FF・DQ千一夜物語 第五百五十二夜の2・5at FF
FF・DQ千一夜物語 第五百五十二夜の2・5 - 暇つぶし2ch600:『覚悟』 ◆uWt7kdGYAc
06/11/09 13:41:40 3fi2G6dM0
すれ違う知り合いに色々言われたけど、全部無視して部屋に入り鍵をかけ、ようやく一息吐く。
「一人で来たのか?」
色々言いたいことはあったけど、まずはこの確認だ。
「はい。馬の姿だった時は町の中に入れなかったので、道がわからなくて戸惑ったけれど、町の人に訊ねたら親切に教えてくれました。ククールさんが目立つ人で良かったわ。すぐに居場所がわかったもの」
「何……やってんだよ」
これは彼女だけに言ってる言葉じゃない。
深層のお姫様に、こんな歓楽街を一人で歩くことを許した人間、全部に言いたい。
「そんな格好してるってことは、エイトは承知してるのか?」
「ええ、ミーティアの持ってるドレスでは、目立ちすぎるだろうからって。本当はゼシカさんの服を借りようと思ったんだけど、どうしても……その……胸の部分が余って、着られなかったものですから」
その格好も十分目立ってるよ。美人だから何着ても似合うって意味では似合ってるけど、男装ってのは違和感ありすぎる。
それにゼシカの服なんて、問題外だ。
あれは、不埒な考え起こす奴の方が気の毒な目に遇うゼシカだから出来るんで、あんな格好で歩いてたら、いつ襲われたって文句言えない。

いや、今はそういうことを問題にしてるんじゃない。
「何しに来た?」
自分を訪ねてきてくれたレディに対して、こんなことは言いたくない。
だけどここでハッキリした態度を取らないと、お互いの為にならない。
「……ゼシカさんが、ちゃんと話をしないとダメだって……」
そんなことだろうと思った。
「サヴェッラへ出発する直前に、話してくれたの。あなたがどういう気持ちで一人で生きようと決めたかということ」
やっぱり余計な話、するんじゃなかったな。ま、自分で話すと決めたんだし、ゼシカに文句を言う筋合いじゃない。

601:『覚悟』 ◆uWt7kdGYAc
06/11/09 13:45:06 3fi2G6dM0
「だったらわかったろ? オレには『助けたこと、後悔するぞ』なんて、涙が出そうにありがたい捨てゼリフ吐いて行方不明になってくれた兄貴がいる。そんなヤツを見逃して野放しにしちまった責任は取らないといけない」
あの無駄に精力的な兄貴が、このままおとなしくしててくれるなんて思えないからな。
「君はトロデーンの王女様で、いつかは王位を継いで国を守っていく立場になる。その時、オレは側にいられるかどうか、わからない。オレには、一緒にトロデーンを守っていくことは出来ないんだ」
だからエイトならって思ったんだけど、こうやって服まで貸して姫を送り出すあたり、脈は薄いな。
「オレの親父はマイエラ一帯の領主だったけど、領民のことを顧みないで豪遊しまくって、最後は無一文になって流行り病で死んじまった。
あの辺り、昔はもう少し栄えてたんだけど、領地を手当たり次第、適当に抵当に入れて借金しまくったせいで、債権者に土地をバラバラに差し押さえられて、町として残れたのはドニだけだった。
バカな人間が治める土地の末路は悲惨なもんだ。……オレは、君にそんな君主には、なってほしくない。トロデーンを守ってくれるヤツと一緒になって、しっかりと国を守ってほしい」

「……わかりました」
少しの間の後、ミーティアはしっかりとした声でそう言った。
「わかってはいたの。本当は、ミーティアにはここに来る資格は無かったってこと。だって、私が結婚式から逃げたのは、あなたが好きだったからじゃない。
もしそうだったなら、サヴェッラに発つ前、ゼシカさんから話を聞いた時に、チャゴス王子と結婚するのはイヤだって言ってたはずだもの」
いつもの柔らかい口調じゃなく、どこか怒りを含んでいるような声で、ミーティアは続ける。
「国同士の約束を守って結婚するのが、王族として生まれた者の義務だと思って諦めていた。それがどうしても我慢出来なくなったのは、王子があの時、みんなを侮辱したから……。
トロデーンを呪いから救ってくれた、大切な仲間たちを貶めるような事を言ったあの人を、どうしても許すことが出来なかった。あなたと結ばれたかったからじゃない。わかってるわ、今更、何を言う資格も無いことぐらい」

602:『覚悟』 ◆uWt7kdGYAc
06/11/09 13:49:48 3fi2G6dM0
『そんなことない』と思わず言ってしまいそうになる。
でも言えるわけがない。
「ただ、一言お礼が言いたかっただけなの。色々と心配してくれてありがとうって。……もう帰りますね。ほんのちょっとだけって、無理を言って抜け出してきたんですもの。あんまり遅くなると、お父様やエイトが心配するから。突然訪ねてきたりして、ごめんなさい」
部屋を出て行こうとするミーティアの腕を、思わず掴んでしまっていた。
翡翠色の瞳が、驚いたように見上げてくる。
「いや、あの……送ってくよ」
「一人で大丈夫。外に出てキメラの翼を使うだけですもの。一人で何も出来ないようでは、国を守っていくなんて出来ないわ。あまり過保護にしないで」
自分から別れを切り出したくせに、いつまでも未練がましいのはオレの方。
手を離すとミーティアは、迷う様子もなく、ドアを開けて出て行った。


サヴェッラでの花嫁奪還劇から一カ月。
トロデーンとサザンビークの間では、何度も使者を遣り取りしての話し合いが行われ、和解が成立した。
トロデーン側は、全ての非は自分たちの方にあると認め、サザンビークに対し十年間、毎年、百万Gの慰謝料を払い続けることになった。
更に、花嫁を逃がした主犯であるトロデ王は責任を取り、ミーティア姫に王位を譲って引退することを表明した。
公式には破談の理由は、トロデーン王家の唯一の直系であるミーティア王女が、他国に嫁ぐのは自国の統治に支障をきたす恐れがあったからってことになった。
花婿の人間性が最低だからなんて本当のことが理由として通用するはずもなく、発表できるはずもなかったからだ。
だけどこれで、国家間の戦争なんてものに発展することは無さそうで、まずは一安心だ。
これで本当に、オレが心配しなきゃいけないとこは何も無い。そう思った。

ヤンガスが、パルミドの情報屋から仕入れて来た、『戴冠式の日にミーティア姫の暗殺が企てられているようだ』なんて話を聞くまではな。

603:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/11 16:44:02 yPcV3DhmO
最下層なんでageます

604:ギコガード
06/11/11 16:57:13 naXIezhQ0
チラッ・・・・
懐かしい

605:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/11 21:51:11 ztg+yxwb0
>>603
まったく意味がないのでやめてください

606: ◆2CDckY/JG6
06/11/14 09:28:00 051lYuTf0
3日に1レス。これ基本。

607:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/15 01:49:38 PE1tSnvL0
>>『覚悟』 ◆uWt7kdGYAc
DQ8プレイして感じた印象や、なかま会話で聞けるセリフや場面が
がうまく作中に反映されていて、読んでて違和感がないどころか
説得力があって引き込まれました。
言われてみれば主人公、最後に起きるの多かったかもw
続き楽しみにしてます。

608: ◆Vlst9Z/R.A
06/11/15 03:41:37 AA2LX9cy0
お久しぶりです
現在FFDQ板恋スレのスレッドログ保管と、エロパロ板FF7総合スレのSS編集中です
一応ご連絡までですが、よろしくお願いします

恋スレに関しては作品の長編化が進んでおりますので、長期連載のモノに関しては
個人保管をお願いしているのですが、これに関してはいかがしましょうか?
スレ単位でログの保管は続けますので、作品を切り捨ててしまうことにはならないと
思うのですが……

609: ◆2CDckY/JG6
06/11/18 06:23:27 +rtBQcew0
3日に1レス。これ基本。


610:ラトーム ◆518LaTOOcM
06/11/19 01:13:23 Vr69Qbyv0
>608
ありがとうございます!
個人保管ってのは、読んでいる側の個人保管っていうことですよね?
それに準じると、千一夜のサイトでもログ保管だけするということになるので
ご不満は出るかと思いますが……。
長期連載ものを保管するのはかなり大変な事になるので、個人的には、
それで良いのではないかなと思います。
作者の方が後日まとめたものを渡してくださったりできれば、それが
一番嬉しいですが(千一夜の掲示板でデータのやり取りをしていただいても
構いません)。それを強要するのもどうかと思いますし。

以上、取り急ぎご連絡まで。

611: ◆2CDckY/JG6
06/11/22 09:03:29 MXJ1SRrY0
3日に1レス。これ基本。

612:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/11/25 02:47:43 sZqtGLce0
ほじゅう

613: ◆2CDckY/JG6
06/11/28 09:12:23 XRqs0sgm0
3日に1レス。これ基本。

614: ◆2CDckY/JG6
06/12/01 09:08:57 /+6HexjW0
3日に1レス。これ基本。

615: ◆2CDckY/JG6
06/12/04 08:02:09 QqqmmdxZ0
3日に1レス。これ基本。

616:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/05 14:19:21 3W3TbOFT0
ここは自作のDQ小説を投下するスレ?8以外でも落として良いのかな?
ずーっと昔に書いたアルマリSSが一本あるんだけど…

617:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/05 18:02:56 9G6b0CSS0
>>616
基本的にどんな話でもオッケーだよ。
ドラクエだけでなくFFでも。
ただし、過疎スレだから専用のSSOKなスレがある場合は、
そっちに落とした方が反応は多くもらえると思う。

618:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/05 18:03:36 9G6b0CSS0
×基本的にどんな話でもオッケーだよ。
○基本的にローカルルールに違反しない限りどんな話でもオッケーだよ。

619:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/06 11:07:04 iXprJodU0
ここはクロスオーバーにも向いてる。

620:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/07 14:53:07 nv8xmwa60
じゃあ、すみません、ちょこっと落とさせてもらいます。
初SSであんまり大勢に見せるほどのものでもないので(エロもないし)こっちで。
スレを覗いた方にサラっと流し読んでいただけると嬉しいです。

DQ7、アルマリで、一度パーティから抜けたマリベルを再び迎えに行くところです。

621:『光』 1/4
06/12/07 14:54:59 nv8xmwa60
 世界は闇に包まれていた。
 大いなる暗黒がぽっかりと口をあけ、全てをその口に飲み込んでしまおうと、虎視眈々と狙っている。
 穏やかな波も白い砂浜もすべて暗雲に飲み込まれ、今や天と地の境すら定かでなくなってしまった故郷の様子に、少年は、すっと目を細めた。

 年のころは16歳ほど。泥と埃にまみれた衣服に身を包み、表情はどこかやつれているが、その目は濁り無く透きとおっている。

「ここが、アルスの生まれた村か?」
 傍らに立つ、小柄な、それでいて全身に活気のみなぎった少年に問われ、アルスは頷いた。
「フィッシュベル。僕とマリベルの育った村だよ」
 全てはここから始まった。少し前までは、ここだけが世界の全てだと思っていた。
「海の側だからかな?魚の良い匂いがするぞ!うまそうだ」
「ガボったら」
 空腹なのか、小さな鼻をひくひくと動かして魚の匂いを追っているガボを見て、アイラが微笑む。その後、彼女はアルスへと視線を寄越した。
「マリベル、元気かしらね?さあ、早く行ってあげなきゃ、アルス」
「その間、わしらは村を散策させていただくでござるよ。アルス殿のご両親にもご挨拶させていただきたいでござるし、薬草や武器も補充しておかねばなるまいて」

 ――最後の闘いに向けて。

 メルビンの言葉に、アルスは俯く。だが、さあ、とアイラに背中を押され、仕方なく重い足を動かした。
 さく、さく、と砂を踏み、船着場を越えてアミットの屋敷に向かう。
 自分は、果たして、生きてまたこの故郷の土を踏むことができるだろうか。

 鉛色の海にはいくつもの小さな船が漂っている。ふいに雷鳴がとどろき、空の一部を明るくした。
 禍々しい巨大な城が、一瞬だけその姿を表す。

 ダークパレス。

 胸の奥が、ちり、と熱くなった。足を止めて、既に再び姿を隠してしまったそれを睨みつける。
 世界を食いつくそうとする卑しい魔物の巣食う城。自分達の死に場所となるかもしれぬ場所である。

 万感をこめて拳を握り締めると、アルスは再び力強く歩き出した。

622:『光』 2/4
06/12/07 14:58:03 nv8xmwa60
「……まあ!まあまあ……アルス?」
 屋敷に入ると、アミット夫妻が出迎えてくれた。茶色い髪を高く結い上げた上品な婦人が、アルスの姿を見るなり駆け寄って来る。
「お久しぶりです。あの……アミットさんの具合はいかがですか?」
「ありがとう。もうすっかり良いのよ。……ああ、それよりもっとよく顔を見せて頂戴!こんなに男らしくなって……ずいぶん背も伸びたのね?」
 アミット夫人は、まるで自分の実の息子であるかのように、嬉しそうにまじまじと見つめてくる。照れくさくなって、アルスは俯いた。
「あの小さくて大人しかった貴方が、今や伝説の勇者様だなんてね。大変な旅をしているんでしょうね……」
 白く優美な手をそっと少年の頬にあて、わずかに声を落として囁くように言う。
「……あの子を、迎えに来たんでしょう?」
 驚いて顔を上げると、夫人のどこか寂しげな視線とかちあった。隣には、主人のアミットが佇んでいる。
 アルスから視線を逸らしてはいるが、その横顔は全てを悟り、覚悟を決めているように見えた。
「……アミットさん。僕は……」
「何も言うな」
 強い声でアミットは遮った。アルスの目を見て、困ったように微笑む。
「何も言わんで良い、アルス。もう十分じゃよ。この数ヶ月で、十分、親孝行はしてもらった。親想いのあの子につけこむようなことをして、長い間この村に留めてしまって……悪いことをしたと思っている。あの子にも、君にも」
「……そんな。僕は、ただ」
「じゃが、あの跳ねっかえりを引き止めておくのもどうやら限界なようじゃ。……連れて行っておくれ。あの子は二階に居るよ」
 胸が詰まって声が出ない。思いを込めて一礼すると、アルスは二階へと続く階段へ足をかけた。

623:『光』 3/4
06/12/07 15:00:42 nv8xmwa60
 廊下を一歩進むごとに、鼓動が早くなっている気がした。僅かに震える手でそっとドアを開けると、見覚えのある茶色い髪が目に入った。
 マリベルはそこに居た。アルスに背中を向ける格好で、椅子に座って何か手を動かしている。よく見るとそれはレースだった。
 細く美しい糸を操り、繊細なモチーフを編んでいっている。微かに聞こえる歌声に、胸が痛くなった。
 自分はこれから、この少女を恐ろしい世界へいざなおうとしている。血と死肉にまみれた、死と恐怖の闘いへ。
 一瞬、このまま黙って帰ってしまおうかと考えた。声をかけて、振り向いた彼女に自分は告げられるのだろうか?
 絹のドレスを脱いで闇の衣を身に付けろと。レースを捨てて鞭を持てと。歌う代わりに呪いの呪文を口にしろと……言えるのだろうか?そんな、残酷なことを。
「……マリベル」
 ぴくり、と薄い肩が動いた。栗色の髪を揺らしながら、彼女は立ち上がってゆっくりと振り向く。正面から向き合って、アルスは愕然とした。
 そこに居たのは、良く知った幼馴染の少女ではなかった。
 甘く、白い花のような、可憐な一人の女性だった。
「……アルス?」
 自分が彼女を見るのと同じように、縫い付けられたように自分を見ていたマリベルは、しばらくすると、近寄ってきて微笑んだ。鼓動が早くなる。目が、逸らせない。
「戻ってきたのね」
「うん……元気だった?」
「あたしは元気よ。決まってる。あんたこそ、無事だったんでしょうね?」
 勝気な物の言い方は相変わらずで、なんだか懐かしくて、アルスは笑った。
「うん、大丈夫。……マリベル、なんだか小さくなっちゃったみたいだ」
「馬鹿ね、あんたが大きくなったのよ。……すごく背が伸びたのね」
 先ほど、彼女の母親にも同じことを言われた。旅をしていると鏡を見る暇もろくにないものだから自分ではよくはわからないのだが、数ヶ月前までは彼女と同じだった目線が、今はだいぶずれている。
「髪も伸びた」
 白い指に触れられそうになって、瞬間、びくりと体が逃げてしまった。マリベルは少し意表をつかれたように自分を見る。
「……ごめん」
 触れさせるわけにはいかないと思った。

624:『光』 4/4
06/12/07 15:01:59 nv8xmwa60
 闘いから離れて久しい彼女とは違い、自分はもう体の隅々まで血に濡れている。何度もマメができては潰れることを繰り返した手は、岩のようにごつごつと硬くなり、どれほどのモンスターを剣で突き刺し、首を跳ねて殺したのだろうかと、自分でも薄ら寒い。
 こんな手で彼女には触れられない。彼女にも、触れさせられない。
 だが、彼女はその手を取った。驚いて見つめると、怒ったように睨んでくる。
「あんた、まさかあたしを置いていくつもりじゃないでしょうね?」
 ぎくりとする。マリベルはやっぱり、という風に眉を吊り上げた。
「ここには挨拶に来ただけだって言うの?あんまりふざけたこと言うとぶつわよ!」
「……でも」
「何が、でも、よ」
「死ぬかもしれないんだ。君はもともと戦士でもなんでもないし」
「そんなのあんただって一緒でしょう!あたしはただの網元の娘だけど、あんただってただの漁師の息子だわ。違う?」
「僕は大丈夫だから……だから、」
「ああ、もう!」
 やってられない、とばかりにマリベルは頭をかきむしった。綺麗に櫛を通されていたであろう髪の毛が、くしゃくしゃになる。
「あんたって本っ当!本当に馬鹿ね、アルス。あたしが居なかったら、まともに呪文の使える人間なんて居ないじゃないの!魔王相手にどうやって戦おうっていうの?」
「……」
「大丈夫、なんて言葉は傷を受けないようになってから言いなさいよ!そんなぼろぼろの姿で言われたって、これっぽっちも説得力が無いんだから!」
「……」
 もともと口下手であるアルスは、ひとたびマリベルに火がついたらそれを治めることができない。口答えなど、もってのほか。黙って、困ったように彼女を見つめていると、マリベルはもう一度しっかりとアルスの手を握った。燃えるような瞳でアルスをねめつける。
「一人で闘ってたなんて思ってんじゃないわよ。側に居なくても、あたしはずっと一緒に闘ってた。あんたの手はあたしの手だわ。あんたの罪はあたしの罪よ」
「……マリベル」
「あの日、石版を最初の台座にはめた時から。あたし達は共犯者なのよ」

625:『光』 追加
06/12/07 15:03:38 nv8xmwa60
 力強い声だった。暗闇にぱっと明かりがともるように、温かな。アルスは泣きたくなって、代わりに笑う。
 この声さえ聞ければ、と思う。
「……マリベル」
 しっかりと握りこまれた手を離し、アルスは、今度は自分からマリベルに手を差し伸べた。
 まっすぐと。迷うことなく。
「一緒に闘ってくれる?……最後まで。君が必要なんだ、マリベル」
「……それで良いのよ」
 マリベルは満足そうに頷くと、明るく笑って、その手を取った。
「行こう。……ダークパレスへ」

 血に飢えた魔物の吼えたける搭。恐怖と腐臭に満ちた邪悪な洞窟。
 どんな暗闇でも、君がいてくれるなら。君の声さえ聞けたなら。


 君は、僕の光。


【END】

626:ラトーム ◆518LaTOOcM
06/12/09 01:57:00 IsND50V30
青春、って感じですね。
いいなあ。
この後の戦いは長くて辛くて大変ですが、だからこそ、いいなあ、と。
良い話でした。乙ですー。

up用掲示板がまたどうにもならない状態になってしまいました。
ああいうのって、目をつけられた時にすぐに対処しないと駄目なんでしょうね。

627:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/09 01:58:14 C6Txqp7k0
おおっ、ラトームさんだ!
お元気そうで何よりです。

628:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/11 13:07:59 Lk8QQfau0
保守

629:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/12 09:53:04 e0bRe0Hf0
ホシュ

630:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/12 21:44:45 4ds7v/TY0
DQ9発表期待保守

631:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/13 07:27:55 pZ011uXk0
板がえらいことになってるな。

632:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/13 10:37:12 nbfKahcd0
いま746位だなあ。いくつまでスレたてられるんだっけ、この板。
このスレの下には3つしかないが。
上げなくても保守はできるからいいか。

633:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/13 10:42:27 LTE/kX2g0
本当なら680前後には来てる所で、なんで来ないのか謎。

634:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/13 13:01:53 Iz0ksK7c0
保守

635:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/13 20:02:08 nbfKahcd0
お、760だ。

636:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/13 23:52:15 /BXZxvOS0
>>625
文章読みやすい。面白かった!GJ!

637:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/14 01:30:46 HbsHYN8t0
hoshu

638:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/15 16:14:28 VZ9kImcu0
一日1回くらいレスないとやばそう?

639:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/15 16:20:48 9pEY13to0
冬休みに入ると厨が増えてスレ乱立する可能性も高いから
そこそこageとかないとレスだけでは一気に落ちる可能性も高い

640:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/16 19:18:01 +fE0IB2z0
もしかしたら、ageると一見さんが見に来るかもしれないよ?
いわゆる「冬厨」と一くくりにされがちだけど、実家に帰省しないと2ちゃんねるに書き込めない環境の人もいるし。俺みたく。

641:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/16 19:53:00 O2QcpYt30
何が言いたいんだ

642:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/17 08:25:48 e/KnWmdZ0
つまり、たまにはageてもいいんじゃないかと。それじゃあまた春休みに来るわ。

643:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/18 22:36:02 mmWga75x0
冬休みはいつから? 保守

644:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/12/20 00:30:23 3pxnv/Ws0
下がりすぎあげ


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