FF・DQ千一夜物語 第五百五十二夜の2・5at FF
FF・DQ千一夜物語 第五百五十二夜の2・5 - 暇つぶし2ch135: ◆CXIsttOtKo
06/03/20 00:34:08 QvIaBwYj0
油断してしまった。
相手のステータスを確認しておくべきだった。
スクイドラーケンの二匹やそこらどうってことはない、と思っていたら一回り強いマインドフレアだったのだ。
なんとか一匹は倒したが、もう一匹の攻撃でやられてしまった。
立ち上がれない。このままでは死ぬだろう。
─あいつが助けに来てくれた。必死な顔で俺の名を叫んでいる。
俺に致命傷を与えたマインドフレアはあいつに向かっていった。
あいつはマインドフレアを攻撃した。しかしあいつの今のジョブは白魔道士。いかんせん攻撃力が足りない。
ほうら反撃がくる─幸いにも避けることが出来た。
あいつは再度攻撃し、マインドフレアを倒した。俺が与えたダメージの累積もあってのことだ。
そしてあいつは必死で駆け寄り呪文を唱え始めた。
レイズだ。
くそ、レイズはHPの回復量が半分だからアレイズを覚えるまでジョブポイントをためたほうがいい、と真剣に忠告したのに。
あいつは笑ってこう言ったんだ。
「レイズのほうが成功率が高いんだから、仲間を救える可能性も高いじゃないか」

あいつと俺が出会ったのはガリランドの王立士官アカデミーだ。
あいつは妾腹ながらベオルブ家の三男という恵まれた地位。そのまま大過なく過ごしていたら北天騎士団の部隊長、あるいは他の小さな騎士団の団長ぐらいにはなれたかもしれない。
しかしあいつはそれを投げ捨てた。
自分の道を貫く為に。
俺も小なりとはいえそれなりの名家の出だ。それを捨ててまであいつについていく事はなかったはずだ。
現にあいつも俺や、他の仲間達にそう言った。
しかし俺達はついていった。
あいつが世間の荒波に一人漕ぎ出そうとするのが危なっかしげに見えたというのもあったが─なによりもあいつに人をひきつける何かがあったからだ。
それはなんだと聞かれても説明しようがない。
おそらく、俺みたいな凡人には理解できないのだろう。
しかしそれでもついていくことはできる。
人は手の届かないものだからこそそれに手を伸ばそうとするのだろう。
あいつについていけば俺達にも手が届くのかもしれない。そう思わせるものがあいつにあったんだ。

だが俺にはとうとう手が届かなかったようだ。
そろそろ意識が薄れてきた。


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