06/12/07 15:03:38 nv8xmwa60
力強い声だった。暗闇にぱっと明かりがともるように、温かな。アルスは泣きたくなって、代わりに笑う。
この声さえ聞ければ、と思う。
「……マリベル」
しっかりと握りこまれた手を離し、アルスは、今度は自分からマリベルに手を差し伸べた。
まっすぐと。迷うことなく。
「一緒に闘ってくれる?……最後まで。君が必要なんだ、マリベル」
「……それで良いのよ」
マリベルは満足そうに頷くと、明るく笑って、その手を取った。
「行こう。……ダークパレスへ」
血に飢えた魔物の吼えたける搭。恐怖と腐臭に満ちた邪悪な洞窟。
どんな暗闇でも、君がいてくれるなら。君の声さえ聞けたなら。
君は、僕の光。
【END】