、バレットはもう一度周囲を見回して呟いた。
「それにしてもバカでかい施設だな」
「前に来た時はこんなややっこしいの造るなんて言ってなかったんだがな……」
 3年前のW.R.O襲撃で受けた痛手の大きさを知っているシドは、リーブが新本部施設建造に対して
慎重になる理由が分からないでもない。しかし噴水の向こうにあるルートマップに改めて目を向けると、
さすがにこれはやり過ぎだろうと思う。
「そう言えばシド、お前……」
 今回初めて訪れるW.R.O本部施設にばかり目がいっていたバレットは、シドが背に担いでいた槍の存在に
今さら気がつき、驚いたように声をあげた。
「ああこれか? ……あれだ、“備えあれば憂い無し”って言うだろ?」
「そうなんだけどよ……にしても、備えすぎじゃねぇか?」
 そもそもバレットの場合は常に武器を持ち歩いているので、人のことをとやかく言える立場ではないのだが。
 バレットの言葉を受けて天を仰ぎ、シドは吐き出すようにして呟いた。

「……今やW.R.Oは立派な軍隊になっちまった。つまり、ここは軍事施設ってやつだ。
 備えたって憂いがない保証はない、そう言う場所だって話だ」

 ケット・シー……いや、元々リーブはこうなる事を望んじゃいなかった。だが、あいつなら自分が求める
理想の為に、敢えて望まない道を進むことも厭わないのかも知れない―W.R.Oがいつからか軍拡路線を
進み始めた頃から、シドは懸念を抱いていた。
 考えてみれば6年前の戦いの時も、3年前も、いつでも自分たちとは別の場所で、違う方法でひとり戦って
いた。リーブはそう言う男だった。だからそんな懸念は杞憂に過ぎないのだと、自分の考えを否定し続けてきた。

 ―では、今は?

 噴水を見つめるシドの、脳裏に過ぎったのは不吉な予感だった。
 その予感を口に出したのは、横に立つバレットで。

「チッ……、神羅ビルを思い出すぜ」

 それはかつて神羅が歩んだのと同じ道だと、過去を知る者であれば誰もが思う事なのかも知れない。
 そんな彼らにとって、その道の先に何が待っているのかを想像するのはとても簡単なことだった。

97:ラストダンジョン (16)   ◆Lv.1/MrrYw
06/12/04 06:01:38 sKmWi+1k0

                    ***

「リーブはW.R.Oを軍隊にするつもりは無かったはずだ。仮に彼を変えたものがあるとするなら、3年前の
オメガ戦役だろう」
 3人が乗るには広すぎるエレベーター内でヴィンセントが語ったのは、ティファの問いに応じてのものだった。
 オメガ戦役―それは各地で発生した集団失踪事件に端を発するディープグラウンドとの戦いである。
ジェノバ戦役になぞらえて、3年前の事件をこう呼ぶ者は多い。
「あの戦いでは多くの者達が命を落とした。W.R.Oの創設者であるリーブは、そのことに負い目を感じている
……様に見えた。結局、本人は何も語らなかった。故にこれは私の憶測に過ぎんがな」
 リーブが弱音を吐く場面に遭遇したのは3年前、ディープグラウンド急襲によってW.R.O本部施設が陥落した
直後の司令室、後にも先にもこの一度きりだった。
「ディープグラウンド……“神羅の闇”、か」
「誰よりも責任感が強いものね、リーブ」
 6年前、壱番魔晄炉を爆破した自分達を糾弾した彼―ケット・シー―の姿を思い出し、ティファは苦笑
がちに呟いた。そんな彼だからこそ、クラウド達との旅を終えた後W.R.Oを設立し各地の復興を目指そうと立ち
上がった。ディープグラウンドとの遭遇は、その矢先の出来事だった。さらに事の真相を知れば、恐らくリーブ
でなくとも心を痛めただろう。その為にさらなる犠牲を強いたのであれば尚更だ。もし自分がリーブと同じ立場に
いたとしたら、二度と立ち直れなかっただろうとさえティファは思った。
「ヴィンセント。ここへ来る前『腑に落ちない』と言ったのはその事か?」
 クラウドは内心、この言葉がずっと引っかかっていた。それはW.R.O新本部施設を前にしてヴィンセントが
語ったもので、結局はユフィとバレットに阻まれてしまったが、確かに彼は言葉の先を続けようとしていた。
「そんなところだ。だが、何より腑に落ちないのは……」
 そう言ってヴィンセントは愛用の銃をホルスターから取り出し、手に取ってこう続けた。

98:ラストダンジョン (17)   ◆Lv.1/MrrYw
06/12/04 06:03:01 sKmWi+1k0

「ここへ来るときは各自、武器を持参するようにと告げられた事だ」

 言い終わるのと同時に小さな機械音が鳴った。3人が目を向ければ、別に指定したわけでもない地下7階を
示す地点でエレベーターが停止し、ひとりでに扉が開いた。
「……確かに、腑に落ちないな」
 クラウドは吐き捨てるように呟くと、大剣に手を添える。ティファは目の前の光景に信じられないと言った表情を
向けていた。

 エレベーターの扉が開かれた先では、無数の銃口が彼らを迎えるべく待ち構えていた。




----------
・テーマはWRO変遷。

99:戦 ◆abnL27LjzQ
06/12/04 18:47:58 HEDbRTaC0
初投下です。かなり文才ないのでご容赦をorz

登場人物は7~8あたりを混ぜてます。他にも出てきますが。
背景は完全に別物です。他の方と比べると台詞が非常に少なくてつまらないかも。
ストーリーは国に反意を持つユリウスがスコールなど、多くの仲間を集めて国を戦うという
話にしようかと思ってます。かなり長くなりそう^^;




今度の相手は6千。こちらの倍の兵力だった。
無謀と言えばそうかもしれないが、ユリウスは負けるとは思っていなかった。
ユリウスは傭兵団を率いる隊長だった。最初は1人で放浪していたが、1人、2人
と仲間が集まり、今では3千人を超える大きな傭兵団になってきている。
傭兵団の名前は皆から意見を聞き、フォークスという名前がついている。
 依頼主は小さな町の長だった。領主から課せられる重い税金に耐えかねて徴税を断ったところ
領主は自分が囲っている傭兵団を差し向けたというのだ。
 6千と言ったところで所詮脅しのために出撃したのだから戦う意思はないだろう。
そういう軍は脆い。誰も戦うべき場所じゃないところで死にたくないからだ。
「出撃」
夜が白み始めてきた頃、ユリウスは静かに言った。

スコール、出撃命令だ」
「了解」
気が重かった。SEEDとは言え、ただ税金を払わない町に警告で、6千もの兵を出撃させるのだ。
しかしそういうことに腹を立てても無意味だった。SEEDは依頼を全力で遂行するだけだ。
 今この国は新羅という名の下で統一されている。新羅は星のエネルギーを利用する技術を確立した。
それによりあらゆる技術が進歩し、革新した。その新羅の旗本というべき部隊はソルジャーと呼ばれている。
ソルジャーは星のエネルギーを浴び続けたことで、青い瞳を持っている。ソルジャー部隊の戦闘力はこの国で
並ぶものは居ないといわれている。そのソルジャーになるには多くの試験をクリアし、SEEDにならなければならない。
それからさらに多くの試験をクリアし、実践で功績を揚げることにより、ソルジャーになることができるのだ。

100:戦 ◆abnL27LjzQ
06/12/04 18:49:41 HEDbRTaC0



夜が明け、スコールは兵を率いて20km先の町へ向かった。
全員歩兵だが、指揮官の自分と、部隊長は羽馬にのっている。ただの警告なので軽装備の部隊だ。ただ武器は槍に統一させた。
槍は弱兵でもある程度力を出すことが出来る。剣より相手との距離が開くから、その分臆病でも動けるのだ。
 10kmほど進んだとき、不意に丘の上から3千ほどの軍勢が湧き出た。黒い騎馬隊。背中に嫌な汗が流れる。。
「2千ずつ3つにわかれろ。槍を前に突き出し突撃を防げ。敵はこちらの半分だ。1隊攻撃されたら他の2隊がそれを押し包むぞ」
 指揮をしつつも嫌な予感は拭えなかった。
ゆっくりとガンブレードを構えた。余計なことは考えない。完璧に依頼を遂行する。今はそれしかない。

 黒い騎馬隊が動き出した。鳥肌が立った。速いのだ。それも並の速さではない。
「押し包め」
 間に合わなかった。一瞬だった。矢のように1隊を貫き、潰走させた。押し包む暇がない。
「固まれ。恐れるな」
 潰走した部隊の兵がまた集まってくる。スコールはすばやくそれをまとめ守りの陣を敷いた。しかしあの騎馬隊には
役に立たないことをスコールは痛いほど感じていた。この場合どうすればいいのか。こちらは烏合の衆。敵は黒羽馬に乗った騎馬隊。
 敵の騎馬隊が集まり、再び突撃の体制をとった。
「槍を構えろ。怯むな」
 突っ込んでくる。しかし、槍が集まる中央は避けて脇をかすめて行った。それでもかなりの人数が蹴散らされた。
 スコールは一騎で前に出た。
「俺はSEEDのスコール・レオンハート。指揮官、前に出てきて俺と戦え」
 一騎打ち。残る手段はそれしかなかった。一騎打ちなら勝つ自信があるし、頭を失えば軍は脆いものだ。
敵の騎馬隊が二つに割れ、長剣を携えた一騎が前に出てきた。




101:戦 ◆abnL27LjzQ
06/12/04 18:51:12 HEDbRTaC0



「俺はユリウス。一騎打ちなどやめておけ。たとえSEEDでも容赦はしない」
 長い髪を後ろで束ねた、精悍な顔つきの男が言った。構えてる剣はかなりの長物で、両手で遣うようだ。
「おまえこそ死にたいらしいな」
 言うと同時に羽馬を走らせる。馳せ違う。腕が痺れるほどの衝撃が走る。
 2、3回と馳せ違った。その度に打ち落とされそうになる。額に汗が流れる。ユリウスと名乗る男も苦しそうに肩で息をしている。
4度目に羽馬を走らせようとしたとき、後ろから援軍、という声が上がった。
「運のいい奴だ。また会おう」
 男は言うと、騎馬隊を引き連れすぐに消えてしまった。後ろからは同じSEEDの者が率いる軍が来ている。自分は信用されていなかった。
だからこんなに速く援軍が来たのだろう。出陣するときにはすでに援軍が編成されて居たのかもしれない。
 この軍なら任務は遂行できるだろう。しかしもし援軍が来なかったら。一騎打ちには負けたとは思わないが、軍と軍のぶつかり合いでは
完敗だった。スコールは兵をまとめ、援軍の指揮官、SEEDのクラウドに会いに行った。

102:戦 ◆abnL27LjzQ
06/12/04 18:52:39 HEDbRTaC0
新羅→神羅


orz

103:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/04 23:49:18 saMmPTWlO
FFTwolf◆HOZlQYR1MY 氏は、
戻って来ないのか………

104:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/05 01:19:06 lRudxfuRO
>>103=>>63か?
そういうのはあんま書き込むもんじゃない
急かしたって書き手には辛いだけだし

105:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/05 01:29:06 N6V+yaznO
>>104
指摘ありがとう 以後慎みます。

106:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/05 14:44:05 1kKdfpDz0
>>ラストダンジョン◆Lv.1/MrrYw
GJ 
そのメンバー編成には何か意味が?wktkがとまらない
続きまったり期待

107:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/07 01:11:53 VkfoiKwd0
乙!

108:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/08 00:51:23 Zt4u0J1/0
>>99-101
ユリウス率いる義勇軍(意味合いはこんな感じだと思ったんですが、間違ってたらすみません)と
スコール率いる正規軍の各視点で描かれる行軍の様子が良かったです。
「誰も戦うべき場所じゃないところで~」とか、セリフが少なくても(というか最初は世界観の説明が
あると思うので仕方ないと思いますが)気にならなかったです。
この世界ではソルジャーへの登竜門がSeeDって感じに読めますが、両者の関係(神羅と学園長)
にも何かからくりがあるのかな?
ユリウスが体制へ反意を持つに至った理由、彼に同調し集う仲間達の背景、現体制からの離脱…
この先、読みどころはたくさんありそうですね、今後の展開期待sage。
長編との事ですが、気負いせずマターリがんばって下さい。

109:ラストダンジョン (18)   ◆Lv.1/MrrYw
06/12/08 01:09:27 Zt4u0J1/0
前話:>>93-98
----------
 エレベーターホールを取り囲む無数の―数えようという気にもなれないような―銃口を向けている
のは、本来ならば訓練に使用されるはずの射撃装置だった。
 身構えることも忘れ、ティファは呆気にとられたままエレベーターの奥からその光景を見つめていた。
 操作パネルの横に立ち銃を取り出したヴィンセントは、銃口をエレベーターの外には向けなかった。
 大剣に手を添えていたクラウドも、そのまま剣先を向けることはしなかった。
 エレベーターを包囲した無数の射撃装置も、起動する様子が全くない。
 とはいえ、これだけの数の銃口を向けられて良い気分はしないし、いつ銃撃が始まるかは分からない。
仮にそうなれば退路を限定されている彼らにとって不利な状況なのは明らかだった。当然だが一刻も早く
この場から離れたいと考えたヴィンセントは、左手を操作盤へと伸ばす。
「…………」
 視線は前方へ向けながら、無言のまま左手で操作盤の開閉ボタンに触れた。しかし開いたままだった
エレベーターの扉は操作を受け付ず、いっこうに閉まる気配を見せない。
 現状、彼らにとって唯一の退路が断たれた事になる。
 重苦しいほどの膠着状態が、どれほど続いた頃だったか。まるで空気さえも流れを止めてしまったような
空間が、僅かだが動いた事をエレベーター内にいた3人は感じた。ティファは反射的に身構え、クラウドが
彼女を庇うように一歩進み出る。
 ヴィンセントは静かに銃口を差し向けたのは、目の前に並んだ射撃装置のはるか後方、闇に沈むフロア
だった。
 やがて、3人の耳に聞こえたのは小さく硬質な音。
 次第に大きくなってくるその音が、こちらへ向けて歩みを進める靴音だと知るのに時間は掛からなかった。

110:ラストダンジョン (19)   ◆Lv.1/MrrYw
06/12/08 01:12:14 Zt4u0J1/0
 それからクラウドは一瞬、奇妙な表情を浮かべてから構えを解いた。
「……これはどういう事か」
 ほとんど同時に、ヴィンセントも向けていた銃を下ろして静かに問う。ティファはふたりの視線を追うようにして、
闇に目をこらした。徐々に浮かび上がってくる人物の輪郭と重なるようにして、ヴィンセントが呼びかける。

「納得のいく説明をしてもらうぞ、リーブ」

 その声で、靴音が止む。
 無数の射撃装置に囲まれた中で顔を上げたリーブに、笑顔は無かった。
 W.R.Oの局長として人前に出る時と変わらない姿で、彼は3人の前に現れた。



 …………。



 もともと口数の多い方ではない3人に対し、リーブも黙ってしまっては会話が進まない。射撃装置に包囲
されながらの膠着状態はさらに続き、息苦しささえ感じるほどの時間が過ぎた。
 業を煮やしてエレベーターから出ようとしたクラウドをヴィンセントが無言で制したところで、ようやくリーブが
口を開いた。
「……皆様にご足労頂いておいて大変恐縮なのですが、今回の件をご説明しても納得して頂けないものと
思いますので」

111:ラストダンジョン (20)   ◆Lv.1/MrrYw
06/12/08 01:18:42 Zt4u0J1/0
 相変わらず丁寧というか、どこか事務的な口調で笑顔もなく語ったリーブの姿に、ティファは妙な感覚を
抱いた。顔を合わせた回数こそ少ないが、ティファの知っているリーブとはどこかが違う気がした。もう少し
言えば、目の前のリーブには何かが欠けている。“何か”が何を示すのかと問われると明確な答えは出せ
ないものの、違和感があるのは間違いない。ティファがその答えを探すために考えを巡らせている間にも、
リーブの言葉は続く。
「申し訳ありませんが、お引き取……」
 そこまで口にしたリーブに向けて、ヴィンセントは静かに銃口を向けると、ためらいなく引き金を引いた。
直後フロアには重々しい銃声が響き渡り、リーブの言葉が中断される。
 銃は真っ直ぐリーブに向けて放たれ、弾道を追えば見事その腹に命中している。僅かに目を開いたリーブは、
膝をついて床に倒れ込んだ。
「ヴィンセント!?」
 目の前で展開される光景に、驚き戸惑うティファの心中はそのまま声に現れていた。クラウドも横に立つ
ヴィンセントを問うように見つめた。
 仲間達の問いに答えるかわりに、ヴィンセントは銃を下ろさず床に倒れ臥したリーブに言い放つ。

「……相変わらず人形遊びとは趣味が悪いな、リーブ」

 しばらくして、俯せに倒れたまま身動き一つしなかったリーブの腕が、ゆっくりと動き出す。
「二番煎じは通用しませんか」と、くぐもった声が返されると、ヴィンセントはため息を吐いた。
「やはり……“本体”ではないな?」
 リーブは両腕で体を支え、上半身を起こす。それからわざとらしく首を持ち上げてヴィンセントを見上げた。
「お見事です。……それに相変わらず優しいですね、ヴィンセントさん」
 3年前。ディープグラウンドのカーム襲撃中に久々の再会を果たした際、ヴィンセントはリーブを“着込んだ”
ケット・シーに出会っている。今目の前にいる彼がそのことを言っているのだとは分かったが、それにしても
妙だった。
 ああ、と思い出したようにリーブは告げる。

112:ラストダンジョン (21)   ◆Lv.1/MrrYw
06/12/08 01:22:28 Zt4u0J1/0
「……あの時と違って、今回はケット・シーが中に入っていると言うわけではありませんからね」
 立ち上がって服の裾を手ではたくと、気付いたように腹の辺りに撃ち込まれた銃弾を取り出した―W.R.O
局長として人前に出る時に着ているあの服は、恐らく防弾仕様なのだろう―それにしても、その仕草は
まるで解れた糸をちぎるかの様なさり気なさだった。
 こうしてよどみなく語るリーブの姿を、ヴィンセントは無言で見つめていた。ティファなどは目の前の状況を
飲み込めず、言葉も出ない様子だった。
 再びエレベーターにいた3人に顔を向ける、笑顔を浮かべるわけでもなくリーブは淡々と言葉を続けた。
「改めて……はじめまして皆さん。私は実戦用に配備された“人形”ですよ。見た目がこれですからね、
好きなように呼んで下さって構いません」
 元々名前も付けられていませんので、と付け加える。
「リーブ、お前……」
 その言葉にヴィンセントが珍しく狼狽えたような声で応じた。
「ヴィンセント?」
 クラウドが尋ねるが、答えに窮したような表情のヴィンセントから返答は得られなかった。代わりに答えた
のは、目の前に佇むリーブだった。
「ケット・シーをご存知ですね?」
「ああ」
「とすると、あれを操っていたのは『リーブ』だと言うことも?」
 クラウドとティファが申し合わせたように無言で頷くのを見て、さらにリーブは続けた。
「ケット・シーは単なる遠隔操作ロボットではありません。『リーブ』が命を吹き込んだぬいぐるみです」
「確か……『インスパイア』と」
 ヴィンセントが呟いた小さな声に、今度はリーブが頷く。そしてこう言った。

「私は、ケット・シーと同じようにして生まれました」

 作られ、そこに命を吹き込まれた存在だと。彼は自らのことをそう語った。

113:ラストダンジョン (22)   ◆Lv.1/MrrYw
06/12/08 01:28:04 Zt4u0J1/0
 その姿も、告げる声も、何もかもがリーブそのものだった。一見すれば両者の違いを見分けることは難しい。
 それでも何故か、目の前で語るリーブに違和感を覚えた。だからヴィンセントは引き金を引いた。3年前、
ディープグラウンドソルジャーがそうしたように。
 皮肉にも彼らが感じたとおり、目の前で語るリーブは機械仕掛けの人形だったのだ。

「一体なぜだ? 納得のいく説明をしろ、さもなくば……」

 リーブに向けて問う声は僅かに震えていたが、銃はしっかりと向けられている。今度は腹ではなく、頭部に
照準を合わせて。
 本来なら微笑でも浮かべるような場面でも、リーブは無表情に切り返す。
「では、どうしますか? 私を壊しますか? そんなことをしても無駄ですよ。この身体はもともと作り物ですからね」

 ―『ほな、どないするんですか? ボクを壊すんですか? そんなんしてもムダですよ。この身体もともとオモチャやから』

 6年前、どこかで同じようなセリフを聞いた。クラウドは苦々しい記憶と共に目の前のリーブを睨み付けた。
深夜のゴールドソーサーでスパイである事を明かされたあの時と違うのは、純粋な怒りの他に別のある感情が
沸いたからだ。
「……“本体”は、どこにいる?」
 クラウドからの問いに、リーブは答えなかった。
 答える代わりに手をあげた。それを見たクラウドはとっさに大剣を構え、エレベーターから飛び出した。
ヴィンセントは依然としてエレベーターの操作盤から左手を離そうとはしなかったが、やはり扉は閉まらな
かった。覚悟を決め、銃口を向ける。
 エレベーターホールを取り囲んだ無数の射撃装置が一斉に火を噴いたのは、この直後の事である。



----------
・DCFF7第1章を見た後、真っ先に浮かんだ想像。ちゃんと作ればこうなるんじゃないかと。
・ようやくタイトルらしい展開になって来たでしょうか? 以降、全員でこのダンジョンを攻略…できたらいいな。

114:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/08 01:46:46 qC3I9WOC0
>>ラストダンジョン◆Lv.1/MrrYw
急展開ktkr
まさか彼らが襲ってくるとは。場面を想像すると異様です。
続きまったり期待

115:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/09 00:40:27 9nAQOT7m0
メカ局長ワクテカ

116:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/09 01:11:39 w/Yu+fMv0
かなりぬるぽな感じだが1本投下させて下さい
ネタ的にはFFⅥのセッツァーとセリスで。

117:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/09 01:33:04 unT3iWQa0
>>116
ドゾー

118:ツンデレラ 1 ◆qqJmj36VNU
06/12/09 01:51:02 w/Yu+fMv0
「セッツァー!」
そう声を張り上げた女性は、彼女は繊細なレースが施された
純白のロングドレスをまとい、深緑のサテンのリボンで長い金の髪を
高くひとつに結い上げていた。
今彼女の立っている場所からすると酷く場違いな格好だった。

 彼女は今、地上からは遥か上、見渡す限り青く広がる海原を
眼下に見下ろしながらゆっくりと大空を飛空挺で飛んでいた。
瑠璃色の水面は太陽の光を乱反射してキラキラと輝いている。
 優しく吹き付ける潮風に髪を遊ばせながら、彼女は再び声を張った。
「セッツァー!聞こえてるの?」
 
 セッツァーと呼ばれた男は、風になびく長い銀髪をうるさそうに
片手でかきあげ、自分の腕の中で眩しそうに前を見据えている
白いドレスの女に自慢げにささやいた。
「なぁセリス、空は最高だろ?俺はこの眺めの…」
 セリスは大げさなため息を一つつくと、セッツァーの言葉を遮って
おもむろにセッツァーの右足の脛を靴の踵でけりとばした。

 たまらずセッツァーは悲鳴をあげ、豪奢なレースに包まれた
セリスの豊かなふくらみから手を離した。
「ったく、痛ぇな!いきなり何だよ」
 気持ちよく演説を始めた所にいきなりハイヒールで蹴りつけられ、
セッツァーは非難の声をあげる。

 セリスはくるりと後ろへ向き直ると、きっとセッツァーを睨み付けた。
「飛空挺の操作を教えてくれとは言ったけど、
胸を触ってくれなんて頼んだ覚えはないけど?」
そう言い放つと、セリスはぷいっと飛空挺の舵へと向き直った。

119:ツンデレラ 2 ◆qqJmj36VNU
06/12/09 02:27:40 w/Yu+fMv0
 たかが少し胸触ったくらいで蹴り入れやがって…。
予想以上のセリスの気の強さにセッツァーは正直手を焼いていたが、
その思いに反して笑いが顔に浮かぶのをセッツァーは感じていた。
実際気の強い女は嫌いなタイプじゃない。
ただ、“気の強い女”とやらは今まで何人も相手してきたが、
この女のは気の強さの種類が違う。
 セリスの場合、男に媚びる気が全くねぇからだろうな、
セッツァーはそうひとりごちた。

 セッツァーはセリスと並んで立つと、改めてセリスの横顔を見つめた。
こうして改めてみると、顔立ちが整いすぎていて、ともすると人形の様に
見えなくもない。しかしアイスブルーの瞳にたたえられた強い光が
作り物にはない内面の強い意志を感じさせる。
 こういう完璧な美貌を持つ女ほど乱れさせるとそそるんだがな、と
セッツァーがよからぬ考えを抱いていると、
セッツァーの視線に気づいたセリスがセッツァーの方へ顔を向け、
楽しそうにニッと笑みを浮かべた。

「ふふ、私を普通の女だと思わない方が身のためよ。
生憎と私は舞台じゃなくて軍隊あがりなの。何事も鉄拳制裁が基本よ?」
 セリスはさらりと恐ろしいことを口にする。
つい先ほど制裁を受けたばかりの右すねをさすりながら、
セッツァーは応じた。

120:ツンデレラ 3 ◆qqJmj36VNU
06/12/09 03:44:12 w/Yu+fMv0
「聞けば、帝国軍の常勝将軍と言えば泣く子も黙るほどの
有名人だったらしいな。そのくせ見かけは極上だって言うんだから
手に負えないぜ。
おかげでまんまと騙された哀れな男が帝国くんだりまで飛んでるってわけだ」
 セッツァーはポケットに手をつっこむと肩をすくめた。
表情も口調も冷静さを保ったままだが、セリスも負けじと舌戦に応じる。
「人聞きが悪いわね。さっきのコイントス勝負で負けたのはそっちでしょ?
潔く負けを認めて敗者は大人しく勝者に従ったら?」
「口が減らねぇ女だな……。言っておくが俺がこうやって手取り足取り
飛空挺の操作を教えてやるなんて滅多にねぇぞ。
少しはサービスでもしたらどうだ?」

 セッツァーが嫌味を言うと、セリスは長いドレスの裾を指でつまみ、
貴族の令嬢がするように優雅に膝を折って挨拶をしてみせた。
「わざわざこんなひらひらしたドレスのまま来てあげたでしょ。
それもセッツァーのリクエスト通りにね。
これだけで大サービス、でしょう?」
 口調はあくまで冷ややかだが、セリスの態度はあからさまに
セッツァーを挑発している。
 くそ、その格好のままついてくれば船の舵取りを教えてやるなんて
言うんじゃなかった、そう後悔したのもつかの間、
セッツァーはふと悪巧みを思いつき、目を細めて口元に薄笑いを浮かべた。
(これだから気の強い女はな。自分から負けようって気が全くねぇ。
だが俺も気の強い女専門だからな。ここで挑発に乗るほどバカじゃないぜ?)
 つい先刻コイントス勝負で完全にセリスにしてやられた事も忘れ、
心の中でそうつぶやくと、セッツァーは負けを認めたとばかりに
両手を大きくひろげてセリスに一歩歩み寄った。

121:ツンデレラ 4 ◆qqJmj36VNU
06/12/09 03:46:49 w/Yu+fMv0
「わかったわかった。俺の負けだって認めればいいんだろ?
じゃ負けついでにもうひとつこの船の操作方法を教えてやるから
しっかりつかまってろよ?」
(本当は船に負担がかかるからあんまり連発できないけどな)
と語尾を省略して、セッツァーはセリスを後ろから包み込むような態勢
を取り、舵に手をかけた。

「操作ならさっきこれで全部だって言ってなかった?」
 急に負けを認めたセッツァーに対して、
セリスの口調にはやや怪しんでいるような色が含まれている。
 ここでセリスに怪しまれては元も子もない。
セッツァーは落ち着いた口調になるよう努めつつ、
セリスの耳元に口を寄せた。
「さっきのは基本を教えたんだよ。今からやるのは秘伝ってやつだからな。
セリスには特別に教えてやるんだよ」

 と、セリスの髪から甘い香りがふわりと広がり、
セッツァーの鼻先と下心とをくすぐった。
この際だ、どうにでもなれとばかりにセッツァーは舌先で
セリスの耳たぶをぺろりと舐め、ひんやりとした感触のそれを
舌先で転がすようにして口に含んだ。

122:ツンデレラ 5 ◆qqJmj36VNU
06/12/09 03:50:55 w/Yu+fMv0
 
 と、セリスの身体が目に見えるほどびくりとはねる。
耳から瞬く間にさあっと広がり、頬まで真っ赤に染めたセリスは、
セッツァーの不意打ちに急いで振り返ると、口をぱくぱくとさせた。
「なっ…な、な、」
突然のことに二の句が告げられないでいるセリスの腰に
さりげなく左手を回すと、セッツァーは空いている手で舵を一気にきった。


 飛空挺は操縦者の突然の針路変更に、船体を軋ませながら大きく船体を
左に傾ける。小さな石ころが甲板の上を滑り、
カラカラと乾いた音を立てながら遥か下の海原へとすいこまれていく。
 突然足元が揺らぎ、セリスは短い悲鳴をあげて
咄嗟に目の前の男にしがみついた。
セッツァーが片手で支えているとはいえ、
船体が完全に安定するまで、セリスは震えながらセッツァーの腕の中で
身体を押し付けていた。

 小さく震えながらしっかりと抱きついているセリスを見ると、
やりすぎたかと軽い罪悪感を感じる反面、
男としての自尊心が満たされていくのをセッツァーは感じていた。
 気の強いわりにやっぱり可愛いところあるじゃねぇか。
まぁ今までこの手で落ちなかった女はいねぇからな…。
そうほくそ笑みながらセッツァーはゆっくりとセリスを上向かせた。
(「悪かったよ、悪ふざけがすぎた。
その代わり最高の気分にさせてやるから、下に下りようぜ」)
そういつものきめ台詞を使おうとした瞬間、
 挑みかかるような表情のセリスが目に入った。
怒りのメーターが吹っ飛んだような顔をしている。

123:ツンデレラ 6 ◆qqJmj36VNU
06/12/09 04:03:53 w/Yu+fMv0
 セッツァーは本能的にやばい!と察したが、時はすでに遅かった。
次の刹那、脳天まで突き抜ける猛烈な痛みが下半身に走り、
何が起こったのかわからないままセッツァーは床に膝をついた。
 全身に冷や汗が噴出し、声を出すことすらままならずに前のめりに
しゃがみこむ。

 セリスが自分の急所を蹴り上げたのだ(しかもハイヒールの先で)
と分かったのは、セッツァーがうずくまってから十数分後のことだった。
 涙目で弱々しくセッツァーが顔をあげると、
その目線の先には、感情の停止した機械仕掛けの人形のように、
恐ろしく冷酷な目をしたセリスが、無言で見下ろしていた。
 くそ、こんな時でも頭にくるぐらいキレイな顔しやがって、
と見当違いな怒りがふっと頭に浮かぶと、その勢いでセッツァーは
なんとかよろよろと身をおこした。

 だが、体勢を少し変えるだけで、治まったはずの冷や汗が
どっと背中に噴き出してくる。
しかしセッツァーはここまで来たらもう怖いものなんかねぇとばかりに、
渾身の力でセリスを抱き寄せた。
死ぬほど痛いのにまだ女の事を考えられる俺もなかなかすげぇな、
という考えが悪寒のようなの痛みの中、ちらりと脳裏をかすめる。
 そして、セリスを抱き寄せた反動で立っていられずに、
セッツァーは再び床に崩れ落ちた。
残念なことに、その振動がまたセッツァーの痛みを増幅した。
今度こそあまりの痛みにセッツァーは情けない悲鳴をもらした。

124:ツンデレラ 7 ◆qqJmj36VNU
06/12/09 04:17:10 w/Yu+fMv0
  さっきまで視線だけで人を殺せそうなほど冷酷な表情を浮かべていた
セリスも、情けないセッツァーの有様に、抱きよせられた格好のまま、
クスクスと笑い出した。
「なんて声だしてるのよ」
「女には一生わからねぇ痛みなんだよ…使えなくなったらどうすんだ」
 セッツァーはできるだけ局部に響かないよう低く声を出した。
「急所を蹴られてなおこれだけできれば平気よ」
 セリスの態度は完全に軟化している。
クスクスと笑い続けているセリスの表情には、年齢相応の幼さがふっと
去来する。初めて見せる柔らかい笑顔に、セッツァーはほっとしつつも、
セリスの手痛い反撃ぶりにため息をついた。
「少し悪さしただけで一撃必殺かよ。本気で蹴るか?普通。死ぬぞ…。
俺が死んで帝国に行けなくて困るのはセリスのほうだぞ」
「ふふ、私が本気で蹴ったら再起不能になってるわよ。それに、
さっき言ったでしょう?普通の女だって思わないほうがいいって」
 セリスはセッツァーの泣き言には取り合わず、
楽しそうにウィンクすらしてみせる。

125:ツンデレラ 8 ◆qqJmj36VNU
06/12/09 04:32:25 w/Yu+fMv0

「でも……本当に感謝はしてるのよ?飛空挺を貸してくれた事」
 セリスは照れたように小声で付け足した。
 セッツァーはセリスのすべらかな頬を右手でゆっくりと撫で、
唇にはりついた髪をそっと指先で払った。
ここにきてやっとしおらしくなったセリスをじっと見つめたまま、
セッツァーは最後の追い込みをかけた。
「言葉だけじゃ足りねぇな。俺がいないと困るんだろ?セリス」

 もはや半分脅迫になりつつあるセッツァーの口説き文句に、
セリスが根負けしたように小さくため息をついた。
「わかったわよ。じゃどうすればいいの」
 乳ぐらい揉ませてもバチは当たらねぇだろ、という言葉が反射的に
口をついて出そうになるのをセッツァーはぐっとこらえた。
まぶたの裏に浮かぶセリスの艶かしい肢体の映像を振り払い、
セッツァーは大人然とした声をだした。

「もう一度マリアの格好してくれよ。
そしたらとびっきりの景色を見せてやるよ。二人っきりでな」
「そんなにこの格好が気に入ったの」
 気にするのはそこじゃないけどな、と思いつつセッツァーは念を押した。
「約束だぜ?」
「わかったわ。約束する」セリスは半ば呆れたように微笑んだ。

 よくよく考えると、女優を攫うどころか偽者をつかまされたあげく、
帝国までの足代わりとして利用されたセッツァーだったが、
不思議と怒りは湧いてこなかった。セリスは気は強いがなかなかの上玉だ。
これからじっくり落とせばいい。
そう、まだこいつとの旅は始まったばかりなのだ。
 そう心に決めると、セッツァーはいつ手に入るとも知れない女の肩を
そっと引き寄せた。 
                        めでたしめでたし

126: ◆qqJmj36VNU
06/12/09 04:40:56 w/Yu+fMv0
ネタのつもりが長文になってしまったようだ…
どもでした。

127:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/09 08:38:51 unT3iWQa0
>>126
    _  ∩ 
  ( ゚∀゚)彡 ツンデレ!ツンデレ!
    ⊂彡 
てかセッツァーテラバカスwwwww
すらすら読めておもしろかった

128:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/10 01:59:36 sskLP+Sh0
GJ!!

129:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/10 05:42:35 COypApMaO
FF1or3でハァハァって奴はここでは少数派かね

130:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/11 09:23:52 8lGemr3cO
DS版FF3好きです保守。


131:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/12 03:16:32 Kck9x1qV0
>127>128 ありがとうございます。
機会があればまた書かして下さい。じゃっ!

132:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/12 22:10:21 emZwdr4/0
とにかく保守だけ。

133:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/13 09:27:30 9iHje6AVO


134:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/13 16:03:42 VncoEyI20
>>131
面白かったGJ!

135:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/13 20:54:49 SvY4/QGv0
FF全シリーズの作品を期待ワクテカ

136:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/14 14:13:25 +4uQ98SY0


137:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/15 08:07:21 yzrByXUI0


138:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/15 17:24:25 vN+drigbO


139:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/15 23:45:38 rj7pQ2DA0
アッー!

140:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/16 01:28:39 l1YnUg3h0
>>118-125
(またマリアの格好を~、の件で)
さり気なく3人クリアの伏線が張られていると解釈して勝手にニヤニヤしてました、GJ!
さすがセッツァー、傷の多さは伊達じゃないって事かw


FF3ネタなら、シド夫妻の馴れ初めとか読んでみたい。ネルブの大岩破壊のイベントに
男気とばあさんへの愛を感じたw
そう言えばシリーズのシドって愛妻家や家族思い多いな。…6は似非家族だけど。

141:ラストダンジョン (23)   ◆Lv.1/MrrYw
06/12/16 01:35:34 l1YnUg3h0
前話:>>109-113
----------

                    ***

 地下に降りた仲間達が衝撃の再会を果たしたのと同じ頃、1階エントランスに残ったバレットとシドは
エレベーター以外でフロアを移動する手段を探しながら、1階部分の探索を開始していた。
 エントランス中央にある噴水を中心にして放射状に広がる通路を進みながら、目についた扉を片っ端から
開けていく。自動で開閉するものは問題ないのだが、そうでない扉は非常用手段―つまり手動―で
こじ開けなければならず、これが結構な重労働を強いられる。ふたりとも体力にはそれなりに自信があった
が、さすがに数が多すぎる。
「あークソ! それにしても一体いくつ部屋があるんだぁ?!」
「オレ様に聞くんじゃねぇよ!」
 背負った槍が無用の長物と化しているシドが苛立ちをそのまま声に出すものだから、バレットも思わず
反論する。
「聞いてねぇよ!」
「じゃあ黙ってドア開けろドア!」
 背後のバレットに向けて怒鳴ったシドが、いくつ目か数える気も失せてから更に数十枚目のドアをこじ開けた。
中は真っ暗で、何もない。美しい景観のエントランスや通路とは対照的に、闇に沈む室内は塗装もされずに
むき出しになった壁材がうっすらと見えた。ここと同じような部屋が他にも数え切れないほど―はなっから
数えるのが面倒なので数えていない為だったが、とにかく沢山―あった。
「まったく、いちいちドア開ける方の身にもなってみろってんだ」
 愚痴を吐き捨てると顔を上げ、次に視界に入った扉の前へと移動する。が、扉はびくともしない。どうやら
ここも手動で開けなければならないようだ。

142:ラストダンジョン (24)   ◆Lv.1/MrrYw
06/12/16 01:40:43 l1YnUg3h0
 手動開閉装置は扉の横についていて、レバーを回転させることで扉を開閉する事ができる。シドはムキに
なってこれを回しながら、中が覗ける程度の隙間を確保すると開閉装置から手を離し、室内を覗き込んだ。
しかし、ここも真っ暗で中には何も見あたらない。
「にしても、一体何に使うためにこんだけ部屋作ったんだ?」
 真っ暗なフロアにシドの声が反響する。自分たち以外には誰もいないはずの施設だから、もちろん返答を
期待しての問いかけではない。意味がない独り言とは分かっていても、小言の一つも言いたくなる。
「いっくら軍事施設だっつったってよ、やり過ぎじゃねぇか?」
「内部を分かりやすい構造にした場合、実際の侵入が容易になってしまいますからね」
「まぁ、確かにそうなんだけどよ。ジェノバやセフィロス、それにディープ……なんだ?」
「ディープグラウンド」
「それだそれ。……もうあいつらもいねぇ訳だしよ、なにもここまで厳重にしなくても良いと思、」
 そこで初めてシドは異変に気付いた。自分のこぼした愚痴に対して逐一、それも的確な返答をされるもの
だから、自然に会話が成立していたせいで危うく聞き流すところだった。
 もう一度考え直す。ここには自分たち以外、誰もいないはずだった。
「備えあれば憂いなし。先人達は良い言葉を残していますね」
 シドが異変と気付くまでに時間がかかったのは、確かにシド自身の油断という理由もあるだろう。しかし
ながら、会話を交わして不自然と感じる相手ではなかった、という要素が一番大きい。
 ちょうど顔と同じぐらいの幅が開いた扉の奥に、その声の主は立っていた。背後の闇に溶け込むような
黒髪に口髭、闇に浮かび上がる青い衣はW.R.O局長が身につけている服で。シドがその姿を見紛うはずは
なかった。

「……って……リーブ?!」


143:ラストダンジョン (25)   ◆Lv.1/MrrYw
06/12/16 01:52:21 l1YnUg3h0

 その声に勢いよく振り返ったバレットが慌ただしく駆け寄ってくる。
 バレットはシドの視線の先に見知った人物の姿を見つけると、安堵する一方で強い疲労感に襲われた。
 これだけ巨大な建物の、よりにもよって入り口のある1階のこんな場所にいなくても良いだろう―と、
なにやら説得力に欠ける様な事を口にしながら、それでもバレットはリーブとの再会を素直に喜んだのである。
 通路と室内を隔てていた扉は、ひとりでにゆっくりと開き始める。それに従って闇に包まれた室内には徐々に
光が差し込み、リーブの姿が浮かび上がってくる。
「……何してんだよ心配させやがって」
 リーブが“本部施設に閉じ込められた”と聞いて、なんだかんだ言いながらも彼の身を案じ、真っ先に仲間達
を招集しようと飛空艇を飛ばしたシドが、溜め息と共に思わず本音を漏らす。
 その言葉に、目の前に立っていたリーブは生真面目にこう返した。
「心配して頂けたとは、光栄です」
「ふざっっけんなこの野郎!!!」
 生真面目を通り越してどこか他人事のような返答を聞いたシドは、本気―手はもちろんグー―で殴り
かかろうとした。その直後、彼の左肩に手を置いて暴挙を止めたのはバレットだった。
「まあまあ落ち着けよシド」
「おう、オレ様はさっきから充~分、落ち着いてるぜ? 落ち着いて考えて『一発殴らせろ』って結論が出たんだ。
だからよバレット、その手どけてくれねぇか?」
 そう言って口元をつり上げて笑うシドの、どこを見れば落ち着いていると言えるんだ? とバレットは指摘した
かったが、今日二度目になる身の危険を感じて口にしかけた言葉を飲み込んだ。
 シドの肩に置いた手は退けないまま、正面に向き直ったバレットは改めて問う。

144:ラストダンジョン (26)   ◆Lv.1/MrrYw
06/12/16 01:58:27 l1YnUg3h0
「それでリーブ、お前こんな所で何やってるんだ?」
 言い終わるのと同時にがたんと重たい金属音を立てて、扉が完全に開いた。誰もいないせいかフロアには
長く残響がこだましている。その音が完全に止む前にリーブが口を開いた。
「……見ての通り、W.R.O<世界再生機構>の局長をやってます」
 笑顔を浮かべることもなく、やはり生真面目と言うか事務的にリーブは答える。それを聞いたバレットの耳の
奥で、何かがぷちっと音を立てた様な気がしたが、たぶん気のせいだろうと首を振った。
 気を取り直して、ここへ至るまでの経緯を簡潔に告げた。
「俺達はよ、お前さんがこの施設に閉じ込められたって聞いたんで飛んできたんだぜ?」
 バレットの言うとおり、というより文字通りに彼らは飛空艇に乗って飛んで来たのだ。
 それを聞いたリーブは表情を変えずに問い返した。
「リーブがこの施設に閉じ込められている……と?」
「少なくとも俺はそう聞いてここへ来た。だけどよ」
 しかし、これはどう見ても“閉じ込められている”という状況とは違う。入り口はすぐそこだし、出ようと思えば
いつだって出られるじゃないか。
「“閉じ込められた”、んじゃなくて“閉じこもってる”の間違いかよ? なんだよ本当に人騒がせだな」
 バレットは呆れて大きくため息を吐くと、リーブに背を向けた。それから早速ポケットから携帯を取り出すと、
発信履歴の一番先頭にあった番号を呼び出した。わざわざ手分けして探すまでもなく、こうして再会できた
事を他の仲間達に知らせる為だ。
 しかしバレットの背後ではリーブがまだ話を続けている。
「あなた方は、『リーブ』をここから連れ出そうと言うのですか?」
 リーブ自身になぜそんなことを聞かれているのか、シドにはさっぱり状況が飲み込めなかった。悪ふざけ
にも程があると、そう口にしようとした。しかし次の言葉を聞いた時、シドは今度こそ訳が分からなくなった。
「我々は『リーブ』がここから連れ出されることを望んでいません。……どうぞお引き取り下さい」
 実のところ、さっきから聞いていて気にはなっていた。彼の話しぶりはまるで他人事だったからだ。いま
目の前に立っているのが、リーブ以外の人間であるならその話し方にも納得できるが。
 ……いや、まさか。

145:ラストダンジョン (27)   ◆Lv.1/MrrYw
06/12/16 02:06:18 l1YnUg3h0
「お前は……誰だ?」
 まったく確証は無かった。それでも問うシドの口調や表情には明かな不安の色が浮かぶ。
 シドの背後で携帯を片手にバレットは振り返る。耳に当てたスピーカーからはコール音だけが聞こえてきた。
機械的に繰り返されるその音に乗せて、抑揚のないリーブの言葉が聞こえてきた。

「私は、実戦用に配備された“人形”です。……あなた方の言う『リーブ』とは、我々を作った人物です。
 我々は、彼の能力によって生命を吹き込まれた存在。つまりケット・シーと同じように、作り物です」

 鳴り続けるコール音がやけに大きく聞こえたのは、その言葉を現実として捉えたくないと言うバレットの
願望がそうさせたのかも知れない。
 未だに繋がらない電話の持ち主が、この施設内の別の場所で同じ事を尋ねたのだとは知る由もなく、
ふたりは目の前に立つリーブにこう尋ねた。
「お前の言う『リーブ』……“本体”はどこにいる?」

 目の前に立つリーブは首を横に振るだけで、何も答えようとはしなかった。




----------
・人を小馬鹿にして楽しむ局長(DCFF7第1章)を表現できていたら良いなと。
・バレットとシドの書き分けが難ry。すんませんです。


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